霧社事件［国］１９３０．１０．２７

   台湾の台中州霧社（現，南投県仁愛郷）で起きた高山族（高砂族）の抗日蜂起事件．農繁期を無視した強制労働，賃金支払いの遅延，日常的な差別待遇や婦女への非行などを原因とし，マヘボ社頭目のモーナルダオの指導の下，３００人余が日本人官民を襲撃，１３４人が殺害された．台湾総督府は事件の波及を恐れ，飛行機や催涙ガスなどの近代兵器を使用して大規模な弾圧を加え，１１月１９日に鎮圧した．この間モーナルダオは自殺，２００余人の抗議の集団自決を含めて住民約１千人が死亡，生き残ったのは婦女子２３０人にすぎなかった．事件が国内政局に与えた衝撃も大きく，翌１９３１年１月台湾総督以下の関係官吏が罷免された．〔参〕中川浩一・和歌森民男編著《霧社事件》１９８０．

大原クロニカは、法政大学大原社会問題研究所編『新版社会・労働運動大年表』（労働旬報社、1995年）に基づいたウェブ歴史事典です。日本の社会運動・労働運動を中心に解説しています。