〈高島炭礦の惨状〉[文]1888.6.18
〈高島炭礦の惨状〉[文]1888.6.18
この日発行の政教社の雑誌〈日本人〉は,松岡好一〈高島炭礦の惨状〉を掲載した.その中で松岡は,彼が高島炭礦を訪れ,見聞した坑夫の労働実態を報告し,三菱と納屋制度による坑夫の酷使を激しく非難した.高島炭礦の惨状はすでに玄洋社の《福陵新報》などでも問題になっていたが,この問題提起は,大きく取り上げられた.さらに8月3日発行の同誌には吉本襄〈天下の人士に訴ふ〉などが掲載される一方,三菱寄りの犬養毅の報告(朝野新聞)や警保局長清浦奎吾の現地視察も行われ,高島炭礦の労働実態は大きな社会問題となった.〔参〕田中直樹《近代日本炭鉱労働史研究》1985.
大原クロニカは、法政大学大原社会問題研究所編『新版社会・労働運動大年表』(労働旬報社、1995年)に基づいたウェブ歴史事典です。日本の社会運動・労働運動を中心に解説しています。