大川委員会報告（日経調）［経］１９７０．１２．１５

   わが国では，１９６０年代から賃金抑制を中心とするいわゆる〈所得政策〉が論議されてきた．日本経済調査協議会の依頼により大川一司ら学者グループがまとめた〈経済成長と物価・賃金に関する基本的分析〉と題する報告は，この論議につらなるもの．この〈報告〉は，依頼した財界の思惑とは異なり，日本の場合には，実質生産性上昇率以内に賃金上昇率を抑えるという〈所得政策〉は物価対策にならないと結論するものであった．こうした内容のため，日経調は１２月１６日，報告の棚上げを決定した．〔参〕読売新聞経済部編《所得政策の登場》１９７４．

大原クロニカは、法政大学大原社会問題研究所編『新版社会・労働運動大年表』（労働旬報社、1995年）に基づいたウェブ歴史事典です。日本の社会運動・労働運動を中心に解説しています。