法政大学大原社会問題研究所 オイサー・オルグ  OISR.ORG 総合案内

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V 戦前の原資料 1.社会・労働運動関係原資料

(6) 米騒動関係資料

 1926(大正15)年6月から1933(昭和8)年にかけて,当研究所が特別のプロジェクトチームを編成して,1918年の米騒動に関する資料を収集した成果である。片山潜のすすめにしたがってこの計画をたて,プロジェクトの責任者となったのは研究員細川嘉六であり,実際に資料収集の実務を担当したのは,越智道順,萩原久興,庵原嘉雄ら大原社研調査室の面々であった。作業は,地方新聞をふくむ新聞・雑誌の米騒動関係記事や評論,府県・郡役所,町村役場などが所蔵する公文書,裁判記録,関係者の手記などの収集にあてられた。コピー機のない時代のことで,3・15事件の被告家族など多くのボランティアが参加し,これらの記録を手書きで原稿用紙に写しとったのである。また,裁判記録の収集には布施辰治弁護士らの協力があった。

 このようにして収集された資料(250字詰め原稿用紙で6万枚,ちなみに筆耕料は250字1枚ではじめは3銭,1928年5月からは4銭である)は,なぜか細川氏が退職した後,一時研究所の管理から離れ,細川嘉六氏のもとにあった。戦後,京都大学人文研究所の井上清,渡部徹,松尾尊兊等がこれを整理され,府県別に96冊に製本すると同時に,これを基礎に『米騒動の研究』全5巻を編集された。 1963年になって,細川氏の遺志により,大原社会問題研究所に返還されたものである。今も,研究者の間で〈細川資料〉として知られているものの原本である。

 なお,筆写記録だけでなく,資料収集中に郡役所が廃止されたため,廃棄される寸前であった富山県中新川郡の郡役所旧蔵の資料を入手している。

(二村一夫)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

更新日:2014年12月22日

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