人民戦線事件[政]1937.12.15
人民戦線事件[政]1937.12.15
反戦・反ファシズムのために展開されようとしていた人民戦線運動を弾圧し,思想統制を強化することを目的にして,1937年12月15日,政府は18府県下で加藤勘十・黒田寿男両代議士をはじめ山川均・荒畑寒村・鈴木茂三郎ら労農派の理論家および合法左翼の活動家446人を検挙し,22日に全評ならびにその政治組織である日本無産党を結社禁止とした(第1次人民戦線事件).さらに翌’38年2月1日には9府県で大内兵衛・有沢広巳・脇村義太郎などの大学教授を中心に38人を検挙した(第2次人民戦線事件).官憲側は,労農派理論家・合法左翼活動家・教授グループがいずれも国体変革・私有財産制度の廃止を目的としているとして治安維持法違反で起訴した.この弾圧により,合法的な反戦・反ファシズムの勢力は壊滅を余儀なくされた.〔参〕小田中聰樹〈人民戦線事件〉我妻栄ほか編《日本政治裁判史録・昭和・後》1970.⇒1927[社]10.-,1934[労]11.18,1937[社]3.18.
大原クロニカは、法政大学大原社会問題研究所編『新版社会・労働運動大年表』(労働旬報社、1995年)に基づいたウェブ歴史事典です。日本の社会運動・労働運動を中心に解説しています。