全逓名古屋中郵事件判決[政]1977.5.4
全逓名古屋中郵事件判決[政]1977.5.4
これは,1966年に出された全逓東京中郵事件と争議場所以外は全く同一事件で,’58春闘の際に争議を指導した全逓幹部4人の郵便法79条の郵便物不取扱罪等に問われたものである.全農林警職法判決以降,最高裁の逆転判決が続く中で,その帰すうが注目された.争点は,公労法17条のスト禁止規定と刑事罰を科すことの憲法判断であるが,大法廷はいずれも全面合憲の厳しい姿勢を示し,’66年10月26日の合憲的限定解釈をとる東京中郵判決を正式に判例変更し,同一事件でありながら全く逆の結論を導き出した.全農林判決に比べて,公労法適用の問題のため合憲判断の根拠を〈財政民主主義〉に求めていることが注目されるが,官公労の争議禁止規定を合憲とする判決の集大成と位置づけられる.〔参〕労働法律旬報930号.⇒1966[政]10.26.
大原クロニカは、法政大学大原社会問題研究所編『新版社会・労働運動大年表』(労働旬報社、1995年)に基づいたウェブ歴史事典です。日本の社会運動・労働運動を中心に解説しています。