工場法施行[政]1916.9.1
工場法施行[政]1916.9.1
1911年成立の工場法は,施行期日を勅令にゆずって法文に明記せず,施行準備のための予算措置も数年間とられなかった.こうして施行は遅らされたが,’16年1月にようやく大隈内閣が6月施行の勅令を公布した.ところが,施行令案が枢密院の反対にあって施行は9月に延期され,施行令の内容も,就業時間の例外的延長を許される工場範囲の拡張など,多くの点で修正を受けた.この背景には,零細企業が多かった織物業界の反対があったという.9月以降の法の施行状況をみると,法規違反は,大企業では稀で,中以下の企業(とくに織物業と製糸業)に多かった.工場法は多くの点で不十分さをもちながらも,繊維工業における15歳未満女工の比率の急減(’16年19.5%→’18年8.3%)が示すように,その成果には無視しえぬものがあった.〔参〕隅谷三喜男〈工場法と労使関係〉(《日本労使関係史論》1977).⇒1911[政]3.29.
大原クロニカは、法政大学大原社会問題研究所編『新版社会・労働運動大年表』(労働旬報社、1995年)に基づいたウェブ歴史事典です。日本の社会運動・労働運動を中心に解説しています。