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5 日本経済復興協会

■5 日本経済復興協会

 日本経済復興協会とは、1946年5月、内外の経済政策や政治・労働問題を調査研究し、その結果を広く公表して日本経済の復興に寄与することを目的に設立された民間団体である(3530)。設立時の会長は十河信二、専務理事は木内信胤、常務理事は武村忠雄、理事は牛場友彦、松方三郎、宮崎正義、松本重治(のち法律顧問)ら8名、評議員に栗栖赳夫、工藤昭四郎、渋澤敬三、大塚万丈ら33名が就任した。産別会議は協会の団体会員であった。協会関係のパンフレットが多いのはこのためである。
 経済復興協会は、片山哲内閣下の1947年10月以降、対外接触を含めて本格的に活動を展開した(3558)。協会はその役員名で見ると、経済復興会議(議長・鈴木茂三郎)と兼ねている例が多い。また1948年以降、有沢広巳を会長とする経済再建研究会との関係もあるようだが、組織・活動の実態はわからない。研究がなされた例もない。
 経済復興協会におけるメインの事業は、調査・研究とこれにもとづく出版・広報事業であり、出版物については『情報集』『研究録』『参考資料』『着想と意見』『速報』などのパンフレットが発行されている。
 『情報集』(3501~3524)は焦点となった時事問題に関する解釈と「大局的見透し」(3502)を示し、『研究録』(3525~3555)は調査研究の成果を紹介し、あわせて政府や経済界に対して当該の問題に対する総合的な政策提言をなすことにあった。最近、中北浩爾・吉田健二編『片山・芦田内閣期経済復興運動資料』(全10巻、日本経済評論社、2000年)が出版され、この時期の民間における経済復興運動の全容が明らかになった。『研究録』ではインフレ対策(3527)、物価体系(3529)、外資導入(3530)、貿易政策(3549)などについてリベラル左派の立場からの政策構想が示されていて注目される。
 『参考資料』(3556~3567)は主に対日関係の論文を紹介する学術パンフで、『着想と意見』(3567~3572)は会員の政策的な意見表明を行なう場として発行されていた。『速報』(3573~3576)は、『情報集』と同じ性格の、経済関係の最新のニュースを紹介したものである。
 このうち、『参考資料』の第1号がクレーマー(GHQ初代経済科学部長)が寄稿した『フォーチューン』誌からの翻訳論文(「日本に競争力を与えよ」)であり、第4号(3558)のG・F・ケナン(国務省政策企画部長)「アメリカはソ連をどう見る?」が『フォーレン・アフェヤーズ』誌からの翻訳であるように、多くがアメリカの有力紙・誌からの翻訳で、しかも知日派の政策関係者の論文が目立って多い。(吉田健二)

画像 番号 誌名 編集・発行者 発行年月日
3501 情報集第1号 為替問題のなりゆき 社団法人日本経済復興協会 1947.10.10?
3502 情報集第4号 十一月末情報一束 最近の情報による情況判断 社団法人日本経済復興協会 1947.11.23?
3503 情報集第7号 一月末情報一束 社団法人日本経済復興協会 1948.1.31?
3504 情報集第8号 情報一束(二月) 情報の解釈と情況の判断 社団法人日本経済復興協会 1948.2.27?
3505 情報集第9号 昭和二十三年度の経済はどうなる? 一般経済情勢の見透し(その二) 社団法人日本経済復興協会 1948.3.25?
3506 情報集第10号 情報一束(三月) 情報の解釈と情況の判断 社団法人日本経済復興協会 1948.3.24?
3507 情報集第11号 情報一束(四月) 情報の解釈と情況の判断 社団法人日本経済復興協会 1948.4.25?
3508 情報集第12号 「冷たい戦争」の足どり 社団法人日本経済復興協会 1948.5.14?
3509 情報集第13号 情報一束(五月) 情報の解釈と情況の判断 社団法人日本経済復興協会 1948.5.24?
3510 情報集第16号 米・ソ関係の見透し 社団法人日本経済復興協会 1948.8.31?
3511 情報集第17号 昭和二十四年の経済はどうなる?一般経済情勢の見透し(その三) 社団法人日本経済復興協会 1948.11.25?
3512 情報集第18号 経済九原則について 社団法人日本経済復興協会 1948.12.24?
3513 情報集第19号 いわゆる円高の意味するもの 社団法人日本経済復興協会 1949.1.20?
3514 情報集第20号 本格安定か擬制安定か 本年度経済の中心問題 社団法人日本経済復興協会 1949.2.3?
3515 情報集第21号 国際情勢概観 社団法人日本経済復興協会 1949.2.10?
3516 情報集第22号 日本の戦略価値はどう? 社団法人日本経済復興協会 1949.2.28?
3517 情報集第23号 北大西洋条約と日本 社団法人日本経済復興協会 1949.4.4?
3518 情報集第24号 二十四年度の経済はどうなる?一般経済情勢の見透し(その4) 社団法人日本経済復興協会 1949.5.1?
3519 情報集第26号 パリ外相会議の意味するもの 社団法人日本経済復興協会 1949.6.29?
3520 情報集第31号 対日講和問題の背景 社団法人日本経済復興協会 1949.11.20?
3521 情報集第32号 経済問題の展望(十二月分) 社団法人日本経済復興協会 1949.12.12?
3522 情報集第35号 アジア経済援助の問題 「エコノミスト」誌の主張 社団法人日本経済復興協会 1950.2.13?
3523 情報集第37号 米ソ関係の新段階 社団法人日本経済復興協会 1950.3.17?
3524 情報集第42号 経済問題の展望(五月分) 社団法人日本経済復興協会 1950.5.15?
3525 研究録第1号 経済緊急対策批判 社団法人日本経済復興協会 1947.10.11?
3526 研究録第2号 援助ギャップ対策 社団法人日本経済復興協会 1947.11.25?
3527 研究録第5号 インフレ問題の帰趨 社団法人日本経済復興協会 1948.2.10?
3528 研究録第6号 物価体系再建論(その2) 物価体系思想の吟味 社団法人日本経済復興協会 1948.2.25?
3529 研究録第7号 物価体系再建論(その3) 具体案の提示 社団法人日本経済復興協会 1948.3.15?
3530 研究録第8号 外資導入問題の概観 問題の性質と所在 社団法人日本経済復興協会 1948.3.21?
3531 研究録第11号 中間安定と安定恐慌の見透し 社団法人日本経済復興協会 1948.6.20?
3532 研究録第13号 経済復興長期計画はいかにたてるべきか 日本経済復興協会 1948.5.7?
3533 研究録第12号 新予算をどう見る? 社団法人日本経済復興協会
3534 研究録第13号 何を合理化と云うべきか 社団法人日本経済復興協会 1948.7.27?
3535 研究録第14号 インフレは終息する 社団法人日本経済復興協会 1948.8.31?
3536 研究録第15号 一本為替の提案 社団法人日本経済復興協会 1948.9.28?
3537 研究録第16号 税の研究(その1) 数字とイデオロギー 社団法人日本経済復興協会 1948.12.18?
3538 研究録第17号 これからのものの見方 転換期に際しての総括的反省 社団法人日本経済復興協会 1949.1.4?
3539 研究録第18号 税の研究(その2) 所得税をどう改良するか 社団法人日本経済復興協会 1949.1.13?
3540 研究録第19号 税の研究(その3) 全体をどう改良するか 社団法人日本経済復興協会
3541 研究録第20号 ドッジ声明と日本経済の前途 安定恐慌はくるか 社団法人日本経済復興協会 1949.3.9?
3542 研究録第21号 資産再評価問題の焦点 社団法人日本経済復興協会 1949.3.20?
3543 研究録第24号 360円の意味するもの 社団法人日本経済復興協会 1949.5.10?
3544 研究録第25号 公式論的集中生産の排撃 社団法人日本経済復興協会
3545 研究録第29号 新しい中国をどう見る?(その二) 新民主主義経済政策 対中共貿易の意義とその見透し 社団法人日本経済復興協会
3546 研究録第30号 日本の資本主義の前途はどうなるか 社団法人日本経済復興協会 1949.8.1?
3547 研究録第31号 太平洋同盟の胎動と日本 社団法人日本経済復興協会 1949.8.7?
3548 研究録第36号 経済問題の展望(二月分) 社団法人日本経済復興協会
3549 研究録第39号 貿易政策の方向 社団法人日本経済復興協会 1949.12.8?
3550 研究録第42号 アメリカの援助打切り後日本経済はどうなる? 社団法人日本経済復興協会 1950.5.21?
3551 研究録第42号 中共貿易に対する期待と其実現性 日本経済復興協会 1947.2.7
3552 研究録第43号 景気はいつ、どう好転するか なし崩し安定恐慌からダラダラ景気好転へ 社団法人日本経済復興協会 1950.2.14?
3553 研究録第44号 米ソ両陣営の東亜政策と鍵点日本 社団法人日本経済復興協会 1950.3.13?
3554 研究録第49号 二十五年度経済情勢の再検討 政策転換論(その3) 社団法人日本経済復興協会 1950.5.20?
3555 研究録第52号 池田土産は経済界にどう影響するか 社団法人日本経済復興協会 1950.6.1?
3556 参考資料第1号 日本に競争能力を与えよ 社団法人日本経済復興協会
3557 参考資料第2号 アメリカの小売物価 社団法人日本経済復興協会 1947.10.2?
3558 参考資料第4号 アメリカはソ連をどう見る? フォーレン・アフエヤーズ誌に掲載されたX氏の論文 社団法人日本経済復興協会 1947.11.5?
3559 参考資料第5号 マーシャル・プランは世界を救うか 社団法人日本経済復興協会 1948.2.1?
3560 参考資料第6号 アメリカ人はマルクスをどう見る? 社団法人日本経済復興協会 1948.4.20?
3561 参考資料第7号 C・E・Dの組織と思想 社団法人日本経済復興協会 1948.6.15?
3562 参考資料第10号 中国の危機はアメリカの危機 社団法人日本経済復興協会 1948.12.3?
3563 参考資料第11号 二十三年度国民所得の推計について 社団法人日本経済復興協会 1949.1.24?
3564 参考資料第14号 ローガン構想のねらい 社団法人日本経済復興協会 1949.11.24?
3565 参考資料第16号 産業危機の焦点 社団法人日本経済復興協会 1950.2.17?
3566 参考資料第17号 公団滞貨処分は業界にいかに影響するか 社団法人日本経済復興協会 1950.3.10?
3567 着想と意見第2号 企業行き詰まりの実例と解決 社団法人日本経済復興協会
3568 着想と意見第3号 金利解放論 社団法人日本経済復興協会 1948.4.10?
3569 着想と意見第4号 株価の前途 理論と政策とを中心に 社団法人日本経済復興協会
3570 着想と意見第5号 為替上の調整と補給金の問題 為替措置決定のための参考に 社団法人日本経済復興協会
3571 着想と意見第6号 円高か円安か それを決める論拠の解明 社団法人日本経済復興協会
3572 着想と意見第7号 円高か円安か(その二) それを決める論拠の解明 社団法人日本経済復興協会 1949.2.25?
3573 速報8号(九月四日) 中国の通貨改革・ポンド地域との貿易協定 日本経済復興協会
3574 速報16号十月三十日 米の対日新政策と日本経済の将来 日本経済復興協会
3575 速報17号十一月六日 トルーマン氏の勝利と対華政策・電産新給与案について 日本経済復興協会
3576 速報20号十二月十一日 ペンディング下の諸情報 フランスに注目せよ 日本経済復興協会
3577 特集 第3号 給与問題の帰趨(月例講演要旨) 社団法人日本経済復興協会 1948.12.1?

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