6 労働省・厚生省
■6 労働省・厚生省
1947年6月、社会党初の首班内閣として成立した片山哲内閣は、同年9月に 主管の労働行政機関として労働省を設置した。当時、労働行政の重要課題の一 つは、労働組合の組織・運営と活動に対する保護育成にあった。労働省は、組 合の組織モデルとしてアメリカやカナダなどの事例を紹介する一方(3601、3608、 3609)、労働組合法に準拠する組合規約の作成指導を行なっている(3606)。
これらの取り組みがいかにきめ細かいものであったかは、『組合員への手紙』 (3604)、『会合の開き方』(3613)など労働教育課が発行した『労働パンフレッ ト』のシリーズや、『労働組合のはなし 労使の関係』(3615)などにうかがわれる。
ほかに労働省は、内外の労働行政や労働組合の活動を紹介する『内外労働シ リーズ』(3607)なども発行しているが、特筆されるのは『労働組合と婦人』(3602)、 『労働基準法と女子・年少者』(3603)など、婦人少年局が発行したパンフレッ トであろう。この婦人少年局のパンフレットは、産別会議の資料群では3冊し か確認されていない。だが、もう1冊の『組合総会モデル』(3612)が第8集で あることから、さらに発行されていることが想定され、欠号の確認とともに現 在調査中である。
『生産管理に関する訴訟事件調 第1集』(3616)は、パンフレットというよ り調査報告書といってよいかもしれない。戦後初期、労働争議の主要な形態は 生産管理ないし業務管理をともなったもので、労使は激しく対立した。この資 料は生産管理闘争の件数、訴訟事件の主要事例、府県別統計表なども収められ ていて、文献としても貴重であろう。
厚生省関係では、『国民健康保険のあらまし』(3617)、『診療報酬の手引き』 (3618)などそう多くはない。1938(昭和13)年4月から始まった国民健康保 険制度は戦後、国民皆保険として拡充され、適用・診療報酬・国庫負担率につ いても変更された。パンフレットはこれを平易に解説したものである。厚生省 は、『国民健康保険関係例規集』(3619)などを自治体に配布してその周知徹底 をはかっている。(吉田健二)