三友炭鉱事件判決[政]1956.12.12
三友炭鉱事件判決[政]1956.12.12
組合の婦人部長が,争議脱落者の運転するガソリン車の前に立ちふさがり,〈ここを通るなら自分たちをひき殺して通れ〉と怒号して石炭の運び出しを断念させ,威力業務妨害罪に問われていたが,最高裁第三小法廷は,違法な威力の行使にあたらないとして無罪を言い渡した.マスピケによる就労や出荷阻止の正当性については判例上も厳しい対立が続き,労働省はピケ通達(〈労働関係における不法な実力の行使の防止について〉1954年11月6日)を出して,平和的説得の範囲を越えるピケは違法であると警告していた.しかし,最高裁第三小法廷は原審の無罪判決を支持するにあたり,〈諸般の情況を考慮〉すべきだと述べて権力の介入に歯止めをかけ,その後の判例に大きな影響を与えた.〔参〕労働法律旬報別冊259号.
大原クロニカは、法政大学大原社会問題研究所編『新版社会・労働運動大年表』(労働旬報社、1995年)に基づいたウェブ歴史事典です。日本の社会運動・労働運動を中心に解説しています。