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III 文庫 3.その他の文庫

(2)高野文庫

 1968年3月,大島清著『高野岩三郎伝』の完成を機に,伝記編集費の残額を基金にして高野文庫を設置しよう,との意見が研究所関係者の間に高まり,その実現について各方面に協力を呼びかけた。その後,御遺族や関係者の方々から,高野の著書,論文,講義ノート,手紙類その他が集まった。このほか,日本統計研究所で所蔵していた旧高野蔵書約800冊(含雑誌)を受け入れ,また法政大学図書館の旧高野蔵書の一時貸与をうけ,当研究所の高野文庫(1,100冊)が発足した。

 図書内訳を紹介すると,洋書は約60%で,マルクス,エンゲルス,レーニンの著作及び関係図書が1位を占め,次に統計学,社会問題,人口問題となっている。この中には,1888年にロンドンで発行されたマルサスの“An essay on the principle of population”,古い年代では1854年にライプツィッヒで刊行のホルン著“Bevölkerungswissenschaftliche Studien aus Belgien”,また1925年にベルリンで刊行されたローザ・ルクセンブルク著“Einführung in die Nationalökonomie” などが含まれている。また,ボリュームの点でひときわ目立つ存在となっているのは,ライプツィッヒで刊行された“Handwörterbuch der Staatswissenschaften”全9巻(1923~29)である。

 和書構成は,人口問題と統計学で約70%を占めているが,統計書そのものよりも学術論文の方に比重が置かれている。そのなかには高野が一時嘱託となっていた内閣統計局の統計局長であった花房直三郎の統計書も数冊含まれている。国勢調査関係の古書としては,例えば横山雅男著『国勢調査の実行を望む』(1901年),高橋二郎著『各国参照国勢調査法』(1903年),柳沢保恵著『国勢調査と帝国議会』(1905年)などもある。日本の国勢調査第1回が1920年であるのと思いあわせると興味深い。なお,日本労働運動の創始者である兄・高野房太郎のサイン入り旧蔵書も,経済学を中心に10数冊ほど含まれている。

(北村芙美子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

更新日:2014年12月22日

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