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働く女性のまなざし

働く女性たちよ、立ち上がれ―労働運動の興隆と「女子労働者」への期待―

 

【タイトル】全繊第5回年次大会
【Title】The Fifth Annual Convention, Uji-Yamada. National Federation of Textile Industry Workers Unions
【人名・団体名】全国繊維産業労働組合同盟/全繊同盟
【Organizations/Names】National Federation of Textile Industry Workers Unions
【作成日】1950.06.27-29
【資料の大きさ】37cmx54cm
【請求記号】PB0152

 

 

 若い⼥性が⾼く右⼿を掲げるこのポスターは、⼤⼿紡績企業で働く労働者を中⼼に1946 年7 ⽉に組織された全繊同盟のもの。働く⼥性の歴史は、繊維産業の⼯場で働く⼥性を描いた「⼥⼯哀史」の世界として知られるが、敗戦後も⾼まる⾐料需要にこたえるべく繊維産業の復興が急がれ、義務教育を終えた⼥性たちが再び⼤量に⼯場労働に従事した。⾐料品配給規則・⾐料切符規則が10 年ぶりに廃⽌されたのは1951 年のことであり、供給不⾜が続いていたのである。この第5回の⼤会では、執⾏部が提案した総評加盟⽅針が時期尚早で保留となった。1954 年には、「⼈権争議」とも呼ばれた近江絹⽷争議で注⽬され、記録映画「⽴ち上がる⼥⼦労働者」も製作された。敗戦後の「⼥⼦労働者」に期待されたのは「農村⽣活の封建制の打破」であり、進歩してゆく社会に適応する知識と能⼒を⾝につけ、男⼦と対等の地位をえることであった。男⼥平等の実現は⼥性の努⼒にゆだねられ、⼀部の⼥性がそれに挑んだが、家事も労働もこなす必要に迫られた多くの⼥性たちは、男⼦と対等に働くよりも「結婚退職」して「主婦」になることを選び、できればサラリーマンの妻になりたいと切望するようになったと⾔えよう。

 

(解説:榎⼀江)

更新日:2025年06月03日

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