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VI 戦後の原資料 1.社会・労働運動関係原資料

(3) 社会運動関係資料

 1946年1月10日,山川均は『民衆新聞』を通じて「人民戦線の即時結成」を提唱した。これを機に占領初期の民主人民戦線運動は,野坂参三の亡命からの帰国と相俟って大きく高まった。同年4月,その中央機関として民主人民連盟が結成され,幣原内閣打倒運動や憲法制定運動が展開されている。研究所には,この民主人民連盟に関する資料が収蔵されている。民主人民連盟の資料は,向坂文庫の原資料,足立克明氏寄贈資料,山川振作氏旧蔵の山川均関係資料のコピーからなっている。一つのファイルに収まって量的にはそう多くはないが,民主人民連盟の研究には不可欠な資料であろう。

 このあと戦後の統一戦線運動は,1948年2月に日本共産党が民主民族戦線を提唱し,同年8月にその推進母体として民主主義擁護同盟(民擁同)が結成された。研究所には,この民擁同に関する資料もある。同資料は,平野義太郎氏寄贈の資料も若干含んでいるが,ほとんどは民擁同の中心をになった産別会議の本部所蔵のものである。このほか,平和擁護日本大会資料,全面講和愛国運動協議会(全愛協),日本平和推進国民会議(平和会議),言論弾圧反対同盟などの資料も所蔵している。いずれも,整理されていない。全愛協と平和会議については,整理・分類が始まったばかりで,できるだけ早く資料目録を作成し,閲覧に供するようにしたい。

 平和運動関係の原資料は,比較的多く所蔵している。まず占領期のものとしては,平和を守る会,平和擁護日本委員会の資料が中心であり,それ以後のものとしてはアジア太平洋地域日本平和連絡会や,内灘・砂川・北富士などの軍事基地反対闘争,原水協,第5福竜丸事件関係の資料が主なものである。このうち,田沼肇氏から寄贈された原水協関係資料は,1955年8月の第1回世界大会から1983年までの時期について年次別にファイル化されており,それらのファイルには日本平和委員会,3・1ビキニデー,国民平和行進,平和軍縮教育フォーラム,第5福竜丸平和協会関係資料などが含まれている。

 研究所には,1958年から始まる警職法反対闘争や,1960年にピークを迎える安保反対闘争の資料もある。後者については,「安保改定反対闘争」のタイトルで4ファイルあり,これとは別に「60年安保闘争6・15事件国家賠償請求訴訟資料」a~kがある。詳しくは,「戦後裁判記録・救援運動関係資料」の項を参照していただきたい。また,安保反対国民会議,安保破棄中央実行委員会資料,及び1961年の政暴法反対闘争資料も所蔵している。

 婦人運動関係資料としては,「婦人・子ども」のタイトルで10ファイルほどある。1952年から67年までの時期を対象としており,日本子どもを守る会,婦人団体文化の会,世界婦人大会代表報告会準備会,日本平和婦人協会,母親大会準備会,労働省婦人少年局などの資料が収集されている。これとは別分類で,1973年以降のものも含むが,「日本子どもを守る会」のファイルもある。さらに,民主婦人協議会のファイルも別個に配架されており,これらのファイルには機関紙『婦人せんせん』,国際婦人デー関係資料,民婦協リーフレット『国際婦人デー』なども一緒に綴じ込まれている。婦人運動関係資料は,平和運動,青年・学生運動,国際友好運動と並んでその所蔵は多い。いずれも未整理である。

 救援運動に関しては,日本労農救援会と日本国民救援会に関する資料が15ファイルほどある。ファイルにはポポロ事件,青梅事件,白鳥事件,メーデー事件関係資料も含まれている。そのほとんどは両団体の本部資料であり,ファイルには労農救援会の機関紙『救援ニュース』や『救援活動情報』も混在している。なお,救援運動に関しては,産別会議本部資料のなかにも「弾圧事件・救援運動」のタイトルで所蔵されている。これらの救援運動資料は1960年代の半ばまでであり,それ以降については収められていない。

 国際友好・連帯運動に関しては,日中,日ソ,日朝親善友好運動をはじめ,ベトナム,在日少数民族など合計21ファイルが所蔵されている。時期的には1951年から67年までである。内容の一部を紹介すると,例えば中国関係ファイルでは同胞帰国促進,捕虜・遺骨送還,日中貿易などの資料が主なものである。なお,向坂文庫にも国際友好運動関係の原資料が多数含まれており,2000年に刊行予定の『向坂逸郎文庫目録・Ⅴ』を参照されたい。

 青年・学生運動に関しては4つの資料群からなっている。すなわち「青年・学生運動」(14ファイル),「全学連」(4ファイル),「中核派資料」(9ファイル),「東大紛争関係資料」(6ファイル)である。このうち「青年・学生運動」関係資料は,1952年から66年まで年次別に綴じられており,一例として1952年のファイルを紹介すると,日本学生平和会議議事録,国際学連評議会資料,日本青年団協議会などの資料が収められている。

 「中核派資料」は,マルクス主義学生同盟の中核派が1978年から82年にかけて開いた集会や大会で配ったビラ,報告書類を集めたもので,三里塚闘争資料,狭山闘争などが含まれている。また,東京大学生産技術研究所から寄贈された「東大紛争資料」は1967年以前と,それ以降69年までの時期に学生に配ったビラ,声明書,大学当局が配布した文書などを収めている。さらに,未整理ではあるが,東京教育大学の筑波移転反対闘争関連の資料が段ボール34箱分所蔵されている。

 教育・文化運動に関しては,1955年から63年の時期を対象に5ファイルある。主なものとしては日本学術会議,日本国民文化会議,日本機関紙協会,労働者教育協会,日本ユネスコ国内委員会関係のもので,これとは別に埼玉県同和教育研究集会資料(1976~78年)などもある。 このほか資料自体そう多くはないが,革新自治体をすすめる会(1981年~83年),平和を守る科学者の会,日本消費者団体連合会などの資料もある。なお,産別会議資料のh「その他」にも労働者教育関係の資料がある。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

更新日:2014年12月22日

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