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IV 定期刊行物 1.戦前の機関紙誌

(4)社会主義運動および文化運動関係機関紙誌

 社会主義運動関係の機関紙誌類は多数復刻されている。古くは労働運動史研究会の編集で刊行された明治社会主義関係のものがある。そのほかにもいくつかの出版社から復刻されているが,当研究所はできる限り揃える方針である。そのなかには全国的な規模で発行されたもの以外に,例えば三重県で水平社関係者や社会主義者などによって大正期に出された『愛国新聞』などのようなものもある。

 ここでは,現在復刻されていない機関紙誌のうち,注目すべきものを紹介しよう。1923年4月に『赤旗』が,『前衛』『社会主義研究』『無産階級』の三誌を合併して創刊されるが,そのうち後二者が未復刻である。これらは向坂文庫の寄贈によってかなり欠号が埋まり,近いうちに復刻できる条件が生まれている。これができると大正社会主義の主な雑誌はほぼカバーされることになろう。1919年6月刊行の『解放』はマイクロフィルムになっている。

 あとは第一次共産党関係の雑誌(『労働組合』など)や地方的なものが未復刻である(所蔵)。大正後期になると,政治研究会の『政治運動』『政治研究』やフェビアン協会『社会主義研究』,労働者教育のための『民衆政治』『大衆教育』などがある。 昭和期になると,とくにプロレタリア文化運動関係で非常に多くの機関紙誌類が発行されているが,これらは戦旗復刻版刊行会によって,すでに多くのものが出されている。プロレタリア科学研究所『プロレタリア科学』等や産業労働調査所『産業労働時報』等はすでに当研究所によって復刻済みである。『世界文化』『新興科学の旗の下に』も復刻されていて,昭和初期の学術文化雑誌はほぼ復刻が終わっている。そのほかには,コップ『大衆の友』,プロレタリア科学研究所『われらの科学』『科学新聞』などの復刻が残されているが,当研究所所蔵のものにはかなりの欠号がある。

 昭和の未復刻の最大のものは『第二無産者新聞』であろう。現在も少しずつ集まりつつあるが,なお欠号も多い。共産青年同盟の『無産青年』もあるが,やはり欠号もかなりある。

 なお,1923年2月創刊の『進め』は,一時はプロレタリア文芸運動の準機関誌のようになったこともあり,史料的にも重要なものである。欠号はあるもののかなりの量が揃っている。これに似たものに商業的に出された『社会運動往来』『社会往来』も注目すべきである。そのほか,運動が公然と展開されていた時期(とくに1926年以後)に商業的ベースにのった社会主義関係の雑誌が多く出されるようになるが,これらのなかには注目すべきものもあり,その多くは当研究所でも所蔵している。

 1930年代半ばすぎの人民戦線関係などの機関紙誌類はかなり復刻されている。あとは『時局新聞』,文芸雑誌『人民文庫』,プロ科系執筆者が多く書いている『進歩』,『社会往来』を継承した『国民評論』などがある。『人民文庫』以外のものはかなりある。

(梅田俊英)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

更新日:2014年12月22日

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