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IV 定期刊行物 1.戦前の機関紙誌

(5)諸社会運動団体およびその他の諸団体機関紙誌

 無政府主義運動関係は,すでに黒色戦線社によって代表的なものはほとんど復刻刊行されている。しかし,当研究所には地方で出されたり,いわゆる「三号雑誌」の類いの無政府主義関係紙誌が大変多い。例えば,神戸・極東平民社『極東』(1922年),黒旗連盟『労働者と失業問題』(1923年),大阪で出された『背人』『黒』(1923年)のようなものがそれである。

 右翼関係の雑誌も同様である。帝国尚武会『武士道の日本』(1911年)から始まって『大日本生産党報』(1935年)まである。遠藤友四郎の個人誌『日本思想』(1925~35年)はかなりある。それに対し,高畠素之の『大衆運動』は所蔵されていない。売文社『国家社会主義』もほとんどない。しかし,大日本国家社会主義協会『日本社会主義』(1931年以後),『国家社会主義』はかなりある。そのほかの地方的な右翼・国家社会主義機関紙誌をあげると膨大なものとなる。これは直接目録にあたっていただきたい。

 諸社会運動団体の機関紙誌類は運動によって復刻がよく進んだものと,そうでないものとがあるが,概ね重要なものは現在も出され続けているといえる。復刻が活発な分野は,婦人運動関係・部落問題関係などであろう。『青鞜』『女人芸術』はいうまでもなく,新婦人協会『女性同盟』(1920年10月~21年6月)なども出されている。ほかには『婦人参政同盟会報』などが復刻されていない。これは所蔵されているが欠号がある。奥むめお等職業婦人社の『婦人運動』は1924年以後について所蔵されているが,欠号も多い。

 救援会関係のものは『救援新聞』ほかいろいろなものがある。反宗教運動については,『反宗教闘争』『戦闘的無神論者』『われらの世界』があり,学生運動については,大宅壮一らの『学生運動』(1926年)などがある。さらに借家人運動については『借家人』(1927年~)などさまざまなものがあるものの,断片的なものが多い。諸社会運動のなかにはあまり知られていないものもあるであろうから,その発掘は今後の課題であるといわねばならない。

(梅田俊英)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

更新日:2014年12月22日

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