1 産別会議
■1 産別会議
産別会議は1948年2月、組合員の教育・啓蒙を目的として、毎週定期的に学者や専門家を招いて「土曜講演会」を開催することを決めた。この「土曜講演会」は2月28日、電産関東地方本部の講堂で開かれたのを最初に同年中、実施された。「産別シリーズ」(3101~3107)は、この「土曜講演会」の講演速記を起こしたものである。
このうち森長英三郎著『生産管理の合法性』(3102)は、労働争議の一形態として取り組まれた生産管理闘争について、旧労組法第1条2項の理念から合法と認めてこれを平易に説明したもので、法律部編『生産管理の合法性と戦術』(3114)もこの視点でまとめられている。
総同盟との対比で、産別会議における特徴の一つは映画、演劇、音楽の鑑賞や文学・美術制作など文化運動を重視したことにある。中野重治『労働者階級とあたらしい文化』(3107)は労働組合における文化活動の意義を解説したもので、文献としても注目される。『ソ連労働組合の文化活動』(3113)、『労働学校の開き方』(3119)、『職場作家脚本集』(3121)、『やさしい文章を書くために』(3124)も文化運動を促す一環として発行された。
『漫画パンフレット』(3108~09)は、産別会議の組織と運動を漫画で紹介したものである。なお、第2集『われらの生産復興』は発見されていない。各組合は当時、これらの漫画を大きく色彩で描き直してプラカード、壁新聞、移動展などに利用した。『産別リーフレット』(3109~3112)は、B5サイズを三つ折りにしたもので、各組合は教宣活動の一環として購入のうえ組合員全員に配布していた。
『労働組合と選挙』(3115)は産別会議が第23回総選挙(1947年4月)向けに、組合における政治活動の範囲と限度についてまとめたもので、『アメリカ労働組合の政治活動』(3116)も、GHQ労働課のデヴェラルがアメリカの事例を紹介したものである。
産別会議は、大会や重要集会における決定・決議事項については、パンフレットや小冊子を発行して周知徹底をはかった(3118、3120、3126)。また1946年8月の結成以来、機関紙やリーフレットなどで綱領、規約を紹介している(3122、3125)。なお、『全日本産業別労働組合会議綱領・規約並に加盟単一組合』(3122)には、幹事や執行委員の一覧、さらに加盟単産の組織現勢も紹介されていて資料的にも重要であろう。(吉田健二)