大戦景気[経]1915
大戦景気[経]1915
第1次世界大戦の開始は,国際貿易・国際金融の混乱によって,一時的に日本経済を深刻な景気後退と動揺に陥らせた.しかし,1915年に入って軍需品の輸出や対米生糸輸出の好転と,欧州品の輸入途絶から未曾有のブームが出現した.とくに’15年末から繊維品,1年遅れて穀物の価格が急上昇して〈大戦景気〉は本格化し,産業構造の高度化が進み,就業構造にも大きな変化がもたらされた.すなわち,(1)労働者数の増加,とくに機械・金属など重工業と鉱業での労働者数の伸びはめざましかった.大戦下,17年から労働争議が急増するが,その中心は,重工鉱業の男子労働者であった.(2)労働力不足から労働市場は売手市場化し,労働側に有利になったこと,これは,大戦下に労働争議が急増する背景であった.〈大戦景気〉は,’20年恐慌までつづいた.〔参〕《岩波講座日本歴史》18巻,1976.⇒1920[経]3.15.
大原クロニカは、法政大学大原社会問題研究所編『新版社会・労働運動大年表』(労働旬報社、1995年)に基づいたウェブ歴史事典です。日本の社会運動・労働運動を中心に解説しています。