大原ネットワークとは
大正から昭和にかけての偉大な経営者大原孫三郎は、手塩にかけたクラボウ、クラレの経営だけでなく、農業研究所、 社会問題研究所、労働科学研究所、病院、美術館など、次々と個性豊かな機関を創設し支援しました。およそ90年の 月日を経て、これらの機関はすべて現役の活動をつづけています。情報共有と相互の活動支援を目的に、2008年に 「大原孫三郎関連施設・機関ネットワーク」(大原ネットワーク)を立ち上げました。 2009年に創設90周年を迎えた法政大学大原社会問題研究所が、記念事業の一環として他施設に呼び掛け、2008年 7月25日都内で大原ネットワークシンポジウムが開催されました。このシンポジウムを皮切りにスタートした本ネット ワークは、今後、互いが持つ大原孫三郎に関する情報を共有し、全体像を明らかにすることで孫三郎の功績を再確認す るとともに、後世に伝えるのが目的としています。 |
大原ネットワークの参加機関
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先に述べたように、環境アーカイブズは発足より約850箱におよぶ資料を収集し、この整理と公開にあたってきた。
そこで、すでに整理が完了し公開されている資料について、以下の6つのカテゴリーにわけて、それぞれに分類される資料群の名称を掲げておきたい(括弧内は受入番号)。
資料種類 |
資料名 |
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①薬害関係資料 |
(0002)スモンの会全国連絡協議会・薬害スモン関係資料 (0006)(0034)川俣修壽・サリドマイド事件関係資料 (0008)古賀照男・薬害スモン資料 |
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②環境保護・開発反対 運動関係資料 |
(0007)自然の権利資料 (0010)徳山ダム建設反対運動関係資料 (0011)同前(住民訴訟) (0019)『Oikos』等野生生物保存運動関連資料 (0020)境川流域下水道反対運動資料 (0038)佐藤定男・山梨県深沢川流域環境汚染問題関連資料 (0039)舟橋直子・野生生物保全運動関連資料 (0041)佐藤禮子・環境ホルモン・ダイオキシン等関連資料 (0045)NPO環境市民の資料 (0046)同前視聴覚資料 |
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③原子力問題・反原発 運動関係資料 |
(0012)たんぽぽ舎・反原発資料『技術と人間』 (0013)同前『たんぽぽニュース』 (0014)たんぽぽ舎反原発映像資料 (0031)東日本大震災・原発事故関係資料(雑誌・書籍) (0035)東日本大震災新聞 (0043)福島民報バックナンバー (0044)福島民友バックナンバー (0047)原子力資料情報室寄贈視聴覚資料 |
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④公害関係資料 |
(0004)水俣病熊本放送映像資料 |
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⑤市民活動一般に関する 資料 |
(0042)東京都立多摩社会教育会館旧市民活動サービス コーナー所蔵資料 |
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⑥研究者等収集資料 |
(0018)大崎正治氏寄贈開発・生活環境関係資料 (0022)是枝洋氏収集社会運動関係資料 |
※個々の資料群の概要については、環境アーカイブズのWEBまで。
環境アーカイブズでは所蔵資料の整理と公開のほかに様々な活動を展開してきた。
以下はその活動別にまとめた記録である。
(1) 展示
(2)『法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズ・ニューズレター』詳細はここをクリック!
(3) 講演会・シンポジウム(共催事業含む)詳細はここをクリック!
(4) 環境・市民活動アーカイブズ資料整理研究会 詳細はここをクリック!
(1)展示
環境アーカイブズの活動や所蔵資料の紹介等を目的として、これまでに3回の展示を実施している。
展示 |
概要 |
映像展示「アーカイブズと震災~25年前のフクシマの姿~」 |
2015年4月8日~27日 東日本大震災および原発事故にかんする文書・映像資料を紹介 |
大原社研100周年記念展示特別展 「ノーモア・スモン 和解調印から40年 資料でたどる薬害の原点」 |
2018年12月3日~2019年1月25日 薬害スモン関係資料のなかから、集会ビラや会報、横断幕等を紹介 |
(2)『法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズ・ニューズレター』
環境アーカイブズの活動を学内外に広報するとともに、環境問題等にかかる資料の整理・活用の重要性を周知するため、2015年度より広報誌として『法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズ・ニューズレター』を発行している。
号 |
内容 |
(2016年3月1日発行) |
○原伸子(法政大学大原社会問題研究所) 「創刊の辞」 ○環境アーカイブズの成り立ち ○所蔵資料の概要 ○清水善仁(法政大学大原社会問題研究所) 「環境アーカイブズの拡がりを目指して」 ○資料紹介 ○松下優一(法政大学大原社会問題研究所) 「視線のアーカイブ」 ○2015年活動報告/利用案内 |
(2017年3月1日発行) |
○立岩真也(立命館大学生存学研究センター) 「立命館大学生存学研究センターによるアーカイヴィング」 ○香室結美(水俣市立水俣病資料館) 「「2016年度第1回環境・市民活動アーカイブズ資料整理研究会」参加記」 ○資料紹介 ○藤田理雄(法政大学大原社会問題研究所) 「高木仁三郎について:科学、社会、そして自然」 ○2016年活動報告/利用案内 |
(2018年3月1日発行) |
○生川貴司(四日市公害と環境未来館) 「四日市公害と環境未来館について」 ○平野泉(立教大学共生社会研究センター) 「「草の根の経験」を大学での学びに活かすー立教大学共生社会研究センターの試み」 ○資料紹介 ○清水善仁(法政大学大原社会問題研究所) 「公害資料館とアーカイブズ学―2017年の環境アーカイブズ活動報告に寄せて」 ○2017年活動報告/利用案内 |
(2019年3月1日発行) |
○喜多川進(山梨大学生命環境学部) 「環境政策研究者のアーカイブズ利用事始め」 ○川田恭子(法政大学大原社会問題研究所) 「薬害スモン関係資料から見る環境アーカイブズの意義と これから」 ○資料紹介 ○トピックス ○瀬尾華子(法政大学大原社会問題研究所) 「原発震災を未来へ開くために」 ○2018年活動報告/利用案内 |
(3)講演会・シンポジウム(共催事業含む)
環境アーカイブズの活動やその意義について、資料寄贈者や研究者等を招いて講演会やシンポジウムも開催している。
講演会・シンポジウム |
概要 |
第13回サス研フォーラム (2011/1/30) 「環境アーカイブズとサステイナビリティの探究」 |
○金慶南(法政大学サステイナビリティ研究教育機構) 「環境アーカイブズの可能性と歴史的意義」 ○柳田真(たんぽぽ舎) 「反原発運動たんぽぽ舎の歴史・現状と資料の考え方・悩み」 ○近藤ゆり子(徳山ダム建設中止を求める会) 「中部地方の河川の運動と裁判、その記憶と記録」 |
第23回サス研フォーラム (2011/12/16) 「現代における環境アーカイブズの社会的意義と役割」 |
○安藤正人(学習院大学大学院人文科学研究科) 「アーカイブズ学の立場からみたサス研環境アーカイブズの意義」 ○村井吉敬(早稲田大学アジア研究機構) 「専門研究者の立場からサス研環境アーカイブズに期待する機能・役割」 ○パネルディスカッション(安藤正人・村井吉敬・川俣修壽・佐久間淳子・舩橋晴俊・金慶南・鈴木玲) |
法政大学大原社会問題研究所・環境アーカイブズ統合記念シンポジウム (2013/11/28) 「市民活動記録管理の現状と歴史的課題―日本と韓国の事例を中心に」 |
○杉山弘(市民活動資料・情報センターをつくる会) 「東京都立多摩社会教育会館旧市民活動サービス・コーナー資料の移管経緯と「市民活動資料・情報センターをつくる会」の活動」 ○花田昌宣(熊本学園大学水俣学研究センター) 「水俣学関連資料管理・活用の現状と課題」 ○チョ・ヒヨン(聖公会大学民主資料館・同社会学部) 「韓国の民主化運動資料の収集・管理体制構築の歩み―聖公会大学の民主資料館を中心に」 ○コメント(高橋実・金慶南) |
(4)環境・市民活動アーカイブズ資料整理研究会
本研究会は、大原社会問題研究所の研究会・研究プロジェクトの一つとして、環境アーカイブズ担当の専任研究員が代表となっておこなってきたものである。
環境問題や市民活動にかかわるアーカイブズ資料の整理・公開をめぐる情報共有や意見交換等を目的としている。
回 |
内容 |
第1回 (2012/7/20) |
○江頭晃子(市民活動の収集・保存・提供と資料センターの会) 「市民活動資料の収集・保存・提供と資料センターの会」 |
第2回 (2012/09/28) |
○平野泉(立教大学共生社会研究センター) 「「市民×活動+資料=?」―私たちの知恵と経験の「コモンズ」を創ろう―」 |
第3回 (2012/10/24) |
○平川千宏(市民活動資料・情報センターをつくる会) 「市民活動資料を所蔵する機関・団体について」 |
第4回 (2012/11/30) |
○五味正彦(有機本業・元模索舎) 「1960~70年代のミニコミ刊行をめぐる市民運動と人々の記」 |
第5回 (2013/6/7) |
○林美帆(あおぞら財団) 「大気汚染公害裁判資料の整理と活用~西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の取り組み~」 |
第6回 (2013/9/18) |
○栗原敦(京都・島根ジフテリア予防接種禍事件研究会・MMR(新3種混合ワクチン)被害児を救済する会) 「強制予防接種の薬害―行政資料等の現況と課題―」 ○橋本陽(大原社会問題研究所) 「「サリドマイド関連資料」の「分類」について」 |
第7回 (2014/1/24) |
○金慶南(法政大学大原社会問題研究所) 「「旧市民活動サービスコーナー」資料群の概要と今後の課題」 ○大町麻衣(法政大学大原社会問題研究所) 「ミニコミ資料類の整理事務」 ○北川洋子(法政大学大原社会問題研究所)「書籍類の整理実務」 ○金慶南・齋藤柳子(学習院大学大学院) 「レコード記録管理の現状と課題―薬害資料を中心に」 |
第8回 (2014/8/26) |
○平川千宏(市民活動資料・情報センターをつくる会)○齋藤柳子「アートプロジェクトにおける記録管理のしくみ」 ○石原一則(日本アーカイブズ学会) 「神奈川県におけるハンセン病資料の整理と公開」 |
第9回 (2015/1/29) |
○栗原敦「薬害関連公文書の情報公開について」 ○花井十伍(薬害被害者団体連絡会) 「薬害被害者団体の資料館づくり活動について」 |
第10回 (2016/7/30) |
○清水善仁(法政大学大原社会問題研究所) 「研究会の進め方について」 ○蜂谷紀之(国立水俣病総合研究センター) 「水俣病情報センターの資料整備と活用への取組―公文書管理法の指定施設としての責務と運用の立場から」 |
第11回 (2017/7/1) |
○小田康徳(西淀川・公害と環境資料館) 「公害資料館の意義と課題―歴史学の視点から―」 ○清水万由子(龍谷大学政策学部) 「公害経験の継承と公害地域の再生:公害資料館の役割」 ○林美帆「公害資料館とSDGs:ネットワーク化と協働」 |
第12回 (2017/10/21) |
○香室結美(水俣市立水俣病資料館) 「公害資料の整理」 |
第13回 (2018/10/6) |
○川田恭子(法政大学大原社会問題研究所) 「薬害スモン関係資料の概要」 |
■沿革
環境アーカイブズは、文部科学省の大型助成金「教育研究高度化のための支援体制整備事業」の獲得により、2009年8月に法政大学の全学組織として設立された「法政大学サステイナビリティ研究教育機構」(以下、サス研)の一部門として発足した。当初、環境アーカイブズの主たる活動は環境問題にかかわる資料の収集と整理であったが、2011年12月からは資料公開室を整備して、整理が完了した資料の学生・研究者等への一般公開も始められた。同時に、2011年3月11日の東日本大震災発災以降は、サス研において進められた『原子力総合年表』編集作業への情報提供や、岩手県陸前高田市議会公文書のレスキュー活動に取り組んだ。 2013年3月、前述の文部科学省による助成期間の終了にともないサス研は閉鎖され、環境アーカイブズは法政大学の附置研究所である大原社会問題研究所に統合された。その際、収蔵スペース等の関係から新規の資料は収集しないこととなり、サス研時代に収集された約850箱の整理・公開の作業が進められ、現在に至っている。 |
◇アーカイブズに関する文献
【文献】 (『法政大学サステイナビリティ研究教育機構Newsletter』第2号、2012年) ○金慶南「東日本大震災における「震災・原発」の記録化事例研究―法政大学「環境アーカイブズ」の活動を中心に」(『アーカイブズ学研究』第17号、2012年) ○金慶南「歴史の記憶・記録をどう守るのか―公文書レスキュー」(長谷部俊治・舩橋晴俊編著『持続可能性の危機―地震・津波・原発事故災害に向き合って』御茶の水書房、2012年) ○清水善仁「日本のアーカイブズ界における「環境アーカイブズ」の位置」 ○清水善仁「法政大学における「環境アーカイブズ」の取り組み」 (日本大学企画広報部広報課『大学史論輯 黌誌』第12号、2017年) ○清水善仁「環境アーカイブズ10年の記録」(『記録と史料』第29号、2019年)
【『大原社会問題研究所雑誌』掲載の環境アーカイブズ関連特集】 ○第673号(2014年11月)「シンポジウム:市民活動記録管理の現状と歴史的課題―日本と韓国の事例を中心に」 |