3 全労連
■3 全労連
全労連(全国労働組合連絡協議会)は、2・1スト後の1947年3月10日、産別会議や総同盟の加盟を得て、単一のナショナルセンターへの第一歩として結成された。組織人員は420万人。
全労連は、行動決定に全会一致制を採った結果、1948年10月18日における国家公務員法の改悪反対で全国労働者大会を主催したことを除いて、統一行動は展開されなかった。全労連の運動は『暫定業種別平均賃金のはなし』(3310)や『新労働法の問題点とその対策』(3312)など、半ば調査・教宣活動に傾きがちであった。
全労連で評価されるのは、むしろ世界労連との連帯活動であり情報の収集・紹介であった。世界労連との連帯は、同年3月17日、ルイ・サイヤン書記長を代表とする世界労連日本視察団の来日を機に(3201、3202)、「世界労連参加促進委員会」が設置されたことで始まった。なお、全労連は1949年1月31日、世界労連へ正式に加盟している。『日本の同志諸君にあたう』(3301)は、47年4月5日、全労連主催による歓迎会の席上、ルイ・サイヤンらが講演したその要旨をまとめたものである。
全労連は、世界労連の組織や活動、さらに第二次世界大戦後における世界労働運動の動向について『W・F・T・Uシリーズ』『世界労働情報』『やさしい世界労働情勢解説シリーズ』(3307~3309)などを発行し、精力的にその紹介に努めた。このうち国際部が発行した『やさしい世界労働情勢解説』シリーズは、世界労働情勢研究会における報告速記を組合員向けに平易に編集・解説したものである。
これらのシリーズでは『世界労働情報』が好評だったようで、第1集(3303)は、1945年10月に世界労連が結成されて最初の理事会議事録や日本視察団の報告書が収録されていたため版を重ねている。第2集(3304)と第4集(3306)はフランス労働運動の特集で、前者にあっては1947年4月のルノー自動車労組などのストを、後者にあっては1948年10月の炭鉱労働者全国連盟のストについて紹介している。また、鶴見和子執筆の第3集(3305)は、ヘンリー・ウォレスらニュー・ディラーのアメリカにおける第三党運動についてまとめたもので、日本で最初の第三党運動に関する研究といわれる。(吉田健二)