法政大学大原社会問題研究所 オイサー・オルグ  OISR.ORG 総合案内

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評者:松尾 純子

 本書は1996年3月16・17日の両日に東京で開かれたアジア女性史国際シンポジウムの成果として刊行された。1970年代後半以降「女性たちのネットワークが世界各地で広がりをみせ」,「アジア諸国における女性史研究の進展」が80年代以降顕著になったことが,「アジア諸地域の女性の生活と歴史に関する比較史的考察」を可能にした。こうした状況を背景に,「アジア女性史の『多様性と共通性をさぐる』こと」,研究者の相互交流をはかること,「アジア女性の現代的課題に対しても共通の認識を持つことを意図して」,5テーマ1特別セッションが企画され,当日の熱のこもった報告・議論の展開のなかで生まれた貴重な成果を共有すべく,本書は編集されたという(刊行にあたって)。
 構成は大きく2部に分かれ,第1部は6分科会34人の報告および各分科会オルガナイザーのシンポジウム終了後の「小括」からなり,第2部はシンポジウム準備過程での成果ともいえる日本(古代,中世,近世,近・現代)・中国(大陸・台湾)・朝鮮・インド・ベトナム各国の女性史研究の現状と課題の概観,およびアメリカにおける中国女性史研究の現状の紹介からなる(5頁)。34人の報告者名と課題だけを次に紹介しておこう。

  • 第1章 工業化と女性   リンダ・グローブ「中国における女性労働者三世代の軌跡」/重冨スパポン「タイの女性労働者史 1960~80年」/東條由紀彦「日本近代女性雇用労働の起点-『キカイ』と『年季者』の遭遇」/チャン・ハン・ザン「工業化とベトナム女性のライフスタイルの変容-都市と農村の比較」/板垣邦子「農村生活の変容:女性を中心に-1920~1954年」/スーザン・オルジタム「変わる女性の生活:マレーシア半島の都市と農村-インド系女性を中心に」
  • 第2章 政治と女性   譚深「単位体制と中国女性」/コラソン・B.ラムーグ「フィリピンにおける女性の政治参加と経済的参加」/辻村みよ子「日本の戦後政治と女性」/朴容玉「韓国女性の抗日民族運動推進とその特性」/押川文子「ナショナリズムと女性-両大戦間期のインド」/広瀬玲子「女性にとって15年戦争とは何であったのか-『満州』認識を中心に」
  • 第3章 思想・宗教   杜芳琴「元代における理学の女性に対する影響」/菅野則子「江戸時代における『儒教』の日本的展開/文玉J「現代韓国女性の生活における儒教の影響」/アパルナ・バス「インド女性の日常生活においてヒンドゥー教が果たす役割」/川並宏子「ビルマ仏教における女性-出家と世俗」/西口順子「中世の尼と在家尼」
  • 第4章 家父長制と女性   秦玲子「宋代の皇后制からみた中国家父長制-および,伝統のファジーさと伝統を使う個人について」/服藤早苗「日本における家と家父長制成立の特色」/長島淳子「近世家族における女性の位置と役割」/粟屋利江「ヒンドゥー家族法の改正過程とジェンダー・イデオロギー」/李効再「韓国の家父長制と女性」/大沢真理「企業中心社会と家父長制」
  • 第5章 性の歴史と買売春   関口裕子「戦争と女性-日本古代の場合」/曽根ひろみ「近世売買春の構造-公娼制の周縁」/吉見義明「『従軍慰安婦』問題と日本近代」/山下英愛「朝鮮における公娼制度と日本」/廖秀真「日本植民地統治下の台湾における公娼制度と娼妓に関する諸現象」/テイーラナト・カジャナッソーン「タイにおける売買春の歴史」
  • 第6章 アメリカにおける中国女性史研究    -家庭領域の内外で 明・清期   スーザン・マン「清朝のある一家族の家庭生活における芸術,感情,思い出-常州・張家(1760-1860)の場合」/アン・ウォルトナー「曇陽子にみる女性としての人生,特に宗教における女性としての人生」/ドロシー・コー「中国・明末清初における纏足と文明化過程」/シャロット・ファース「明朝期の中国における治療医としての女性」

     報告者名と題目紹介だけで相当の字数を必要とする第1部各節の内容に踏み込むことはここではできない。この場では本書のもつ意義と限界についてまず結論的に述べ,次に多くの論者が提起する「ジェンダーの視点」に立って各論文を検討した場合に見えてくる展望と課題に限って論じてみたい。


 結論的には,良くも悪くも現在のアジアにおける「女性研究」の水準を示している,という一言に意義も限界もある。「女性史」と銘打ってはいるが,歴史研究の蓄積が薄い地域・領域では社会学や人類学等の研究者が報告を手掛けた。そのことが国際的なだけでなく学際的な広がりをもたらしている。研究の蓄積とともに過度の専門化=「タコツボ」化が懸念される諸分野に比して,この広がりが持つ意義は大きい。一定の研究蓄積の厚みが今回の「比較史的考察」を可能にしたことは確かであろうが,同時に,蓄積の薄さがこの広がりを可能にし,また必要ともした。一読すれば,いかにアジア女性について「情報が少ないか」(24頁)「非常に無知であった」か(370頁)を読者は思い知るだろう。その一方で,各自の専門分野に限ってみれば研究の粗さが気になるだろう。歴史学の方法で第2次世界大戦後の日本におけるアメリカ軍の女性政策を研究領域とする私には,研究方法も時代も地域も異なるほとんどの論文は「未知との遭遇」であったし,「日本政府は,GHQに対する政策的な配慮から戦前の女性参政権否認の論理を……いとも簡単に転換した」(150頁)とする箇所には,敗戦直後の女性運動家による婦選要求の活動再開と幣原内閣の参政権付与の閣議決定がGHQの指令に先んじていたことはほぼ通説化しているとの批判を容易に加えられる。
 個別領域でのそれぞれの研究を今後ますます進めていくべきことは言うまでもない。本書の限界を克服していくには当面それしかない。しかしその一方で,個々の研究の粗さには目をつぶり,広く見通す(=本書を通読する)ことで見えてくる「何か」をつかむことが「女性研究」に携わる者にもそうでない研究者にも今必要なのではないだろうか。ここでつかんだ各自の「何か」が,それぞれの研究領域に潜り込んでいくときの他領域との連関図となるのではないだろうか。私にとってのその「何か」が,今回は「ジェンダーの視点」となった。


 性差ではなくジェンダーを用いる最大の理由は,「男女の生物学的相違により直接生じる関係と特徴」と「社会が男女間に作り出すその他の差異と,男や女がその差異をどのように考えるかということ」は分離可能かつ分離が必要だという考えによる。言い換えれば「ジェンダーが社会的形成物であるという仮定を出発点としている」(577頁)。本書では,(1)ジェンダー概念を社会科学の機軸的概念と捉え,(2)ジェンダーを分析の機軸的変数に据えた研究を積極的に推し進めて,(3)他の機軸的変数とジェンダー変数との関係を構造的に解明していくことが重要な課題として提示されている(517頁)。
 しかしこれらはかなり困難な課題である。まず,女性史を「周辺史としか見ない歴史意識」(544頁)に代表される(1)の否定が根強く存在する。また「女性不在」に無自覚な既存の諸概念-例えば「会社主義」(358頁)-への批判が,「理論の欠陥を反省すべきはフェミニストである以前に,体系としてジェンダー視角を欠いてきた戦後日本の社会科学主流なのである」(363頁)といった形でなされているが,この声を受けとめる層は厚くない。
 次に,(2)を進めるにあたってはさまざまなジェンダー・バイアスの問題が指摘できる。「女性不在」も一つの性差における偏見,偏向といい得るが,注意すべきは「女性研究」にもジェンダー・バイアスはかかっているという点だ。それは「『女性史』に取り組んでいる私たち自身が,自ら意識できないほど深く『性』のイデオロギーに促われているかもしれない可能性」(365頁)としても指摘されている。これは本書のいたるところに見い出されるといっていい。「女性不在」の従来の概念を無自覚に適用した分析を指摘することについてはここでは省略する。たとえ女性をふんだんに存在させていても,女性の役割や束縛の状態を明白のもの・固定化したものとして取り上げている箇所も多く,また従来の概念の「女性不在」を自覚化した結果,「ジェンダーの視点から見た『民主政治』とは何か」(114頁)などといった類の問いがあふれていることだけを指摘しておきたい。決定的な問題は「男性不在」の概念を「女性研究」という名称はつくり出しかねない点にある。フェミニズムの視点ではなく,ジェンダーの視点を強調する必要性がここにある。ただし,女工研究における検番への注目(54頁),男女性別役割観を「男性を『内的領域』から排除」すると捉える認識(550頁)などは,ジェンダー・バイアスの罠から割合うまく抜け出している数少ない事例といえるだろう。
 最後に(3)であるが,他の変数としては少なくとも階級,民族が多くの箇所で指摘され(110頁,117頁等),各変数との関係がインド,中国,韓国,ベトナム,日本古代などの事例で検討されている。重視すべきは,「アジアにおける民族解放・階級解放と女性解放とはきわめて関係深く,しかも相互に自立的なものとしてとらえる必要がある」(117頁)との指摘だろう。「民族独立運動史のなかに女性解放史を解消する」(546頁),「中華人民共和国成立後,女性解放は達成された」(535頁)などに見られるように,女性は,革命が成功すれば解放される,独立が達成されれば解放されるとの言い回しのなかで「女性独自の要求」を出すために苦しんできた。「相互に自立的なものとしてとらえる必要」の指摘はそうした苦しみを経た認識に基づく。しかし今後ジェンダーの視点を他の何よりも優先させてしまえば,同じ苦しみを他に与えることもあり得る。ジェンダーは主要変数の一つでしかなく,少なくとも民族と階級,他にもあるかも知れない諸変数との深い関係において扱われることが必要である。
 以上を要約すれば,ジェンダー・バイアス批判は従来の「一般史」(500頁等)に対してのみ向けられる言葉ではなく「女性史」に対しても同様に向けられるものである。「女性史」は不可避的に女性に偏る。従って「女性史」は「ジェンダー(を含む)・ヒストリー」の構築を目指しつつ,まずは常に「男性史」を対極に見据えつつ,「一般史」のジェンダー・バイアスを意識しながらもそこから多くの成果を取り入れた上で,「女性史」自体が持つジェンダー・バイアスを自覚化し,克服しつつ,新たな「一般史」を目指すという方法的見通しを持つ必要があるのではないだろうか。そしてこの方法は,階級や民族といった他の分析軸にとっても入れ替え可能な方法かもしれない。研究蓄積の薄さが持つ見通しのよさをもった本書を通読することで,読者各自が,現代の世界を再認識する枠組をつくるヒントを得られるのではないだろうか。

明石書店,1997年6月,594頁,9500円+税
まつお・じゅんこ 立教大学大学院博士後期課程,法政大学大原社会問題研究所兼任研究員
『大原社会問題研究所雑誌』第473号(1998年4月)

この論文は執筆者の意向によりweb-siteではフルテキストを掲載しておりません。どうぞご了承ください。

 この凡例は本巻の凡例である.索引、出典一覧を利用される際は別冊の凡例を参照いただきたい.

I 本書の構成

 本書は、本巻と別冊から成っている.本巻には1858年から1994年の137年間についての年表と主要項目の解説を収めた.この凡例は、本巻のみのもので、索引と出典一覧を収めた別冊については別冊凡例を参照ねがいたい.
 1995年以降の年表は、法政大学大原社会問題研究所が編集する《日本労働年鑑》の第66集(1996年版)以降に、本書と同一形式で収録するので、ご利用ねがいたい.

II 年表欄の構成と内容

 本年表は〈労働運動〉〈社会運動〉を中心に〈政治・法律〉〈経済・経営〉〈社会・文化〉〈国際〉の6欄構成である.年表事項を各欄に収める際の基準は次のとおりである.ただし、これはあくまでも原則的な基準で、多くの項目のなかには分類困難なものがあり、紙幅の制約から内容的に関連する他欄に収めた場合がある.
 1.〈政治・法律〉欄は、(1)内政(2)外交(3)政党(4)法律・政令(5)裁判・判例(6)軍事など.占領軍関係の事項はここに収めた.ただし、経済政策・経済行政などは〈経済・経営〉欄にまわし、教育行政・地方行政などの一部は〈社会・文化〉欄で採った.また、1945年8月以前の〈無産政党〉の運動は、議会活動を除き〈社会運動〉欄に収めた.
 2.〈経済・経営〉欄は、(1)経済動向(2)経済政策(3)財政(4)財界・経営者団体の動向(5)企業の動向(6)労務管理・合理化(7)労働災害(8)技術史(9)労働経済の諸指標など.
 3.〈労働運動〉欄は、(1)労働組合(2)労働争議(3)労働金庫など労働者福祉運動(4)その他〈俸給生活者〉運動(5)産業報国運動など.労働行政は〈政治・法律〉欄で採った.
 4.〈社会運動〉欄は、(1)無産政党(2)労働組合以外の大衆組織の動向(3)米騒動や原水爆禁止運動、安保闘争などの大衆行動(4)農・漁民運動(5)婦人運動(6)青年・学生運動(7)部落解放運動(8)公害反対・環境保護運動(9)医療運動(10)社会保障運動(11)人権擁護運動(12)文化運動(13)在日外国人の運動(14)右翼運動(15)〈官製〉社会運動(16)その他の市民運動など.
 5.〈社会・文化〉欄は、(1)労働者の生活実態(2)物価動向など国民の生活実態(3)社会福祉事業(4)学術・文学・芸術作品など(5)教育問題(6)宗教問題(7)自然災害(8)労働災害(9)職業病・疾病(10)公害問題(11)地方自治(12)社会運動家などの死去(13)世相・風俗(14)他の欄に分類困難な項目.
 6.〈国際〉欄は、(1)日本に影響を及ぼした国際的事件(2)諸外国の政治、経済労働・社会運動(3)国際労働組合組織などの動向(4)ILOなどの国際機関の動向.なお、外国でおきた事柄でも、日本国内の運動などに特別の関係をもつ出来事は国内の〈政治・法律〉欄に採録した.

III 年表欄の記載形式など

1.本年表の第1の特色は、重要項目や年表だけでは理解困難な項目を解説している点にある.解説にとりあげた項目は年表欄では太字(ゴシック)で示してある.
 なお、解説欄でとりあげた項目については、年表欄ではスペースの制約からごく簡潔な記述にとどめていることが多い.
2.本年表の第2の特色は、項目末尾に出典番号を付し、各項目をどのような文献によって作成したかを示した点にある.その意味で出典は、各項目の事実としての正確度を確かめる手だてである.
 なお、出典が参考文献としての役割もあることを考慮し、国際欄については日本語で書かれた文献を優先し、外国語文献であっても比較的利用可能なものを掲げるようつとめた.したがって、日付の確認・事項の記述にあたって、出典にあげた以外の文献・資料を使用した場合もある.
 ○新聞を出典にしている場合、その紙名のみを示し、日付は省略した.ただし、(1)項目の日付と出典の日付が大きく離れている場合、(2)日付が特定されていない場合(この年、6.-など)は発行年月日または号数を記載した.
 なお、週刊以上の間隔で発行されている新聞は原則として発行年月日または号数を示した.
 ○雑誌はすべて発行年月日または巻号を示した.
 ○年鑑類は〈巻〉〈年版〉〈集〉といった表示を省略したが、それらの文献の収録対象時期以外の項目については巻数などを示した.
 [例](1) 11.21連合結成大会.官民の74単産・4友好組織.798万人.8312
 ▽8312を別冊の出典一覧でひくと、WEEKLYれんごう1989.11.24を出典としたことがわかる.
 [例](2)4.30横山源之助《日本之下層社会》(教文館)刊.
 ▽原物の奥付・表紙に、《日本之下層社会》は4月30日発行と記載されていることを示す.なお、出典番号を付してないのは原物によって確認したためである.
3.組織・法令名・国名・地名・人名などの表記
 ○組織名はスペースの制約から略称を用いたものが多い.なお、正式の略称をもつ組織であっても一般に理解し難いものについては、適宜変えた場合がある.
 ○法令名などは通称で表示したものもある.
 ○次の国名は原則として略記した.
 アメリカ合衆国=米
 ソヴェト社会主義共和国連邦=ソ連
 イギリス=英
 フランス=仏
 ドイツ=独
 ドイツ連邦共和国=西独
 ドイツ民主共和国=東独
 イタリア=伊
 オーストラリア=豪
 大韓民国=韓国
 ○次の国名はスペースの都合により略記した場合がある.
 チェコスロヴァキア=チェコ
 ユーゴスラヴィア=ユーゴ
 南アフリカ連邦、南アフリカ共和国=南ア
 ○外国の地名・人名については原則として原音に近い表記を心がけた.ただし、日本で慣用化しているものについては例外とした.
4.年代・月日の表記
 ○年代・月日の表記は、西暦紀年・陽暦を用いた.ただし、1872年(明治5年)までは陰暦をも付し、それを〔〕で示した.陽暦の日付が特定できない場合は、陽暦の月日を空白にした.
 [例]7.5〔5.28〕第1次東禅寺事件(水戸浪士ら英公使を襲撃).’62.6.26第2次東禅寺事件.64
 ▽〔5.28〕は陰暦、7.5は陽暦を示す(’62.6.26は陽暦).
 ○国際欄の日付は原則として現地の日付を記載した.
 ○同一事件は1項目として記載した事例が多いが、争議のように同一の事態が継続している場合は(~4.28)のように記し、新たな展開があった場合の日付はイタリックで5.12のように記した.
 ○項目内の西暦は〈1960年〉を〈60年〉のように略記した.
 ○6.初、6.上、6.中、6.下、6.末は、それぞれ6月初め、6月上旬、6月下旬、6月末を示す.
 ○6.-は6月に起こった事件・現象、あるいは日付を特定できない事項、雑誌の6月号を示す.
 [例](1)8.-岡山県藤田農場争議、小作権売買許可など要求(~12.18).12.24 3割減額・定米法採用を要求(~’22.3.28).9、186
 [例](2)7.-〈思想の科学〉緊急特集号〈市民としての抵抗〉.
5.記号・略号など
 ○《》は、単行本、双書、雑誌、新聞などを示す.
 ○〈〉は、論文、未刊行資料、引用句などのほか、文意を明確にしたり強調したりする場合、”いわゆる”という場合などに用いた.
6.その他
 ○物故者の没年齢はすべて満年齢である.

IV 解説欄について

1.解説は年表欄に記載した項目のうち、重要項目や年表だけでは理解しにくい項目について簡潔に説明を加えたものである.なお、各年ごとに一定の枠の中で項目選択を行ったため、すべての項目がその重要度に応じて選択されたとは限らない.歴史的に重要な事件が多発する年と、相対的に少ない年があるからである.また、解説の長さがそのまま項目の重要度を反映しているわけではない.
2.解説欄の見出しは原則として年表欄と同一である.ただし、解説一覧を作成する際の便宜などから年表欄と解説欄では若干違えた場合がある.
3.解説欄は日付順に配列した.同じ日付の場合は〈政治・法律〉〈経済・経営〉〈労働運動〉〈社会運動〉〈社会・文化〉〈国際〉の順に配列した.
4.見出し語の次にある日付は・年表欄の日付であり、解説でとりあげた事項が実際に起こった日付と異なる場合がある.
 [例]10.12第119臨時国会(中東国会)召集.10.16政府、国連平和協力法案を国会に提出.
 国連平和協力法案[政]10.12 90年8月、イラクのクウェート侵攻に際し、アメリカは〈国連軍〉の主力を派遣すると同時に、日本にも〈さらなる措置〉を要請した.これに応え、海部内閣が国会に上程したのが〈国連平和協力法案〉である.本法案は、自衛隊を中心に国連平和)
 ▽国連平和協力法案が国会に提出されたのは10月16日であるが、10月12日の中東国会召集に続けて記載したため解説見出しの日付は10.12としてある.
5.解説にはすべて参考文献をあげてある.これは、その事項についてより詳しい情報を得るための手がかりであって、解説がこれらの文献にもとづいて書かれたことを意味しない.
6.解説の文末の⇒は関連する解説項目があることを示している.

新版の刊行にあたって

 当研究所は、今から十数年前、《社会・労働運動大年表》の編纂を計画し、これを本巻3冊、別巻1冊の合計全4冊として、1986年秋から1987年初めにかけて刊行した.さいわい大方の支持を得て、版を重ねることができた.また、その後は毎年、当研究所が編集する《日本労働年鑑》に同じ6欄構成の年表を付し、つねに年表としての新しさを保持するように努めてきた.とはいえ、刊行後ほぼ10年を経過した今となっては、何冊もの年鑑を参照しなければならぬ不便さは明らかで、各方面から増補版の刊行が求められてきた.そこで、昨1994年に大原社会問題研究所が創立75周年を迎えたのを機に、また本年が戦後50年となることも考え、各位のご要望に応えて、旧版を大幅に改訂・増補した《新版 社会・労働運動大年表》を刊行することにした.
 新版は、旧版以降の1986年から1994年までの9年分を増補すると同時に、旧版では3冊に分けた本巻を1冊にまとめ、より利用しやすい形に改めた.また、別冊も、出典一覧については主として追加分を補っただけであるが、索引は、まったく新たに作り直した.すなわち、旧版では解説索引と年表索引の2本建てであったものを、今回はこれを1本にまとめた.検索作業が1回だけで済むので、索引としてはいくらか使いやすくなったのではないかと考える.さらに、索引については旧版の全項目を再検討して新たに多くの項目を取り直し、国名や共通語についての見出しをつけるなどして、より使いやすいものとなるよう工夫した.
 旧版を刊行してから、わずかに10年足らずの歳月が経ったに過ぎないが、この間に、世界はわれわれの予想を大きく上回る劇的な転換をとげた.1985年にソ連共産党書記長に就任したゴルバチョフの主導で始まったソ連の改革・開放路線の余波は、1989年にはベルリンの壁の崩壊に象徴される東欧諸国における社会主義政権の相次ぐ崩壊となり、さらに1991年にはソビエト連邦の解体、ソ連共産党そのものの解散をもたらした.
 また日本国内においても、1950年代以降、労働運動の主導権をめぐって対立を続けてきた総評と同盟の多数派が合同して連合を形成し、両組織は解散した.さらに、戦後政治において主要な争点をめぐって常に対立してきた自民・社会党の両党が手を携えて連立政権を構成するという、数年前では想像もつかなかった事態が生まれたのである.
 新版の増補部分は、年表全体にくらべれば、量的には決して多いとはいえない.しかし、この世界と日本における歴史的な大転換期の動向を、労働運動、社会運動を中心に忠実に記録したもので、質的にはきわめて大きな比重をもった追補となった.
 戦後50年を迎えた現在、日本の、また世界の社会運動・労働運動は、かってない深い混迷のなかにある.これらの諸運動に、その生涯において、実践的あるいは学問的に、何らかの形で関わってきた、あるいは現在も関わっている人びとは、今こそこの歴史に学び、自らの頭でその在り方を考える必要があるであろう.この《新版 社会・労働運動大年表》は、その作業を進めるにあたって不可欠の用具として役立つものと確信している.
 新版の編集にあたっては、旧版の編集委員会とは別個に、新たな編集委員会を構成して作業にあたった.すなわち、旧版の編集委員会のメンバー11人のうち、五十嵐仁、佐伯哲朗、二村一夫、早川征一郎の4人が残り、新たに長谷川義和が加わって、1994年3月に新編集委員会を発足させた.さいわい、年表部分は、毎年の《日本労働年鑑》に付していたものがあるので、これを基礎として改訂作業を進め、解説については、旧版の筆者のほか13人の方に新たに執筆陣に加わっていただいた.年表欄、解説欄とも、提出された原稿を編集委員会で集団的に検討し、かなりの程度加筆・訂正を加えた.旧版でも、また今回も、個々の解説項目に筆者名を記さなかったのは、スペースの制約もさることながら、そのような執筆上の経緯があるためである.
 新版の編集作業にあたっては、編集委員のほか浅野富美技、是枝洋、手島繁一の諸氏の協力を得た.また、旧版の内容を再検討する作業では、編集委員以外に、梅田俊英、大野節子、川崎忠文、木下武男、谷口朗子、吉田健二の各氏に参加していただいた.さらに、新たな索引の作成については香取治良、佐方信一の両氏がひとかたならず尽力された.また、編集面では労働旬報社の石井次雄社長は率先して実務面まで担当され、新版の刊行を支えられた.最後になったが、旧版の編集担当者・佐方信一氏は今回も主たる編集担当として編集委員会の実務万端をとりしきり、新版刊行の推進力であった.以上の各位のご援助、ご協力なしには、わずか1年余の短期間に新版の完成をみることは不可能であった.ここに記して、厚く感謝の意を表したい.
 先にも述べたが、1994年2月9日をもって、大原社会問題研究所は創立75周年を迎えた.旧版は創立60周年の記念事業であったが、この新版を研究所創立75周年の記念とし、私財を投じて研究所を創立された大原孫三郎氏をはじめ、この4分の3世紀もの間、さまざまな形で当研究所を支えて下さった多くの方々に捧げたい.
 1995年5月
 法政大学大原社会問題研究所

刊行にあたって

 大原社会問題研究所は、倉敷の大原美術館などで知られる異色の実業家大原孫三郎によって、1919(大正8)年2月9日、大阪・天王寺に設立された.1937年、種々の事情から研究所は大原氏の手を離れて東京に移り、1949年には法政大学と合併し、その支持によって今日まで活動を続けている.
 研究所は創立と同時に《日本労働年鑑》の編集作業に着手し、〈我国に於ける労働問題其他の社会問題の実際に就いて、其の諸方面に於ける発現の状況を観察し、其の材料を一年毎に編輯し、事実の記録として止め置く〉(第1集緒言)ことを目的に1920年5月、刊行を開始した.第1集の収録対象となった1919年は、あの米騒動の翌年で、日本の労働組合運動が本格的な発展を始めた年であった.その後70年近く、戦時中の強いられた中断はあるものの、《年鑑》は今日にいたるまで研究所の中心的な事業のひとつとして継続している.空白であった戦時期については《太平洋戦争下の労働者状態》(1964年)と《太平洋戦争下の労働運動》(1965年)の2冊を年鑑特集版として刊行した.この戦時特集を含む既刊58冊は、日本の労働運動・社会運動の幼年時代から今日にいたるまでの〈公平且つ忠実〉な記録として、各方面で高い評価をうけている.
 この年鑑編集のために収集した図書・資料は、膨大、かつ系統的・体系的なもので、他にかけがえのない貴重なものが少なくない.かねてから、研究所はこれらの資料を生かす仕事をと考えてきた.
 その最初の企画は戦前にさかのぼり、研究所が東京に移転した直後、日中戦争下の1937年に日本労働運動史の編纂が企てられた.しかし、これは発案者であった大内兵衛所員が〈人民戦線事件〉に連座したこともあって、実現にいたらなかった.ようやく戦後になって《労働運動史資料》《農民運動史資料》の刊行として具体化し、さらに1969年には、創立50周年の記念事業として《日本社会運動史料》の刊行が始まり、計画は一歩前進した.
 1979年、研究所が創立60周年を迎え、同時に《日本労働年鑑》が第50集を数えたのを機に、われわれは日本の労働運動・社会運動に関する詳細な年表の作成を決意した.これこそ《日本労働年鑑》編纂の長年の蓄積を生かし、日本の労働運動・社会運動の全歴史を描くという当初の目標をうけつぎ、しかも今日の社会的・学問的要請にこたえるにふさわしい事業と考えたからである.
 本年表は日本の労働運動・社会運動の歩みを中心に、開国が決定した1858年から1985年までの約130年間をカバーし、これを第2次大戦前は1巻、戦後は第2巻と第3巻の2冊に、総計1200ページに収め、従来の専門年表にはない詳しさで、運動の流れを跡づけている.同時に、この年表は、運動をとりまく政治・法律、経済・経営、社会・文化について、それぞれ独立の欄を設けて詳細に記録し、いわば民衆の側から見た近代日本総合年表となっている点に特色がある.さらに国際欄は、日本に影響を及ぼした国際的な出来事はもちろん、世界各国の労働運動・社会運動、その背景となる政治・経済の動向、国際労働運動などについて収録し、それだけでも、これまでに例のない国際社会・労働運動年表となったと自負している.
 この年表の第2の特色は、国際欄までふくめ、すべての項目について出典を附したことである.岩波の《近代日本総合年表》が始めたこの慣行は、〈年表大国〉といってよいほど多くの優れた年表が刊行されている日本の年表の水準をさらに一段と引き上げるものであった.年誌・年譜に出典をつけた例はあり、年表でも略語を使うことで部分的に出典を示したものもないではなかった.しかし、数字によって文献を記号化し、多数の典拠を附したのは、〈近代日本総合年表〉のすぐれたアイディアであった.典拠は、それによって利用者がそれぞれの項目についてより詳しく調べるための手がかりを与えると同時に、各項目の信頼度をはかることを可能にするものである.もし読者が、ある事項について、ここで使われている文献より信頼し得る史料を見いだされ、その日付、内容などがこの年表と異なっているならば、それは、この年表が誤っていると結論できるのである.もとよりわれわれは、ここに収めた項目について、できる限り正確なものとなるよう最大限の努力をはらったつもりである.
 しかし、全項目が100%正確であると主張し得ないこともまたよく承知している.誤りに気付かれた読者はぜひそのことをご教示願いたい.なんらかの方法で訂正し、次の機会には、より正確なものを提供することに努めたい.
 この年表の第3の特色は、年表欄では理解困難な重要項目3500について、簡潔な解説を加えていることである.その点で、本書は単なる年表であるだけでなく、社会・労働運動史事典ともなっている.これによって、年表形式では容易に記載しえない、ある事実の歴史的背景やその後の変化、その歴史的意義などを明らかにすることが出来、年表各欄の相互関連の把握を容易にし、〈読む年表〉としても役立つと考える.ただ、なにぶんにもスペースが限られているため、いかに大きな問題でも小項目とせざるをえず、その説明は十分といえないうらみはある.そこで、その欠を補うために、解説項目のすべてについて参考文献を附記した.年表項目の出典と併せ、利用者がより詳しい情報を得たい場合の手がかりとして、おおいに利用価値があるものと考える.
 第4に、この年表では、出典と事項索引を別巻として独立させてある.そのことによって、索引項目を格段に多くすることが可能となった.また、別冊であるため、検索しながら、年表を見ることが出来るようになっている.
 第5に、この年表には、これまで例のない企てがある.それは、毎年、この年表と同じ形式の増補が作成され、《日本労働年鑑》に収録されることである.これまでのものは、いかにすぐれた年表であっても、完成と同時に古くなりはじめるのを避けることは出来なかった.この年表は、《日本労働年鑑》への追録によって、いつまでも古くならず、成長する年表となることを期している.
 日本の労働運動・社会運動は欧米にくらべれば短いとはいえ、すでに自由民権運動から数えれば100余年、日本最初の近代的労働組合といわれる鉄工組合の創立90周年は1年後にせまっている.今日の日本の労働組合、あるいはその前身となる組織の多くが生まれたのは、第2次世界大戦直後の1946年であるから、今年40歳の誕生日を祝った組合は少なくないであろう.だが日本の労働組合は、はたして〈不惑〉の年を迎えたといえるであろうか.
 21世紀を目前に、日本だけでなく世界各国の労働組合は、従来の運動の枠組みでは処理しきれないさまざまな問題に当面し、進路を模索している.労働組合だけでなく、さまざまな運動団体が、またそこに参加する個々人が、前途を展望するため、今ほど、その経験の総括を求められている時はないのではなかろうか.この大年表4冊は、そうした人々にとって〈歴史への旅の地図〉となり、運動の未来を切り拓くための不可欠の道具として役立つと考える.
 当然のことながら、これだけの大きな仕事を、一研究所がその独力でなしとげることは不可能であった.本書の完成までには、年表項目や解説項目の執筆の段階から、編集さらには印刷・製本の段階まで多くの研究者はもちろん、出版社・印刷所の関係者の方々にいたるまでのなみなみならぬ協力を得ている.
 何よりも、労多く功少ない年表事項・解説事項を執筆してくださった268人の方にお礼申し上げたい.この事業の意義を理解して、たった1項目の事実を確認するためにも、多大の努力を払って下さったあの熱意がなければ、この年表はありえなかったからである.
 また、編輯・印刷関係の方々にもお礼と同時にお詫びを申し上げたい.おそらく最初に入稿した原稿で、完成時にそのままの形で残ったものは5割を切るであろう.われわれは年表項目の選択・採録はもちろん、入稿にあたっても原則としてカードを使用した.そのため、編集委員が年表について具体的なイメージをもつことが出来たのは、初校の時であった.これをもとに各欄相互の重複を整理し、不十分な点を補うといった作業が最後まで続いた.このため、4校になってもまだ追加入稿の赤字を入れる必要のあるところが生まれ、印刷所の方々には、たいへんな負担をかけることになった.
 また、長年《日本労働年鑑》の刊行に力を尽くされ、またこの度の大事業を物心両面から支えてくださった労働旬報社、とりわけ佐方信一氏の長期間におよぶ縁の下の力持ちとしての働きに感謝したい.
 最後に、いささか内輪のことになるのではあるが、編集委員会の諸氏の非常な努力に敬意と感謝の意を表すことをお許しいただきたい.期間中毎月1回も欠かさず続けられた定例の全体編集委員会のほか、巻ごとの、あるいは欄単位での検討会など、この間の会合だけでも300回を超え、項目の選択、表現の統一、疑問点についての確認あるいは再確認の作業、参考文献の選択、5校におよぶ校正など、当初の予想をはるかに上回る作業量を泊り込みで処理し、自己の研究時間も完全に犠牲にする日々が続いた.こうした激務に耐える編集委員を援助し、背後で支えた研究所職員の力も忘れることはできない.
 ほかにも、お名前はあげなかったが、実に多くの方々の協力があってこそ、この仕事をなんとか完成にこぎつけることが出来た.すべての関係者各位にあらためて厚くお礼申し上げたい.
 1986年12月7日
 法政大学大原社会問題研究所
 所長 二村一夫

執筆者一覧 五十音順

 相沢与一 相田利雄 青木哲夫 青木正久 青野覚 赤澤史朗 秋田成就 浅井良夫 浅野富美枝 浅見和彦 阿部恒久 荒川章二 五十嵐仁 池田信 伊香俊哉 諌早忠義 石川真澄 石崎誠也 石田眞 石田勇治 石橋洋 伊集院立 出雲雅志 板垣保 伊藤悟 伊藤セツ 伊藤友良 伊藤康子 伊藤良文 伊藤陽一 市原博 犬丸義一 井上雅雄 井上学 岩田啓 岩村登志夫 犬童一男 上田修 上野章 上野輝将 上野司 梅田欽治 梅田俊英 大沢真理 大野喜実 大野節子 大野善久 大石嘉一郎 大門正克 大辻千恵子 大場秀雄 大和和明 岡眞人 岡倉登志 岡本宏 小笠原浩一 小川信雄 小川政亮 小越洋之助 小城和朗 荻野富士夫 長部重康 小沢弘明 小田成光 小田中聰樹 大日方純夫 垣内国光 柿沼肇 掛谷宰平 梶村秀樹 春日豊 粕谷信次 加藤幸三郎 加藤哲郎 加藤千香子 金子和夫 金子征史 上井喜彦 川口和子 川崎忠文 川辺平八郎 河村美紀 川原崎剛雄 神田文人 神田美枝 菊池高志 菊池敏夫 北河賢三 北村暁夫 吉川経夫 吉川容 木戸衛一 木畑洋一 木下武男 木下威 金七紀男 櫛田豊 楠本雅弘 久保亨 熊倉啓安 熊沢徹 公文昭夫 公文溥 栗田健 久留島治 黒山多加志 黄昭堂 纐纈厚 小路田泰直 河野穣 古関彰一 後藤実 小西一雄 小林英夫 小松隆二 斎藤勇 斎藤隆夫 斎藤力 斎藤道愛 斉藤なぎさ 斎藤稔 佐伯哲朗 坂口正之 坂本重雄 佐川悠二 相良匡俊 佐口和郎 桜井絹江 桜井良治 笹木弘 佐藤昌一郎 佐藤碩男 佐藤博樹 佐藤健生 佐貫浩 塩田庄兵衛 柴宜弘 芝野由和 島崎晴哉 島田信義 島田務 嶋谷ゆり子 嶋津千利世 清水正義 篠原陽一 下山房雄 庄司博一 新川健三郎 菅井益郎 鈴木堯博 鈴木孝雄 鈴木隆 鈴木正幸 鈴木裕子 角田邦重 清野幾久子 相馬保夫 高屋正一 高木郁朗 高木督夫 高田一夫 高綱博文 高野和基 高橋克嘉 高橋勢都子 高橋哲雄 高橋彦博 高藤昭 竹内壮一 竹下睿騏 武田晴人 田中直樹 田沼肇 土屋好古 椿達也 手島繁一 徳永重良 戸塚秀夫 富沢賢治 富森叡児 利根川治夫 中島久雄 中田直人 中塚次郎 中西治 中西啓之 中野聡 中村和夫 中村平治 中山和久 永原陽子 永山利和 鍋谷郁太郎 成田龍一 浪本勝年 西岡幸泰 西川正雄 西坂靖 西田勝 西成田豊 西村勝巳 二村一夫 野口英雄 野村達朗 野村正實 萩原伸次郎 橋元秀一 橋本哲哉 橋本宏子 花香実 長谷川義和 羽田博昭 羽場久み子 浜林正夫 早川征一郎 早川紀代 林大樹 林博史 林宥一 原田幸二 阪東宏 樋口雄一 平井陽一 平賀明彦 平澤克彦 広川禎秀 兵藤釗 廣岡治哉 廣田功 深澤安博 深谷信夫 深山正光 藤井正 藤野豊 藤本茂 藤本博 藤原彰 福田富夫 福永文夫 舟橋尚道 古川陽二 古田善文 古厩忠夫 古山隆志 文京洙 星島一夫 星村博文 洞口治夫 本間晴樹 牧原憲夫 松井朗 松尾章一 松尾洋 松岡英夫 松崎義 松下冽 松野光伸 松丸和夫 黛高敏 丸谷肇 丸山昇 三ツ石郁夫 光岡博美 嶺学 三宅明正 三宅立 宮本光雄 三輪泰史 村上重良 村串仁三郎 茂木陽一 森武麿 森廣正 安田和也 安田浩 柳川和夫 柳沢敏勝 山北孝之 山口春子 山下直登 山住正己 山田武生 山田正志 山野晴雄 山本喜陸 山本潔 山本佐門 山本補将 横関至 横山伊徳 吉田健二 吉田正広 米田佐代子 若林幸男 渡辺悦次 渡辺治 渡辺尚志 渡辺啓巳 渡部哲郎 渡部徹
 なお、上記執筆者の他に、是技英子、高島道枝、中尾美知子、吉沢南、山本恵子の諸氏に編集上の助言・協力を得た.

■マイクロフィルム版の前書き刊行のことば

 このたび、柏書房から刊行される『日本社会労働運動資料集成』は、現在、法政大学大原社会問題研究所が所蔵する膨大な協調会史料の一部である。大原社会問題研究所の復刻刊行としては、創立50周年を期して開始された『日本社会運動史料』(法政大学出版局)が、すでに世に知られている。その復刻は、現在まで実に206冊にのぼっている。この復刻シリーズは、いわば復刻というかたちでの研究所の情報公開であり、大原社会問題研究所と研究者、利用者の時間的空間的距離を縮めるものとして、きわめて有益であると考えている。

 今回の協調会史料の刊行も、目的・性格としては『日本社会運動史料』と同じである。異なるのは、復刻史料の由来である。『日本社会運動史料』は、もともと大原社会問題研究所が収集し、所蔵していた史料を中心に復刻されてきた。今回の刊行は、大原社会問題研究所とは全く別の機関であった協調会の史料の刊行である。

 協調会は、大原社会問題研究所が創立されたのと同じ年、1919(大正8)年に、政府・財界が出資し、労使協調を目的として設立された民間機関である。その事業内容としては、(1)社会政策・内外社会運動の調査・研究とその発表、(2)社会政策・社会立法に関する政府の諮問に応じ、意見を提出、(3)学校・講習会・講演会・図書館などの設置、開催、(4)労働者の教育、福利増進施設の設置、(5)労働争議の仲裁・和解などを行い、もって協調的労使関係の普及に力を入れた。

 そうした活動のうち、社会・労働関係の調査・研究は、たとえば、月刊『社会政策時報』、『労働年鑑』、『最近の社会運動』、各種の調査報告などとして刊行された。だが、協調会のそうした成果の基礎には、社会・労働運動の実態動向把握という活動があった。とりわけ、協調会労働課・情報課を中心とした労働組合、労働争議、無産政党、社会運動の実態把握のための調査、資料収集および内務省・警察から提供される情報・連絡の記録類が加えられ、年鑑や調査報告の記述の基礎になった。それらが、膨大な資料として蓄積されたのである。

 今回、刊行される『日本社会労働運動資料集成』は、そうした協調会史料である。大原社会問題研究所の協調会史料の公開計画のなかで、協調会研究会(高橋彦博・梅田俊英・横関至)が発足し、編集作業が行われた。編集にあたっては協調会保管史料全113リールに加え、冒頭のリールに、協調会の歴史、組織が分かる協調会自体の資料を収録した。この協調会史料が、社会的に有用なものとしてぜひ活用されることを願っている。最後になったが、この編集および刊行の過程で、柏書房、とりわけ出版部長の佐保勲氏、出版部の山崎孝泰氏には、ひとかたならぬお世話になった。記して謝意を表明したい。

 2000年9月
 法政大学大原社会問題研究所
 所長 早川征一郎

■本史料の主な内容

 膨大な協調会史料の核心部分を構成しているのが、協調会本部の労働課と情報課の保管にかかわる数百冊の資料ファイルである。それは、大型書棚数列に整然と並べて保管されていた内部資料であったことが、分類・整理された諸資料の製本状況からうかがえる。
 概算で5、000点、120、000頁を超えると把握できる労働課・情報課の内部保存資料を、114巻のリール65、605コマに収め、詳細な分類項目を付したのが本史料である。この史料が覆っている領域は、主に、労働組合、労働争議、無産政党、であるが、その内容は、組合本部の動向や大争議の記録や政党本部の大会決定などに限定されるものではない。単組レベルの動向と争議・紛議が記録され、労農政党と選挙・議会との関係把握も視野に収められている。対象地域も東京に偏ることなく、協調会大阪支所・福岡出張所などを拠点とする丹念な各地域の情報収集が試みられている。これらファイルの特徴は、協調会職員の手書き報告書を中心に、内務省・警察から提供される情報・連絡の記録類が加えられ、そこへ現場で収集されたビラなどが折り込まれるという、協調会が公刊する調査報告書や年鑑の記述の元となる、その意味における原資料のファイルとなっているところにある。
 協調会館が設立されたのは1921年である。その際、新設の大講堂を労働団体の集会場として提供することが協調会の事業目的として公にされた。それ以降、協調会館の大講堂が労働組合や農民組合、無産政党の大会会場として使用されるのが通例となった。そのような「地の利」を利用する形で、協調会職員は各種の大会の記録を採っている。そこでは、大会の議事進行状況だけでなく喧噪状態までが記録され、傍聴席から撒かれた伝単の類まで拾い集められている。こうしてまとめられた報告が本史料の柱となっている。協調会職員の報告は、内務省が『社会運動の状況』で見せる記述より詳しい内部的な記録となっているだけでなく、主催団体側発行の機関紙上の報告より客観的で臨場感あふれる報告となっている。
 なお、これらの資料の位置付けと協調会総体の把握のために、協調会清算人・添田敬一郎ほかによる『協調会誌(稿本)』と、1937年から1938年に掛けて16号が発行された協調会機関紙『協調』の全文を1巻のリールとして冒頭に収めた。この2点の基本資料によって、協調会の27年間の経過の総体的通史的把握が可能になるであろう。とくに、本資料類がカバーする時期を超えた、後期の協調会において浮上する産業報国会と協調会の関係が明らかになるであろう。 (高橋彦博)

■協調会とは

 第一次大戦を機会に内務省の内部に社会派が台頭し、社会局が外局として設置された。同時に発足したのが1919年の財団法人協調会である。政府・財界などからの寄付金約750万円を基金に運用された協調会組織の規模は、東京・芝の協調会館に本部を置いたほか、大阪、福岡に支所を設け、職員の数は約150を数えるという巨大なものであった。

 この協調会が1947年に解体されるまでに挙げた調査研究機関としての業績は、『労働年鑑』『社会政策時報』をはじめとする多様な出版物に示されているが、それだけではなく、国内外の労働・社会問題に関する「膨大」と言っても過言ではない量の調査記録・調査報告の資料として今日に残されている。

 協調会は、ともすると労資協調機関であったと理解されて終わりがちであるが、協調会が自らの職分を労働争議の調停に限定していることはなかった。また、協調会は、多くの場合に産業報国会の前身であったと位置付けられて終わっているが、協調会主流は内務省主導型産業報国会への巻き込まれを拒否しつづけたのが事実経過であった。第二次大戦後、最初に制定された労働組合法を強く推進したのは、解散に追いやられる直前の協調会であった。労資協調を求める前に労働組合を法的に承認せよ、とするのが協調会のαでありωであったのである。

 以下に協調会を論じた文献の一覧を掲げる。

「協調会論」文献一覧
〔総記〕
(1)『財団法人・協調会誌』(稿本)協調会解散事務所編、1948年。
(2)『協調会史-協調会三十年の歩み』協調会偕和会編、1965年。
(3)『協調会文庫目録(和書の部)』法政大学図書館、1977年。
(4)編集委員会編『添田敬一郎伝』添田敬一郎君記念会発行、1955年。
(5)編輯委員会編『吉田茂』吉田茂伝記刊行編輯委員会発行、1969年。
〔各論〕
(1)花香実「協調会の教育活動(その一)-日本社会教育史ノート-」『国学院大学栃木短期大学紀要』第3号、1969年1月。
(2)伊藤隆『昭和初期政治史研究』東京大学出版会、1969年。
(3)浜口晴彦「協調会と第一次大戦後の労資関係」『社会科学討究』第15巻3号、1970年3月。
(4)金原左門『大正期の政党と国民』塙書房、1973年。
(5)安田浩「政党政治体制下の労働政策-原内閣期における労働組合公認問題-」『歴史学研究』第420号、1975年5月。
(6)米川紀生「協調会の成立過程-我国に於ける労資関係安定のための民間機関の構想-」『経済学年報』(新潟大学)第3号、1979年2月。(社会政策学会第36回全国大会・報告「協調会の思想と行動」の一部)
(7)米川紀生「協調会の労働組会論」『新潟大学・経済論集』第26・27号、1978年-Ⅱ・1979年-Ⅰ。
(8)藤野豊「協調政策の推進-協調会による労働者の統合-」『近代日本の統合と抵抗(3)』鹿野政直ほか編、日本評論社、1982年。
(9)池田信『日本的協調主義の成立-社会政策思想史研究-』啓文社、1982年。
(10)林博史『近代日本国家の労働者統合』青木書店、1986年。
(11)三輪泰史『日本ファシッズムと労働運動』校倉書房、1988年。
(12)西成田豊『近代日本労資関係史の研究』東京大学出版会、1988年。
(13)塩田庄兵衛「解題」、協調会『最近の社会運動』(覆刻版)新興出版社、1989年。
(14)島田昌和「一九二〇年代後半における協調会の活動-争議調停活動の検討-」『経営論集』(明治大学経営学研究所)第36巻2号、1989年2月。
(15)島田昌和「協調会の設立と経営者の労働観-日本工業倶楽部信愛協会案をめぐって-」『経営史学』第24巻3号、1989年10月。
(16〉島田昌和「渋沢栄一の労使観と協調会」『渋沢研究』創刊号、1990年3月。
(17)安田浩「官僚と労働者問題-産業報国会体制論-」、東京大学社会科学研究所編『現代日本社会(4)-歴史的前提-』東京大学出版会、1991年。
(18)W.Dean Kinzley,Industrial Harmony in Modern Japan;the Invention of a Tradition,Routledge 1991.
(19)佐口和郎『日本における産業民主主義の前提-労使懇談制度から産業報國会へ-』東京大学出版会、1991年。
(20)安田浩「内務省・民政党・総同盟と労働政策」『日本近現代史(3)-現代社会への転形-』岩波書店、1993年。
(21)矢野達雄『近代日本の労働法と国家』成文堂、1993年。
(22)木下順「日本社会政策史の探究(上)-地方改良、修養団、協調会-」『国学院経済学』第44巻第1号、1995年11月。
(23)高橋彦博「協調会と大原社研」『社会労働研究』第42巻第3号、1995年12月。
(24)高橋彦博「『協調会誌』(稿本)と『協調会史』(正史)との間」『大原社会問題研究所雑誌」第445号、1995年12月。
(25)高橋彦博「新官僚・革新官僚と社会派官僚-協調会分析の一視点として-」『社会労働研究』第43巻第1・2号、1996年11月。
(26)高橋彦博「協調会コーポラティズムの構造」『大原社会問題研究所雑誌』第458号、1997年1月。
(27)高橋彦博「労働雑誌『人と人』の廃刊-戦間期日本における労働政治の試行-」『社会労働研究』第45巻第4号、1999年3月。

(高橋彦博)

法政大学大原社会問題研究所が所蔵する協調会基幹資料の全貌をマイクロフィルム化

第一次世界大戦後の労働運動の昂揚を受け、労使協調を目的として1919年に設立された協調会は、社会政策・社会運動の調査研究、社会政策推進、労働争議の仲裁・和解など多岐にわたって活動し、膨大な調査研究資料を残した。中央労働学園を経て法政大学大原社会問題研究所に引き継がれたそれら資料は、内務省資料と比較してもより詳細な調査・分析に及んでおり、大正から昭和初期の社会労働運動の動向を知るには不可欠の一次資料である。今回のマイクロフィルム化にあたっては、的確な解題、収録リスト一覧、検索用デジタルデータを付し、研究の便宜に極力配慮した。

協調会について

【本資料の特色】

■協調会の組織・歴史が把握できる稀覯史料を収録した(『協調会誌(稿本)』、協調会機関誌『協調』全号)。
■協調会本部保管の社会労働運動関係の膨大な基幹資料を系統立ててはじめて整理した。
■大正から昭和初期にかけての労働団体・争議・無産政党の動向が企業レベル、末端組織レベルまでわかる。
■内務省社会局や警察の調査資料からは読み取れない細部にまで調査・分析が及んでいる原資料が多数収録・ファイルされている。
■的確な解題、詳細収録リスト一覧、検索用デジタルデータ(付録)により膨大な資料の活用が自在にできるようになった。

本史料の主な内容

【推薦します】
ようやく身近になった貴重文献の宝庫  池田 信(関西大学教授)
人事管理研究者と大原社研との距離が短縮  木下 順(國學院大学教授)
戦前の労働運動に対する新たな発見に期待  兵藤 釗(埼玉大学学長)
民間・官憲双方の視点による興味深い資料  矢野 達夫(愛媛大学教授)

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監修
法政大学大原社会問題研究所
編集・解説
協調会研究会(高橋彦博・梅田俊英・横関至)
製品仕様
35ミリマイクロフィルム(ポジ)・全114リール(セット2函入)
別冊
資料解題/収録リスト一覧/検索用CD-ROM
揃定価
本体2,600,000円+税(分売不可)

柏書房
〒 113-0021 東京都文京区本駒込1-3-14
TEL 03-3947-8251 FAX 03-3947-8255

 

刊行にあたって

 第二次世界大戦の終結後、日本は未曾有の経済危機に見舞われた。鉱工業生産は戦時中の酷使と戦災によって著しく低下し、都市は空襲で廃墟と化した。戦詩中の強行耕作や肥料不足などに起因する農業生産の減少は、深刻な食料危機をもたらした。そして、激しいインフレーションが国民生活を直撃した。

 一九四六年秋、経済危機は頂点に達しつつあった。まず、金融緊急措置によって抑制されていたインフレーションが、一九四六年一〇月頃から再び昴進し始めた。また、戦前の水準の三八.二に回復していた鉱工業生産が、一九四六年一〇月以降低下し、一九四七年二月には三四.五にまで落ち込んだ。さらに、産別会議を中心とする労働攻勢が、一○月攻勢から『二・一スト』へと続いていった。

 そのようななか、事態を打開する能力を持たない第一次吉田内閣に代わって登場したのが、社会党首班の片山内閣であった。一九四七年六月に社会党・民主党・国民協同党の中道連立政権として成立した片山内閣は、経済安定本部を中心に傾斜生産方式を強力に実施することで、経済復興を実現しようと試みた。

 しかし、経済安定本部が立案する経済政策は、その実施を積極的に担う存在なくして実効的なものたり得なかった。片山内閣の経済政策の実施を積極的に担う存在、それは経済復興会議であった。経済安定本部が片山内閣の経済施策を「官」の立場から支えたとすれば、経済復興会議は「民」の立場から支えたといつてよい。

 経済復興会議は、一九四七年二月、社会党系労働組合の総同盟と進歩的経済団体の経済同友会の主導により、当時の主要な労働組合と経済団体を網羅的に傘下に収めて結成された。労働組合においては、総同盟や産別会議などが参加し、経済団体においては、経済同友会のほか日本産業協議会・関東経営者協会などが加盟した。議長は、社会党政調会長で社会主義政治経済研究所長の鈴木茂三郎であった。

 労使協力組織の経済復興会議に、共産党系労働組合の産別会議が参加したことは注目に値する。産別会議は、一九四六年一○月に産業榎興会議を結成し、経済榎興のための取組みを独自に展開していた。いわば国民的課題であった経済復興を、産別会議も等閑視できなったのである。

 全国レヴェルだけでなく、業種・地方・企業の各レヴェルでも、経済復興運動は活発に展開された。業種別復興会議としては、全国石炭復興会議と全国鉄鋼復興会議、地方別復興会議としては、関西産業復興会議と愛知県地方経済復興会議、企業別復興会議としては全東芝経済復興会議がそれぞれの代表例である。

 片山内閣に続く中道連立政権の芦田内閣の崩壊後、一九四九年春からアメリカの指示に従いドッジ・ラインが実施され、本格的な経済復興のための基礎が据えられた。しかし、ドッジ・ラインによるインフレーションの収束が可能になったのは、鉱工業生産が一九四八年末の時点で六四.四にまで回復していたからであった。このような生産の回復に、全国民的規模で行われた経済復興運動が貢献したことは間違いない。

 本資料集は、法政大学大原社会問題研究所『産別会議資料』『鈴木茂三郎資料』、信州大学経済学部『高野実文書』、東京大学経済学部図書館『石川一郎文書』、大阪社会運動協会『中江平次郎文書』、ひょうご労働図書館『今津菊松資料』などを中心として、片山・芦田内閣期の経済復興運動に関する資料を集大成するものである。

 経済復興会議、産業復興会議、業種別復興会議、地方別復興会議、企業別復興会議の資料のほか、社会党、総同盟、産剔会議、社会主義政治経済研究所、経済同友会などの経済復興運動に関する資料も収録される。なかでも各種の復興会議の機関紙が収められることは、特筆に値するであろう。

 戦後復興期の政治・経済・労働に関する研究において、本資料集が広く活用されることを期待している。

 

機関誌等収録例
機関誌等収録例
生産機器突破産業復興運動趣意書(第1巻に収録)
生産機器突破産業復興運動趣意書(第1巻に収録)

 

配本予定
第1回配本 2000年6月 第1巻 経済復興会議(1)
第2巻 経済復興会議(2)
第3巻 経済復興会議(3)
第2回配本 2000年8月 第4巻 産業復興会議(1)
第5巻 産業復興会議(2)・地方別復興会
第3回配本 2000年10月 第6巻 業種別復興会議
第7巻 企業別復興会議
第4回配本 2000年12月 第8巻 労働組合(1)
第9巻 労働組合(2)
第5回配本 2001年1月 第10巻 政党・経済団体ほか

体裁 B5版上製
各冊平均500頁
定価 全10巻揃価(本体250,000円+税)
各巻(本体25,000円+税)

日本経済評論社
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3-2
TEL 03-3239-1661 FAX 03-3265-2993

 

目次

 

 

組合内諸組織(職種別部会、青年部、文化サークル等)

全労連 (15.04.20URL更新)

 

労働組合国際組織

 

労働運動関連組織

 

労働情報提供機関

 

派遣労働者関連

 

外国人労働者関連

 

裁判闘争・闘争団

 

労働相談

 

労働組合・労働者の国際連帯

目次(地方公務員組合、国家公務員組合地方組織、独立行政法人、教職員組合、合同労組 – 地域別)

 

 

北海道

東北

茨城、栃木、群馬

埼玉・千葉

東京

神奈川

新潟・長野・山梨

静岡・愛知

岐阜・三重・福井・富山・石川

滋賀・京都

大阪・兵庫

奈良・和歌山

岡山・広島

島根・鳥取・山口

四国

福岡・熊本・佐賀・長崎

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カリフォルニア大学ロサンゼルス校労働雇用研究所 (Institute for Research on Labor and Employment, UCLA)

 

カリフォルニア大学サンタクルーズ校労働研究センター (Center for Labor Studies, UC Santa Cruz)

 

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ウェイン州立大学[ミシガン州]ウォルター P. ルーサー記念図書館(Walter P. Reuther Library, Wayne State University)

 

ウェイン州立大学[ミシガン州]労働研究センター(The Labor Studies Center, Wayne State University)

 

ハワイ大学オアフ校労働問題教育研究センター (Center for Labor Education & Research, Hawaii University – West O’ahu)

 

ハーバード大学労働・労働者生活プログラム (Labor and Worklife Program, Harvard Uniersity)

 

マサチューセッツ大学アマースト校労働研究センター (The Labor Center University of Massachusetts – Amherst

 

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フロリダ国際大学労働研究センター (Center for Labor Research & Studies, Florida International University)

 

オレゴン大学労働教育研究センター (Labor Education & Research Center, University of Oregon)

 

ウィスコンシン大学協同組合研究センター University of Wisconsin Center for Cooperatives

 

ヨーク大学グローバル労働研究センター[カナダ](Global Labour Research Centre, York University, Canada)

 

インターユニバーシティー グローバリゼーション・労働研究センター[カナダ] Interuniversity Research Centre on Globalization and Work

 

 

 

ヨーロッパ

 

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マンチェスター大学ヨーロッパ労働・雇用研究センター (European Work and Employment Research Centre, University of Manchester, U.K.)

 

アムステルダム大学アムステルダム先端労働研究所 (Amsterdam Institute for Advanced Labour Studies, University of Amsterdam, Netherland)

 

ウプサラ大学ウプサラ労働研究センター (Uppsala Center for Labor Studies, Uppsala University, Sweden)

 

 

 

労働史研究機関国際協会(IALHI)および同加盟機関

 

International Association of Labour History Institutions (IALHI)

 

IALHI Conferences

 

IALHI Constitution

 

IALHI Members

 

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アメリカ労働省(U.S. Department of Labor)

 

アメリカ労働統計局

 

アメリカ労働安全衛生局

 

アメリカ議会図書館 (Library of Congress)

 

 

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アムネスティ・インターナショナル (Amnesty International)

 

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医療

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その他

大原社会問題研究所雑誌 670号 2014年8月号

表紙・裏表紙
中面

共催 法政大学大原社会問題研究所
   ILO駐日事務所
後援 日本ILO協議会

 国際労働問題シンポジウムは、毎年のILO総会の議題のなかから、日本との関係で興味ある議題を取り上げてきました。今年は、第4議題「新たな人口動態の文脈における雇用と社会的保護」をとりあげ、総会での議論や結論の内容・意義、日本の課題について議論します。今年のシンポジウムでは、人口動態の変化という広い文脈から、高齢者の雇用と社会的保護に関する問題を中心に議論が行われます。また、本議題を担当したILOの専門家の講演も予定しています。なにとぞ奮ってご参加くださるよう、お待ちしています。

日時
2013年10月8日(火) 午後1時~5時30分
会場
法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー(スカイホール)
(〒102-8160 千代田区富士見2-17-1)
交通
【JR線】JR渋市ヶ谷駅または飯田橋駅下車徒歩10分
(ほか地下鉄線あり、詳しくはhttp://www.hosei.ac.jp/access/ichigaya.htmlを参照)
※お車でのご来場はご遠慮ください
参加費
無料

プログラム

2013年のILO総会について ILO駐日代表 上岡 恵子
ILO担当者による講演 ILOアジア太平洋地域総局雇用専門家 松本真紀子
政府の立場から 厚生労働省大臣官房国際課国際労働機関第一係長 寺村 健作
労働者の立場から 日本労働組合総連合会雇用法制対策局部長 城尾 英紀
使用者の立場から 日本経済団体連合会 国際協力本部 本部員 間利子 晃一
人口高齢化と雇用、社会保障-日本の課題 法政大学経営学部教授 奥西 好夫
(司会) 法政大学大原社会問題研究所教授 鈴木 玲

申し込み方法

下記のどちらかに、ファックスかメールで、10月2日(水)までに「国際労働問題シンポジウム」と明記のうえ所属とお名前、連絡先をお知らせください。

ILO駐日事務所
〒 150-0001
渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル8階
FAX: 03-5467-2700
E-mail: ilo-tokyo@ilotokyo.jp

法政大学大原社会問題研究所
〒 194-0298
東京都町田市相原町4342
FAX: 042-783-2311
E-mail: oharains@adm.hosei.ac.jp

共催 法政大学大原社会問題研究所
   ILO駐日事務所
後援 日本ILO協議会

 国際労働問題シンポジウムは、毎年のILO総会の議題のなかから、日本との関係で興味ある議題を取り上げてきました。今年は、第5議題「若年雇用危機」をとりあげます。若年雇用問題は、2005年の総会でも取り上げられ、決議が採択されました。しかし、近年、前例のない若年雇用危機(高水準の若年失業、学校から仕事への移行時の困難増大、若年層に開かれた雇用の質の低下等)への懸念が高まったため、ILO理事会はこの問題を12年総会で再び一般討議として取り上げました。総会では、「若年雇用の危機:行動の要請」と題する決議が採択されました。本シンポジウムでは、総会での議論や決議の内容・意義、日本の課題について議論します。本議題を担当したILOの専門家の講演も予定しています。なにとぞ奮ってご参加くださるよう、お待ちしています。

日時
2012年10月23日(火) 午後1時~5時30分
会場
国連大学ビル5階 エリザベスローズ・ホール (〒150-0001 渋谷区神宮前5-53-70)
交通
【JR線】JR渋谷駅下車徒歩8分
【地下鉄線】地下鉄表参道駅下車、出口B2(銀座線、半蔵門線、千代田線乗り入れ)から徒歩5分
※お車でのご来場はご遠慮下さい。
参加費
無料

プログラム

2012年のILO総会について ILO駐日代表 上岡 恵子
ILO担当者による講演 Youth Employment Specialist, ILO Regional Office for Asia and the Pacific Matthieu COGNAC
政府の立場から 厚生労働省大臣官房国際課課長補佐 朝比奈 祥子
労働者の立場から 日本労働組合総連合会副事務局長 安永 貴夫
使用者の立場から 日本経済団体連合会 国際協力本部副本部長 松井 博志
若者の雇用問題 東京大学大学院教育学研究科教授 本田 由紀
(司会) 法政大学大原社会問題研究所教授 鈴木 玲

申し込み方法

下記のどちらかに、ファックスかメールで、10月19日(金)までに「国際労働問題シンポジウム」と明記のうえ所属とお名前、連絡先をお知らせください。

ILO駐日事務所
〒 150-0001
渋谷区神宮前5-53-70国連大学ビル8階
FAX: 03-5467-2700
E-mail: ilo-tokyo@ilotokyo.jp

法政大学大原社会問題研究所
〒 194-0298
東京都町田市相原町4342
FAX: 042-783-2311
E-mail: oharains@adm.hosei.ac.jp

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総評
全評
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総連合
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俸給生活者
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農民組合 近畿地方
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農民組合 四国地方
農民組合 九州地方


●労働運動(つづき)
電気・ガス
愛国労働運動
その他組合
統一運動
労働組合調査
労働組合規約集
工場委員会調
日本労働党・青年労働党
日本社会主義同盟
政治研究会
無産政党組織準備委員会
労働農民党
新党組織準備会
政治的自由獲得労農同盟
新労農党
日本農民党
社会民衆党
日本労農党
無産大衆党
日本大衆党
無産政党戦線統一協議会
東京無産党
全国民衆党
無産政党統一全国協議会
全国労農大衆党
社会大衆党
国家社会主義政党
地方政党
保守政党
普選運動
メーデー
政治運動
文化運動
青年運動
婦人運動
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水平運動
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借家人運動
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宗教・反宗教
右翼団体
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転向者団体
分類不能の団体
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〔2003.2.27更新〕 since 2001.4.6

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出版物名 価格
大原社会問題研究所五十年史 2001 (メタブレーン・オンデマンド出版)
2,500円
刊行物および雑誌論文総目録(1920-1964)1964
 
韓国労使関係の展開と現状 1997 (総合労働研究所)
4,700円
協調会の研究
5,200円
協調会文庫目録(和書の部) 1977
 
金属産業労働組合の組織と活動 1970(労働旬報社発行) 880円
現代の韓国労使関係 1998 (御茶の水書房)
6,200円
現代の経済構造と労使関係 舟橋尚道編著1984(総合労働研究所)
2,500円
現代の高齢者対策 1985 (総合労働研究所発行)
3,200円
向坂逸郎文庫目録 Ⅰ 日本語図書分類順 1992 
3,000円
向坂逸郎文庫目録 Ⅱ 日本語図書索引   1993 
2,700円
向坂逸郎文庫目録 Ⅲ 外国語       1994 
2,700円
向坂逸郎文庫目録 Ⅳ 逐次刊行物    1995
1,600円
向坂逸郎文庫目録 Ⅴ 原資料       2001
800円
失業者の存在形態 1956 (東洋経済新報社)
420円
社会運動の半世紀展 1969
 
社会問題関係法規 1928
 
社会民主主義研究資料 第2集 1964
 
写真でみるメーデーの歴史 1979 (労働旬報社発行)
2,500円
証言・産別会議の運動  2000 (御茶の水書房発行)
6,500円
証言・産別会議の誕生  1996 (総合労働研究所発行)
5,340円
証言・占領期の左翼メディア  2005 (御茶の水書房発行)
6,600円
資料展示会 三池争議と向坂逸郎(図録)
300円
賃金の階層別変動とその原因 1954
 
東京に於ける機械工業の熟練職工としての仕上工並に旋盤工の賃銀調査報告 1924
 
日本労働年鑑 大正九年版
 
同    30集 1957 (東洋経済新報社発行)
1,500円
同    41集 1968 (労働旬報社発行)
3,500円
同    43集 1970 (労働旬報社発行)
4,600円
同    45集 1972 (労働旬報社発行)
6,500円
同    46集 1973 (労働旬報社発行)
6,800円
同    48集 1975 (労働旬報社発行)
7,500円
同    56集 1985 (労働旬報社発行)
9,000円
同    57集 1986 (労働旬報社発行)
9,800円
同    64集 1994 (労働旬報社発行)
11,650円
同    65集 1995 (労働旬報社発行)
14,563円
同    72集 2002 (旬報社発行)
15,000円
同    74集 2004 (旬報社発行)
15,000円
同    78集 2008 (旬報社発行)
15,000円
同    82集 2012 (旬報社発行)
15,000円
農民運動史資料     10号 1973
 
同           11号 1976
1,500円
同           12号 1978
 
同           13号 1980
 
標的を撃つ 大島清著 1983 (木村経済研究所発行)
2,000円
松川裁判と松川運動に関する資料目録 1971
 
<連合時代>の労働運動 1992 (総合労働研究所発行)
4,369円
労働問題関係文献目録 1957
 
労働運動史資料 関東合同争議調査記録  
同   5集 日本労働組合評議会資料その4  1960  
同   6集 日本労働組合評議会資料その5  1960  
同   7集 日本労働組合評議会資料その6  1961  
同   8集 日本労働組合評議会資料その7  1963  
同   9集 日本労働組合評議会資料その8  1963  
同  10集 日本労働組合評議会資料その9  1965  
同  11集 日本労働組合評議会資料その10 1966  
同  12集 日本労働組合評議会資料その11 1967  
労働組合は本当に役に立っているのか 1988(総合労働研究所発行)
3,000円
労働者文化と労働運動-ヨ-ロッパの歴史的経験- 1995(木鐸社発行)
3,000円
労働の人間化の新展開 1993 (総合労働研究所発行)
4,369円

 

大学や学部の枠を超えた、社会政策(雇用・労働問題、社会保障・社会福祉)にかかわる研究交流ネットワークです。さまざまな大学・研究機関の大学院生・研究者のほか、社会問題に関心のある学生・市民の参加も歓迎します。

 

6月開催予定

日時: 2021年6月26日(土)15時30分~17時30分

報告者: 跡部千慧(立教大学コミュニティ福祉学部助教)

報告テーマ: 小学校教員におけるジェンダー間職務分離の考察――1960年代入職小学校女性教員のライフストーリーを事例として(仮)

開催場所: オンライン(Zoom)

参加申込フォーム:https://forms.gle/z2hbCdaDF6JRZ63t7(当日の正午まで)

 

開催記録

 

開催日 報告者 所属 報告テーマ 開催場所
第82回 2021年5月24日(月) 藤原千沙 法政大学大原社会問題研究所専任研究員

貧困と子育てのダイナミクス――コロナ禍における母子世帯の毎月パネル調査から オンライン
第81回 2021年4月24日(土) 加藤旭人 一橋大学大学院社会学研究科特任講師(ジュニアフェロー)

1990年代以降の障害をめぐる教育、福祉、地域社会の再編成――東京都多摩地域における障害者の地域活動を事例に オンライン
第80回 2021年3月13日(土) 御澤晴人 法政大学大学院人間社会研究科博士後期課程)

国民年金制度成立期における事務組織の検討経過――実施機関の見解を踏まえた分析 オンライン
第79回 2021年2月27日(土) 渋谷淳一 上海立信金融会計学院外国人講師/法政大学大原社会問題研究所客員研究員 アジアから日本への若者移民――送り出し機関へのインタビューから検討する移民システムの現状 オンライン
第78回 2021年1月24日(日) 朴峻喜 埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程 2013 年韓国鉄道ストにおける組合団結の要因――「社会公共性」を中心に オンライン
第77回 2020年12月27日(日) 渡邊健一 日本地域福祉研究所 当事者視点から読み解く「読書バリアフリー基本計画」――日本点字制定130周年に策定された意義と課題 オンライン
第76回 2020年11月23日(月・祝) 韓惠善 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程 「買う-買ってあげる-買わない」韓国における不買行動の実践とその意味 オンライン
第75回 2020年10月17日(土) 藤原千沙 法政大学大原社会問題研究所専任研究員 子育てを保障する社会政策の構想――母子世帯の承認と再分配をめぐって オンライン
第74回 2020年9月29日(火) 鄭育子 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程 多文化の子どもたちと学校教育――韓国B小学校「クムトゥレ」の実践 オンライン
第73回 2020年8月8日(土) 中野航綺 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程 社会福祉専門職と資格制度――資格化はいかにして「正当化」されてきたか オンライン
第72回 2020年7月19日(日) 鈴木美貴 城西国際大学他非常勤講師 地域福祉分野における行政と住民の協働に関する考察 オンライン
第71回 2020年6月27日(土) 林亜美 お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士後期課程 性別職域分離からみた職業訓練科目についての一考察 オンライン
第70回 2020年5月16日(土) 金杉範子 城西国際大学大学院博士課程満期退学 農業分野における女性の新規就農への可能性――短時間労働に従事する女性の語りから オンライン
第69回 2020年4月25日(土) 森瑞季 大阪市立大学経済学部特任助教 〈わたし〉はまだケアを知らない――博士論文執筆を終えた上での今後の課題 オンライン
第68回 2020年3月21日(土) 小長井晶子 名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程 就学奨励構想をめぐる文部省と厚生省の政策的対立――1951年の義務教育就学奨励法構想をめぐって 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー会議室D
第67回 2020年2月6日(木) 藤原千沙 法政大学大原社会問題研究所専任研究員 子育ての生活資源保障に関する研究――「雇用を通した生活保障」と母子福祉 法政大学大原社会問題研究所会議室
第66回 2020年1月30日(木) 遠藤希和子 立正大学社会福祉学部助教 高齢社会のハウジング――Aging in Placeの可能性を考える 法政大学大原社会問題研究所会議室
第65回 2019年12月14日(土) 平安名萌恵 立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程 <沖縄的状況>で子どもを産み育てる意味――沖縄の非婚シングルマザーの生活史を中心に 法政大学大原社会問題研究所会議室
第64回 2019年11月30日(土) 金杉範子 城西国際大学大学院博士課程満期退学 農業パートに従事する女性のエンパワーメントの形態――農業パート女性の語りから 法政大学大原社会問題研究所会議室
第63回 2019年10月24日(木) 朴東民 立教大学大学院コミュニティ福祉学研究科博士後期課程 韓国の「子どもの貧困予防及び支援等に関する法律」の課題――主要事項の実施状況の分析を中心に 法政大学大原社会問題研究所会議室
第62回 2019年9月14日(土) 大澤優真 法政大学大学院人間社会研究科博士課程 外国人と生活保護をつなぐ論理 合宿研究会
第61回 2019年8月30日(金) 渡邊健一 日本地域福祉研究所所員 「心のバリアフリー学習」とユニバーサルデザインのまちづくりに資する政策課題――バリアフリーを願い活動する当事者の逐語を手掛かりに 法政大学大原社会問題研究所会議室
第60回 2019年7月27日(土) ヨハネス・キーナー 埼玉大学人文社会科学研究科准教授 住宅市場と生活保護――大阪市西成区の事例から 法政大学大原社会問題研究所会議室
第59回 2019年6月27日(木) 栗原和樹 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程 教師の貧困観とその成立背景――貧困地域の小学校を事例に 法政大学大原社会問題研究所会議室
第58回 2019年5月11日(土) 原田玄機 白梅学園大学非常勤講師 作業所の対象と担い手は誰であったのか――知的障害者の福祉的就労の成立に関する検討 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー会議室D
第57回 2019年4月18日(木) 浜野佑貴 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程 地域社会における子ども食堂の受容――X市団体運営者へのインタビュー調査から 法政大学大原社会問題研究所会議室
第56回 2019年3月12日(火) 御澤晴人 法政大学大学院人間社会研究科博士後期課程 国民年金事業史――1961年から1973年までの地域差に着目した考察 法政大学大原社会問題研究所会議室
第55回 2019年2月25日(月) 董玉亭 ハーバード大学大学院歴史と東亜言語研究科博士課程 「満洲」における形成された労務システムの再考察――満鉄と土建労働者との関係を中心に 法政大学大原社会問題研究所会議室
第54回 2019年1月12日(土) 森瑞季 大阪市立大学大学院経済学研究科後期博士課程 労働統合型社会的企業研究を深めるための思想的アプローチ――承認・信頼・配慮、そして愛 法政大学大原社会問題研究所会議室
第53回 2018年12月13日(木) 杉森美和子 東京大学大学院教育学研究科博士課程 「あの頃」の行方――精神障がいの親を持つ子によるピアサポート活動の可能性と課題 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第52回 2018年11月29日(木) 仲地二葉 中央大学大学院経済学研究科博士後期課程 過重労働防止の文脈からみた労働時間政策の実効性 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第51回 2018年10月28日(日) 霜田菜津実 法政大学大学院経済学研究科修士課程 1970~1980年代における電機労連「賃金政策」の「職能給」化の背景――労働組合が考える望ましい賃金制度の変容 法政大学大原社会問題研究所会議室
第50回 2018年9月20日(木) 三宅雄大 首都大学東京人文科学研究科客員研究員 生活保護利用世帯における大学等「就学機会」に関する研究 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 会議室3
第49回 2018年8月27日(月) 遠藤希和子 立正大学社会福祉学部助教 地域に住み続けるための移住という選択――Continuing Care Retirement Community(CCRC)を地域居住と呼べるのか 合宿研究会
第48回 2018年7月26日(木) 大澤優真 法政大学大学院人間社会研究科博士課程 外国人と生活保護――地方自治体による生活保護準用の根拠に着目して 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第47回 2018年6月16日(土) 鄭安君 宇都宮大学大学院国際学研究科博士後期課程 台湾の介護分野における外国人労働者の状況――雇用主、仲介業者、労働者の「総弱者化」 法政大学大原社会問題研究所会議室
第46回 2018年5月17日(木) 高原正之 大正大学客員教授 解雇規制の在り方を考える――解雇か合意解約か 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第45回 2018年4月28日(土) 田中聡一郎 関東学院大学経済学部講師 厚生官僚のオーラルヒストリー――聞き取りの全記録にたずさわって 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー 19階 会議室D
第44回 2018年3月22日(木) 御澤晴人 法政大学大学院人間社会研究科博士後期課程 1990年代における国民年金保険料納付率低下の要因と背景 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第43回 2018年2月26日(月) 畠中亨 帝京平成大学健康医療スポーツ学部助教 公的年金給付水準の「基準」に関する検討 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第42回 2018年2月15日(木) 内田康弘 日本学術振興会特別研究員PD(愛知教育大学) 私立通信制高校サポート校生徒の学校経験に関する一考察――高校中退経験者の移行過程に着目して 法政大学多摩キャンパス  EGGDOME 5階 研修室1・2
第41回 2017年12月12日(火) 渡邊健一 日本地域福祉研究所所員 新・社会教育主事養成課程への改編期にみる教育政策の今後――地域学校協働活動の推進に着目して 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第40回 2017年11月7日(火) 霜田菜津実 法政大学大学院経済学研究科修士課程 年功賃金はいかにして確立したのか 法政大学多摩キャンパス  EGGDOME 5階 研修室1・2
第39回 2017年10月10日(火) 堀川祐里 中央大学大学院経済学研究科博士課程 総動員体制下における女性労働者の健康と賃金の管理 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第38回 2017年9月3日(日) 阿川千尋 日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程前期 受療困難者と無料低額診療事業――社会福祉事業としての医療 合宿研究会
第37回 2017年8月28日(月) 原田玄機 一橋大学大学院社会学研究科博士課程 限定的な施設入所とケアラーとしての家族――なぜ「知的障害者」は親元に暮らしながら作業所に通うのか 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第36回 2017年7月4日(火) 藤原千沙 法政大学大原社会問題研究所専任研究員 「子どもの貧困」の問題構制 法政大学大原社会問題研究所会議室
第35回 2017年6月17日(土) 大澤優真 法政大学大学院人間社会研究科博士課程 外国人に対する生活保護準用の不安定性――史的変遷からの考察 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第34回 2017年5月27日(土) 金子良事 法政大学大原社会問題研究所兼任研究員 戦時期における人口政策、労働政策、都市計画の有機化 法政大学大原社会問題研究所会議室
第33回 2017年4月21日(金) 高原正之 労働政策研究・研修機構客員研究員 解雇規制は本当に日本の就業率を下げているのか? 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 会議室4
第32回 2017年3月17日(金) 岩永理恵 日本女子大学人間社会学部准教授 地方自治体における生活保護・社会福祉行政の歴史研究 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第31回 2017年2月14日(火) 西脇啓太 早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程 法定後見支援と被後見人の生活との関係 法政大学大原社会問題研究所会議室
第30回 2017年1月31日(火) 保田真希 北海道大学大学院教育学院博士後期課程 発達に不安をもつ子を育てる家族の子育て――地域移動と社会関係に着目して 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第29回 2016年12月13日(火) 鄭育子 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程 韓国の多文化教育と多文化政策――京畿道B小学校の事例より 法政大学大原社会問題研究所会議室
第28回 2016年11月29日(火) 文聖姫 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程 北朝鮮の経済改革・開放政策と市場化 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第27回 2016年10月22日(土) 新川綾子 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程 1922年健康保険法成立期の工場労働者の「健康」――工場災害の実態に注目して 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第26回 2016年9月1日(木) 畠中亨 帝京平成大学 地域医療学部 助教 貧困対策の社会政策における位置 合宿研究会
第25回 2016年8月23日(火) 田中麻衣子 東京大学大学院教育学研究科博士課程 「居場所」概念による実践の構成――規則の語りと当惑の経験に着目して 法政大学大原社会問題研究所会議室
第24回 2016年7月29日(金) 山邊聖士 一橋大学大学院社会学研究科修士課程 生活保護行政におけるケースワーク実践の困難性 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第23回 2016年6月17日(金) 高木加奈絵 東京大学大学院教育学研究科博士課程 占領政策転換期における日本教職員組合の労働運動史的研究 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第22回 2016年5月18日(水) 前原鮎美 法政大学大学院経済学研究科博士後期課程 J.S.ミルの『経済学原理』と『女性の隷従』における「完全なる男女同権の原理」 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 会議室2
第21回 2016年4月25日(月) 原田玄機 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程 知的障害者処遇の特徴としての就労指向――入所施設と作業所の検討を通して 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第20回 2016年3月15日(火) 渡邊健一 法政大学大学院人間社会研究科修士課程 身体障害当事者による福祉教育実践の実態――当事者講師21名のインタビュー調査から 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 会議室3
第19回 2016年2月17日(水) 北原零未 大妻女子大学 兼任講師 PaCSから同性婚法成立へ――個人主義大国フランスにおける〈カップル主義〉 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第18回 2016年1月9日(日) 寺尾範野 共立女子大学国際学部専任講師 優生学とイギリス福祉国家思想――世紀転換期のニューリベラリズムを題材として 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第17回 2015年12月8日(火) 川崎暁子 法政大学大学院経済学研究科博士後期課程 タイの子どもと若者の学校、仕事、移民――タイ社会経済調査(THSES)2007の分析から 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第16回 2015年11月11日(水) 畠中亨 法政大学大原社会問題研究所兼任研究員 社会政策と「保険」の関わり――長沼建一郎著『個人年金保険の研究』(法律文化社、2015年)を読む 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第15回 2015年10月4日(日) 小澤裕香 金沢大学人間社会学域経済学類准教授 フランスにおける就労困難層の生活・就労支援 法政大学大原社会問題研究所会議室
第14回 2015年9月3日(木) 藤田理雄 法政大学大学院経済学研究科博士後期課程 労働とシチズンシップ:Economic Citizenshipの検討 合宿研究会
第13回

2015年8月12日(水)

藤原千沙 法政大学大原社会問題研究所専任研究員 男女賃金格差と労働時間の把握――政府統計の現状と問題点 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第12回 2015年7月15日(水) 鄭育子 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程 基地,「基地村」,多文化政策:韓国の移民2世の子どもたち 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 会議室4
第11回 2015年6月8日(月) 金子良事 法政大学大原社会問題研究所兼任研究員 社会政策の源流としての1910-20年代の社会行政 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第11回 2015年6月8日(月) 西田善行 法政大学大原社会問題研究所リサーチアシスタント テレビ映像の資料的価値の検討――環境報道アーカイブの取り組みから 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第10回 2015年5月12日(火) 粟倉大輔 中央大学経済学部助教 明治期日本における製茶再製と「再製茶女工」 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第9回 2015年4月11日(土) 志賀信夫 一橋大学大学院特別研究員 貧困理論とケイパビリティアプローチ 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第8回 2015年3月10日(火) 松川誠一 東京学芸大学教育学部准教授 ひとり親家庭に育つ高校生の進学アスピレーションは低いのか 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第7回 2015年2月18日(水) 窪和広 日本大学大学院文学研究科博士後期課程 中卒労働者の地域間移動――1960年代から1970年代に着目して 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 会議室4
第6回 2015年1月22日(木) 鈴木力 一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程 高度成長期における港湾労働力市場の構造――横浜港を事例に 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第5回 2014年12月3日(水) 金子良事 法政大学大原社会問題研究所兼任研究員 日本における企業別組合の起源 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 研修室1・2
第4回 2014年11月12日(水) 川崎暁子 法政大学大学院経済学研究科博士後期課程 児童労働の原因と認識――なぜ子どもが働くか 法政大学大原社会問題研究所会議室
第3回 2014年10月8日(水) 藤田理雄 法政大学大学院経済学研究科修士課程 現代の働く意味・目的広がりについて 法政大学多摩キャンパス EGGDOME 5階 会議室4
第2回 2014年9月10日(水) 渡邊健一 法政大学大学院人間社会研究科修士課程 身障当事者にとっての福祉教育活動〈序論〉――“障害者市民”の一社会活動の視点を探究する 法政大学大原社会問題研究所会議室
第1回 2014年8月20日(水) 畠中亨 法政大学大原社会問題研究所兼任研究員 マクロ経済スライドと高齢低所得者対策――年金生活者支援給付費金を中心に 法政大学大原社会問題研究所会議室
準備会 2014年7月9日(水) 小尾晴美 中央大学大学院経済学研究科博士後期課程 認可保育所の職務配置と「非正規保育士」 法政大学大原社会問題研究所会議室

 

個人選挙ポスター 政党関係ポスター 労働組合ポスター 労働争議ポスター
あ~い(68)
-浅沼稲次郎・麻生久など
う~お(65)
-大山郁夫など
か~こ(75)
-菊池寛・加藤勘十・河上丈太郎など
さ~そ(56)
-鈴木茂三郎・鈴木文治・西光万吉・杉山元治郎など
た~と(43)
-高橋正雄・田万清臣など
な~の(36)
-西尾末広・野田律太など
は~ほ(55)
-一松定吉・福田狂二・細野三千雄など
ま~も(73)
-松岡駒吉・三輪寿壮など
や~わ(33)
-山本懸蔵・山本宣治など
日本共産党(22)
労働農民党(61)
新労農党(23)
日本労農党(23)
日本農民党(24)
日本大衆党(5)
全国大衆党(27)
全国労農大衆党(26)
社会大衆党(27)
大衆党(20)
社会民衆党・全国民衆党(4)
民政党・政友会(7)
複数政党・その他政党(9)
選挙日程(17)
選挙関係(23)
●全国組織
総同盟(3)
評議会(7)
全協(1)
組合同盟(11)
全国労働(23)
その他(15)

●個別組合
あ~お(大阪など)(30)
か(関東など)(62)
き~こ(11)
さ~そ(9)
た~と(東京など)(29)
な~の(日本など)(22)
は~ほ(12)
ま~わ(11)

●失業関係
国民救済同盟ほか(3)

あ~お(109)
か~こ(73)
さ~そ(31)
た~と(120)
な~の(25)
は~ほ(12)
ま~も(47)
や~よ(48)
ら~わ(8)

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法政大学大原社会問題研究所
〒194-0298 東京都町田市相原町4342
TEL 042-783-2305 FAX 042-783-2311

詳しくは「著作権について」をご覧ください。

制作スタッフ

監修 谷口 朗子
資料整理総指揮 若杉 隆志
資料の修復+脱酸処理 有限会社CAT
資料整理(1)
フィルム・エンキャプシュレーション
高橋 芳江
岩井 睦子
古谷 郁子
小出 啓子
坂本 ひろ子
資料整理(2)
検索データ入力
谷口 朗子
考証アドバイザー 二村 一夫
撮影 加藤写真店(加藤泰昭)
画像処理 加藤写真店(加藤泰昭)
リブロ電子工房
(是枝洋・金子規子・勝村麗子)
オーサリング リブロ電子工房
(是枝洋・金子規子・勝村麗子)
野村 一夫
「OISR.ORG20世紀ポスター展」
プロデュース
野村 一夫
英語版作成 鈴木 玲

[Last Modified:2008.3.4] since 1999.11.22

  1. 1 カードボックスの小宇宙から
  2. 2 資料整理の経緯
  3. 3 コレクションの成立事情
  4. 4 コレクションの概要
  5. 5 保存と公開
  6. 6 モダンの力
  7. 7 ガウディ方式

■カードボックスの小宇宙から

 そのカードボックスは、当研究所入口で閲覧者をお迎えするサービスカウンターのちょうど正面にあります。ボックスを引っぱり出してカードを繰ると、そこにはポスターの白黒縮小コピーがひとつひとつ糊付けされていて、それに関する基礎データが手書きで書き込んであります。蔵書カードのようにそっけなくはありません。カードを繰ってその白黒の縮小コピーを眺めているだけで、20世紀のある種の熱気を感じとることができます。そしてそれらの一枚一枚が細かく分類されて並んでいるのです。カードボックスを外から見ただけでは、だれもこのような整然たる小宇宙が内部に広がっているとは想像できないでしょう。

 そこで展開されているのは、戦前戦後を通じて街中や工場や事務所そしてさまざまな運動の現場に貼りだされていた夥しい数のポスターのコレクションです。当研究所には大量の所蔵資料がありますが、その中でもポスター資料は戦前戦後の日本のものだけでも約4000点あります。そのうち戦前のポスター資料についてはほぼ整理ができています。カードボックスはその成果なのです。

 ポスターが中心ですのでポスター資料と呼んでいますが、じつは旗やビラや回覧文書もふくまれています。それらを合わせて戦前だけで約2700点あります。今回の企画はこのすべてをスライドショウ形式でオンライン展示するというものです。

 と言っても初公開ではありません。すでに元所員の是枝洋さんの手によって「大原デジタルライブラリー」にデータベース形式で全コンテンツが公開されています。また書簡などの画像データをふくめて人物・組織ごとに検索できるサービスもしています。

史料データベース(http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/search/db/siryou_db/)
マルチメディアDB基本ファイル(http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/search/basic/)

 ですから、より正確に言えば、この企画は研究所のカードボックスをそのままインターネット上に公開しただけなのです。わざわざお越しにならなくても、自宅にいながらにしてコレクションの全容(ただし整理された分だけですが)を閲覧することができます。題して「OISR.ORG20世紀ポスター展」。ミレニアム特集として法政大学大原社会問題研究所の公式サイト “OISR.ORG” (オイサー・オルグ)が、このカードボックスの小宇宙に広がる所蔵ポスター資料約2700点をすべて公開します!

■資料整理の経緯

 カードボックスを作成されたのは、元所員の谷口朗子さんです。ですから今回のポスター展では監修者として登場していただきました。谷口さんは長く当研究所所員として資料整理に携われてこられた方で、現在は退職されていますが、週に何回かは来られて資料整理をされています。

 今回、谷口さんに書いていただいた思い出話によると、ポスターの資料整理は20年以上前にはすでに始まっていたとのことです。

 「思い起こせば(随分古い言い方ですが)20数年前、麻布校舎の4階の大教室の片隅にマップケースが据えられて柏木の土蔵よりポスターが運び込まれ(この時、だれが作業をしたのか私も加わっていたのか全然記憶にないのですが)アルバイトの久保村君と整理を始めました。ラッピングなど夢のまた夢の頃ですので傷む前に写真にでも撮って、それを閲覧者に見てもらえばよいと久保村君が自前のカメラを持参して白黒の手札版の写真を作ってくれました。余りいじると危険なので重複なども気にせず端から写したものです。」

 法政大学に麻布校舎があったこと自体、知っている人は少ないのではないでしょうか。「柏木の土蔵」というのは、当研究所の所蔵していた土蔵で、淀橋区柏木(現在は新宿区北新宿)にありました。1945年5月の東京大空襲による火災で研究所の事務所と書庫が焼けたそうですが、それにもかかわらず「柏木の土蔵」は焼け残ったといいます。よほど強固な土蔵だったようです。そして、その土蔵に貴重な歴史的資料の数々が収納されていたのでした。この大仕事をした土蔵については「二村一夫著作集」「大原社研こぼれ話」に回想があります。とくに「柏木の土蔵」の項(http://oisr.org/nk/column06.htm)をご参照ください。なお、一般に「東京大空襲」は3月10日の空襲を指すようですが、5月25日にも大規模な東京空襲がありました。3月の空襲では下町が壊滅状態になったのに対して、5月の空襲は山の手を焼き尽くしました。「君の名を」の空襲も、長谷川如是閑宅を焼いた空襲も、そして柳瀬正夢が死んだ空襲も、この5月の空襲です。

 「分類整理も無産政党の整理を始める前でしたので戦前の政党が数年で離合集散を繰り返している事などは知らず政党別に区分し『同じ名前の人が色々の政党から立候補してますよ』などと久保村君に云われたりしながら暗中模索を繰り返しておりました。これが後の整理で人名別にする事になったわけです。」

 無産政党の離合集散については、そのうち参考資料をつけたいと思っていますが、たいへんややこしいのです。それもこれも当時の政治的熱気のせいでしょう。

 「退職間際に戦前のポスターだけでもカード化したいと、この時には大原の資料が電子図書館化するなど夢想だにしておりませんでしたので、久保村君の撮った写真をゼロックスで縮小コピーしてカードに貼って一応戦前の部だけは完成しておりました。退職後、戦前資料のマルチメディア・データーベース化ということで科研費が取れたから手伝わないかといわれて研究所に出入りするようになってからの作業は、昔に比べると少々乱暴に扱っても傷む心配もなく随分楽になりました。」

 このようななりゆきで現在のカードボックスが作成されたということです。一朝一夕でなるものではありません。

 地味なカードボックスではありますが、さすがに気がつく人はいるもので、これまでにも「全部ゼロックスコピーしてください」という閲覧者がいらっしゃったそうです。さすがですね。そんな閲覧者の方も、あるいは今までそのような世界をご存じなかった方も、これからは、みなさんいつでも全部をご覧になれるというわけです。

■コレクションの成立事情

 当研究所の所蔵資料の詳細については「大原デジタルライブラリー」の次のページをご覧ください。

所蔵図書・資料の紹介

 くわしくはこれを参照していただくことにして、ここではポスター資料に即してかいつまんで説明しておきましょう。説明は上記の「所蔵図書・資料の紹介」におさめられている二村一夫・名誉研究員と谷口朗子・元所員による資料解説(1989年執筆)に依拠しています。

 当研究所がこのような資料を収集するようになったのは、1923年に資料室を設けたことに始まります。図書室はすでにありましたので、資料室は「図書ではない資料」を収集することになりました。資料室主任・後藤貞治は、その当時ではまだ紙屑としか考えられていなかった社会・労働運動関係の原資料を意識的に収集し始めました。その中心となったのがポスターやチラシでした。

 たとえば、1928年には第1回普通選挙がおこなわれました。この歴史的な総選挙のときには無産政党から数多くの人物が立候補しました。そのときの選挙ポスターには、新聞紙に赤インクで名前を書いただけのものから、著名な画家・柳瀬正夢(やなせまさむ)が描いた大山郁夫のポスターまでさまざまなものがありました。これらが大量に集められています。また、メーデーやプロレタリア演劇のポスターやチラシなども数多く収集されています。そんなポスターを、研究員たちが選挙後の街角の電柱や板塀から丁寧にはがして持ち帰る姿を想像してみてください。この仕事については「二村一夫著作集」内にある「大原社研こぼれ話」「後藤貞治のこと」をご参照ください。

 資料室は、労働組合・農民組合・無産政党からその所蔵資料を一括購入することもしたようです。どんなビラでも1枚5銭で買ったということで、選挙のさいに組合本部の資料を研究所に売却して運動資金にしたというところもあったようです。今ではこのような方法で資料を購入するということはほとんどないようですが、「大原社研に渡しておけば貴重な記録が保存される」ということで運び込まれた例は当時からあったようで、保存と整理を期待して研究所に資料を持ち込む伝統は現在も続いています。

 なお、当研究所の歴史については、前掲の「二村一夫著作集」におさめられた「第3巻 『大原社会問題研究所をめぐる人びと』」をご覧ください。とくに「大原社会問題研究所を創った人びと」が必見です。戦前戦後の著名な大学者や歴史的人物が次々に登場します。

■コレクションの概要

 コレクションの内容については「百聞は一見にしかず」で、スライドショウをご覧いただければいいのですが、なにぶんにも量が多いですから、ひと通り概観しておきましょう。

 第一に歴史資料として貴重なものがたくさんあります。とくに貴重なものは、第1回普選における選挙ポスターや政党の宣伝ポスターです。無産政党のポスターが大部分を占めているのが特徴ですが、政友会や民政党も若干ふくまれています。有名人としては菊池寛・大山郁夫のものがあります。形態として珍しいのが、新聞紙に謄写版刷で赤色に刷った野田律太のポスターです。コピーとして主張性のあるものが多いのもこの時期の特徴で、たとえば立憲民政党の「借金して見えを張る政友会、整理緊縮真面目で押し行く民政党」というものなどは、かえって直截な表現が印象的です。デザイン的には、内務省が棄権防止を訴えた「投票スレバ明クナリ、棄権スレバ暗クナル」という明暗2色刷りのポスターなど、デザインの原点を確認させてくれるものです。

 労働運動関係ポスターでは大会や争議のものが中心です。農民組合関係では全国大会や小作争議のポスターが中心です。水平運動関係としては各年の全国大会ポスターや、福岡連隊の差別糾弾の真相大演説会のポスター、大和同志会の「差別てっぱいは平和の基礎」という宣伝部のポスターなどがあります。

 メーデー関係では各年の宣伝ポスターが中心ですが、珍しいものとしては大阪鉄工組合と向上会で作った小旗があります。プロレタリア文化運動関連では、「太陽のない街」などの演劇・映画・音楽会のポスターや、『マルクス・エンゲルス全集』『マルクス主義選集』の広告宣伝用のものがあります。また、借家人組合運動の中には「電燈料三割値下げ」を要求している電燈電力ガス値下げ期成同盟のものや「地代家賃値下演説会」などがあり、消費組合運動では大会宣伝ポスター、婦人運動では婦選獲得運動啓蒙ポスター、労働者教育では大阪労働学校のものや「ブラジル事情及び語学講習会」など、戦前の社会運動に関するものを網羅しています。その他、1921年の川崎・三菱造船所争議や1924年の大阪市電争議・墨田合同運漕船夫争議、また農民運動では伏石小作争議等を記念して作られた絵ハガキが数点あります。

 美術史的な観点からは、画家・柳瀬正夢によるポスターが多数ふくまれているのが特徴です。柳瀬は「ねじ釘」の頭のような署名(コーヒービーンにも見える)をポスターに残しておりまして、確認できているものだけでも50点の作品が大原のポスター・コレクションにふくまれています。柳瀬正夢については、最近、井出孫六氏が『ねじ釘の如く』という評伝をだされております(岩波書店刊)。かんたんな解説は「マルチメディア・データベース基本ファイル」にあります(「柳瀬正夢」のページ参照。「ポスター・データベース」にチェックを入れて検索してみてください)。

■保存と公開

 これらのポスター資料は、そのままでは朽ちてしまうおそれがあるので、脱酸処理が施されています。さらにフィルム・エンキャプシュレーションという作業を施します。今回公開分については1990年から1991年にかけておこなっています。当時この作業に携わった高橋芳江さんによると、それは次のような手順でおこなわれたそうです。

 「ポスターを(有)キャットで脱酸されたものを透明のポリエステルフィルムでカバーしていきます。まず、ポスターの大きさより少し大きめにカットしたフィルムの内側をガーゼでこすり静電気を起こして密着させます。写真撮影等のため、とりはずしやすいようにL字型に両面テープをとめます。その際、ポスターが直接ふれないように、1cm位あけます。小さいポスターやビラのようなものは既製のポリプロピレンの透明の袋に入れました。」

 このような現物資料の場合は、公開も大事ですが、保存すること自体に価値があります。なるべく現物が傷まないよう周到に準備し、その上で広く公開して存在を知っていただくことになります。どのようなものがあるのかを知っていただくだけであれば現物を公開する必要はありません。カードやウェッブで十分です。ただし、カードを見るには来所していただくしかありませんから、インターネットでそれらをあらかじめ公開しておくことで閲覧者のコストは格段に低くなります。その意味で、このポスター展は「保存と公開のジレンマ」を解決するひとつの手だてでもあります。

■モダンの力

 ポスター展の副題は「法政大学大原社会問題研究所所蔵資料2700点で見る戦前期日本の〈モダンの力〉」です。〈モダンの力〉は〈モダンのちから〉です。どれも貴重な歴史資料であり研究素材ではありますが、総じて20世紀前半のモダニズム草創期特有の力強いタッチが印象的です。今日的視点から見ると、それは必ずしも洗練されているとは言えないでしょうが、ある種のレトロモダンな身ぶりの原型がそこにはあります。

 「ワーカーズ・レッド」とでもいうのでしょうか、独特の赤インクの多用。流星のように乱舞する尖った飾り文字。「読め!」と見ている人を呼びつける、なんともあられのない直接話法。あからさまに敵をののしる真っ直ぐなコピー。これこそ日本近代の出発点であると私は感じます。それを〈モダンの力〉と呼んでみました。戦前期の日本に横溢した熱い〈モダンの力〉をご堪能いただき、「20世紀という時代とは何だったのか」を考えてみたいと思います。

■ガウディ方式

 本プロジェクトは、画像とHTMLファイルとで計5300以上を投入する超大型企画になります。1999年11月に第一陣として約1600点弱を公開しました。第二陣として2000年1月に残り約1100点の画像を公開しました。現在、全体の調整作業に入っています。

 このようなやり方を私たちは「ガウディ方式」と呼んでいます。「ガウディ方式」とは「公開しながら構築中」ということで、ほんとうは「サグラダファミリア方式」というべきなんですが、長いので「ガウディ方式」にしておきました。つまり、これです。↓

http://www.shibata.nu/~gaudi/familia.html

 ウェッブはみんな「公開しながら構築中」ですから「ガウディ方式」といえます。しかし、研究所の公式コンテンツでもありますからお断りを入れています。通常、公式組織は完成品にならないと公開しないものですが、私たちは公開プロセスも公開するように心がけておりまして、この点をご承知おきください。そのかわり、更新情報などは逐次、メールニュース “OISR-WATCH” でお知らせします。 “OISR-WATCH” ご希望の方はwebmaster@oisr.orgまでお申し込みください。

 さて、今後の計画ですが、まずいったん全資料を基礎データとともに一覧できるようにして、しかるのちに、解説つきセレクションをいくつか作成していくということになります。現時点では、政治史的見地からの解説や農民運動史からの解説、図像学的な見地からの解説などを考えています。

 展示点数が多いものですから、テーマのはっきりした閲覧コースが複数あるのが理想だと思います。しかし、なかなか解説できる方がいらっしゃらないのが現状です。これらの資料について取材・研究・解説のご希望がありましたら、当研究所までお知らせください。できるだけ協力させていただきます。

 なお、この「イントロダクション」は、1989年に二村一夫・名誉研究員と谷口朗子・元所員が書いた所蔵資料の解説を元に野村一夫・兼任研究員がまとめたものです。文責は野村です。

 

中央組織

一般

 

鉱業

金属産業

化学産業

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食品産業

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金融業

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医療・福祉

商業 ・サービス業

農業・林業

公務

その他

協議会・懇談会

地方組織

 

このリストはデータベースからの検索もできます。DB検索は▼こちら▼から。
これら資料の利用については、下記にお問い合わせください。
〒194-0298 東京都町田市相原町4342
法政大学大原社会問題研究所
電話.042-783-2305. Fax.042-783-2311
e-mail: oharains@adm.hosei.ac.jp

 

内容 タイトル 巻数 時間 製作者 制作年 番号
資料整理 経済文献の達人 各21分 紀伊国屋書店 1994 V010-01-N
資料整理 史料管理の達人 各23分 紀伊国屋書店 1997 V010-02-N
資料整理 利用のための資料保存 各35分 紀伊国屋書店 1996 V010-03-N
社会運動・社会問題 水の旅路 板東太郎物語 第1章(DVD) 163分 関東建設弘済会 2009 V155-01-N
社会運動・社会問題 水の旅路 板東太郎物語 第2章(DVD) 169分 関東建設弘済会 2009 V155-02-N
その他 時代別日本の歴史 近現代(4) 17分 NHKエデュケーショナル [2001] V210-01-N
社会運動・社会問題 条約改正と日新・日ロ戦争 わくわく歴史探検シリーズ8 22分 学習研究社 2004 V210-02-N
その他 流行歌と映像で綴る懐かしの昭和 第1巻 恐慌で始まる昭和 歌は世につれ世は歌につれ 大学は出たけれど 55分 ユニバーサルミュージック 2004 V210-03-N
その他 その時歴史が動いた-格差への怒り政府を倒す-大正デモクラシーを生んだ米騒動 45分 NHK富山放送局 2006 V210-04-N
その他 NHK特集 日本の戦後 10 632分 NHKエンタープライズ 2019.12 V210-05
その他 今、夢ひろがる大宮 大宮市制施行50周年記念 大宮市 1990 V213-01-N
その他 関西映像の20世紀~兵庫県~ NHK神戸 1999 V213-02-N
労働運動・労働問題 越中人譚 横山源之助 25分 チュウリップテレビ 2004 V289-01-N
社会運動・社会問題 聳ゆるマスト 反戦兵士坂口喜一郎が残したもの 34分 HVC広島映像通信 2008 V289-02-N
社会運動・社会問題 プロジェクトJAPAN 世界と出会った日本人 片山潜(DVD) NHK 2010 V289-03-N
社会運動・社会問題 驚きももの木20世紀「大杉栄と伊藤野枝~愛と自由への闘争~」 50分? テレコムスタッフ 1996 V302-01-N
社会運動・社会問題 民主路上的中華民国(DVD) 台湾テレビ 2010 V312-01-N
社会運動・社会問題 婦人参政権関係関連ポスター写真接写 19-- V314-01-N
社会運動・社会問題 女性参政50周年記念 婦選は鍵なり 各40分 市川房枝記念会 NHKャtトウエア(製作) 1996 V314-02-N
社会運動・社会問題 1.天安門焼身自殺真相の迄I 2.2001年法輪功に対する人権侵害 V314-03-N
社会運動・社会問題 スーパーモーニング「年金と天下り」 テレビ朝日 2004 V314-04-N
社会運動・社会問題 泊事件65年目の証言 一枚の写真が・・(DVD) 北日本放送 2007 V314-05-N
社会運動・社会問題 山の動く日 土井委員長のビデオメッセージ 20分 日本社会党 199? V316-01-N
社会運動・社会問題 告発! 湾岸戦争 ラムゼー・クラーク氏は世界に訴える  30分 ドキュメンタリー ジャパン/戦争に税金を払わない!市民平和訴訟の会 19-- V319-01-N
社会運動・社会問題 告発! 湾岸戦争 ラムゼー・クラーク氏は世界に訴える 記録版 90分 ドキュメンタリー ジャパン/戦争に税金を払わない!市民平和訴訟の会 19-- V319-02-N
社会運動・社会問題 劣化ウランの恐怖 湾岸戦争でアメリカは何をしたか 35分 米国ピープルズビデオネットワーク 1998 V319-03-N
社会運動・社会問題 空爆中のイラクをいく クラーク米元司法長官の調査団撮影 91年2月 30分 ドキュメンタリー ジャパン/戦争に税金を払わない!市民平和訴訟の会 19-- V319-04-N
社会運動・社会問題 アラブ世界1(あるユダヤ人の家族) 1971 V319-05-N
社会運動・社会問題 アラブ世界3(アメリカ人と戦争) JNN 199- V319-06-N
社会運動・社会問題 GULF WAR BABY 60分 NHK 1998 V319-07-N
社会運動・社会問題 JAPAN-ITS HISTORY ~日経連国際協力センター~ ビデオパックニッポン 199- V319-08-N
社会運動・社会問題 サンデープロジェクト(TBS)終戦10周年 戦争と情報操作(ナイラ証言) 36分 TBS 19-- V319-09-N
社会運動・社会問題 1992.7.17海外派兵を止める市民の集い 153分 1992 V319-10-N
社会運動・社会問題 NHKスペシャル 戦後50年 その時日本は 第2回 60年安保と岸信介 NHK 1995 V319-11-N
社会運動・社会問題 謀略 KAL機失踪事件 国労 1987? V319-12-N
社会運動・社会問題 戦争をしない国日本 90分 青銅プロダクション 2006 V319-13-N
社会運動・社会問題 9条世界会議 世界に届いた3日間(DVD) 120分 「9条世界会議」実行委員会 2008 V319-14-N
社会運動・社会問題 イトー・ターリ パフォーマンス ひとつの応答 in 原爆ドーム(DVD) 60分 ひろしま女性学研究所 2010 V319-15
社会運動・社会問題 伝えられなかった戦争 コタ・バル 12月8日の真実 1 RKB毎日放送 2012 V319-16
社会運動・社会問題 嗣治からの手紙 画家はなぜ戦争を描いたのか 1 RKB毎日放送 2014 V319-17
憲法 憲法 今と未来の世代のために 30分 共同企画 2004 V323-01-N
憲法 焼け跡から生まれた憲法草案(ビデオ、DVD) NHK 2007 V323-02-N
憲法 日本国憲法誕生 74分 NHK 2007 V323-03-N
憲法 NHKスペシャル 第2回 天皇と憲法(DVD) 74分 NHK 2009 V323-04-N
憲法 日本の青空 1 123分 「日本の青空」制作委員会/(有)インディーズ 2007 V323-05
憲法 アナザーストーリーズ 誕生!日本国憲法~焼け跡に秘められた3つのドラマ~ 1 60分 NHK 2017年 V323-06
憲法 NHKスペシャル 日本国憲法 70年の潮流 ~その時、人々は~ 1 60分 NHK 2017年 V323-07
刑法 NEWS23 「共謀罪法」成立 1 TBS 2017年6月15日放送 V326-01
その他 お厚いのがお好き? アダム・スミスの国富論はお好き? アミューズ 2003 V331-01-N
社会運動・社会問題 売上税ってなんだ? 「税制改革」の大ウモaる(スライド) 17分 日本電波ニュース社 1987 V337-01-N
その他 乙女ハウス(DVD) 1 43分 早川由美子(監督・撮影・編集) 2013 V365-1
小繋事件 小繋事件裁判資料集 DVD版 民事編 8 不二出版 2012.1 V369.122-1-1~8
小繋事件 小繋事件裁判資料集 DVD版 6 不二出版 2012.6 V369.122-1-9~14
社会運動・社会問題 『ニューススパーク関西』 ~映像の20世紀 賀川豊彦と社会運動 NHK神戸 1998 V386-01-N
社会運動・社会問題 砂川の熱い日 砂川闘争47年目の証言 2時間6分 砂川を記録する会 2002 V386-02-N
社会問題・社会運動 昭和戦前期 プロレタリア文化運動資料集 丸善雄松堂 2017 V386.8-01
社会運動・社会問題 NHKスペシャル 戦後50年 そのとき日本は 第6回大学紛争 NHK 1995 V387-01-N
社会運動・社会問題 釈放された日本人捕虜たち 中国・撫順先般管理所の記録(DVD) 60分 新井利男監修 「人道的寛待編集委員会 2009 V389-01-N
社会運動・社会問題 21世紀はみんなが主役-男女共同参画社会基本法のあらまし 23分 日本広報協会 2001.4 V391-01-N
社会運動・社会問題 根絶!夫からの沫ヘ-あなたは悩んでいませんか? 23分 日本広報協会 2001 V391-02-N
社会運動・社会問題 地域こぞって子育てを 薬丸裕英が聞く樋口先生の育児支援ガイド 28分 内閣府男女共同参画局 2003 V391-03-N
社会運動・社会問題 あなたを応援します いつでもどこでも誰でもチャレンジ cheer upチアップ! 40分 内閣府男女共同参画局 2004 V391-04-N
社会運動・社会問題 広がる未来! 私が選ぶ~チャレンジする女性たち 29分 内閣府男女共同参画局 2005 V391-05-N
社会運動・社会問題 体験! 発信! チャレンジ・ストーリー ~まちづくりにかける元気な女性たち DVD(1時間18分)、ビデオ(39分) 内閣府男女共同参画局 2006 V391-06-N
社会運動・社会問題 夢へのパスポート~まちづくりにかける元気な女性たち(DVD) 1時間27分 内閣府男女共同参画局 2008 V391-07-N
社会運動・社会問題 配偶者からの沫ヘの根絶をめざして 配偶者沫ヘ防止法のしくみ(DVD) 35分 内閣府男女共同参画局 2009 V391-08-N
社会運動・社会問題 知る楽・歴史は眠らない ニッポン母の肖像 24分 NHK 2010 V391-09-N
その他 サリドマイド事件日誌(電子書籍版) 1(全4巻分) 川俣修壽編著 2016.4 V395-1
社会運動・社会問題 同和問題と人権 -あなたはどう考えますか- 21分30秒 総務庁委託/財団法人 地域改善啓発センター 199- V397-01-N
社会運動・社会問題 解放の父 松本治一郎 水平社博物館 2000 V397-02-N
社会運動・社会問題 大衆運動の牽引者 松田喜一 水平社博物館 2000 V397-03-N
社会運動・社会問題 被差別部落雄芸狽ニ文化 43分 大阪人権博物館 1999 V397-04-N
社会運動・社会問題 皮革と被差別部落 40分 大阪人権博物館 2001 V397-05-N
社会運動・社会問題 よき日のために 全国水平社80年の闘いに学 35分 大阪人権博物館 2001 V397-06-N
社会運動・社会問題 職人の技 部落の生活を支えた仕事 大阪人権博物館 2003 V397-07-N
社会運動・社会問題 近世身分制社会と被差別民 役目と生業 50分 大阪人権博物館 2004 V397-08-N
社会運動・社会問題 近代日本社会と部落問題 大阪人権博物館 2004 V397-09-N
社会運動・社会問題 驚きももの木20世紀「DUET金子文子と朴烈」 50分? エフロ 1998 V398-01-N
社会運動・社会問題 東京ごみ物語 30分 東京清掃労働組合 1993 V399-01-N
社会運動・社会問題 公害は終わったのか(第1~4章) 水島地域環境再生財団 1999 V399-02-N
社会運動・社会問題 水島に生きる ’99年公害のまち再生への歩み 水島地域環境再生財団、倉敷市郊外患者と家族の会 1999 V399-03-N
社会運動・社会問題 海のわかれ 水島2000年夏 水島地域環境再生財団、倉敷市郊外患者と家族の会 2000 V399-04-N
社会運動・社会問題 アーサー・ビナード 日本人探訪 3 BS11 「ウィークリーニュース ONZE」 2015 V399-05-1~3
社会運動・社会問題 最後の一滴まで ヨーロッパの隠された水戦争 1 59分 アジア太平洋資料センター(PARC) 2018 V399-06
労働運動・労働問題 貧困・格差社会への挑戦 21世紀の「労福協」運動(DVD) 12分 労働者福祉中央協議会 2009 V400-01-N
大原社会問題研究所 ふるさとの群像 第9回 大原孫三郎 テレビせとうち 1995 V409-01-N
大原社会問題研究所 信念の経営者 第10巻 大原孫三郎 NBS通信社 1995 V409-02-N
大原社会問題研究所 20世紀日本の経済人-わしの眼は十年先が見える・大原孫三郎 25分 テレビ東京 2000 V409-03
大原社会問題研究所 大原社会問題研究所創立45周年記念(8m) 1964 V409-04
大原社会問題研究所 我が財を世のために捧ぐ~倉敷 大原孫策謀rの情熱 54分 NHK岡山放送局 2005 V409-05
大原社会問題研究所 日本に孤児院を作った男 石井庶 20分 NHK 2004 V409-06-N
大原社会問題研究所 ビジュアル日本経営史 日本の企業家群像2 第1巻 紡績業の発展と労務管理の革新 倉敷紡績 大原孫三郎 35分 丸善 2003 V409-07
大原社会問題研究所 大原社会問題研究所創立90周年記念フォーラム(DVD) 57分 法政大学大原社会問題研究所 2009 V409-08
大原社会問題研究所 公益社団法人倉敷法人会 定時総会記念講演会 地方と文化と倉敷を材料に日本を考える 1 倉敷ケーブルテレビ/大原謙一郎 2012 V409-09
大原社会問題研究所 第57回大原孫三郎・總一郎記念講演会 関東大震災と日本の経営者たち 1 倉敷ケーブルテレビ/猪木武徳 2012 V409-10
大原社会問題研究所 大原孫三郎總一郎研究会 1 倉敷ケーブルテレビ/有隣会 2012 V409-11
大原社会問題研究所 第58回大原孫三郎・總一郎記念講演会 高梁川流域の風土と気質 1 倉敷ケーブルテレビ/神崎宣武 2013 V409-12
大原社会問題研究所 協調j会・企業調査資料集 1 丸善株式会社 2013 V409-13
大原社会問題研究所 第2回大原孫三郎總一郎研究会 1 倉敷ケーブルテレビ/有隣会 2013 V409-14
大原社会問題研究所 第3回大原孫三郎總一郎研究会 1 倉敷ケーブルテレビ/有隣会 2014 V409-15
大原社会問題研究所 第59回大原孫三郎・總一郎記念講演会 暉峻義等の精神を現代に生かす―暉峻義等の思いと実践― 1 倉敷ケーブルテレビ/酒井一博 2014 V409-16
大原社会問題研究所 第60回大原孫三郎・總一郎記念講演会 装飾としての藝術と認識としての藝術  1 倉敷ケーブルテレビ/山崎正和 2015 V409-17
大原社会問題研究所 ファミリーヒストリー 大竹しのぶ 1 74分 NHK 2017年 V409-18
大原社会問題研究所 第62回大原孫三郎・總一郎記念講演会 数学を通して人間を考える―岡潔と数学の「情緒」― 1 倉敷ケーブルテレビ/森田真生 2017 V409-19
大原社会問題研究所 第63回大原孫三郎・總一郎記念講演会 アメリカ政治の基本構造とトランプ政権 1 倉敷ケーブルテレビ/待鳥聡史 2018 V409-20
大原社会問題研究所 大原總一郎没後50年メモリアルコンサート 音楽の捧げもの 1 くらしきコンサート (制作協力:有隣会) 2018 V409-21
大原社会問題研究所 バカリズムの悪女伝説~伊藤野枝~ 1 59分 NHK BSP 2019.5.11 V409-22
大原社会問題研究所 第64回大原孫三郎・總一郎記念講演会 異端は認められた瞬間に先端に変わる 1 倉敷ケーブルテレビ/菅裕明 2019 V409-23
労働運動・労働問題 ワークライフバランスを知っていますか? 働くオトコたちの声(DVD) 27分 内閣府男女共同参画室 2008 V414-01-N
労働運動・労働問題 1999年の労働-映像ファイル- 30分 日本労働研究機香iNHKャtトウエア) 2000 V430-01-N
労働運動・労働問題 育児休業法の制定を実現しよう 連合女性局 連合 199- V434-01-N
労働運動・労働問題 21世紀の女性たちへ~雇用における男女平等~平成7年度労働行政・労働情報紹介ビデオ オッフィスティーアンドエル 1995 V434-02-N
労働運動・労働問題 元気に再チャレンジ~キラキラしている女性たち 25分 内閣府男女共同参画室 2006 V434-03-N
労働運動・労働問題 ワーク・ライフ・バランス~働きがいのある職場といきいきとした暮らし 30分 内閣府男女共同参画局 2007 V434-04-N
労働運動・労働問題 ノーマ・レイ NORMA RAE 115分 マーティン・リット監督 1979 アメリカ V434-05
労働運動・労働問題 プロフェッショナル仕事の流儀(DVD) 10 日本放送出版協会 2006 V437-01
労働運動・労働問題 ジタン 労働時間短縮をめざして 総評労働時間短縮センター 198? V446-01-N
労働運動・労働問題 労働者と産業災害 全国労働組合協議会産業安全保険局 1994 V449-01-N
労働運動・労働問題 組合づくり リストラへの回答 30分 ビデオプレス 1999 V470-01-N
労働運動・労働問題 2000年の労働組合 テレビマンユニオン 2000 V470-02-N
労働運動・労働問題 一千万人の国民春闘 81国民春闘白書解説 国民春闘共闘会議 1981 V470-03-N
労働運動・労働問題 村上寛治さん出版記念会の記録 不明 199? V470-04-N
労働運動・労働問題 ホントに「暮らしは中流か」 賃上げと減税が内需を拡大するのです(スライド) 国民春闘共闘会議 1986 V470-05-N
労働運動・労働問題 風となれ土となれ 総評婦人労働運動39年(スライド) 総評婦人局(企画) 198? V470-06-N
労働運動・労働問題 記録映画 嵐 54分 日本電波ニュース社 1989 V470-07-N
メーデー事件 1952年メーデー 16分 196- V477-01
メーデー事件 メーデー裁判 31分 記録映画『メーデー裁判』制作上映委員会 1969 V477-02
メーデー事件 1952年メーデー/血のメーデー(この幕sは許せない) 51分 (株)共同映画社 メーデー映画製作委員会/メーデー事件中央後援会/メーデー事件被告団 1966 V477-03
メーデー事件 血のメーデー(この幕sは許せない) 35分 メーデー事件中央後援会/メーデー事件被告団 1966 V477-04
メーデー事件 第一審判決・メーデー事件 第二審のたたかい 18,18分 メーデー事件中央後援会 196- V477-05
メーデー事件 愛すればこそ 35分 独立映画 1965 V477-06
メーデー事件 東京メーデー事件 ニュース映画 15分 196- V477-07
松川事件 松川事件関係 33分 19-- V477-08
松川事件 松川事件 仙台高裁判決等 26分 19-- V477-09
松川事件 真実の勝利のために 31分 19-- V477-10
松川事件 真実のあかしのために 31分 19-- V477-11
松川事件 記録映画 九年の歳月はかえらない 松川事件 47分 1959 V477-12
松川事件 劇映画 松川事件(前編) 48分 19-- V477-13
松川事件 松川事件 162分 1961 V477-16-N
松川事件 今にいかす松川運動 正しい道理の通る国に 25分 松川運動記念会 1994 V477-17-N
松川事件 いまに生きる松川運動-松川事件50周年記念全国集会 30分 松川事件50周年行事実行委員会 1999 V477-18-N
白鳥事件 白鳥事件関係(編集用?) 16分 19-- V477-19
白鳥事件 真実は不屈だ 25分 19-- V477-20
白鳥事件 この悲しみを怒りに 10分 白鳥事件中央対策協議会 19-- V477-21
青梅事件 鉄路の証言 青梅事件 29分 青梅事件映画製作委員会 19-- V477-22
三鷹事件 ETV特集 戦後史の謎 検証・三鷹事件 (1)1949年・真夏の桝鮪膜フ (2)死刑囚竹内の訴え 90分 NHK教養番組部 1997 V477-23-N
横浜事件 報道特集 憲法21条 表現の自由 TBS 2013 V477-24
労働運動・労働問題 われら生コン労働者 43分 日韓生コン労働者共同闘争委員会 2003 V481-01-N
労働運動・労働問題 期成会から100年いま、労働運動を考える 教育文化協会 1997 V482-01-N
労働運動・労働問題 プロキノ作品集(含む「山本宣治氏告別式」)(DVD-R) 1 44分 六花出版 2013 V482-011-N
労働運動・労働問題 灯をともした人々(大正10年 川崎・三菱大争議の記録)(DVD-R) 1 兵庫県労働運動史編纂委員会 複製/連合兵庫 2013 V482-012
労働運動・労働問題 語り継ぐ総評40年 1950~1989(DVD-R) 1 公益財団法人総評会館/総評退職者の会 2013 V482-013
労働運動・労働問題 女たちの証言 労働運動のなかの先駆的女性たち 94分 映画「労働運動のなかの先駆的女性たち」の会 1996 V482-02-N
労働運動・労働問題 山宣葬・川崎大争議 プロキノ 192- V482-03
労働運動・労働問題 川崎三菱労働争議 大正10年7月撮影 10分 兵庫県労働部 1958 V482-04
労働運動・労働問題 栄光そして明日へ-同盟23年の歩み- 全日本労働総同盟 19-- V482-05-N
労働運動・労働問題 山本宣治氏告別式(岡田桑三映像の世紀)(DVD-R) 3分 東京シネマ新社 2002 V482-06-N
労働運動・労働問題 灯をともした人々 大正10年・川崎三菱大争議の記録(ビデオ、DVD) 30分 兵庫県労働運動史編纂委員会 製作:京都映画(株) 1958 V482-07
労働運動・労働問題 ニッポンの働き方・暮らし方 連合21世紀宣言 20分 教育文化協会 2004 V482-08-N
労働運動・労働問題 三菱川崎争議フィルム 9分 大原社会問題研究所? 1921年 V482-09
労働運動・労働問題 山本宣治葬儀フィルム 125秒 岡田桑造 1929年 V482-10
労働運動・労働問題 国労横浜「人活」弾圧事件 日本テレビ「今日の出来事」 刻まれた陰謀 NHKイブニングネットワーク 国労横浜「人活」弾圧事件5人の無罪と職場復帰を勝ちとる会 19-- V483-01-N
労働運動・労働問題 12.12清掃労働者総決起集会 清掃事業を混乱させる特別区移管阻止 30分 東京都職労? 1993 V483-02-N
労働運動・労働問題 3.7清掃労働者総決起集会 清掃事業を混乱させる特別区移管阻止 30分 東京都職労? 1993 V483-03-N
労働運動・労働問題 4.28反処分闘争の幕引きを許さない 全逓の首切り 25分 小川町シネクラブ 1991 V483-04-N
労働運動・労働問題 全センコー労働組合統一結成50周年記念作品 共闘から協働へ 17分 ファインリレイション 2004 V483-05-N
労働運動・労働問題 「横浜人活弾圧事件の集い」放映 1 88分 テレビ映像 1990年~2004年 V483-06
国鉄闘争 JR採用差別・不当労働行為を徹底分析する・シンポジウム 国労 1988 V483.4-01-N
国鉄闘争 精算事業団の実態 国労旭川地方本部 198? V483.4-02-N
国鉄闘争 30万人の大改革 国鉄分割・民営化 NHK 198? V483.4-03-N
国鉄闘争 稚内精算事業団 国労 199? V483.4-04-N
国鉄闘争 歯をくいしばって 国労修善寺大会の記録 27分 国労 1986 V483.4-05-N
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労働争議 続メトロレディースブルース 1 40分 ビデオプレス/全国一般東京東部労組 2014.7 V485-2
労働争議 メトロレディースブルース 3 1 40分 ビデオプレス/全国一般東京東部労組 2015.7 V485-3
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(是枝 洋・若杉隆志)

 

 敗戦の年の空襲で、柏木の研究所もまた全焼の憂き目にあったが、心ある人びとの必死の努力のおかげで、土蔵だけはわずかに守ることができた。土蔵に残された資料類が、今日では、わが国およびヨーロッパ労働運動史ならびに思想史研究の実証的な第一次資料としてかけがえのない社会的な財産となっていることは、すでに何人かの人によって語られてきた。

 研究所の諸先輩が遺された秀れた業績の一つとして、その地道な努力を称えつつ、これをよく保存し、広く社会的な研究事業に資とすることは、たしかに戦後の研究所を受け持った私たちに課せられた仕事の一部となっている。

 しかしながら、研究所のよき伝統を受け継ぐという意味での本来的な業務は、もとより現在の研究所員の主体的能動的なとところに存する。現在の労働、社会問題を中心とした調査研究、そうした追究の中での日本労働年鑑の継続的な編纂、および関係文献資料の蒐集整理と充実。ここでは戦後研究所が蒐集してきた労働運動関係資料の内容的特徴、整理状況について、概括してみた。

 一九四六年五月、神田・政経ビルの一室を借りて、研究所はささやかに再建された。一九四九年には、日本労働年鑑復刊第一号(第二二集――戦後特集)が刊行の運びとなっている。これに伴って労働組合や政党関係資料、官庁統計などが必要に応じて少しづつ集められはじめた。このころの資料といえば、ほとんどが黄色いセンカ紙にガリ版刷りといった類のもので、機関紙などでも印刷、新聞版のものは、産別会議機関紙「労働戦線」、総同盟機関紙「労働」など数えるほどでしかなかった。研究所の新聞掛けに、商業新聞と組合機関紙の綴込みが並べて足りるくらいであったり、資料ビラ一枚、雑誌論文の一つ一つをカードにとるのが日常の仕事であったり、この程度から資料室の仕事は始まった。かつての大単産、例えば電産ほどの労働組合でも、当初は焼ビルの真黒な壁とベニヤ板で仕切られた事務所を本拠にしていた、そういう時代である。今日でこそ官庁統計書といえば、分厚く良質祇の比較的高価なものが多いが、当時はやはり謄写刷り、仮綴じのものを利用させてもらっている。

 一九四九年七月に研究所は法政大学に合併され、はじめは図書館わきの一室、やがて新館四階へと移ったが、このころから、わが国労働組合運動がある種の定着を見せはじめている。労働組合数、組合員数の伸長は四九年に一応のピークに達し、行政整理、レッドパージによる労働運動の一時的停滞はあったが、一方では総評の結成に伴う民同路線による産業別労働組合の再編成が進み、その過程で組合の本部事務所も次第に整備され、教宣活動も地についたものとなってきた。もちろん戦争直後は労働組合の経済的な制約が大きかった上に、闘争形態も熾烈で衝撃的な争議や大衆行動の連続、その中での組合づくりといった状況であったから、系統的な教宣活動を期待すべくもなかったであろう。まして研究所の実動勢力も微々たるもの、大きな争議についても断片的な資料蒐集に止まったとしてもやむをえないものがあった。それでも日本労働年鑑などで紹介されている資料には、他で発見できない貴重なものが多々ある。それが次第に各組合の機関紙が定期刊行されるようになって、資料の分類棚も一○から二〇、三〇、五〇、一〇〇と加速度的に増えて行った。調査月報や文芸機関誌を発行する組合もでてくる。定期的に労働組合本部を訪問し、資料蒐集と日本労働年鑑充実をタイ・アップする日常的な開拓もこのころから行なわれるようになった。

 現在の研究所のある大学院の建物は一九五三年に完成しているが、その前年五二年末に研究所はすでに移転している。当時としては一応は十分な包容力あるスペース、しかも新しいガラス張り建築としで有名でもあったのだし、今日いうほど不当に狭く悪設備とはいえなかったかもしれない。が、研究所の事業の毎年の積重ねは、やがて数年を出でずして資料室の過密状態をもたらす。

 日本労働年鑑が巻数を増すごとに、蔵書・資料は累年の絶対量として増加したばかりでなく、蒐集対象となる労働組合、諸団体が拡大される、一団体当り出版物の種類と、発行数、一部当り量が増大するなどで増え方は幾何級数的になった。年鑑編纂で使用済の資料は箱詰めにして土蔵の片隅に積めるだけ積みあげるようなことにもなった。とくに一九五〇年以前の原資料がほとんどそうした犠牲になって今でもそのままになっている。

 産別会議といえば、総評が結成されるまで総同盟と並んで戦後日本の労働組合運動の中心部隊であった。この産別書記局の資料室には、書記局発行の通達類をはじめ議事録、単産との往復書簡、また傘下組合から上ってきた文書が、極めて丹念に保存され、相当程度まで分類されていた。これは主として当時産別会議の書記をしておられた井出洋氏らの努力によるもので、労働組合書記局がこれほどにまで熱意を持って資料を集められ、その保存に万全を期している例は、その後も多くを見ない。大多数の組合では手狭になると紙屑として払下げてしまったり、組合事務所の移転や、組合分裂の際に散逸してしまっている。最近になって組合史編纂等の必要から労働組合資料室整備がいわれはじめ、書記局員の間での交流もいくらかみられるようになったとはいえ、過去の部分については、もはや取り返しがつかないことになっている。

 組合史編纂とならんで、いくつかの組合では、機関紙縮刷版の発行が行なわれている。これも自分の組合の機関紙でありながら完全無欠に保存している所は少なく、縮刷版発行のために欠号を私どもの研究所に借りにこられることが多い。国鉄労組の資料室には、大会、中央委員会の議案、議事録、関係資料が、きれいに製本され揃っているが、こういう例は稀のようである。聞けばこの資料室にも一人大変資料保存に熱心な書記の方がおいでになったということである。それに一九五〇年を境にして、産業別組合は、分裂したり、民同的体質改善をやっており、これ以前については一層資料が少ない。前期国労資料室にも分裂以前のものは残っていない。

 そうであればこそなおさら、産別会議資料室に残された文書の山は戦後、それも直後の労働運動の第一次資料として文字通りかけがえのないものといってよい。産別会議の解散に伴い、これらの資料は産別記念会から大原研究所に寄贈され、保管を委託されることとなった。

 産別会議資料の受け入れによって、研究所資料室は一層充実した。因みにその内容の一部を紹介すると、一九四六年一〇月闘争、四七年二・一スト、生産管理闘争、産業復興闘争、それにメーデー関係記録、ビラ(これはとくに杉浦正男氏の蒐集整理によるものが多い)などの原資料からは、ものに書かれた記述などとは違ったなまなまとさを感じとることができる。これらの中には、すでに歴史的文書となった産別会議幹部自筆の覚書なども入っている。現在、単産段階の資料についてのみ産業別分類を一応終え、産別会議執行委員会など本部関係や、外部資料については手つかずになっている部分が多いが、やがては土蔵に積まれた研究所独自に蒐集した部分に日の目を見させると同時に、これらを統合し、所蔵資料を一堂に集め、研究者、労働組合活動家の閲覧に供せる状態にもって行きたいと考える。

 さて、産別会議資料については、研究所で引取る以上、いつでも閲覧できる状態に置くという約束であり、そのためにはどうしても書架を増やさなくてはならない。機関紙、雑誌の整本、労働関係図書資料、統計書などは年に数個の書棚を埋めて行く。間隔をつめ、通路にはみだし、仕事机を押しやり、整理台は二台を重ねて、その下にも、隙間にも資料を積上げる。とうとうしまいには書架をはみ出た図書資料が床に積上げられるという飽和の危機状態に陥った。先日、やむをえず雑誌の大部分を麻布分校の一室に移管して幾分の緩和を試みたものの、柏木の土蔵を含め資料保管地の三分化は、どうしても業務上、また閲覧上の不便さを免れえなくしている。このことはここでの主題と多少はずれるし、設備の窮状を訴える目的でこの一文を草しているわけでもないから多くはいわないが、整理進行状況の不手際の弁解の一部ととって頂きたい。とにかく、戦後労働運動史、史というにはあまりに現在と密着しているが、その関係の資料類が、すでに量的に戦前のそれを凌駕しているばかりでなく、戦後二○年というきわめく近い時期を対象とするものでありながら、その内容の稀少性といい、系統性といい、やはり労働問題の全国的な資料センターとしての役割を果しうるだけのものに近くなっている。

 今日、全国単産といわれる労働組合数が一五〇余、それに農民組合、政党など関係諸団体、そのすべてが網羅されているわけではないが、それらの機関紙(新聞)だけで二○○種、それに機関紙、労働関係を主とした雑誌通信類三〇〇種、大学など学術雑誌二五〇種類などがあり、戦前のように三号雑誌のるいはほとんどないから、戦後は定期刊行物の総量、年年の増加分もしたがってずい分と多い。

 産別、全労連、新旧総同盟、総評、全労から今日の同盟に至る中央組織はもとより、産業別全国組織(単産)を対象に、それらから刊行された資料のできるだけすべてを蒐集しようとしてきたのであるが、果してその意図の何割が満たされたか。時には数年に亘って機関紙送付を中断されたこともあるし、調査が行届かず、蒐集洩れとなってしまった例は数限りない。それでも、一応どんな産業の労組から関係全国組織の戦後史を尋ねられても該当部分の相当程度まで要望に応えられるようにはなっていると思う。とくに全国組織の労働組合機関紙・誌の種類と継続性については、他には類比を見ないと思われる。

(労働組合機関紙誌の所蔵目録は、「資料室報」第一二七号・一九六七年二月所載。今後も所蔵定期刊行物、統計、年報の目録を連載予定である。また「法政大学逐次刊行物総合目録・人文社会科学篇」にも研究所所蔵分が含まれているので参照されたい。)

 また雑誌通信類も、労働関係を主体としたものとしては、大体主要なものは集っていると思う。ただしこれらは多くの労働組合本部等でも利用されているから、特別目新しいものはない。多少のことをいえば、労働組合以外にも政党、大衆団体あたりの機関誌が揃えられている程度であろう。

 官庁統計、白書、年報などは、おそらく官庁図書館の方が豊富であろうし、多少資料集めに熱心な一般図書館、研究所には十分揃えられていることと思う。当研究所でも系統的に労働、経済、社会問題を中心に研究資料として一応整備に遺憾なきを期している。むしろ労働組合などが独自に実施した調査内容、数字については、調査月報、調査資料として発表され、部分的に他の通信類に発表されるが把握が困難である。

 逐次刊行物、市販図書以外に、当研究所が昔から蒐集してきている原資料類は、一般に図書館や資料室ではやられないい独特の整理方法を生みだしている。先に述べたように戦争直後の時期には、資料の主たる部分はこうしたものに頼らざるを得なかったし、最近はパンフ、大会資料などでも比較的厚手の資料集にまとまっているものが多いが、なお労働組合大会資料を中心に毎年一〇〇冊以との原資料ファイルが形成されて行く。戦後だけでもそうしたファイルは二五〇〇を超えているし、未整理部分を加えれば、原資料だけでも相当にユニークなコレクションを形成する。研究所独自の蒐集によるもののほか、産別会議資料については前に述べた通りであるが、ほかにも日本農民組合が再統一された際、統一派本部から寄贈された原資料、東芝労連関係の、故人になられた石井彌二郎氏らから寄託された資料なども、それぞれにまとまって一つの単位をなしている。

 労働組合史(大体は戦後一〇年史、二○年史など)は、そのほとんどが非売品で一般には入手しにくい図書であるが、これも先に研究所を退職された河合利雄氏の努力により、最もよく集められている。

(このリストは、大分以前に、当研究所「資料室報」第二二号・一九五七年三月、また「月刊労働問題」誌第三四号~第三八号・一九六一年三月~七月に紹介されたほか、最近にも「日本読書新聞」一九六六年一一月二八日 一二月五日付号にその主要なものを紹介してある。)

 以上、戦後研究所が蒐集した労働関係を中心とした資料の概観を試みたのであるが、このほかにも地方統計書、社史などの蒐集量の多いことなどが特徴に挙げられる。が、なんといっても戦前戦後を通じての社会労働問題、とくにそれを運動面からとらえる研究にとって、研究所が所蔵する資料は飽くなき欲望を満たすに足るものであろう。惜しむらくは、まだまだそれが十分に活用されているとはいえない状況にあることで、その理由の一つに研究所自身の受入体制上の問題があることば認めざるを得ない。今後とも徴力ながら、何とか改善をはかりたい所存であるが、併せて研究者、運動家の方たちの御鞭撻を心からお願いしたい。

 最後に労働組合ならびに諸団体関係者への協力要請になるのだが、研究所の今後の業務、主として調査や日本労働年鑑の編纂、そして資料の蒐集充実には、どうしても実際の運動家、諸機関の御理解、お世話にまたなくてはならない。すでに所蔵されている資料も、すべてそうした援助の賜ものであり、そのゆえにこそ私たちはこれを広く社会的な財産と考えて提供もし、保存もしなくてはならないと考えている。そこでこれからも研究所の資料室充実のために続けて一層のご協力をお願いしたい。寄贈依頼、資料交換等、ある時には執拗なお願いにあがることもありうるし、その都度御面倒をおかけすることになるのだが、どうかそちらではつまらぬと思われるようなビラ一枚にしても、当方の研究所資料室に放り込んで頂きたい。そして一般研究者の方々にも、研究所を大いに利用して下さるとともに、研究所の資料蒐集の仕事を陰に陽に支援して頂きたい。その中で私たちは研究所資料室を、労働問題専門文献センターとしての実体あるものに形づくって行きたいと考えている。

 大原社研の蔵書のうちに、ごくわずかだがプロレタリア文学関係のものがあるので、文献としてどのていどに価値のあるものかを見てもらえぬか、という話があり、さっそく見にいったところが、明治中期から昭和一四年ごろまでにいたる人民的・革命的な文学の関係書二七〇冊ほどが埃をかぶっており、一冊一冊を見てゆくと特別に珍しいもの、またきわめてありふれたものが雑然とまじっているが、全体としてはきわめで貴重なコレクションであることがわかった。そこでさっそく、文学部の当時助教授だった小原元氏やのちに講師となった西田勝氏やに手伝ってもらって詳細な年代順の目録をつくり、それを文学部の雑誌に発表した。

 このコレクションが貴重なのは第一に昭和初年のプロレタリア文学運動関係の作品・評論・翻訳の類がかなり豊富にあること、とくに、これを集めたひとがプロレタリア文学にたいして網羅的であろうとしたためか、ナップ(全日本無産者芸術団体協議会)系だけでなく、文戦系(労農芸術家連盟)の作品も多く集めていることで文戦系の山本勝治『員章を打つ』(文芸戦線叢書第一編、文芸戦線出版部、昭和四年十二月刊、B6版一四九頁、五十銭、序、前田河広一郎、内容・短編『十姉妹』『員章を打つ』他三一編)、金子洋文『天井裏の善公』(同叢書第五編、昭和五年二月刊、B6版一五四頁、五十銭)、前田河広一郎『十年間』文戦派の代表的な文芸評論感想集の一つ。大衆公論社刊昭和五年五月刊、B6版五五五頁、一円八十銭。『民衆の要求する新文学』他七七編)のようなこんにちなかなか見ることの困難なものをはじめとして平林たい子、黒島伝治、岩藤雪夫らの初期のものもよく集められている。このことは、このコレクションの第二の一層大きな特色にも関連しており、昭和初年のプロレタリア文学だけでなく、明治中期からの人民的・革命的な文学の流れに属するものが、戦前としては実によく集められていること、この点でまったく類の少ないコレクションになっていること、これが第二の特色なのである。共産主義芸術運動をめざしたナップが昭和三年からしだいにプロレタリア文学の主導勢力となり、文戦系はもとより非共産主義のさまざまな人民的・革命的文学を敵扱いするようになっていらい、昭和七年以降ナップ系が解体していってからもなおナップ的なプロレタリア文学史観が支配して敗戦後に及んでいたので、プロレタリア文学以前つまり共産主義文学以前の人民的・革命的文学は、〃プロレタリア文学前史〃という名でごく一通りとりあげられるにすぎず、木下尚江の社会主義小説以外はほとんど文学的に問題にされることがなかったがナップの眼鏡をはずせ、というわたしの主張(『思想』、二九年一一月『頽廃の根源について』)などいらい昭和初年のプロレタリア文学は日本の人民的・革命的文学の長い歴史のなかの独特な高揚期をなすもので、共産主義文学だけでなく明治いらいの進歩的文学のすべてを文学として、また文学史的に、評価すべきであることがしだいに広く認められるようになり、明治大正期(〃プロレタリア文学前史〃に属するといわれてきたもの)の人民的・革命的な文学の流れへの新たな関心・調査・検討・評価が行われはじめた。こういうときに大原の蔵書のうちのプロ文学関係書のうちに、その期のものが実によく集められていることがわかり、田岡嶺雲の『数奇伝』(自伝。玄黄社明治四五年六月刊B6版三五九頁、九〇銭、序文、三宅雪嶺・泉鏡花他一四名、挿絵、小杉未醒・小川芋銭ら)や丹潔『民衆のために』(短編集。如山堂書店大正七年五月刊、A6版三四一頁八五銭、序、吉江孤雁・中村古峡ら)平沢紫魂(計七)(労働者作家がまだ雅号を使っていたのだ)の『創作・労働問題』(小説戯曲集。海外殖民学校出版部大正八年六月刊、B6版二六五頁、一円)等をはじめとして、いまでは手にしがたい多くの小説、評論の書が見出され、わたし自身このときはじめて平沢の『創作・労働問題』などは見ることができたのであった。三一書房から竹内好・平野謙・野間宏・蔵原惟人らと『日本プロレタリア文学大系』全九巻を編んで出した時、大原社研のこれらの蔵書は底本としてずいぶん役に立ったのである。

 以上のような二七〇冊ほどが研究者たちによって自由に使えるようになることをわたしは期待している。まさにそれにあたいするものが所蔵されているのである。

〔「資料室報」第九一号掲載分、再録。なおプロレタリア文学関係文献目録は、「資料室報」第九一、九三、九四号ならびに「法政大学文学部紀要」第二号、日本文学篇1、一九五六年六月に掲載されている。〕

 大原社会問題研究所が一九一九年大阪に設立されて以来、経済学の理論的領域においてのみならず、日本の労働運動や農民運動の歴史においても、開拓的に研究をおしすすめたことはよく知られている。同時に本研究所には、それらの研究に関連した内外の図書資料が系統的に蒐集されていた。一時期には、「大原社会問題研究所の文庫は、社会問題、それから精選されている点ではおそらく経済学に関しても、日本はもちろん世界的にもめったにひけをとらない立派なものになっていた。」(久留間鮫造「大原社会問題研究所とその蔵書」八ページ)しかし、一九三〇年代の日本の政治情勢の急速な悪化とともに、研究所そのものの存廃が問題となり、結局一九三七年研究所は東京に移転しなければならなかった。そしてその際、主として経済学に関する約八万冊の書物を大阪府に譲渡した。(これは現在大阪府立図書館天王寺分館にある。)しかも研究所は一九四五年五月の空襲によって、数万冊の書物を建物とともに灰とした。その際、一部の貴重な内外の図書資料は土蔵中で災をまぬがれたが、ヨーロッパ関係文献については、その後も現在にいたるまで完全に整理するだけの余裕もなく放置されてきた。しかし、たまたまわたくしは同所の書物を仮整理し、同時にカタログを作製する機会をあたえられたため、蔵書の現状をわたくしなりにみとおすことができた。このなかには貴重な第一次資料もふくまれているにもかかわらず、いまのところ自由にそれを専門研究者に開放するだけの設備がない。したがって、それを十分に利用しうる将来のために、いまその内容を部分的に紹介しておくことも、あながちむだではないであろう。なお、これらの文献を調査し、利用するにあたって、大原社研図書主任永田利雄氏から受けたご助力に対してこの機会に感謝する。

 今回わたくしが調査したのは、主として一八七〇年代までのヨーロッパ関係の図書資料についてであった。それらは現所長の久留間鮫造教授と故櫛田民蔵氏が直接ヨーロッパにおいて蒐集されたものを主たる内容としている。当初の蒐集方針は狭義の経済学史のみに限定されず、ひろく社会運動史全般におよんでいたようである。たとえば、婦人解放運動の先駆的役割のなかでたゝたかいぬいたメアリー・ウルストンクラフトの二冊の書物――そのうちの一冊は「婦人の権利の擁護」の第三版(一七九六年)――などは、その一例である。しかし他面、書物が厳選されていたということを示す例に原版のプレゼンテイション・コピイがある。オーエン父子の書物、パンフレット、定期刊行物についていえば、それらは著名な労働時間証券(National equitable labour exchange, etc. The value of ten hours. London 1833.)や共産村樹立のための寄附金の募集趣意書等までふくめて、包括的に集められているが、そのうちプレゼンテイション・コピイとしては、ロバート・オーエンに二冊、ロバート・デール・オーエンに一冊ある。その一つにはきわめて読みにくい字でTo John Walker Esq./ with the great regard / of his old friend / Robert Owen / Sevenoaks Park / Sevenoaks 12 November 1857.としるされてある。また久留間教授は、ロンドンでオーエン文献を購入された際、「ホリオーク氏あたりがかつて持っていたものではないか」と推測されているが、事実ロバート・オーエンの一書には John G.I. Holyoake / 20 Oct.1841.という署名がみられる。さらにプレゼンテイション・コピイをあげると、マルサスの『サミュエル・ホイットブレッドへの手紙』(一八〇七年)には、Rev.Dr. Henley / with Mr. Malthus’ Compliments,としるされているし、またクロポトキンの『ある反乱者の誓い』には、ウィリアム・モリスにあてた献呈文 To William Morris / with best sympathies / from P. Kropotkin / June 6,1888. がみられる。前述のウルストンクラフトの『婦人の権利の擁護』のとびらには、To George Sand / from / Eliza Ashurst / Oct.8th 1817. とあるが、これが婦人の自立のためたたかったかのジョルジュ・サンドであればおもしろいが、一八一七年といえば、かの女はまだ一三歳であり、はたしてどうなのであろうか。しかし、プレゼンテイション・コピイの圧巻はやはりルードヴィヒ・クーゲルマンの文庫であろう。かれの文庫には本をかたどった小さなエックス・リーブリスがはってあるが、そのなかには、マルクスがクーゲルマンにおくった資本論初版がふくまれている。そこにはマルクスの特徴的な文字で Seinem Freund Dr.Kugelmann / Hannover 17 Sept.1869 Karl Marx.としるされてある。また、ブランキストとしてパリ・コンミューンに参加し、その敗北後ロンドンでマルクスと交友関係をもったエデュアール・マリー・ヴァイヤーンに対するマルクスとエンゲルスの献呈の辞もみられる。すなわち、『ブルメール一八日』第二版(一八六九年)には、à son ami M.Vaillant / Londres. 2 Decembre, 1871. Karl Marx. とあり、また『新ライン新聞』の別刷である『フランスにおける階級闘争』には、序文を書いたエンゲルスの手によって Au citoyen Vaillant / Londres 12/4/95 F. Engels としるされている。

 大原社研の蔵書を整理してわれわれが気づく特徴の一つは、マルクスおよびエンゲルスの著作活動に直接に関する資料がかなり包括的に収集されていることである。一つだけ例をあげよう。『一九世紀の共産主義的徒党』(Die Communisten-Verschwörung des 19. Jahrhunderts. Im amtlichen Auftrage zur Benutzung der Polizei-Behörden etc. Berlin 1853-54) という書物がある。それについて、エンゲルスは『ケルン共産党裁判のばくろ』の序文のなかで「今世紀のもっともあさましい警察ルンペンの二人によってでっちあげられ、故意の偽造にみちているこの駄作は、当時のことを述べたすべての非共産主義的文書にとって、いまなお最新の資料として利用されている」と述べている。(『共産主義者同盟の歴史』)このように、単行書蒐集の範囲は、経済学史の枠内にとどまらず、ひろく社会思想史にもおよんでいる。そのなかから、いくつかの古版をひろいだしてみよう。まずユトーピア思想の古典としては、ジェムス・ハリントンの『オセアーナ』(一六五六年)『ガリレオ弁護論』(一六二二年)をもふくむトマソ・カンパネラのラテン語版諸著、またフランシス・ベーコンの『ニュー・アトランティス』をふくむ哲学および政治論集ラテン語版(一六三八年)があげられねばならない。またマルティン・ルターの高利を論じた書(一五四〇年)、「通例レヴェラーズと呼ばれているものたち」の政治および宗教に関する原理を述べたパンフレット(一六五九年)、ジョン・リルバーンが一六四九年ロンドン塔のなかから書いた「イングランド人民の法的および基本的諸自由」についての書簡がある。ジェラルト・ウインスタンリーの書物もかつて所蔵されていたそうであるが、いまは紛失してしまった。経済学史また統計学史の著名な古典としては、「世界におそらく二部しかないだろう」といわれているヨハン・ペーター・ズユースミルヒの『神の秩序』初版(一八四一年)および第二版(一八四二年)、ジョン・グラントの『死亡表に関する自然的および政治的諸考察』第四刷(一六六五年)および第五版(一六七六年)、ウイリアム・ペティの政治算術に関するエッセイ集(一六八七年版および一六九九年版)がある。さらにアダム・スミスの『諸国民の富』初版(一七七六年)ベルナード・ド・マンドヴィルの『蜂の寓話』第三版(一七二四年)および第六版(一七三二年)、同書第二部の第二版(一七三三年)、ジャン・ジャック・ルソーの『社会契約論』初版(一七六二年)、コンドルセの遺稿として三〇〇〇部刊行されたといわれる『人間精神の進歩の歴史的展望の素描』(一七九五年)等も一応はあげられるべきであろう。なお大原社研の蔵書のなかには、ウイルヘルム・ハスバッハ教授の文庫がかなりふくまれており、教授自身の著作には、きわめで詳細なマージナル・ノートが書きこまれてている。

 現在保存されている資料のうち相対的に充実しているものは十八世紀末から十九世紀前半にかけての、とりわけウイリアム・コベットからチャーチスト運動にかけてのイギリス社会運動史に関するものである。われわれは第一にエドモンド・バークのフランス革命批判に答えた『人間の諸権利』(一七九一年)をはじめとするトマス・ペインの諸著をあげなければならない。その際われわれの興味は、とりわけ次の二著に向けられる。すなわちペインの A letter to the Hon Thomas Erskine on the Prosecution of Thomas Williams for publishing the Age of Reason.n.d. および The only genuine edition of the speeches of the Hon T. Erskine, and S. Kyd. Esq. on the trial of T. Williams, for publishing Thomas Paine’s Age of Reason.n.d. である。それは十八世紀啓蒙思想の一つの典型がその自立性のゆえに耐えねばならなかった苦難の記念碑である。さらにトマス・アースキンについては、ジョーサイア・タッカーの一著に、八ページにわたるタッカーの伝記とアースキン自身の署名とが肉筆で書きこまれてあるのがみいだされる。またペインとともにフランス革命Rと擁護した自然科学者ジョーゼフ・プリーストリーの著書、とりわけ『統一の第一原理と政治的・市民的および宗教的自由に関するエッセイ』(一七七一年)もまた十八世紀著作史のなかで特異な存在といえよう。ウイリアム・コベットの数多くのパンフレットやチャーチズム関係の諸資料をここで一々あげることはできないが、いくつかのものをとりだしてみよう。第一に一八三〇年二月十八日のバーミンガム政治委員会の宣言が附された Bill for parliamentary reform as proposed by the Marquess of Blandford in the House of Commons.1831.がある。本書には Thomas Atwood Esq. という署名が附されている。いうまでもなく、このアトウッドはバーミンガム出身の銀行家であり、「バーミンガム政治同盟」の最高指導者であった。またウイリアム・ロベットやヘンリー・ヘザーリングトンとともにロンドンの運動でもっとも活動的な地位をしめていたジェームズ・ワトソンの裁判記録 Fairburn’s edition of the Whole proceedings on the trial of James Watson. がある。ワトソン自身のメモアールによれば、「わたくしが政治や神学をはじめて知ったのは一八一八年秋であった」というのだが、本書の刊行年は一八一七年としるされている。あるいは、Chartist songs and fugitive pieces. というパンフレットがある。著者のアーネスト・ジョーンズは『ノーザン・スター』の編集者として一般に知られているけれども、かれは同時に著名な弁論家であり、詩人であった。一八三二年の選挙法改正運動の段階には、ウイリアム・ベンボーの Grand national holiday and congress of the productive classes, etc. 1832. がある。ベンボーは印刷業者、刊行者、喫茶店主として、少くとも二度の獄中体験をとおして同時代の労働者に広汎な影響をおよぼした。本書はゼネストについての最初の理論的パンフレットとして知られている。チャーチスト運動の時期については、定期刊行物もまたかなり豊富に所蔵されている。この時期の運動に関連してもっとも著名なものは、Cobbett’s Political Register(1802-35) Poor Man’s Guardian(1831-35) Northern Star(1837-52) であろう。まえの二誌は不完全ながら所蔵されているが、『ノーザン・スター』のみは当初から購入されていない。『プァー・マンズ・ガーディアン』の刊行者はヘンリー・ヘザーリングトンであるが、かれがもっとも民衆的な出版業者としての特異な存在を示したものに The Halfpenny Magazine of Entertainment and Knowledge. がある。当時の革命的サンディカリズムの潮流とオーエン主義の Co-operation の協調的理念との内部対立は、オーエン主義の数多くの刊行物を通しても示されているのであるが、この小文ではでははぶかねばならない。ここでは一八一〇年代の議会改革の運動の頂点を示す特異な文献として Peterloo massacre containing a faithful narrative of the events etc. Edited by an observer. No.1~13. 2ed. Manchester 1819.をあげるにとどめる。本書は一八一九年八月マンチェスターで十一人の死者と四百人以上の負傷者をだした、いわゆるピータールーの虐殺についての報告であり、そこで主役を演じたのは、著名な煽動家であるとともに、To the radical reformers, male and female, of England, Ireland and Scotland. を刊行したヘンリー・ハントであった。最後に、大原社研に比較的まとまって保蔵されているものとして、オーエンの「公式」機関紙であった The Crisis 、おなじくオーエン主義の The New Moral World 、フーリエの La Phalange ピエール・ルルーの Revue Sociale ルイ・ブランの Le Nouveau Monde などをあげておくべきであろう。

 現在保蔵されでいるドイツ語の古い定期刊行物としては、ヘーゲル左派を中心とした三月前の諸文献が重要である。そこでの編集活動の中心はいうまでもなくアーノルト・ルーゲであり、かれが編集した主要な雑誌に、Aktenstücke zur Censur, Philosophie und Publicistik. Anekdota zur neuesten deutschen Philosophie und Publicistik. Hallische Jahrbücher(一八四一年七月号からは Deutsche Jahrbücher と改称)がある。さらにルーゲの精神的影響のもとで「共和主義的」煽動をおこなっていたカール・ハインツェンの Die Opposition ヘンリー・ビュットマンの Deutsches Bürgerbuch. Prometheus および Rheinische Jahrbücher ゲオルク・ヘルヴェークの Einundzwanzig Bogen aus der Schweiz モーゼス・ヘスの Gesellschaftsspiegelフォイエルバッハ主義者のカール・グリューンの Neue Anekdota 等の諸誌は、それぞれの特色はもちながら、いずれもヘーゲル左派の急進的潮流のなかに位置づけることができよう。ただオットー・リュニングの Dies Buch gehört dem Volke はドイツ哲学の影響よりも、むしろルイ・ブランの系譜に属する。そこでは何よりも、生産協同組合への労働者の団結と国ニ的社会改良のなかに救済策が求められる。最後にロバート・ブルムが編集した Vorwärts Volks-Taschenbuch für das Jahr 1846. をあげておこう。いうまでもなく、ブルムはフランクフルト国民議会の民主主義的左派の指導者であり、ウィーンの十月蜂起の結果銃殺された人である。したがってこの雑誌は周知の『フォアヴェルツ!』誌とはことなるものであり、またヘーゲル左派の系譜につながる上記の諸雑誌ともことなった政治的地点に位置づけでよいであろう。

 右にあげたもののほかに、大原社研に所蔵されている源泉史料の一つとして、一八四八-四九年のドイツ革命における約一三〇部のビラおよびパンフレットが加えられねばならない。それらは大部分がベルリンにおいて刊行されたものであり、理解しにくい方言によってつづられている。「大きなあごひげをはやした時事記者アウユスト・ブッデルマイヤー」とか「市民軍の一等兵ウーロ・ボーンハンメル」等の署名をもつ檄文、ザクセン、プラーハ、ウィーン、ドレスデンなど各地の状勢報告、ベルリソ警視総監の公示文、各大臣(革命時のプロイセン首相ルドルフ・フォン・アウエルスヴァルト、蔵相ダヴィット・ハンゼマン、その後短期間の首相であったエルンスト・フォン・プユール、ブユール内閣の内相フランツ・アウグスト・アイヒマン等)に対する告発文、諷刺文などがその内容である。これらのもののうち一部分はすでに史料集(たとえばカール・オーバーマンの研究)などで公表されているけれども、しかしおそらくここには、未利用の史料がかなり残されていることであろう。

 さらにわれわれは、第一次資料としてもっとも貴重な手稿コレクションをあげなければならない。

 それらは二、三の草稿をのぞけば、書簡が主たる内容であり、個別的に購入されたと思われる一部分をのぞいて、もともと二つのコレクションからなりたっているようである。そこにはV・R・ミラボーの書簡などもふくまれでいるけれども、そのほとんどが社会主義者の書簡である。たとえば、ルイ・ブラン、ジェローム・アドルフ・ブランキ、ヴィクトル・コンシデラン、アーノルト・ルーゲ、バウアー兄弟、カール・グリューン、カール・ハインツェン、ロバート・ブルム、エレアノル・マルクス、アウグスト・ベーベル、リープクネヒト父子、フランツ・メーリング、クララ・ツェトキン、ヨハネス・モスト、ピエール・クロポトキン等等。これらの書簡は宛先不明のものが多いが、そのうちいくつかのものはドイツ労働組合同盟の創設者マックス・ヒルシュあてのものではないかと推定される。以上断片的な書簡が多いなかで、ウイルヘルム・リープクネヒトの普通選挙権に関する草稿は中断してはいるが、かなりの程度まとまったものであり(一九ページ)、後日機会をあらためて発表されねばならないであろう。なお、これらの書簡コレクションのなかでも、内容的にとりわけ興味あるものに一八四三年の逮捕時におけるウイルヘルム・ワイトリングの書簡があるが、それらはすでに『経済志林』第二十七巻三号の拙稿のなかで発表されている。またフェルディナント・ラッサールの書簡は、『経済研究』第十二巻一号に発表された。ここでは、アレキサンドル・ゲルツェンの書簡をドイツ語の原文どおりにあげておこう。そこでかれは、一八五八年ロンドンで創刊しロシヤに密輸入されたといわれる雑誌『鐘』(Коло кол)についてふれている。このような書簡をここで発表することは、必ずしも適切ではないかも知れない。しかし大原社研に死蔵されているコレクションが専門家の手によって後日あらためて校証され、思想史研究をおしすすめる契機となることを、わたくしは望んでいる。

   27 October 1857. Putney (?)

Liber Herr Corvin,

 Ich bin recht herzlich dankbar für die Artikel ich habe früher gewusst, dessenungeachtet es machte mir eine Freude zu sehen dass Sie an mich dachten.

Jetzt ist schon ein Befehl v. Minister Westfahlen in Berlin ― gegen unsere arme “Glocke”― die wird jetzt mehr gekauft. Nachdem ich Sie gesehen habe,haben wir einen russischen Spionen gefunden acourirt und publicirt. Es ist ein Ostreichischer Pole.

  Ihr ergebenster

   A. Herzen.

 愛するコルヴィン氏ヘ

   一八五七年十月二十七日

 論文をいただき心から感謝しております。まえからわたくしは存じてはおりましたけれども、あなたがわたくしのことを覚えていてくださったことがわかって、うれしく思いました。いまベルリンでは、わたくしたちのあわれな『鐘』を圧迫するヴェストファーレン大臣の命令がくだされました。それはいま売行きがのびているのですが。わたくしがあなたにお会いしたあとで、わたくしたちは、ロシアのスパイをみつけ、追いかけて、すっぱぬいてやりました。それはオーストリア系のポーランド人です。   敬具

  A.ヘルツェン

 大原社研にはさらに故パウル・エルツバッハー教授が収集したアナーキズム文庫がある。この文庫は単に狭義のアナーキズム文献を内容とするだけではなく、アナーキズム前史、批判史、運動史を全系譜的に包括する。それはそれ自体アナーキズムの文献史というべきである。しかし、これについては、すでに戦前の『大原社会問題研究所雑誌』にカタログが刊行されているので、内容的な紹介ははぶく。この文庫については、現在わたくしが整理をすすめているのであるが、その現状は旧カタログに所収されているものと内容的にかなりの変化を示している。紛失しているものもかなりあるし、その反面カタログには未収のものもいくつかある。

そこには未利用の第一次資料が多数ふくまれでいるので、将来機会をあらためて、その全貌を紹介しなければならない。

 以上、わたくしは大原社研に所蔵されたヨーロッパ関係文献の現状を羅列的に、しかも部分的に述べた。将来整理が完成されたのちに、個々の専門家の手によって、未発掘の文献があらたな校証の照明にさらされることを期待しながら。

   (一九六〇年十月二十二日)

(追記)久留間教授のご教示にしたがって、二、三の重要文献を追加しておこう。まず、Some thoughts on the interest of money in general and paticularly in the public funds etc. Lond.n.d. 〔1739 or 40〕という表題をもった匿名パンフレットは、マルクスが資本論の商品価値の分析のなかで、「A・スミスの匿名の先行者」として高く評価した書である。

さらに、プレゼンテイション・コピイをふくむジョン・グレイの諸著をはじめ、ジョン・フランシス・ブレイ、ウイリアム・オギルヴィ、チャールズ・ホール等、リカード派社会主義者の諸著も稀覯本として挙げることが必要であろう。

〔「一橋論叢」第四五巻第二号 一九六一年二月より転載〕

 ヨハン・ペーター・ズユースミルヒの著書「神の秩序」の原書第一版(一七四一年刊)が、今回、わが国においてはじめて復刻された。それは大原社会問題研究所の所蔵本を写真版によって復刻したものである。「神の秩序」の初版本は稀こう本中の稀こう本で、おそらく世界中で三、四部をとゞめるにすぎないであろう。その一冊を大原社会問題研究所が所蔵しているのである。それについては私が多少関係したことがあるので、この稀こう本の復刻本を前にするとまことに感慨の深いものがある。

 昭和二年、文部省留学生としてベルリンに留学中たまたま高野岩三郎先生がこられてズユースミルヒの「神の秩序」の初版本を捜してもらいたいと頼まれた。高野先生は東大での私の恩師であり、先生いらいの統計学講座を担当することになった私はその勉強のためにドイツに来ていたのであったから、喜んでお引きうけした。むろん留学期間中にそれが見つかる成算があったわけではないが、ともかくも早速ドイツに来ていらい懇意にしていた古本屋のシュトライザンドに頼んで捜してもらうことにした。

 それから数ヶ月たった夏の終りごろ、シュトライザンドからそれらしいものが見つかったからとにかく一度見てくれと電話がかゝってきた。驚いてとんでいってみると、シュトライザンドの主人は現物をしめしながら、どうも少しおかしいという。なぜかというと、シュトライザンドが捜し出した本は、「その出生、死亡及び繁殖より証明せられたる人間種族の諸変動における神の秩序」一七四一年となっているが、ロッシャーの「ドイツ経済学史」で調べてみると、初版の刊行は一七四二年となっている。

 ところがマイツェンの「統計学の歴史、理論及び技術」では刊行年は一七四一年とあって、その点では一致するが、本の標題が「神の秩序に関する考察」となっている。そこで私もこの古本屋の書だなにならんでいる書物の中からこれと思う本をとりだして初版刊行の年についてあたってみると、一七四〇年、一七四一年、一七四二年と各説各様である。また驚いたことには初版は二冊本であると書いてあるものもある。早くヨーンの「統計学史」をみれば事情は氷解したわけだが、ヨーンの書物はシュトライザンドの書だなにもなければ、私の手元にもまだなかった。

 とうとうシュトライザンドの主人と相談してベルリソ国立図書館で鑑定してもらうことにした。国立図書館の回答は、当館では一七四一年版の一冊本をもって初版としでいるとのことであった。私はさっそくミュンヘンに滞在中の高野先生に連絡して大原社会問題研究所のために、シュトライザンドが捜しだしたこの本を買いとったのである。

 あとになってわかったことであるが、一七四一年版の初版につづいて、マイツェンの掲げる標題の本が一七四二年に出ている(この本も稀こう本であるが、大原社会問題研究所が所蔵している)。これがどうして出版されたか事情は明らかでないが、いずれにしてもこれは著者の「神の秩序」の第二版ではない。第二版は著者によって二冊本の大著として一七六一年に刊行されている。ページ数では第二版は第一版の三倍にもなっていて、内容も豊富になり、説明も精細になって、二〇年間の推敲のあとがうかがえるが、ズユースミルヒの入口統計の思想の原型は、むしろ初版において、素朴であるがかえって浮きぼり的にあらわれている。ちょうどマルサスの「人口論」の場合と同様である。

 ズユースミルヒは聖職者であったが、十七世紀後半イギリスでグラントやペッテイによって創始された政治算術の流れをくんで、十八世紀中葉にドイツ統計学史上に不朽の金字塔をうちたてた。それが彼の「神の秩序」である。彼は人口現象、すなわち人間の出生、死亡、増加において「完全にしてかつ美しい秩序」が支配していることを統計的に立証しながら、聖職者にふさわしくその秩序を神のたれたまう秩序とみた。しかしその神学のマントをとりされば、「神の秩序」は人口統計論として「最重要な業績」であり、この一書の著者として彼が「人口統計学の創始者」と評されるのも当然である。

 さきにわれわれは「神の秩序」初版の邦訳書(高野岩三郎および森戸辰男両氏訳、統計学古典選集第十三巻A昭和二十四年刊)をもつことができたが、いまやさらに世界的な稀こう本たるその原書の復刻本をもつことができるようになった。私は日本の統計学者としてそれを喜ぶとともに、また世界の統計学者からも大いに喜んでもらいたいと思うのである。

 〔「朝日新聞」昭和四二年四月一一日夕刊より転載〕

 大原社会問題研究所が財団法人として正式に設立されたのは大正8年2月9日ですが、設立準備は、その前年の米騒動を動機に、その後間もなく始められたものと思います。

 寄附者は岡山県倉敷町(現在は倉敷市)の故大原孫三郎氏です。氏はその以前から、貸費生制度を設けて学資の乏しい秀才を進学させたり、中央の名士を招聘して倉敷日曜講演というのを開催したり、大原奨農会(後の大原農業研究所)を設立したり、石井十次氏の岡山孤児院の面倒を見たりして、社会事業、文化事業、といった方面に少なからぬ関心を示していられたのですが、社会問題研究所はそれらの従来のものにくらべて、性質ないし規模から見て非常に画期的のもので、その創立は相当大きな決心と期待とをもってなされたものと想像されます。なお氏はその後も、労働科学研究所、倉敷天文台、大原美術館、その他いろいろのものを創設して、わが国の富豪としてはまことに珍らしい立派な業績を遺されたのでありますが、その中でも、社会問題研究所は最も異色のもので、富豪の寄附によってできたものとしては恐らく世界にも類例がなかろうと思っています。そしてこれは、氏の稀に見る天才的な性格と、高野博士の異常な誠意および識見、この2つのものの結びつきによってはじめてできたのであります。

 私がはいったのは大正7年末でしたが、その頃はまだ建物もなければ組織もなく、私の仕事は大学の研究室に通って高野先生の指導下に勉強することでありました。組織がはじめてきめられたのは8年2月の財団法人設立認可を機会に開かれた会議においてであったと記憶します。

 当初は労働問題を中心とする第1部と社会事業を中心とする第2部とが設けられ、第1部の委員は高野岩三郎、河田嗣郎、米田庄太郎の3氏、第2部の委負は小川滋次郎、高田慎吾の両氏で、そのうち第1部では河田嗣郎氏、第2部では高田慎吾氏が幹事として事務を主宰していられたのですが、第一次国際労働会議への労働代表の問題で高野博士が大学を辞められ、爾来研究所の仕事に専念されるようになりましたので、大正9年4月の委員会の決議によって組織を一変して所長を置くことになり、博士が選ばれてその任に就かれ、爾後今日に及んだのであります。

 事務所は最初は大阪の天王寺に近い愛染園のうちに本部、東京の数寄屋橋畔の統計協会内に支部が置かれていましたが、8年10月に大阪市天王寺区伶人町24番地にかねて建築中の建物が竣工しましたので、本部はそれに移ることになりました。これはベルギーのソルヴェ研究所の建物を参考にして、最初15萬円の経費で建築され、後に書庫、講堂等の増築が行なわれて、かなり立派なものでしたが後に述べますように、昭和12年の東京移転に際して、図書の一部と共に大阪府に譲渡されました。

 図書資料の蒐集は最初から所の重要な事業の一つとして考えられ、早くから森川隆夫氏が図書主任、内藤赳夫氏等が助手として採用されて、書庫と共に整理の陣立ではできていたのですが、内地で外国のものを急速に集めることは容易でありませんでしたので、その蒐集のために誰かを派遣しようということになり、当時嘱託として関係していられた櫛田民蔵氏と私とが行くことになりました。神戸を発ったのが大正9年の10月28日、翌年の正月6日にロンドンに着きました。当時は渡欧する人が非常に多くて、船室は1年も前から予約ずみといった状態でありましたために、荷物船で行くことになり、途中セレベスやジャヴァに荷物を積みに立寄ったものですからそのように長くかかったわけです。

 蒐集の仕事は、船中での相談の結果、独仏のものは櫛田氏、英米のものは私、と手分けしてやることになり、櫛田氏はロンドンにはほんの僅か滞在されただけでドイツに行かれました。

 持って行った金はたしか3万5000円、ポンドに替えて2通の正金銀行の信用状にし、1通づつ持って行きました。ドイツ書の購入費はその後追加されましたが英米の文献は(私の滞在費を含めて)結局1万7500円で集めたわけです。

 イギリスでは、古いものは主としてロンドンのジョージ・ハーディング、およびミュージアム・ブックストアの2軒の専門の店(それから政府の出版物はキング、東洋関係のものはリューザツク)から買入れましたが、中心地区はもとより、場末の古本屋まで随分漁り歩きました。マンチェスターやオクスフォードにも二度ばかり行きました。マンチェスターにはサットンというかなり大きな古本屋があって、大きな地下室に、何十年前に仕入れたものか、埃にうもれて数万冊の本が未整理のまゝ積み上げられてあったのですが、そこに何日も通って、ローソクを片手に発掘作業をやったこともあります。二度目に行った時は櫛田氏と一緒でしたが、同氏がマルクスの「自由貿易論」というパンフレットをそのうちから掘り出して、ひどく喜ぶやら鼻を高くされたのを、なつかしく思い出します。

 イギリスで買った本の中で目星しいものを思い出すまゝにあげてみますと、政府の古い出版物では、救貧法に関する数次のロイアル・コミッションの厖大な報告書、炭坑夫に関する同じくロイアル・コミッションの浩瀚な報告書をはじめ、ブルー・ブックスの社会問題に関するものはかなり完全に集めました。社会運動に関するものでは、古い所ではレヴェラーズやディッガーズのものまで遡って集めました。かつて開所式の際福田徳三博士もみえましたがその時の展観のうちにウインスタンリ等のこれらのパンフレットを見出して、さすがの博士も驚いて、どんなにしてこんな物を手に入れたかといいながらつくづく眺めていられたのを思い出します。

 チャーティスト・ムーヴメントのものは、ノーザンスターだけはちょっとのちがいで買い損ねましたが、それを除けばパンフレット雑誌新聞に至るまで、主要なものは大体集め得たかと思っています。

 ゼネラル・ストライキをはじめて提唱したものとして知られているベンボウのグランド・ナショナル・ホリデイというパンフレットは本屋が何の本か知らなかったのでほとんどただのような値段で手に入れましたが、これなどもおそらく珍しいものの一つでしょう。

 産業革命当時の社会思想の方面では、トマス・スペンス、トム・ペイン、ウイリアム・オグルヴィ、ウイリアム・ゴドウィン、チャールズ・ホール等リカード前のものから、ウィリアム・タムスン、ジョン・グレイ、ジョン・フランシス・プレイ等、いわゆるリカーディアン・ソシアリストのものも大概は集めることができました。それからオーエンおよびその一派のものは、ちょうどその当時ミュージアム・ブックストアがどこからか車1台分ばかりの古本を手に入れて穴倉に積んでいたので、そのなかからほとんど完全に集めることができました。どこから手に入れたか色々聞いてみたが遂に白状しませんでしたが、あるいはホリオーク氏あたりがかつて持っていたものではないかと思います。文献に出ているほどのものはほとんど全部そのうちに見出されました。キングスリーの何という名前の本でしたか、やはりこのコレクションの中から別に気にも留めないで買って来たのでしたが、その後誰でしたか、その方面の専門の人が閲覧に来られて、これは大変な稀覯書があるといって驚いていられたという話を、内藤〔赳夫〕君から聞いたことがあります。

 経済学では、マーカンティリストのものは特に著名なもの以外はしいて原版を集めようとはしませんでしたが、それ以後のものは相当完全に揃えたつもりです。ただケアリの主著だけは――これはアメリカの本でイギリスであまり読まれなかったせいかと思いますが――どうしても手に入れることができないでくやしかったのを覚えています。是非なくてはならぬ大した本だからというのではありませんが、とにかく経済学史にメンションされているほどの本で、買おうと思って買えなかったものとして、変に印象に残っているわけです。

 是非買わねばならない本で容易に買えないで一番苦労したのはマルサスの人口論初版です。これはもともと発行部数が少なかったので買いにくかったことに不思議はないのですが、それでもいわゆるマン物で、市場にヒョイヒョイ出ることもあるらしいのですが、私が行った当時はマが悪かったとでもいいますか、着くとすぐイの一番に本屋に渡したリストのうちに載せて置いたのにかかわらずいつまでたっても手にはいらず、こいつを買わねば帰っても合わす顔がないと思い、ロンドン大学の図書館長のヘデイカ氏までわずらわしてさがしてもらったりしたのでしたが、発つ少し前になってやっと手に入れることができました。値段は12ポンドで、当時は随分高いと思いましたが、その後昭和10年頃でしたか、イギリスから送って来たカタログにたしか、70ポンドと値がつけてあったのを見たことがありますから、それにくらべればひどく安かったわけです。

 スミスの国富論の初版はたしか5ポンドで買いましたが、持って行ったポンドの換算率で計算すれば35円くらいで買えたわけで、今から思えば何だか夢のようです。スミスの著書は全部、中でも国富論はすべての著名な版を集めることができたと思っています。

 マルサスのものも全部集めたつもりです。そのうちには――地代論でしたか穀物法論でしたかいまはっきり思い出しませんが――自署のプレゼンテイション・コッピイもありました。プレゼンテイション・コピイと云えば他にもいろいろありましたが、特にオーエンのものには相当沢山あったように思います。これは、彼が主義の宣伝のために各方面の有力者に盛んに自署を贈ったと伝記にありますから、そうした関係で比較的容易に手にはいったのでしょう。なお余談ですが、マルサスの筆蹟は非常にみごとなのに反して、オーエンのは金釘流というか何というか、ひどく変てこな書体だったように記憶しています。

 ドイツでの蒐集には、前にも申しましたように、最初は専ら櫛田氏が当られたのですが、間もなく森戸氏が例の筆禍事件の刑をおえて研究所にはいられ、追加の購入費をもってベルリンに来られましたので、その後は協力して当られたように聞いています。

 ドイツはその当時、あたかも第一次大戦後のインフレが外貨をもった買手に最も有利な段階にあってほとんどうそのような値段で物が買えた上に、生活に困った学者がぼつぼつ手離し出した時代でしたから、イギリスなどでは夢想もできなかったような豪勢な買い方ができたようです。その当時どんなに安く本が買えたか、いま手許にあるある本について一例をあげてみますと、たとえばカウツキー版の資本論の第1巻には、表紙の裏側に39マルクという本屋の書き込みがありますが、私がそれを買った当時マルクは約1銭でしたから、あの本が39銭ほどで買えたわけです。そういう状態でしたから、重複などはあまり気にかけないで、思い切って文庫なども買い入れることができたわけであります。

 研究所で買ったコレクションのうちで一番部数が多かったのは、某書店の手にあった社会主義を中心にしたもの、それから、それ自身に完備しているという点で最も貴重なのは、エルツバッハー教授の無政府主義のコレクションでしょう。これは部数からいえばそんなに大したものではありませんが、無政府主義に関する蒐集としては世界無比のものだと云われています。それからハスバッハの文庫も買いました。

 個々の稀覯本としては、何といってもマルクスがクーゲルマンに宛てた資本論第1巻初版の自署の贈呈本をあぐべきでしょう。その他マルクシズム関係の文献は、マルクスやエンゲルスが青年時代に寄稿した新聞雑誌をはじめ、社会党の機関紙フォールウエルツのバック・ナンバーに至るまで――そのなかには容易に得難いものが沢山あるのですが――ほとんど完全に集っていたように思います。その他の方面のものではカントやフィヒテの初版物、それから――これはドイツのものではありませんが――ディドロー・ダランベールのアンシクロペディ等も手に入れて来られました。

 なお、所蔵の稀覯書としては、ズユースミルヒの「神の秩序」の初版も書き落とすわけにはいかないでしょう。これはその後に、たしか昭和の初頃でしたか、当時ベルリンにいられた有沢広已教授の斡旋で手に入ったものですが、統計学史上におけるもっとも有名な本で、しかも世界に恐らく2部しかないだろうということです。

 アメリカへは帰途櫛田氏と一緒に立ち寄り、ニューヨークとシカゴで最後の蒐集をしましたが、これは主として新しいものでした。

 大原社会問題研究所の洋書の蒐集は、このように、前大戦後の絶好の機会に西洋で買い集めたものを基礎にして、その後年々買い足していってできたのですが、和書の方は何年頃でしたか、私共が帰って間もない頃に、東京、大阪、神戸等を大勢で買い漁ったことなどありますが、しかし大部分は長い間に買い集めたものです。和書のうちでは特に社会主義文献がよく集っていましたが、この方面の蒐集については、森川隆夫氏の歿後図書主任をしていられた故内藤赳夫氏の功を忘れることができません。

 なお日本のものでは普通の文献のほかに、労働組合を主とする生まな資料も随分集っていたのですがこれは主として後藤貞治、木村定の両氏の努力によってできたものであります。

 このようにして大原社会問題研究所の文庫は、社会問題、それから精選されている点では恐らく経済学に関しても、日本はもちろん世界的にもめったにはひけをとらない立派なものになっていたのですが昭和10年頃大原氏から、経済上の理由のために――しかし実際には恐らく、その当時次第に抬頭しつゝあった反動勢力の圧迫もあったことと思いますが――従来通りの寄附の維持が困難だと申出があり、いろいろ交渉を重ねた末に、結局従来の土地建物と蔵書の一部(8万2000冊)とを大阪府に譲渡して東京に移転することになりました。譲渡したのは主として経済学に関するもので、将来大阪に国立の総合大学ができた際にそのライブラリーの基礎にするという予想の下に、それまでは責任をもって散逸を防止するということ、その他若干の条件を附して、ほとんど寄附同様の条件(金額は25萬円、これは土地建物の評価額よりはるかに安かったので、図書は事実上無償)でお譲りしたのでした。

 新たな事務所は、淀橋区柏木4丁目896に設けました。故山内多聞画伯の邸宅を譲受け、それに多少の改造を加え、更に2階建延90坪ばかりの書庫を建て増して設けたのでした。図書及び資料はこの新築の書庫と、母屋のうちに設けた約20坪の資料室と、延15坪の土蔵とに納めました。この土蔵は実に模範的なもので、一つにはこれがあったためにこの家を買う気にもなったのですが、これが結局非常に大きな役目を果すことになりました。

 というのは、研究所も昭和20年5月25日の戦災にかゝったのですが、他のすべてのものが灰燼に帰したなかに、この土蔵だけはびくともしないでもちこたえてくれたからです。どの程度のものがそのおかげで残ったかは、整理のための人手と場所とがないために今のところまだはっきりわかりませんが、もともと貴重書はこのうちに保蔵することになっていた上に、爆撃になってから目ぼしいものはできるかぎりこの中に運び込みましたから、冊数からいえばもちろん僅かにすぎませんが、質的には重要な部分が残っているものと信じています。

 たゞ現在遺憾とするところは、昨春来焼け跡に事務所を再建して久しく休眠状態を余儀なくされていた本来の活動を再開し、図書資料の利用も講ずるつもりで準備を進めていましたところ、8月の預金封鎖で寄附を受けることが困難になった上に、資産の大部分を凍結され、この計画がすっかり画餅に帰したことであります。

 さきに大阪府に譲渡した建物も戦火の厄にあいましたが、書庫だけは焼け残ったと聞いています。まことに不幸中の幸といわねばなりません。特に研究所の図書の蒐集に半生を費した私にとっては、一人は既に養子にやり、一人はひどい火傷をしながらもともかく愛児が生きながらえてくれたことはせめてもの喜びです。たゞ資金が乏しいために往年のような大規模な研究調査を再開することはもとより、せっかく焼け残った手許の図書資料の整理もできない状態にあることは、まことに遺憾の極みであります。

〔附記 この文章は、久留間前所長が執筆された「大原社会問題研究所」(『読書展望』第2巻4号、通巻第7冊、1947年5月)にもとずき、同じく「学究生活の思い出」(『思想』第349、350号、1953年7、8月)および「半生かけた図書蒐集」(『法政』第3巻9号、第28号1954年8月)などによって、多少の字句上の追補をおこない、仮名遣いを改めたものである。
 上の2の中に書かれている救貧法や炭坑夫にかんするロイアル・コミッションの報告書類などは戦災にあって焼失した。3の中のマルサスの自署本は、救貧法改正案にかんする「ホウイットブレッドあての手紙」である。4の中にふれられたズユースミルヒの『神の秩序』の初版本は、本年3月に著者の没後200年を記念して当研究所が復刻版を発行した。今後もこのような稀こう書の復刻をつゞけたいと思っている。

 1937年に大阪府へ譲渡した8万冊余の経済学関係の文献は、現在、大阪府立図書館天王寺分館に所蔵されており、そのうち洋書1812点にいついては、3冊の分類目録が作成されでいる。――A classified catalogue of the collection of old books in the Tennoji branch of the Osaka Prefectural Library (Formerly The Library in The Ohara Institute for Social Research). Part1,rev.ed.1958; Part2(A)1961; Part2(B)1962.

 大原社会問題研究所の現在の蔵書のうち1880年以前に刊行された洋書の単行本および逐次刊行物、1848年ドイツ革命時のビラ、ポスター類、社会主義者その他の手稿および手紙のコレクションについては、1960年に目録を発行した。――A catalogue of selected publications and manuscripts in The Ohara Institute for Social Research.1960.

 この目録からはぶかれたアナーキズム関係の当所所蔵のエルツバッハー文庫の目録は、戦前の『大原社会問題研究所雑誌』、第7巻2、3号に掲載されている。また現在所蔵している和洋の逐次刊行物については、法政大学図書館編『法政大学逐次刊行物総合目録』、人文・社会科学編、1966年刊、に一応ふくまれている。しかしいずれも多かれ少なかれ訂正増補が必要である。2年後に迎える研究所創立50周年までに、それらについていっそう完備した目録を作成する予定である。なお研究所の刊行物および刊行雑誌の論文目録は1964年に刊行された。--宇佐美誠次郎〕

 ここでいう「音声資料」とは,社会運動の活動家・関係者から行ったヒアリングのテープや,研究所における特別・月例研究会などで報告された社会問題・社会運動史に関する報告テープなどをさす。

 研究所は,1969年から《覆刻シリーズ・日本社会運動史料》を,1991年から《戦後社会運動資料》の刊行事業を始めたが,ヒアリングテープの多くは,これらの文献復刻の解題執筆に伴う調査の一環として試みられたもので,それ以外には加藤勘十,上条愛一,山名義鶴,三宅正一,神山茂夫,山辺健太郎,森戸辰男,棚橋小虎,平野学などの運動家・指導者などからもヒアリングを行っている。聞き手は,主に田沼肇・二村一夫・斎藤泰明・吉田健二らの研究員で,ほかに村山重忠,高橋彦博氏らが参加している。

 この「音声資料」で“目玉”となっているのは,産別会議研究会が行ってきた日本共産党幹部や産別会議の指導者,および戦前・戦後初期に左翼ないしリベラルな視点から言論・出版人として活躍されたジャーナリストからのヒアリングである。前者では,長谷川浩,椎野悦朗,春日正一,細谷松太,吉田資治,戎谷春松,三戸信人,足立長太郎,津々良渉,中原淳吉らで,後者は,長島又男,中村英一,佐和慶太郎,小林栄一郎,殿木圭一,川添隆行ら計70人に及ぶ。聞き手は,おもに吉田健二である。

 また,研究会などの報告には,大内兵衞「世界経済の中の日本」(1959年12月),遠山茂樹・藤田省三・斎藤泰明ほか「戦前労農運動における社会民主主義の研究」(1963年6月),久留間鮫造ほか座談会「太平洋戦争下の労働者と労働運動を回顧する会」(1965年12月)などもある。

 なお,これら産別会議研究会や戦後社会運動研究会が行ったヒアリングのうち,本人および遺族の了解を得た方については順次,『大原社会問題研究所雑誌』においてその証言を発表している。このうち産別会議の指導者の証言については,1996年3月に『証言 産別会議の誕生』(総合労働研究所)を出版している。また2000年3月にも,産別会議の運動に関する証言を集成した『証言 産別会議の運動』(御茶の水書房)を出版することになっている。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

 ここで「画像資料」というのは,写真やポスター,フィルムなどの資料のことである。戦前のコレクションとして貴重なのは,第1回普通選挙の時に研究所が収集した各政党の候補者や政党の宣伝ポスターである。無産政党のポスターが主だが,政友会や民政党の物も若干含まれており,菊池寛・大山郁夫などの名前がみられる。また新聞紙の上に謄写版刷で赤色に刷ってある野田律太のポスター,立憲民政党の「借金して見えを張る政友会,整理緊縮真面目で押し行く民政党」とあるポスター,内務省が棄権防止を訴えた「投票スレバ明クナリ,棄権スレバ暗クナル」という明暗2色刷りのポスターなど,数多くある。

 労働運動関係ポスターでは,大会や争議の時のものなど数多く,ステッカー類を含めると膨大なものになる。農民組合関係では全国大会や小作争議のポスターが主であるが,珍しいものとしては,手書きで作った大判の第5回全国農民組合全国大会の宣伝ポスターがあり,水平運動関係のものでは各年の全国大会ポスターのほか,福岡連隊の差別糾弾の真相大演説会のポスター,大和同志会の「差別てっぱいは平和の基礎」という宣伝部のポスターなどがある。

 メーデーのものとしては,各年の宣伝ポスターのほかに,大阪鉄工組合と向上会で作った小旗が珍しい。

 プロレタリア文化運動に関連したポスターでは,「太陽のない街」などの演劇,映画,音楽会のほか,『マルクス・エンゲルス全集』『マルクス主義選集』等図書の広告宣伝用のものも何枚か含まれている。新劇の宣伝や展覧会等文化関係のポスターも数多く含まれ,当時の世相を垣間見ることができる。また借家人組合運動の中には「電燈料三割値下げ」を要求している電燈電力ガス値下げ期成同盟のものや「地代家賃値下演説会」などがあり,消費組合運動では大会宣伝ポスター,婦人運動では婦選獲得運動啓蒙ポスター,労働者教育では大阪労働学校のものや「ブラジル事情及び語学講習会」など,戦前の運動に関するものが網羅されている。

 また,戦後のポスターとしては,産別会議が収集したものが1冊のファイルとして保存されているが(1948年6月作成),この中には傘下組合の宣伝ポスターのほか,生産復興問題,ストライキ宣言,闘争宣言の壁新聞まで含まれている。その他新劇の宣伝ポスターや展覧会のポスターなど文化関連のものも多く,当時の世相を垣間見ることができる。これらのポスターは総評・炭労その他から寄贈されたポスターと共に分類整理され,電子化の作業が進行中である。1947年の2.1ゼネストの時の「全官公庁労組共同闘争委員会」ポスターや,1947年3月19日の「全官公非常事態宣言」,総評の結成大会・第2回大会のポスターなど珍しいものもある。

 「労働組合結成100年」を迎えた今日,戦前・戦後併せて4000枚ものポスターコレクションは大変に価値あるものだと言えるだろう。これらのポスターの一部は研究所のホームページ上で検索することができる。

 このほか絵葉書もある。1921年の川崎・三菱造船所争議や1924年の大阪市電争議,墨田合同運漕船夫争議,農民運動では伏石小作争議等を記念して作られたものなど数点あるが,これらも戦後ではあまり見かけないものの一つであろう。

 写真のコレクションとしては,研究所関係をはじめとして,運動家個人の肖像写真,労働・農民・水平各運動の争議,大会記念写真等を所蔵している。友愛会・総同盟・評議会など全国大会の時の100人をこえる集合写真は見事である。渡辺悦次氏の紹介で富士紡川崎争議での煙突男の写真を山花秀雄氏から寄贈を受けたが,そのようにして,かつての運動家より当時の写真をいただき,コレクションの充実をはかりたいと考えている。また,川崎・三菱造船所争議については映画フィルムも残されていて,「灯をかかげた人々」という名称で,数年前に兵庫県立労働経済研究所の手で再編集された。

 その他,1946年8月19日の産別会議結成大会,1950年7月11日の総評結成大会,1954年4月22日の全労会議結成大会,1962年4月26日の同盟会議結成大会,1964年11月11日の同盟結成大会の写真や,全三越労組が1992年に解散するときに寄贈を受けたスナップ写真を含む写真ファイル1冊がある。

 また,松川事件,メーデー事件,三池争議,青梅事件等については16mmの映画フィルムがあり,これらは前述の川崎・三菱造船所争議のフィルムを含めて全てビデオテープ化されている。

(谷口朗子・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

 「現資料」と言うと,紙媒体のものに限定しているかの印象を受けるので,研究所内では,紙媒体に限定されない,様々な形態の分類しようのない資料を一括りに「現物」と称している。これらを元に,いずれは電子ライブラリーを構築する構想もあり,現在,一般公開はしていないものの,いずれ展示ケースを設置して広く公開したいと考えている。
 これら「現物資料」のなかでも,特筆すべきは,多くの組合旗の類である。まず,戦前の日本印刷工組合信友会の幟がある。信友会の提唱で1920年第1回のメーデーが組織されたといわれているが,これは,戦後復活メーデーに至るまで副幹事長の水沼辰夫の手によって毎年メーデー会場を飾った幟で,赤いラシャ地に黒で字を刺繍した立派なものである。戦後,葛西保氏の仲介により水沼未亡人より寄贈をうけた。また,全日本鉱夫総連合会の旗もあるが,これは紫の房が四方を飾り,下に“働ラカザル者喰フベカラズ”とあり,戦後加藤勘十氏より寄贈された。

 このほか,東京乗合従業員組合本部の旗,全国労働組合同盟の赤旗,出版工倶楽部の紫旗,日本労働同盟の黒旗がある。また農民組合関係では,日本農民組合新潟県連合会,日本農民組合関東同盟新潟県七日町支部(松沢俊昭氏より受贈),全国農民組合,その他各支部の旗なども数多くある。

 垂れ幕や幟では,農民大会の時の垂れ幕,横断幕(いずれも戦前のもの),政党では社会大衆党岡山県支部連合会,全国大衆党青年部,また1928年五党合同の時の垂れ幕などもある。とりわけ珍しいのは,『平民新聞園遊会』の時のもので,「幸徳秋水書,堺利彦識」とある幟であろう。バッジ類では,加藤勘十・下坂正英・北原和夫ら戦前の活動家から寄贈された労働組合員章,農民組合員章,大会記念バッジなどがある。農民組合のバッジには揺れる旗を形取った1928年大会記念のものや鳴子を象ったものなど凝ったものが多い。労働組合では,友愛会の第5,8,10回大会記念章,全国坑夫組合,日本海員組合,電線工組合,新進会,向上会,商船同志会等の会員章の他神戸労働争議の記念バッジもある。

 このほか珍しいものとしては,戦前に大林宗嗣研究員が調査資料として購入した“産児制限器具”の木箱が2つ,農民闘争時の立入禁止の公示札,「解放運動ギセイ者の家族を救え!」と書かれた“うちわ”などがある。看板も「土地と自由発行所」「共営社」の看板等数点あるが,面白いのは「日本農民組合総本部」の看板で,裏返すと「全国農民組合総本部」となっている。その他に,高野所長愛用の瓢,硯,インク壷などもある。戦時中のものでは労務報国会の纏を,1964年5月1日に大阪労働協会より寄贈をうけ,保管している。

 戦後のものとしては,メーデー事件の証拠品(プラカード,赤旗,棍棒,石等),松川事件の行進の時の横断幕,白鳥事件関係の寄せ書き赤旗,行進用のたすき,村上国治被告宛ての手紙,平和のための東京大行進(1982年5月23日)記念ハンカチ・バッジ,東大紛争の時の投石用(?)に安田講堂の壁を砕いたと思われる大理石のカケラ(東大生産技術研究所の人より受贈)や角材などがある。

 また,“首切り反対”,“安保反対”,“被爆者に援護を!”というマッチや「連合」結成大会で配られた立派な箱に入っている記念メダル等もある。

(谷口朗子・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

 研究所には,図書・文書資料の他に,マイクロフィルム,マイクロフィッシュも多く所蔵されている。ただし,現在,研究所にはマイクロのリーダー・プリンターはないので,マイクロ資料を見る場合には,図書館1階のものを利用する必要がある。

 さて,外国関係のマイクロフイルム,マイクロフィッシュの資料について紹介しよう。これらの資料は,フランス関係の新聞,雑誌を除いては,商業ベースでのセット販売のものを購入したもの,特定のテーマについて系統的に収集したものではない。

 まず,アメリカ合衆国については,Labor Unions’ Constitutions and Proceedings がある。これは2部に分かれ,Part Iはマイクロフィルム197リール,Part IIは284リールと 量が多い。これには労働組合の大会議事録などが含まれている。

 イギリスについては,労働党,独立労働党(ILP),共産党関係の資料がある。労働党については,Archives of British Labour Partyがある。これは,マイクロフィッシュSeries one は717枚,Series Twoは319枚,マイクロフィルム18リールである(なお,この中には大会議事録が含まれているが,その1906~1961年の分はマイクロからのコピー版が,1962年以降1985年までの分は現物が所蔵されている)。独立労働党については,ILPというタイトルのフィルムが6リールあり,この中には,Annua1 Reports 1893~1910年,Weekly Notes for Speakers などが含まれている。

 イギリス共産党関係については,次の様なパンフレット,新聞,雑誌などがある。 まず,Communist Party of Great Britain,SeriesⅣ。これは1976年までをカバーし,党の発行したパンフレットが多数収められている。新聞,雑誌には次のようなものがある。共産党の理論誌,The Communist Review,1921年5月~1953年,マイクロフィルム8リール(1922~33年については欠号があるが,研究所の図書にも協調会文庫にも現物が所蔵されている)。哲学・文明批評などに関する雑誌としては,Modern Quarterly,1938~39,45~49,49~53年(3リール)。 The Marxist Quarterly,1954~57年(1リール)。 Marxism Today, 1957~72年(6リール)。この雑誌については若干の欠号はあるが,57年から現物を所蔵している。新聞としては,Workers Weekly, 1923.2.10~24.12.26,25.1.2~27.2.21(2リール)。 Workers Life,1927~29年(3リール)は誌名変更によりWorkers Weekly を継承したものである。 The Left in Britainは,1904~1972年の間の 左翼の政治 運動団体の機関誌を集めたものである。マイクロフィッシュの分はPart one 169枚,Part Two 277枚,マイクロフィルムの分は55リールとかなりの量になる。

 その他には,ベアトリス・ウェッブの自筆の日記がマイクロフィッシュで存在する。 Diary of Beatrice Webb(図書も研究所に所蔵されている)。また,労働組合など作られた団体の資料Labour Research Department,1916~1972年(マイクロフィルム9リール)。これには,この団体が出版した本・パンフレットなどが含まれている。

 ドイツ関係では,内務省関係の資料,Lage berichte(1920~1929)und Meldungen(1929~1933),マイクロフィッシュ1+399枚,がある。

 イタリアについては,共産党の機関紙,Unita,1927~61年(マイクロフィルム34リー ル)がある。

 ILO関係では,マイクロフィッシュで,G. Schneider, Youth Unemployment:Socia1 Aspects and Attitudes,1977,など6冊の本が収められている。

 コミンテルン,プロフィンテルン関係では,ロンドンで発行された機関誌,The Communist,マイクロフィルム3リール,1920.5.8~21.7.30,21.8.6~23.2.3,1927~28がある(1927~28年については現物が所蔵されている)。プロフィンテルンについては,その機関誌,Die Rote Gewerkschafts-Internationale が1930~33年について所蔵されている。マイクロフィッシュで30枚(1921~31年については,欠号があるものの現物がある)。

 この他に,The Archives of War Resisters’ International, 1921~1974年,フィッシュ103枚,がある。これについては,Card 1にリストがある。

 またロシア語による旧ソ連関係のものが2セットある。37リールと15リール。内容についてはまだ確認していない。

 フランス関係の新聞・雑誌は,全体の量としてはそれほど多くはないが,両大戦間期の社会・労働運動関係のものがある程度集まっている。タイトル数は25,合計49リール。機関誌紙以外には,大会議事録がマイクロフィルム版で存在する。社会党については,1933~1952年(5リール)。CGT については,1897~1969年(12リール),途中に欠号がある(なお,協調会文庫に若干の現物が存在する)。

 第1次大戦前のものとしては,La Revue socialiste ,1910-juin 1914 (5リール)。社会党の右派関係では,La vie socialiste, juillet 1920-nov.1923,1926-1929(6リール),Paris-demain,(1リール), néo ,déc.1934-mars 1936(1リール)があ る。社会党の左派関係では,La Bataille socialiste, juil.1929-avr.1934(1リール),La Gauche révolutionnaire, oct.1935-jan.1937(1リール), Juin 36,fév.1938-1939(1リール), Le combat marxiste, oct.1933-avr.1936(1リール)がある。学生の社会主義運動関係では,L’etudiant socialiste, fév.1928-jan.1937(2リール)がある。その他の統一戦線運動関係としては,Front commun,déc.1933-juin 1934(1リール)がある。

 CGT関係では,L’Atelier ,mars 1920-1923(2リール),L’Atelier pour le plan ,mai 1935-1937(1リール),Messidor ,mars-déc.1938(2リール)がある。CGT内の「サンディカ」派に関するものとしては,Syndicats, 16 oct.1936-juin 1940(3リール),その流れをくむ,L’Atelier,1940-août 1944(2リール)がある。CFTC関係では,Syndicalisme,oct.1933-mars 1940 (2リール)がある。産業別の労働組合では,Tribune des cheminots,mars 1917-1920(1リール),La Tribune des fonctionnaires et des retraites ,1913-24,1934-36,1938-39(4リール)がある。
 1930年代の知識人の運動に関するものとしては,L’Homme réel,1934-1935(1リール ), L’Homme nouveau ,1934-avril 1937(4リール),La Lutte des jeunes ,fév.-juil.1934(1リール),理工科学校出身者たちによるグループであるXクリーズの出版物,Centre Polytechnicien d’Etudes Economiques X Crise ,1933-août 1939(2リール) もある。そのほかに,La Revue du travail, 1919-1921(1リール),Progres civique ,mai 1919-1921(5リール)がある。

 その他,金属労連の大会議事録1919~1923年,と,地下資源労連の大会議事録(1920.1934.1938.1946.1950)とがある。両者で3リール。レジスタンス関係では,Périodiques clandestins,1939-1945 (3リール)がある。議会関係資料としては,Debats de l’Assemble Consultative Provisoire,4 nov.1943~20 oct,1945(3リール)がある。

 フランス関係の資料のうち,社会党とCGTの大会議事録,La Revue socialiste を除くと,多くは筆者が以前に私費で購入したものを研究所に寄贈したものである。

(佐伯哲朗)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2) 裁判および救援運動関係資料

 a 松川裁判関係資料  松川事件は,下山事件・三鷹事件とならんで,戦後の社会・労働運動史のなかでもきわめて注目すべき事件である。この事件については,14年間にわたる裁判の結果,被疑者全員の無実が確定した。松川裁判関係の資料は,松川事件の責任追及のための全国連絡会議代表世話人会議が所有していたもので,同会議から一切の権限を与えられた弁護士六氏と当研究所の間で,1971年4月23日,資料寄贈に伴う契約が交わされ,当研究所が所有することになった。これらの資料については,『松川運動全史』(労働旬報社,1965年)の編者であり,松川運動の当初から裁判・救援関係資料の収集と保存に努力された小沢三千雄氏によって「松川裁判と松川運動に関する資料目録」がまとめられている。

 b 60年安保闘争6・15事件国家賠償請求訴訟関係資料  「6・15事件」とは,1960年6月15日深夜,国会前にいた「大学・研究所・研究団体集会」(大研研)のデモ隊に機動隊が襲いかかり,デモ隊側に100名を越える重軽傷者を出したいわゆる「教授団襲撃事件」のことである。この事件に対して,1960年9月27日,被害者のうち24名が都と国を相手取って国家賠償請求訴訟を起こした。この告訴・告発から1968年の裁判終結にいたる記録が,原告の一人であり,訴訟活動の事務局をも担当していた故福井正雄氏(当時東大理学部助手,後明大教授)によって収集・所蔵され,その後当研究所に寄贈された。その後,事件当時東大職組の書記であった川崎忠文氏によって「60年安保闘争6・15事件国家賠償請求訴訟資料目録」(『大原社会問題研究所雑誌』第361号)がまとめられた。

 c その他の資料

 1)レッド・パージに関連した地位保全仮処分申請裁判関係の資料は18ファイルにのぼり,日立電鉄・帝都高速度交通営団・京浜急行・小西六・東京瓦斯・三共・科研・日本鋼管・日本電機・三機工業・大崎電気・結核予防会・新聞通信放送関係・東宝砧撮影所・東京女子医大・旭化成延岡工場・東京鋼材・全逓関東地連・東京日本電線・新理研工業・富士産業・帝国石油・新潟鉄工所等にかかわる裁判資料がある。またこれに関連して,三鷹事件,法政大学三教授解雇事件に関する資料も,それぞれ1ファイル分残されている。

 2)1950年代前半の「騒乱」諸事件または弾圧諸事件の裁判関係資料のいくつかは,対策協議会や国民救援会を通じて当研究所に寄贈された。このうち「メーデー事件」関連の資料は,弁護団のまとめた論告公判調書・意見陳述・起訴状に対する釈明・弁論要旨・控訴趣意書・判決など冊子としてファイルされているものを中心としてかなりまとまっている。この他に手記・獄中書簡・旗・横断幕・テープ・スライド・ネガ・写真などがあり,全部でおよそ10連・60段に及んでいる。

 「辰野事件」は,1952年4月31日,長野県辰野町の警察署などにダイナマイトが仕掛けられたことに端を発して20年の長期裁判の結果無罪が確定した事件である。これに関係する資料は,証拠書類・訊問調書・供述調書・意見要旨・弁論要旨・最終弁論など,弁護団が作成した冊子を中心に3段ほどのもので,それほど多くない。

 「吹田事件」「大須事件」は,いずれも1952年6月24日,7月3日に,大阪の吹田操車場,名古屋の大須球場での集会の後,警官隊と衝突した事件である。「吹田事件」関連の資料は,供述調書・証言録・鑑定書・診断書・公判速記録・弁論要旨・訴訟趣意書・控訴趣意補充書・判決など4段に及ぶ。「大須事件」関連の資料は,弁論要旨などの公判速記録がかなり揃っており,起訴状・公判調書・捜査記録・上告趣意書・最終弁論要旨・判決など全部で3連・18段ほどである。

 この他に,上告趣意書など「平事件」に関する資料が若干(1/2段ほど)あり,「5・30岩ノ坂事件」関連の資料は弁護人弁論要旨や起訴状・控訴趣意書など2ファイル,西尾末広政令違反等被告事件関連の資料は,上告趣意書・答弁書・一審公判調書(1~6)など3ファイルで,それほど多くない。 1952年7月29日の北海道での鉄道爆破事件で後に無罪が確定した「芦別事件」についての資料もあるが,これはまだ閲覧できるようになっていない。

 3)公判記録や公判闘争資料を含む救援関係の記録は13ファイルあり,電気事業法違反事件・建造物侵入事件・芦田政令違反事件・朝連解散取り消し要求行政訴訟・軍事裁判・各種仮処分申請関係記録・刑事事件起訴状や判決文などが主なものである。

 4)スモン裁判関連の資料は,1984年8月,スモンの会全国連絡会議から「スモン薬害裁判闘争関係資料」として寄贈を受けたもので,福岡・大阪・京都・宮城・札幌等各地の判決などの裁判資料もあるが,それよりも,事務局日誌・会報・ビラ・パンフレット・参加者名簿などの各種集会や会議の記録,新聞記事のスクラップ・ポスター・集会用垂れ幕・横断幕などの事務局関係資料や運動主体の側の資料が多くある。

 この他,源泉徴収制度違反訴訟関連資料3ファイル,所得税返還請求訴訟5ファイル,国税不服審査請求裁判等取り消し請求訴訟・固定資産税違憲訴訟関連の資料が各1ファイルある。

(五十嵐 仁)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1) 労働組合旧蔵資料

 a 東芝労連関係資料  1949年の企業整備反対闘争などを含む東芝労連関係資料は,元東芝労連事務局におられた石井弥二郎氏から寄贈されたもので,分量は6段3連に及ぶ。戦後初期,民間労働組合の中でも際立って戦闘性を発揮した東芝労連に関する資料は,当時の民間大企業における労働運動の実態研究には,きわめて重要な資料である。

 この資料の中心部分は,1948年3月1日の東芝労連結成以来,1951年8月26日の新旧労連統一大会に至るまでの旧東芝労連保有資料,および1945年12月,堀川町労組結成以来の各単組資料などである。その中には,たとえば機関紙『東芝労連印刷』が,N0.1(1948年2月28日)からN0.1504およびその続きであるN0.1の1からN0.8の82(1951年8月7日)までそろっているなど,これだけでも大変貴重である。同資料は,東大の山本潔教授らによって,閲覧可能なまで整理されている。なお詳しくは,山本潔「大原社研所蔵『東芝労連資料』について」(大原社研『資料室報』第212号),同「東芝労連印刷」(同『資料室報』第223号)を参照されたい。

 s 全造船三菱関係資料  全造船三菱関係資料は6段4連に及び,時期的にはほぼ55年頃から60年代末にわたっており,この時期の日本重工業における最重要企業の一つである三菱重工業の労使関係の変遷などを知る上での重要な資料である。この資料は,全造船三菱重工支部が所蔵していたものであり,支部発行資料,会社側資料,全造船や他組合の資料などからなる。この資料も,東大の山本潔教授らの手によって,閲覧可能なまで整理されている。その概要については,山本潔・上田修・橋元秀一らの執筆による「『全造船三菱資料』」について」(大原社研『研究資料月報』第296号),および「『全造船三菱資料』目録」(同『研究資料月報』第296~297号)を参照されたい。

 d 国労関係資料  大原研究所が,1987年に国鉄労働組合から受贈した資料は,分量も段ボール箱で200箱以上という厖大なものである。その中には,『国鉄新聞』など本部や地方の機関紙誌,国鉄関係図書などがある。とくに1950年代以降の重要な国鉄争議関係の資料,各級レベルにおける裁判闘争関係の資料は,国鉄争議,権利闘争について知る上で,きわめて貴重なものである。たとえば,勤務時間中の入浴慣行をめぐる「国電田町駅裸連行事件」や「ILO 87号条約批准闘争」関係資料,「三河島事件」の裁判資料,国労弁護団会議資料などが,その一例である。なお,その後も数回にわたり,資料を受贈している。

 f 日本フィル争議資料  日本フィルハーモニー交響楽団の争議(いわゆる「日本フィル争議」)は,音楽関係における長期でユニークな争議として知られ,今崎暁巳『友よ未来をうたえ』(正続2冊,1975,77年)という本や「炎の第五楽章」という日活映画にまでなった。この「日本フィル争議」関係の資料が同事務局をつうじ,1988年に大原研究所に寄贈され,1989年にも追加資料が寄贈された。団交記録,裁判関係資料,争議支援関係の資料が中心である。これによって,日本フイル争議の全体像を知ることができる。

 g その他  組合否認,役員解雇撤回闘争として闘われたエスエス製薬争議関係資料(なお同争議については,争議記録としてエスエス製薬闘争支援共闘会議『エスエス争議団物語』がある),東京交通労組資料などがあるが,閲覧可能にまでは至っていない。この他,全国金属や炭労より受贈した資料,すなわち三井三池炭鉱争議,炭労の政策転換闘争に関連する資料や,近江絹糸争議に関する資料など多くの組合からの資料もある。

(早川征一郎)

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(5) 社会主義政党関係資料

 社会主義政党関係資料は,『日本労働年鑑』編集のために業務として収集したもので,その多くは各党の全国大会に関する資料である。日本社会党に関する資料は,1947年度のものからあるが,大会関係では翌48年1月の第3回大会からそろっている。例えば,第3回大会は左派の要求により,前年5月に片山内閣の樹立に際して結んだ4党協定を破棄したことで知られるが,ファイルには4党協定の締結について詳細にふれた「第3回最高会議報告」や「日本社会党昭和23年度運動方針書」などのほか,「日本社会党青年部第3回全国大会」の資料も併せて綴じられている。また,日本社会党は1951年10月に講和・安保両条約締結の賛否をめぐって左右両派に分裂し,55年10月に統一するまで別個に大会を開催したが,両派の資料についても大会関係を中心にファイル化されている。

 なお,日本社会党の各年次の全国大会資料を含め,同党関係の原資料や逐次資料については,鈴木(茂三郎)文庫のそれとほとんど重複している。鈴木文庫については,別項を参照されたい。

 次に,1948年12月2日に黒田寿男ら日本社会党の最左派によって結成された労働者農民党に関しては,書記局資料や政策調査部の資料を中心に,母体を担った社会党正統派議員団関係資料と併せて綴じられている。さらに1950年2月,足立梅市,和田敏明らが主導して結成した社会党再建全国連絡会の資料についても,そう多くはないが所蔵している。

 ところで,社会主義政党関係資料で注目されるのは,1948年11月に荒畑寒村・小堀甚二らが社会主義政党結成促進協議会として設立され,翌49年10月に社会主義労働党準備会と改称された,いわゆる「山川新党」に関するものである。同資料は,1988年6月に第2次分として受け入れた向坂文庫の原資料のダンボール箱に入っていたもので,未整理であるが,その出発点となった1947年6月の政治教育同盟準備会資料,機関紙『自由とパン』『労働者通信』,さらに『文化自由会議ニュース』や関係者の書簡・報告書,声明書,ビラなどからなり,現在なお調査中である。
 一方,日本共産党関係資料については,1950年以降の原資料が年次ごとに1,2冊の割合でファイル化されており,とりわけ半非合法期の50年から52年にかけては,府県支部や下部組織の資料を含めて収められている。原資料は未整理であるので,閲覧にさいしては事前に資料係まで連絡してほしい。また50年以前のものについて,「第5国会報告集」や関東地方委員会関係資料なども若干ある。さらに,下部機関から上がってきた労対資料もある。このほか日本共産党関係資料としては,政策宣伝のために発刊した各種のパンフレットが1946年3月分から保存されている。民社党関係資料については,結党翌年の1961年から年次別にファイル化されている。いずれも全国大会関係資料が中心である。

(吉田健二)

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(4) 農民組合関係資料

 戦後の資料は地下書庫に6段7連あり,日本農民組合資料および日本農民組合各派の資料が3連,全日農資料が4連ある。日本農民組合資料および日本農民組合各派の資料は,大会資料,組合員名簿,中央委員会記録,会計資料,地方資料から構成されている。これらの資料から,戦後初期の日農本部の動静を把握することが可能である。「本部日誌」には1947~1949年の日誌が,「本部旬報・地方組織」には1947年7月から同年11月の本部旬報および新潟,静岡,三重,大阪での地方組織結成準備関連資料や大会資料が収められている。「本部旬報・通達」には,1946年以来の本部通達が収録されている。さらに,「本部出納帳」は1947~1949年の数値を示し,「会計」(2ファイル)は1947年,1948年の資料を収めている。また,次の都県については,1947年と1948年の「組合員名簿」がある。すなわち,福島県(7ファイル),東京都(1ファイル),長野県(3ファイル),山梨県(1ファイル),大分県(2ファイル)。これは,当時の組織実態を知る上で不可欠の資料である。また,「本部日誌その他・地方連合会1947年」には,地方組織の役員氏名や「日農主体性確立同盟連絡名簿(1948年)」が含まれている。全日農資料は,本部や地方組織の実態を示す資料とともに,「農民戦線統一資料」(10ファイル),原水禁運動関係資料(1段)等が収められている。

 また,社会党と農民組合との関わりを解明する上で,以下のものは看過しえないものである。 1947~1962年の資料を収録した「選挙闘争」(16ファイル),1961~1963年の記録を収録した「政党・議員団」(11ファイル)および福島県での八百板正の選挙についての資料を収めた「28回総選挙闘争資料」(6ファイル)等が,それである。

 さらに,戦後農民運動を支えた指導者群像を知る上で欠くことのできないものとして,戦後農民運動10周年記念祭に関する資料(4ファイル)がある。ここには,各自の経歴を記した功労者名簿や各派の農民運動指導者の運動認識を示している功労物故慰霊祭大会での挨拶の速記録等が収められている。

(横関 至)

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(3) 社会運動関係資料

 1946年1月10日,山川均は『民衆新聞』を通じて「人民戦線の即時結成」を提唱した。これを機に占領初期の民主人民戦線運動は,野坂参三の亡命からの帰国と相俟って大きく高まった。同年4月,その中央機関として民主人民連盟が結成され,幣原内閣打倒運動や憲法制定運動が展開されている。研究所には,この民主人民連盟に関する資料が収蔵されている。民主人民連盟の資料は,向坂文庫の原資料,足立克明氏寄贈資料,山川振作氏旧蔵の山川均関係資料のコピーからなっている。一つのファイルに収まって量的にはそう多くはないが,民主人民連盟の研究には不可欠な資料であろう。

 このあと戦後の統一戦線運動は,1948年2月に日本共産党が民主民族戦線を提唱し,同年8月にその推進母体として民主主義擁護同盟(民擁同)が結成された。研究所には,この民擁同に関する資料もある。同資料は,平野義太郎氏寄贈の資料も若干含んでいるが,ほとんどは民擁同の中心をになった産別会議の本部所蔵のものである。このほか,平和擁護日本大会資料,全面講和愛国運動協議会(全愛協),日本平和推進国民会議(平和会議),言論弾圧反対同盟などの資料も所蔵している。いずれも,整理されていない。全愛協と平和会議については,整理・分類が始まったばかりで,できるだけ早く資料目録を作成し,閲覧に供するようにしたい。

 平和運動関係の原資料は,比較的多く所蔵している。まず占領期のものとしては,平和を守る会,平和擁護日本委員会の資料が中心であり,それ以後のものとしてはアジア太平洋地域日本平和連絡会や,内灘・砂川・北富士などの軍事基地反対闘争,原水協,第5福竜丸事件関係の資料が主なものである。このうち,田沼肇氏から寄贈された原水協関係資料は,1955年8月の第1回世界大会から1983年までの時期について年次別にファイル化されており,それらのファイルには日本平和委員会,3・1ビキニデー,国民平和行進,平和軍縮教育フォーラム,第5福竜丸平和協会関係資料などが含まれている。

 研究所には,1958年から始まる警職法反対闘争や,1960年にピークを迎える安保反対闘争の資料もある。後者については,「安保改定反対闘争」のタイトルで4ファイルあり,これとは別に「60年安保闘争6・15事件国家賠償請求訴訟資料」a~kがある。詳しくは,「戦後裁判記録・救援運動関係資料」の項を参照していただきたい。また,安保反対国民会議,安保破棄中央実行委員会資料,及び1961年の政暴法反対闘争資料も所蔵している。

 婦人運動関係資料としては,「婦人・子ども」のタイトルで10ファイルほどある。1952年から67年までの時期を対象としており,日本子どもを守る会,婦人団体文化の会,世界婦人大会代表報告会準備会,日本平和婦人協会,母親大会準備会,労働省婦人少年局などの資料が収集されている。これとは別分類で,1973年以降のものも含むが,「日本子どもを守る会」のファイルもある。さらに,民主婦人協議会のファイルも別個に配架されており,これらのファイルには機関紙『婦人せんせん』,国際婦人デー関係資料,民婦協リーフレット『国際婦人デー』なども一緒に綴じ込まれている。婦人運動関係資料は,平和運動,青年・学生運動,国際友好運動と並んでその所蔵は多い。いずれも未整理である。

 救援運動に関しては,日本労農救援会と日本国民救援会に関する資料が15ファイルほどある。ファイルにはポポロ事件,青梅事件,白鳥事件,メーデー事件関係資料も含まれている。そのほとんどは両団体の本部資料であり,ファイルには労農救援会の機関紙『救援ニュース』や『救援活動情報』も混在している。なお,救援運動に関しては,産別会議本部資料のなかにも「弾圧事件・救援運動」のタイトルで所蔵されている。これらの救援運動資料は1960年代の半ばまでであり,それ以降については収められていない。

 国際友好・連帯運動に関しては,日中,日ソ,日朝親善友好運動をはじめ,ベトナム,在日少数民族など合計21ファイルが所蔵されている。時期的には1951年から67年までである。内容の一部を紹介すると,例えば中国関係ファイルでは同胞帰国促進,捕虜・遺骨送還,日中貿易などの資料が主なものである。なお,向坂文庫にも国際友好運動関係の原資料が多数含まれており,2000年に刊行予定の『向坂逸郎文庫目録・Ⅴ』を参照されたい。

 青年・学生運動に関しては4つの資料群からなっている。すなわち「青年・学生運動」(14ファイル),「全学連」(4ファイル),「中核派資料」(9ファイル),「東大紛争関係資料」(6ファイル)である。このうち「青年・学生運動」関係資料は,1952年から66年まで年次別に綴じられており,一例として1952年のファイルを紹介すると,日本学生平和会議議事録,国際学連評議会資料,日本青年団協議会などの資料が収められている。

 「中核派資料」は,マルクス主義学生同盟の中核派が1978年から82年にかけて開いた集会や大会で配ったビラ,報告書類を集めたもので,三里塚闘争資料,狭山闘争などが含まれている。また,東京大学生産技術研究所から寄贈された「東大紛争資料」は1967年以前と,それ以降69年までの時期に学生に配ったビラ,声明書,大学当局が配布した文書などを収めている。さらに,未整理ではあるが,東京教育大学の筑波移転反対闘争関連の資料が段ボール34箱分所蔵されている。

 教育・文化運動に関しては,1955年から63年の時期を対象に5ファイルある。主なものとしては日本学術会議,日本国民文化会議,日本機関紙協会,労働者教育協会,日本ユネスコ国内委員会関係のもので,これとは別に埼玉県同和教育研究集会資料(1976~78年)などもある。 このほか資料自体そう多くはないが,革新自治体をすすめる会(1981年~83年),平和を守る科学者の会,日本消費者団体連合会などの資料もある。なお,産別会議資料のh「その他」にも労働者教育関係の資料がある。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2) 労働組合組織・大会関係資料

 戦後労働組合組織・大会関係資料は,主として『日本労働年鑑』の執筆,編纂に必要なものとして収集しはじめた。その後,収集範囲が広がり,ナショナル・センターや単産の大会資料だけでなく,若干の争議関係資料や各種集会関係の資料など多岐にわたるようになった。それらはファイル化され,閲覧可能となっている。

 a ナショナル・センター関係資料  総評については1950年の結成からの大会,幹事会,評議員会,単産・県評代表者会議,民間単産会議等の機関資料がほぼ完備している。個別闘争関係の資料にはつぎのものがある。平和経済国民会議(1953,54年),各年春闘,警職法改悪反対闘争(1958年),中小争議団関係(1959年),反安保闘争(1960年),三池争議(1960年),各年のメーデー,長期路線委員会(1966年),反公害闘争(1970年),最賃闘争,生活と権利を守る討論集会,国民の足を守る国民会議(1970年),高齢者大会(1970年~),時短闘争(1972年~),反合・雇用・失対ニュース(1975年~),国政選挙,地域労働運動を強めるための全国集会,各年権利集会,内職・パート大会,各年弁護団集会,その他である。

 総同盟,全労,同盟については各結成大会からの大会,中央評議会,執行評議会関係資料および次の個別闘争関係の資料が所蔵されている。産業政策委員会(1967年~),全国賃金討論(1968年),金融産業政策委員会(1969年),税制対策委員会(1969年),「経済開発と労働組合」シンポジウム(1970年),全国最賃対策会議(1970年),資源エネルギー.対策委員会(1974,75年),多国籍企業対策委員会(1973,75年),経営参加対策委員会(1974,75年),生活ビジョン小委員会(1974,75年),社会経済国民会議(1976年),全国婦人の集い(各年)などである。ナショナル・センター再編により,1989年11月に連合(日本労働組合総連合会),全労連(全国労働組合総連合),同年12月に全労協(全国労働組合連絡協議会)が結成された。連合については結成以降の定期大会,中央委員会資料,春闘関係報告書がある。全労連は結成以降の定期大会,臨時大会,評議員会の資料がある。全労協は1990年以降の定期全国大会,全国幹事会の資料がある。労働運動研究センター,政策推進労組会議などの大会・総会関係資料をそろえている。

 s 主要単産関係資料  炭労については結成大会(1950年)からの大会資料および三池争議,三池CO中毒闘争,石炭政策転換闘争,労働プラン,鉱害関係資料がある。全炭鉱,全鉱,非鉄金属労連などについては各結成大会からの大会資料が整備されている。IMF ・ JC は総会・協議委員会の資料が,鉄鋼労連は大会・中央委員会・春闘総括中央討論集会資料および日鋼室蘭争議資料(1954年)がある。全国金属は大会・中央委員会資料およびプリンス自工争議(1966~68年),日本バルブ争議(1956~58年)資料が,全金同盟は大会資料と富士自動車争議(1955~60年)資料がある。全自では日産・プリンス合併関連資料が所蔵されている。全日自労は大会・諸闘争資料の他に本部日誌と全国各県支部資料がほぼ完全なかたちで保存されている。日教組は大会・中央委員会資料の他に勤務評定反対闘争(1957年)などの資料がそろっている。

 また国労は大会,中央委員会,拡大中央委員会資料,各種闘争の「指示・指令綴」,共済関係資料および「国民の足を守る中央会議」資料が完備している(なお,国労については本部旧蔵資料の寄贈を受けている。詳しくは「労働組合旧蔵資料」の項を参照)。全逓は大会,中央委員会資料のほかに制度政策研究全国集会資料がある。自治労は大会・中央委員会資料と地方自治研究全国集会資料がそろっている。ゼンセン同盟は大会・中央委員会資料と近江絹糸争議(1955年)資料がある。

 d その他  電機労連,造船重機労連,全造船,私鉄,動労,鉄労,全港湾,土建総連,全建連,合化労連,紙パ,全駐労,全国一般,一般同盟,全銀総連,公務員共闘,全官公などの他ほぼ全単産の大会・中央委員会等の資料が収集されている。なお,地域組織では全国を網羅していないし,また結成当初からの資料が完備していないが,東京地評,大阪総評,全道労協,福岡県評,愛知県評,その他の主だった総評地方組織および総同盟東京,総同盟大阪など,同盟の地方組織関係資料,および連合大阪,大阪労連など連合や全労連の地方組織関係資料がある。

(平井陽一・小関隆志)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1) 産別会議本部資料

 全日本産業別労働組合会議(略称・産別会議)の本部資料は,日農資料,松川事件資料,国労資料,総評資料,さらに向坂文庫や鈴木文庫の原資料などと並び,当研究所でも特筆されるコレクションのひとつである。

 本資料は,産別会議と全労連に関する原資料および機関紙誌,パンフレットなどの出版物からなり,1958年2月に産別会議が解散したのに伴い,翌59年5月に産別会議記念会から寄贈されたものである。この資料は,その成立から解散に至るまで産別会議が発行し,あるいは加盟単産・単組から上がってきたもので,便宜的にa本部資料,s単産資料,d地方産別,f運動・争議,g大衆団体,hその他,に分けてある。

 a 「本部資料」は,産別会議準備大会と各年次の大会(1946年6月の結成準備大会~58年2月の第8回臨時大会)のほか,幹事会,執行委員会(拡大中央執行委員会を含む)などの大会・執行部資料(1946年~57年),それに本部の庶務記録・日誌・会計簿,通達,受領文書,各部資料(調査部,婦人対策部,法対部,文化部,機関紙部ほか)などから構成されている。資料は,「大会」関係だけで24ファイルに上っているように,産別会議資料の中では最大の量となっている。

 s 「単産資料」とは,産別会議に加盟していた各単産の資料をいう。途中脱退した単産もあるが,加盟していた時期のものは残っている。列挙すると,新聞単一,全逓,印刷出版,映画演劇,電産,石炭(全炭),電工,全日本機器(機器・金属,大金属),化学,全鉄労,自動車,車輛,港湾,木材,教育(全教),生保,医協,国鉄(東京),全日通,水産など23単産に及ぶ。

 これらの単産資料で最大は全逓である。全逓だけで22ファイルもあり,それに化学の19ファイルとつづき,少ない単産でも2,3ファイルはある。なお,全逓関係では,元委員長の土橋一吉氏から寄贈された25ファイルの原資料も収めている。また電産関係では,現在はhの「その他」に分類されているが,電気事業再編成,電気事業民主化,日本発送電関係の資料もあり,それらを合わせるならばかなりの分量になる。ただし,これらの資料は寄贈を受けた当時の袋詰めのまま配架されており,未整理である。

 d 「地方産別」は,沖縄県を除く都道府県を網羅し,全部で55ファイルに及んでいる。この「地方産別」の資料には,「関東」「東北」などの地方ブロックのファイルも混在している。例えば「関東」のファイルには,東京,埼玉,神奈川,千葉,茨城,栃木各都県の資料も含まれている。これは,寄贈を受けた時点の分類に従ったからであり,閲覧の際は注意願いたい。従って,地方産別関係の資料を閲覧する場合,例えば神奈川県地方産別会議に関する資料を探すときには,「神奈川」のファイルのほか,「関東」のファイルも併せて見ていただきたい。

 f 「運動・争議」は,その量が最も多く,かつ注目される資料である。産別会議関係資料の閲覧で請求が多いのも,この「運動・争議」関係の資料である。これには,産別10月闘争,メーデー,産別民同,読売争議,2・1スト,国鉄・海員スト,生産管理闘争,行政整理・企業整理反対闘争,地域人民闘争,政令201号闘争,世界労連,レッドパージ反対闘争など,産別会議が取り組んだ諸運動の資料が豊富に収められている。

 ただし,当該の運動関係資料がすべてここに一括して分類され,収められているわけではない。すなわち「運動・争議」資料は,資料自体,分散的に所蔵されているのである。従って,例えば生産管理闘争として展開された東洋時計上尾工場争議に関する資料を探す場合は,多少面倒であるが,まず「運動・争議」のうち「生産管理闘争」関係のファイルを閲覧されたい。次にa「本部資料」の1946年と47年の年次ファイル,s「単産資料」の全日本機器関係のファイル,d「地方産別」のうち「埼玉地方産別」と「関東」のファイルを閲覧されたい。

 g 「大衆団体」には,産別会議が主導し,あるいは参加して展開した各種の大衆団体の組織と運動に関する資料が収められている。産業復興会議,経済復興会議,労農連絡会,民主主義擁護同盟,教育復興会議,平和擁護日本委員会,労農救援会,民主婦人協議会,自立劇団協議会など,10数団体に及んでいる。このうち産業復興会議と経済復興会議については,ようやく資料整理が済み,資料目録も作成中であり,2000年中にはコピーにて閲覧ができるようになると思う。

 h 「その他」は,加盟単産および単組の労働協約,各種の調査報告書,幹部らの覚書き,投書などである。
 産別会議本部資料には,以上に紹介した原資料のほか,機関紙『労働戦線』をはじめ,『情報』『週刊情報』『調査資料』『週刊旬報』『働くなかま』『産別情報』『労働者』などの定期刊行物がある。現在も,保存状態・欠号などを継続して調査中である。また,産別会議出版部が「産別シリーズ」として発行した森長英三郎『生産管理の合法性』,横山不二夫『労働組合と政治活動』などのパンフレット,同教育部が発行した『メーデーの話』(第1集),『世界労連の旗の下に』(第2集)などのリーフレット,その他調査部,文化部発行の各種出版物も所蔵している。さらに全労連に関する原資料や,『全労連ニュース』『全労連情報』『全労連統一闘争ニュース』などの機関紙もある。

 このほか,産別会議と加盟単産が開催し,あるいは参加した各種集会のポスターもあるが,これについては「画像資料」の項を参照されたい。

(吉田健二) 

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3) 1848年ドイツ革命期の壁新聞

 1848年2月フランスに「二月革命」がおこり,王政がたおされた。この事件はただちにドイツ,オーストリアに波及し,「三月革命」の勃発となる。この革命で検閲が廃止され言論の自由を獲得した民衆は,当時普及しつつあった印刷技術の助けをかりて大規模にビラを発行した。

 ドイツにおけるビラの歴史は古く,発行年のしるされた最初のビラは1488年で,活字印刷技術の発明後まもない頃である。ドイツ語ではFlugblattといわれ,パンフレットとともに労働運動・政治運動で大きな役割を果した。当時の民衆には自分たちの意志を伝えるにはこうした宣伝手段しかなく,識字率があがってきたこともビラが有力な宣伝手段となる背景にあった。当時のドイツの成人の識字率は大体50%くらいであったといわれている。ビラは日本でもよくあるようなもののほかに,ドイツではMaueranschlag(壁新聞)というものがあり,新聞ぐらいの大きさである。

 大原社研には100種l30枚の壁新聞があり,出版地が確認されるものはほとんどベルリンのものである。ウィーンにおける「三月革命」をえがいた増谷英樹著『ビラの中の革命』(新しい世界史3,1987年)によればオーストリア国立図書館のビラ・コレクションは数万枚に及ぶそうである。ドイツにおける状況はよくわからないが,Flugblatter der Revolution の著者Karl Obermann によれば,やはりドイツの国立文書館やRatsbibliothekには膨大なビラのコレクションが所蔵されているようである。ベルリンの医師フリートレンダーのビラのコレクションは1945年に焼失したが,カタログには1,300点のビラが記載されていた。もちろんこうした現地の図書館の大規模なコレクションには比すべくもないが,歴史の臨場感を味わうという意味では大きな意義をもっている。

 大原社研所蔵のビラについては研究所創立60周年の展示会に出品したことがあり,当時その展示をめぐって行われた座談会で良知力氏がふれている(『週刊読書人』1979年11月12日号,『研究資料月報』第262号,1980年1月にも再録)。その内容は警察の告示,革命への呼びかけ,ニュースなど様々で,絵入りのものも多い。日付は不明のものが多い。はっきりしているので一番早いのは48年3月1日付でロンドンで出されたもので,フランス人民への挨拶となっている。これにつづくのが3月18日のベルリン市民の蜂起直後の23日付の警察の告示である。革命の敗北濃厚な9月,10月頃には悲壮な感じで民衆によびかけるものが出されている。

 ベルリン発行のものだけに,この地の方言で書かれたものが多くちょっと読みにくい。たとえばWat is Constution ? とかAch Jote doch ! Nu ist et leider dochlosjejangen !といった調子である。

 筆者についてはジャーナリストや学生などが多かったらしい。大原のものにもジャーナリストのフリードリッヒ・ヘルトや文芸評論家のアウグスト・ブッドルマイヤー執筆のものがある。

(是枝 洋)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2) 外国の書簡類

 研究所にある外国の著作家の書簡は目録に58通記録されている。

 このうち一部の書簡についてはすでに紹介されている。エレナ・マルクスのヒルシュあて書簡については『資料室報』第135号に都築忠七氏の翻訳と紹介がある。ワイトリングの書簡は良知力「ドイツ初期社会主義における歴史構成の論理a」(『経済志林』第27巻第3号)のなかで紹介されている。バウアー兄弟,ドロンケ,ハインツェン,ブルム,ワイトリングなどの手紙は,「三月前期ドイツ急進主義者たちの手紙」(『資料室報』第155号)に対訳つきで紹介されている。

 そのほかの主なものをあげてみよう。ドイツ社会民主党関係ではベーベル,リープクネヒト父子,メーリング,フォルマールなどがある。全ドイツ労働者協会ではまずラサールの書簡が2通あり,その1通はヒルシュ=ドゥンカー組合の設立者のひとりフランツ・ドゥンカー宛てのものである。協会の会長で後にドイツ社会主義労働者党の党首にもなったヴィルヘルム・ハーゼンクレーファーの編集部宛ての書簡もある。

 全体として社会運動家,特にドイツのそれが多い。詩人でバーデンの反乱に参加し,後にチューリヒ大学の美術史の教授となったゴットフリート・キンケルのものは手紙ではなく,生誕300年にあたってルーベンスについて書いたメモである。同じく詩人のカール・ハインツェンの書簡は1849年のものである。彼は医学を学んだが中途退学してオランダの国民軍にはいったり,税務署の役人になったりした変わった人物で,のちにスイスの社会主義宣伝家となりバーデンの蜂起に参加してアメリカに亡命,ここでSchnellpostやPioniersなどの編集をした。

 ビスマルク時代のドイツ内務省の役人で,社会保険局長,後にジーメンス社の総支配人となったトニオ・ベディカーの書簡はマクス・ヒルシュ宛てのものである。このヒルシュはエレナ・マルクスの手紙の宛先のカール・ヒルシュとは別人で,1832年生まれ,ベルリンで出版業を営み,ドイツ労働者教育協会の役員もしている。フランツ・ドゥンカーとともにヒルシュ=ドゥンカー組合を設立し,その代表となり,進歩党員として国会議員も勤めた。ヒルシュ宛ての書簡はほかに『社会問題とその解決』『労働問題』などの著者フランツ・ヒッツェのものがある。

 ドイツでは他に,ジャーナリストで真正社会主義の代表的論客カール・グリュン,哲学者エドゥアルド・ハルトマン,ドイツ国会議員で協同組合運動の推進者シュルツェ=デーリチ,無政府主義者グスターフ・ランダウア(エルツバッハー文庫にも著作あり)など多彩である。

 フランスの革命家で2月革命やパリコミューンに活躍したブランキの書簡は2通あって,そのうち1通はナケ宛てとなっている。ナケは奥宮健之が翻訳した『共和原理』の著者で代議士であった。その他,改良的社会主義者ルイ・ブランや,フーリエ主義者でLa Phalange (所蔵)を主宰したコンシデラン,重農主義経済学者のミラボーなどがある。ミラボーはフランス革命の指導者ミラボーの父で,その主著『人間の友』も所蔵している。大原社研所蔵の書簡の中では一番古い1772年の日付がある。

 その他の国は少ない。ロシアの革命的民主主義者アレクサンダー・ゲルツェンの手紙はロンドンで週刊新聞『鐘』を創刊した1857年のもので,スパイが見つかったことを報告したものである。無政府主義者クロポトキンの短い書簡もある。マックス・シュティルナーの研究者で無政府主義に関する著作もあるジョン・マッケイ等がある。

(是枝 洋)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1) 書簡・日記・書など

 これらは研究所の関係者が亡くなった後,遺族によって寄贈されたものが大半である。以下にその一部を列挙しておこう。

 (1) 高野岩三郎(初代所長)  1945年11月21日に発表され,大統領制を構想した「日本共和国憲法私案要綱」の原本手稿,日記(1918~1940年)42冊,通信控3冊,第3回西遊の記4冊,講義ノートなどがある。書簡では浅沼稲次郎,杉山元治郎へ出したもの,受信したものでは浜口雄幸,麻生久よりのもの等がある。
 (2) 高野房太郎(岩三郎の兄で労働組合期成会の創立者の一人)  AFL会長ゴンパースより房太郎宛ての書簡,房太郎より岩三郎宛ての書簡,日記1冊,片山潜より高野母堂宛ての書簡,高野家要用簿がある。
 (3) 櫛田民蔵(所員)  日記9冊,櫛田より森戸辰男への書簡80通,河上肇より櫛田宛ての書簡200余通,河上肇が書いた『櫛田民蔵君に送れる書簡についての思い出』(1939年7月5日)などが主たるもので,櫛田書簡については故大島清教授が一応の整理をしている(大内兵衞・大島清編『河上肇より櫛田民蔵への手紙』1974年)。その他「『共産党宣言』の研究」の原稿(大内兵衞加筆),「マルクス地代史論ノート」「米穀生産費」「総罷業とトロッキーの著書」等の原稿も残されている。
 (4) 森戸辰男(所員)  原稿「ピーター・クロポトキンの死」がある。『経済学研究』に「クロポトキンの社会思想の研究」を発表して「森戸事件」を引き起こした本人のクロポトキン論の原稿である。
 (5) 大内兵衞(所員)  獄中手記「幽囚1年有半」,ノート3冊(日記,メモ?),「混沌の独逸より」「公債論」の原稿がある。
 (6) 賀川豊彦  自筆の日農創立大会宣言草稿と『土地と自由』の新聞紙発行届などがある。
 (7) 堺利彦と幸徳秋水  直筆の「『共産党宣言』訳稿」がある。かなり珍しいもので2種類ある。1つは堺利彦より直接購入したもの,もう1つは平井太吉郎が保存していたものを上条貞夫弁護士を通して寄贈されたものである。
 (8) 全三越労組  1953年の争議の際,「ぶどうぱん」という詩集を発行。その礼状をファイルした中に,赤木健介,荒正人,石母田正,井上清,許南麒,五所平之助,西条八十,徳永直,中野重治,深尾須摩子,袋一平,藤森成吉,堀田善衛,松田解子,水木洋子などの名前を見ることができる。
 (9) その他
 〈書簡類〉  戦前の無産政党・農民組合・労働組合の原資料の中から,安部磯雄,鈴木文治,行政長蔵,石田宥全,江田三郎,黒田寿男,佐々木更三,浅沼稲次郎,杉山元治郎,麻生久,猪俣津南雄,佐野学,三田村四郎等,当時の活動家のものが多数発見されており,現在整理中である。一部は電子化してあり,研究所のホームページ上でも見ることができる。また,山辺健太郎より中塚明宛ての書簡集もある。
 〈書〉  堺利彦より購入した幸徳秋水の書,河上肇より平井太吉郎宛の書簡を表装したもの,賀川豊彦が原田みよ女史のために書いた書,石井十次の掛軸,炭谷小梅の石井十次宛の書簡を表装したもの等がある。

(谷口朗子・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3) 小作争議関係裁判記録

 小作争議に関する裁判は,脅迫や騒擾等の刑事事件として問題にされた事例が多い。

 これらの資料からは,争議の概要は勿論のこと,農民運動活動家の詳細な経歴を知り得る。 90cm 幅の棚に5段分の資料(予審調書・訊問調書・判決等)が24件の争議毎にまとめられている。このなかには,日農創立期の大争議であった岡山県の藤田農場争議,1920年代を代表する小作争議として耳目を集めた香川県の伏石争議・新潟県の木崎争議および大日本生産党員と農民組合員との乱闘で死者を出した栃木県の阿久津事件等,農民運動史上著名な争議に関する裁判資料が収められている。

 記録の全容は,以下の通りである。

 1)岡山県の藤田農場争議(予審調書・判決6冊,4ファイル,1923年)
 2)香川県の伏石争議(訊問調書27冊,11ファイル,1924年)
 3)大阪府の鴻池新田仮処分命令申請事件(1ファイル,1924年)
 4)佐賀県の基山争議(9冊,3ファイル,1925年)
 5)香川県の金蔵寺争議(7冊,6ファイル,1925年)
 6)福岡県朝倉郡宮野村小作料請求事件(1ファイル,1925年)
 7)河合義一外の業務妨害恐喝事件(兵庫県加古郡,1ファイル,1925年)
 8)石間政治外5名放火未遂脅迫事件(兵庫県加東郡,1ファイル,1925年)
 9)新潟県の木崎村暴力行為脅迫事件(6冊,3ファイル,,1926年)
 10)徳島県岩脇事件(地主恐喝,調書,2ファイル,1926年)
 11)騒擾事件 被告人原初外20余名(福岡県三井郡,立禁,1ファイル,1926年)
 12)鳥取県の淀江争議(仮差押反対,訊問調書21冊,9ファイル,1927年)
 13)島根県の出雲郷小作争議(差押,1ファイル,1927年)
 14)香川県の土器事件(2冊,2ファイル,1927年)
 15)神戸騒擾事件(共同耕作,訊問調書4冊,2ファイル,1927年)
 16)岐阜事件(茜部小作争議,予審調書・判決全1冊,1ファイル,1927年)
 17)山県茂平脅迫被告事件(香川県仲多度郡,1ファイル,1927年)
 18)騒擾建造物及器物損壊事件(大阪府北河内郡,立禁をした地主宅襲撃事件,3冊,2ファイル,1927年)
 19)高知漁民騒動(9冊,1ファイル,1930年)
 20)新潟県の王番田争議(12冊,3ファイル,1930年)
 21)栃木県の阿久津事件(予審調書26冊,5ファイル,1932年)
 22)秋田県戸数割賦課問題公務執行妨害事件(全2冊,1ファイル,1930年)
 23)和歌山県の日高争議(4冊,3ファイル,1929年)
 24)秋田県の前田村争議(1冊,1ファイル,1929年)

(横関 至)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2) 労働争議関係裁判記録

 ここでいう争議関係裁判記録とは,労働争議事件にかんする予審調書などの裁判関係文書である。収集されている労働争議の裁判記録の時期は,ほぼ1920年代に集中しており,その件数は約30件である。

 最も古いものは,1919年11月,戦闘化した大日本鉱山労働同盟会の組合員を中心に,飯場制度の撤廃を要求してストライキにはいった足尾銅山争議の裁判記録である。

 また,それ以降では,1920年2月,第一次世界大戦後の恐慌のもと,全国最大の工場であった八幡製鉄所で発生した争議(第1次,第2次の双方を含む),第二次世界大戦前における最大規模のストライキをともなう争議となった1921年7月の神戸三菱造船所・川崎造船所の両造船所の争議,この時期の関西の電鉄争議の頂点をなし,高野山に籠城するという意表をついた戦術をとったことでも有名な1924年6月の大阪市電争議,評議会の指導の下で105日という長期ストライキをたたかった1926年4月の浜松・日本楽器争議など,1920年代の主要な争議関係裁判記録を所蔵している。さらに,1930年代にはいってからのものでは,大恐慌の打撃がもっとも激しかった輸出産業,なかでも繊維産業における争議の頂点となった1930年9月の東洋モスリン亀戸工場争議などを収集している。

 そのほか,友愛会日立事件,大阪鉄工所因島工場争議,住友別子銅山争議,小坂鉱山争議,福島・磐城炭鉱争議,報知新聞社業務妨害事件,園池製作所事件,日立鉱山騒擾事件他公務執行妨害事件,別子労働争議水路破壊事件,日鉄二瀬高尾坑争議,釜石騒擾事件,治安警察法違反(友愛会大会)などの裁判記録も所蔵している。
 件数が多くはないことから,検索カードはとくに作られていない。利用する場合は冊子体目録(大原社研『資料室報』第113号(1965.10)の一覧に番号を付したもの)で確認していただくことになる。

(浅見和彦)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1) 治安維持法違反および水平社関係裁判記録

 現在所蔵している裁判記録類は,思想関係・政党関係(治安維持法違反関係),水平社関係,労働争議,小作争議などである。その内容は予審訊問調書,公判調書,捜査報告書,現場見分書,警察官による被疑者あるいは証人に対する聴取書,検事による聴取書,予審請求書,予審終結決定意見書,予審終結決定書,検証調書,鑑定書,上申書,証拠書類写など,かなり多様である。

 思想関係・政党関係は,3・15事件(1928年),4・16事件(1929年)が主で,京大事件(1925年),学連事件(1926年)など併せて47件335冊と写真版4箱,水平社関係は,奈良事件(1923年)と福岡連隊爆破事件(1926年)の2件11冊である。

 これらの裁判記録のほとんどは購入したものである。ちなみに,1927(昭和2)年の研究所の日誌を見ると,「11.11 福岡水平社爆弾事件予審調書 1冊l00枚代5円小為替ニテ福岡市外金平 木村慶太郎氏ニ送金」とある。購入先や入手経路については,『資料室報』第129(1967年4月)号でも紹介されているので参照されたい。

 整理状況は完全とはいえず,板目紙で適度な厚さにくくり,背文字を書いて書架に並べてある。閲覧の手掛りとして,『資料室報」第113(1965年10月)号に掲載された一覧に番号を付し,冊子体目録として利用している。思想関係・政党関係については981人の人名索引を「裁判関係・人名」という形でカード化したので,予審訊問調書,公判調書などは個人名から探すことができる。予審訊問では,出生から活動経歴,親,兄弟,交友関係,思想的背景など,あらゆる面から一個人が調査されているので,効率的に,裁判に関与した者の個人情報を得る手がかりとして,裁判記録の中でも非常に資料価値が高いと思われる。

 1965年現在で所蔵していたものについては,労働争議,小作争議関係も合わせて『資料室報』第113号で紹介されているので,その後に研究所の蔵書に加えられた治安維持法関係のものを以下に列挙する。

 4・16事件関係として九州予審終結決定書写し[前田啓太,佐野義雄等]と横浜予審訊問調書[蔵前光家ほか11人],治安維持法違反判決弁論要旨[阿部勇],出版法違反[河合栄治郎],第一次共産党事件[堺利彦他11名治安警察法違反,調書・判決等(複写)],山川均の聴取書・手記,大森義太郎警察聴取書,上申書[大内兵衛,猪俣津南雄,足立克明,大西十寸男,稲村順三,荒畑勝三,向坂逸郎],治安維持法違反判決(1932年,神戸地方裁判所)[松永太郎ほか8人,渡辺芳太郎ほか2人,樋野忠次ほか9人,伊沢五三郎ほか9人,田中誠之助ほか5人,中島武雄ほか2人,後藤耕作ほか8人,阿部義美],戦時中の治安維持法違反事件(天理教を含む),森戸事件(新聞紙法違反被告事件)(コピー),横浜事件(コピー),軍法会議判決[金沢祐之(新聞紙法違反),吉野源三郎,西氏恒次郎,河田毅,吉原義次],治安維持法違反予審調書記録(全協,1938年)[石上長寿],軍法会議判決[藤田悟,甘粕正彦,平井利一,本多重雄,川内唯彦,森慶治郎,鴨志田安五郎],小林陽之助(コミンテルン派遣員)聴取書,日本共産党治安維持法違反事件予審終結決定書,青柿善一郎聴取書(神戸地検),倉重新の転向手記などがある。

(田沼明子・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(6) 米騒動関係資料

 1926(大正15)年6月から1933(昭和8)年にかけて,当研究所が特別のプロジェクトチームを編成して,1918年の米騒動に関する資料を収集した成果である。片山潜のすすめにしたがってこの計画をたて,プロジェクトの責任者となったのは研究員細川嘉六であり,実際に資料収集の実務を担当したのは,越智道順,萩原久興,庵原嘉雄ら大原社研調査室の面々であった。作業は,地方新聞をふくむ新聞・雑誌の米騒動関係記事や評論,府県・郡役所,町村役場などが所蔵する公文書,裁判記録,関係者の手記などの収集にあてられた。コピー機のない時代のことで,3・15事件の被告家族など多くのボランティアが参加し,これらの記録を手書きで原稿用紙に写しとったのである。また,裁判記録の収集には布施辰治弁護士らの協力があった。

 このようにして収集された資料(250字詰め原稿用紙で6万枚,ちなみに筆耕料は250字1枚ではじめは3銭,1928年5月からは4銭である)は,なぜか細川氏が退職した後,一時研究所の管理から離れ,細川嘉六氏のもとにあった。戦後,京都大学人文研究所の井上清,渡部徹,松尾尊兊等がこれを整理され,府県別に96冊に製本すると同時に,これを基礎に『米騒動の研究』全5巻を編集された。 1963年になって,細川氏の遺志により,大原社会問題研究所に返還されたものである。今も,研究者の間で〈細川資料〉として知られているものの原本である。

 なお,筆写記録だけでなく,資料収集中に郡役所が廃止されたため,廃棄される寸前であった富山県中新川郡の郡役所旧蔵の資料を入手している。

(二村一夫)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(5) 無産政党関係資料

 当研究所には,量の多寡はあるものの,主要政党の原資料は日本無産党を除き,すべて所蔵されている。それらは,会議の議案・指令・通達類・声明書を主とし,特殊テーマとしては選挙,合同問題がある。半紙・謄写版印刷がほとんどであるが,活版のパンフレットも入っている(主に大会関係資料)。全国政党を中心に,その創立順に紹介すると,まず政治研究会は1ファイル,無産政党組織準備委員会(農民労働党)は5ファイルあり,後者では議事録が揃っている。この両団体と次の労働農民党は,復刻の資料集を利用することができる(既刊6冊)。

 労働農民党は,本棚約3分の2段ある。他の党も同じであるが,地方の資料は党本部に送られたものが残っているので,地域的に偏在している。例外は,当研究所が所在した大阪の労働農民党の大量の資料である。また最近の寄贈によって,同党の群馬・長野・神戸がまとまっている。労働農民党の後継組織である新党組織準備会は3ファイル,政治的自由獲得労農同盟は4ファイルある。後者の『労農同盟ニュース』は大部分が保存されている。大山郁夫らの労農党は5ファイルあるほか,1930年作成の『労働農民新聞』の発送名簿もある。

 日本農民党資料は1ファイルだけである。

 社会民衆党資料も7ファイルと少なく,うち3ファイルはパンフレットである。同党から分裂した全国民衆党は1ファイルである。

 日本労農党に始まるいわゆる中間派政党の資料は大量に保存してある。同党資料は3段あり,大会などの会議の手書き速記録や発信簿,支部調査表を含んでいる。日本大衆党は3段半で,2ファイルの「清党事件」のほか,受信書簡の綴りや機関紙発送名簿も残されているが,その資料の半分は地方組織のものである。全国大衆党は2段強あり,受信の書簡がはいっている。全国労農大衆党は1段半,「対支出兵反対方針」に関する諸資料のほか,日本大衆党以来の東京・四谷支部の「日誌」(ノート1冊)などがある。

 社会大衆党資料は1段半あるが,その半分は東京を主とする地方の資料で,またパンフレットが多い。

 地方政党の資料は,まず総同盟などの地方政党主義によって結成されたものでは,九州民憲党が1ファイルにまとまっており,数点しかない足尾立憲公民党と千葉民政党の資料は他の地方政党とともに,「地方政党」ファイルに収めてある。労働農民党解散後の地方政党のうち,労農派と日本大衆党脱退派の関係では,無産大衆党,日本大衆党分裂反対同盟,東京無産党が各1ファイルあり,統一無産党など4政党は無産政党戦線統一全国協議会資料とあわせて1ファイルに収めてある。無産政党統一協議会系の6政党は労農大衆党が2ファイルあり,他の5政党と同協議会とで1ファイルになっている。また東信無産派選挙対策委員会(東信無産派)が1ファイルあり(コピー資料),合同問題は各合同ごとにまとめ,合計4ファイルある。

 以上のうち,一部は別置してある。すなわち,黒田寿男,下坂正英,高岡孟子,山崎稔の各氏旧蔵資料がそれである(1930年まで)。また,旧協調会の無産政党関係資料には,1)同会職員の肉筆の報告の合綴(9冊。1931年の全国労農大衆党まで),2)『協調会文庫目録(和書の部)』(法政大学図書館)所蔵の資料がある。1)には僅かながら原資料も含まれている。2)には同会の報告書(謄写版)のほか,社会大衆党のパンフレットがはいっている。なおパンフレットは,一般図書として登録されたものもある。

(大野節子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(4) 農民組合関係資料

 日農・全農の本部所蔵資料をそっくり譲り受けたため,当研究所には農民運動の全体像を把握する上での基本的資料が網羅されている。また,杉山元治郎の伝記作成の際に収集された書簡・報告書等の肉筆のものが寄贈されている。これらの資料の多くは,当研究所にしか無い貴重なものである。

 当該資料は,小作争議裁判記録と共に,五階の書庫に収納されている。組合の本部資料と各府県別資料が,90cm幅の棚に20段余ある。また,同じ書庫に,協調会福岡出張所・大月社会問題調査所資料が3段余収められている。

 本部資料としては,日本農民組合総本部(2段),全国農民組合総本部(3段),全日本農民組合関係資料(1段),全国農民組合全国会議派(5ファイル),大日本農民組合(6ファイル),日農総同盟(1ファイル)のものがある。各大会資料,支部調査,通達等が中心である。また,1923年から1926年にかけての日農パンフレット(第1篇~第7篇)も保管されている。

 府県資料としては,日本農民組合・全国農民組合の各府県別資料(14段)がある。本部への報告書,組合員名簿,県連の大会資料等が主なものである。台湾の農民組合に関するものが1ファイル(『その他 農民組合(1)』)ある。

 これらの本部資料・府県資料の一部は『日農分裂問題資料』,『農民組合合同問題資料』,『昭和恐慌下の農民組合』全3巻,『準戦時体制下の農民組合』全6巻,『日本農民組合の創立前後』の資料集にまとめられて,当研究所より刊行されている。

 なお,北日本農民組合・農民自治会・皇国農民同盟関係資料等の合冊(『その他 農民組合(1)』,『その他 農民組合(2)』)や日本共産党農民部資料(『農民運動史料 農業綱領他三編(大島清先生整理)』),土地と自由社・農民闘争社の資料(1ファイル)も収蔵されている。このうち,日本共産党農民部の資料は貴重な原本である。その全文は,大島清氏の解説とともに,既に大原社研『資料室報』第217(1975年9月)号,第227(1976年9月)号,第235(1977年6月)号,第250(1978年11月)号に発表されている。

 次に,協調会福岡出張所・大月社会問題調査所の資料にふれておこう。協調会福岡出張所資料は,以下の6つのファイルに収録されている。『農民組合運動』(1932年~1934年),同(1935年~1936年),『農民組合運動に関する資料綴』(1933年),『小作争議調査表』(1932年~1935年),『小作争議』(1931年~1936年),『農村雑資料,小作調査』(1932年~1935年)。大月社会問題調査所資料は,皇国農民同盟の活動を探る上で看過できない。『国際事情・雑・農民』11(1934)では,「皇国農民同盟とその最近の活動」と「皇国農民同盟の請願運動」を掲載し,『労働・農民・雑』(1935年)には,皇国農民同盟の「米穀物国営案の理由と骨子草案」および「農産物直売運動」さらには「最近における農民各層の動き―混乱せる農村政治運動」等が収録されている。

(横関 至)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3) 中央労働学園(協調会)旧蔵資料

 これは,財団法人協調会がその業務として作成,あるいは収集した原資料で,協調会図書館の旧蔵書が協調会文庫として法政大学図書館に入った後も中央労働学園に保管されていたが,後に大原社研で購入したものである。
 労働組合,労働争議関係の文書を協調会労働課で製本したものが大半を占めている。文書の内容は組合が発行したビラや指令書,各府県知事が内務省宛てに送った各組合・労働争議についての報告書,協調会職員が現地に出張しての報告書等である。大原社研所蔵の資料には,官側・資本家側の資料は多くないので,これを補う意味で貴重である。

 これらは1922~1934年の約10年間のもので,主要組合の年次大会・活動状況等についての資料には,総同盟以下官業労働総同盟,海員労働団体,東京市電自治会,海軍労働組合連盟,九州連合会,日本労働組合総連合,日本労働組合評議会,日本労働組合同盟,日本労働同盟,日本労働組合会議,日本交通総連盟,関東労働組合会議等約70冊がある。労働争議関係としては八幡製鉄,三菱・川崎造船所,石川島造船所,愛知時計電機,横浜船渠,住友伸銅所,日本車輛,東京瓦斯電気,神戸製鋼所,大阪鉄工所因島工場,三田土ゴム,大島製鋼所,藤永田造船所,大阪電燈,新潟鉄工所,日本電気,別子鉱山,日本楽器,共同印刷,野田醤油,星製薬,鐘淵紡績。その他争議関係として産業別に製本されているものもあり,比較的小規模の争議まで含んでいるので,当時の労働争議に関するものを網羅していると思われる。

 無産政党については労働農民党,社会民衆党,日本大衆党,全国労農大衆党,全国大衆党等約10冊,メーデーに関しては約5冊,労働争議・社会運動・無産政党関係新聞切抜きが約40冊ある。この他,『社会運動通信」1932~1935年分の切抜きが主題別に整理されて約130ファイルある。

 以上にあげた以後の争議資料としては,1932~1937年のものが未製本のまま産業別に仮綴じで保管されている。その他,協調会大阪支所,福岡出張所の資料が数十点あるが,これは各々の所で集めた資料と,地方の運動状況の報告である。

 資料の閲覧は冊子目録で検索していただきたい。その他に水平運動,労働学校,川口鋳物業調査等,貴重なものも数点あるが,仮綴じの資料を含め冊子目録に載っていないので,不明の点は係員にお尋ね下さい。

(谷口朗子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2) 社会運動関係資料

 社会運動関係資料も労働組合同様,大会資料や本部通達,ビラの類が多い。

 メーデーに関しては第1回メーデーの宣伝ビラ等であり,政治運動の関係では日本共産党が第1回普通選挙の投票日に全国に貼ったビラで,3・15事件の直接原因になったとされているものや議会解散請願運動,悪法反対運動など,文化運動ではナップ,コップ,プロット他の檄文や演劇のチラシ等,青年運動については無産青年同盟,全国労農青年同盟,大学社研等の他,小樽高商軍事教練事件のビラなどもある。婦人運動では関東婦人同盟,大阪婦人同盟,全国婦人同盟,無産婦人同盟,社会婦人同盟,婦選獲得運動などについての資料がある。

 また,協同組合運動では関東消費組合連盟,日本無産消費組合連盟,消費組合調査(村山重忠氏寄贈を含む)など,水平運動に関しては水平社大会資料,つばめ会に就いて他,反戦運動については全国非戦同盟,対支非干渉全国同盟,日本反帝同盟他,在日朝鮮人の問題に関しては労組,青年運動,学生運動関連のものがあり,中国・台湾関係のものも若干ある。救援運動では赤色救援会,日本労農救援会,防援会,亀戸事件などの資料が所蔵されている。

 さらに,医療運動については日本無産者医療同盟,無産者病院など,借家人運動では借家人組合総連盟,借家人組合全国同盟,全国借家人同盟,電燈料・ガス料金値下げ闘争関連の資料,労働者教育では大阪労働学校他,宗教・反宗教関係のものとしては全日本反宗教同盟,日本戦闘的無神論者同盟等,右翼団体では右翼団体調査,新聞記事差止通知関連では芝愛宕警察署,天王寺警察署等のもの,朴烈・文子に関する記事禁止等,新聞発売頒布禁止通達としては『土地と自由』『全国労働新聞』などがある。この他戦時下の諸運動についての資料もある。
 これらの資料は,分類別のカードの他,団体別,争議別,事件別のカードも出来ているので参考にされたい。

(谷口朗子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1) 労働組合関係資料

 “原資料”とは謄写版刷の大会資料やビラ,ステッカー等をいうが,その中の労働組合関係約380ファイルについて眺めてみたい。

 これらの物の多くは,戦前の資料係が組合大会やメーデーに出かけて直接収集したもの,または研究所が戦前行った労働組合・消費組合・右翼団体・労働学校等の各調査の時に送られてきた調査票・規約・綱領等であり,争議関係の資料は,それに関係した個人から購入したものが多い。その他,当時の高野所長以下,各研究員が中間派の政党や労働組合の指導者と個人的に親しかった関係上,その“つて”で本部資料をまとめて購入したものがある。労働組合資料も,中間派の日本労働組合同盟とその後身である全国労働組合同盟の本部資料をまとめて購入した物が半数近くを占めている。

 この日本労働組合同盟関係の資料は,1926年の結成から1936年の全日本労働総同盟へ合同するまでの約10年間,145ファイルを数える。なかでも1927年4月10日の第1回全国大会の規約,宣言,代議員信任状,鉛筆手書き速記録,祝辞,祝電をはじめとする各年の大会資料は貴重である。また,指令・中央委員会報告書等の本部資料も見逃せない。傘下の組合の資料も豊富で,関東合同(本部へ送った支部連絡票や争議紛議調査票まであり,組合同盟・全労の中でも一番よく揃っている),関東金属,日本運輸,全映,関東革技工,日本鉱夫組合,日本紡織等の発行文書,とりわけ1930年代の労働争議資料であるビラ,ステッカー,指令,檄文等珍しいものも多数含まれている。大争議として知られている1930年の東洋モスリン争議(会社側より父兄宛て文書,従業員宛て文書など数多い),1931年の住友製鋼所争議,トーキーが導入されることによって失業する弁士や楽士達の1931~1933年のストライキ,1935年の東京印刷争議(会社より各個人に宛てた出動要請状,解雇手当領収書,解雇手当明細袋の束,行商控,救援帳にいたるまで)等の資料もある。

 各地方連合会も大阪地連を最大規模に,北海道より九州まで網羅し,最近活発に行われている県史や地方史編纂室の利用が多い。

 時期的にはこれより前になるが,総同盟資料が1920年より1939年にわたって約35ファイルあり,内容は各年の全国大会の資料をはじめとして多様である。特に第1次分裂(1925年5月,評議会へと分裂)から第3次分裂(1929年9月,除名派は全国同盟を結成)関係の資料は比較的よく揃っている。また争議関係としては1921年の三菱・川崎造船所争議の資料が,有名な“最終宣言”ビラをはじめとして,兵庫県警察部の警告ビラを含め多数ある。また1921年の石川島造船所争議の折のカンパ帳も残されていて,署名者に蝋山政道,映画館のオーケストラ部員,女髪結い,洲崎の娼妓まであり,支持層の広さがうかがえる。

 評議会・全協の資料は1925年より1933年まであり,高岡孟子氏旧蔵の資料も含まれている。これら評議会資料の一部は,1957年から10年間にわたって『労働運動史資料・日本労働組合評議会資料』(第1~12集)としてタイプ印刷で復刻されたが,未完のまま中断している。

 代表的な争議としては1929年12月~1930年2月のゼネラルモーター争議がある。全協の非合法時代のものには満蒙出兵反対,戦争反対,ソビエトを守れというようなビラが数多く見られるようになる。

 前記以外の原資料のある組合名を列記すると,全産全国会議,総評,中央一般,総連合,交総,海員・司厨,全国自連等アナ系組合,官公業関係,俸給者関係,映画関係,電気・ガス関係,愛国労働関係,自労関係,製陶関係,日本労働同盟,全国総連合運動等統一運動関係などがある。その他大原社研として誇れるものに,『日本労働年鑑』作成のための組合調査があり,1923(大正12)年~1936(昭和11)年の調査票が保管され,当時の組合の結成年月日,組織人員等を知る上で有益である。

(谷口朗子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(5) 通信類

 社会労働運動関係の通信類は,第一次世界大戦後運動が激しく展開されるようになってくると,争議などの状況をいち早く知りたいという要求にあわせて誕生した。1925年8月産業労働調査所によって創刊された『産業労働時報』(~1927年5月第一次,復刻済み)はそのような役割ももっていた。それにあわせて,さまざまな商業的通信類も経営的に成り立つようになって,さかんに発行されるようになった。これらのなかで,最も豊かな内容を持っているのは『社会運動通信』(復刻済み,不二出版)であろう。これはすべて所蔵しているが『日本社会運動通信』 として1928年5月に創刊され,1940年9月に廃刊した。同紙には当時の運動団体の発行した資料をほとんどそのまま掲載したりする例が多いため,現在史料的に大変貴重なものとなっている。

 大正期の古いものでは『中外社会通信』がある。これは1923年12月に創刊されたものであるが,当研究所には1924年9月から10月までの全6号しか存在しない。『労働通信』も古いものだが,これもきれいには揃っていない。1924年12月から25年1月,27年2月(62号)から30年5月,34年1月から7月まであり,以後『労働経済通信』として続いている。これは1934年8月から35年6月まで所蔵している。『労資通信』などのように一部の時期(1925年12月,1321号~1335号)のものはあるがあまり役にたたないであろう。

 これに対し,『労働問題通信』と『社会時事通信』はかなり系統的にある。前者は1926年217号以後36年690号まで(1923年創刊)所蔵されている。後者は1926年7月の創刊号から27年10月まである。『社会運動通信』がカバーしていない時期だけに貴重である。この両者には内容上若干違いがあり,前者が東京の運動に強く,後者が大阪の運動に強い。この二つをつき合わせて検討すると,いくつかの事実を発見できるであろう。ほかには,植民地や対外的な運動を扱った『東邦通信』(1926年3月創刊。 28年2月から29年4月まで所蔵),日本の運動中心で無産政党・労働組合運動に詳しい『極東社会運動通信』(1928年4月創刊号~30年6月)などの所蔵資料が注目されてよいと思われる。

 東京の『社会問題通信』は,1928年9月(創刊号)から29年9月までしかないが,大阪の『日本労働通信』は,1928年2月(創刊号)から37年12月までとかなりの時期をカバーしている。そのほかには『神戸社会運動通信』(1931年11月〈21号〉~32年11月),『労働週報』(1932年6月〈243号〉~34年9月)などがある。なお,産業労働調査所の『産業労働通信』(1932年8月~33年4月)はすでに復刻済みである。

 社会労働関係の通信メディアは,1945年8月の敗戦をきっかけに復活した。GHQは民主化政策の一環として言論出版の自由を認め,労働組合の結成を奨励した。産別会議の10月闘争,2・1ストなど労働運動の高まりや,農民運動をはじめ各領域の社会運動の高まりの中で,相次いで通信出版社が設立され,日刊・週刊・旬刊の通信紙が創刊された。

 なかでもとくに注目されるのは,1945年10月に浅川謙次が創刊した日本労農通信社であろう。浅川は,同年11月15日に『日本労農通信』(週2回刊)を創刊し,折からの労働組合結成や争議動向,農地改革闘争を主とする農民運動,さらに消費・協同組合運動,婦人運動,部落解放運動,学生運動など,揺籃期の日本社会運動の実態を克明に記録し,報道した。占領期の労働運動の基本文献の一つに,労働省編『資料労働運動史』(各年版)があるが,これの1945・46年版~49年版は,浅川らの『日本労農通信』の記事をベースにまとめたものであった。

 このほか,占領期の通信として,社会運動通信社の『社会通信』(週刊),産業労働調査所の『労働週報』,日本産業労働調査局の『産業労働調査月報』,日刊労働通信社の『日刊労働通信』,新経済社の『社会労働通信』,産業経済調査会の『産業通信』,産業厚生時報社の『産業厚生時報』(旧『日本労働通信』の改題)などが所蔵されている。このうち新経済社の『社会労働通信』は,かつて日本共産党の農民部員で,のち“多数派”のメンバーとして活動した宮内勇が創刊したものである。また,『社会通信』は,株式会社野田経済が編集協力を行っていた通信で,産別会議や左翼運動に関する報道とその分析に定評があり,近年,閲覧の請求が多い文献の一つである。なお,『労働週報』の発行機関である産業労働調査所は,1927年3月に設立された,野坂参三が主任のそれではない。

 これらの通信類はほとんどセンカ紙で刷られていて,劣化が激しく,頁をめくるだけで折れ,あるいは複写のつど崩れてしまう状態にある。早急にマイクロフィルムに収める必要があるだろう。それまでは閲覧サービスだけにとどめ,複写については控えていただきたいと思っている。

(梅田俊英・吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(4) 大学雑誌

 現在研究所が収集している定期刊行物の中で,大学の紀要類はカレント部分(過去2‐3年分,あるいは2ボリューム)だけを所蔵している。それ以前のものについては図書館に移管するという形式を,1996年度からとっている。分野は社会学,経済学関係が多いのはいうまでもないが,商学,経営学,法学,史学,教育学,家政学など,広範囲にわたっている。また,農学,工学,医学関係の大学からも人文,社会科学系の紀要を受け入れている。 1999年10月現在で所蔵している大学雑誌は大学,短大,大学校等190校からの寄贈によるものである。代表的なタイトルを参考までに挙げると,『社会科学紀要』(東京大学),『社会科学討究』(早稲田大学),『社会問題研究』(大阪社会事業短期大学),『経済理論』(和歌山大学),『名城商学』,『甲南経営研究』,『青山経営論集』,『立命館法学』等がある。

 検索ツールは,受け入れ事務用のカード目録(大学名の50音順配列)があり,利用者には『法政大学逐次刊行物目録』や『学術雑誌総合目録』等で所蔵を確認して,請求してもらうことになる。主題による分類はせずに,大学名順に配架してある。研究所が多方面にわたって紀要類を収集する目的の一つは,1991年5月(390号)より掲載された『社会・労働関係文献月録』(『大原社会問題研究所雑誌』巻末所収)の採録誌として活用し,データを幅広く集めることにある。また,これらのデータは,現在まで研究所が取り組んでいる「社会・労働関係文献データベース」に入力され,インターネット上(大原デジタルライブラリー中の「研究所案内」よりアクセス)からも検索できる。同時に,閲覧及び文献複写の対象としても需要が高く,今後も収集範囲を広げていくことになろう。

(田沼明子・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3) 年鑑・年報・統計(洋書)

 大原社研の和書と洋書の比率からいうと,洋書の年報類が占める割合は意外と多く,全体で80タイトルほどである。この中から社会・労働関係の一部を取り出してみる。

 社会問題一般の年報としては“L’année sociale,1960~1998”“Socialist Register,1967~1999”“Marxistische Studien ;Jahrbuch des IMSF,1978~1989” などがあり,これらは比較的揃っている。政党関係ではイギリス労働党の“Labour Year Book,(1919~1931)(1972~1974)” や大会報告“Report”があり,とりわけ後者(“Labour Party Conference Report, 1906~1997”)は多少欠号はあるものの1906年から現在まで所蔵している。その他ドイツ社会民主党の“Jahrbuch der Sozialdemokratischen Partei Deutschlands, 1926~1984”,ソヴィエト共産党活動家便覧“Spravochnik partiinogo rabotnika” などがある。社会政策では1983年より購入し始めた“Jahrbuch für Soziologie und Sozialpolitik, 1983~1989” といったものが見られる。

 このほか“Archiv fur Sozialgeschichte, 1961~1999”,“Europa Year Book, 1962~1996”,“Economic Survey of Europe, 1957~1999”(U. N.)などがある。

 労働関係では “Industria1 Relations Research Association Series, 1970~1997”(欠号あり),“Proceeding of the Annual Meeting, 1985~1995(IRRA)”,アメリカ合衆国の労働力年報“Employment and Training Report of the President” 1976~1995や,労使関係年報“Labor Relations Yearbook” 1970~1984,“ American Labor Year Book, 1918~継続中”,“Bulletin of Comparative Labour Relations” 1972~1999(74, 79欠号)などがある。

 また“Employment Outlook, 1992~1999”(O.E.C.D.),“World Labour Report, 1984~1998”(I.L.O.),“Annual Report of the National Labor Relation Board, 1976~1997”(U.S.)なども受け入れている。

又,国際労働機関(ILO)関連の逐次刊行物(国際労働条約や労働基準に関する“各Report”)も創設以来(1920年より)継続整理されている。さらに労働運動の年鑑としてはドイツの Gewerkschaftsjahrbuch”1984~1995がある。イギリスのTUC報告書は労働運動史の項目に記載しているので省略する。珍しいものとしてはインド労働省からの受贈本“Indian Labour Year Book”があり,1964年から1995年版が完全所蔵となっている。そのほか労働統計では国際労働機関の“Year Book of Labour Statistics”1949~1998や,OECDの“Labour Force Statistics” 1961~1994,アメリカ労働省編“Handbook of U.S.Labor Statistics”1972~1998などがあるが,多少欠号もある。“Annuario di Statiche del lavoro 1973~1984(Instituto Centrale Statistica)”

(北村芙美子・上田洋子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2)政治社会運動関係

 1)日本社会党刊『国民政治年鑑』  世界と日本におけるさまざまな動向を,新聞・雑誌や関係資料などによって編集し,革新運動の位置と方向を明らかにすることを目的として,1962年に創刊された。国際関係,政治機構,政治組織,国民運動,労働運動などの項目に分かれている。日本社会党の解散に伴い1995年をもって終巻。創刊号より終巻まで所蔵。

 2)日本社会党刊『国民自治年鑑』  護憲・民主・中立の国民運動を強化し,革新政治を確立する目的で企画され,『国民政治年鑑』の姉妹編として1965年版が発刊された。日本社会党の解散に伴い1995年をもって終巻。創刊号以来終巻まで所蔵している。

 3)健康保険組合連合会編『社会保障年艦』  1949年に保健連資料第1号として『健康保険組合要覧』が刊行され,それを引き継いだかたちで翌年この年鑑の1951年版が刊行された。我が国の社会保障の動向,現状と課題,それに外国の社会保障の現状と動向などが報告されている。創刊号より現在まで所蔵。

 4)国民生活センター編『消費生活年報』  1988年に創刊。消費者問題,消費者相談の内容,関連資料を掲載している。1989年の第2巻より現在まで所蔵。

 5)日本教職員組合編『日本の教育』  日教組による教育研究全国集会の報告書。1951年の第1回から1959年の第9次集会までは日教組が独自に開催していた。他方,日高教も1955年の第1回から1959年の第5回集会までは全国高校教育研究集会を独自に開催していたが,日教組第10次集会,日高教第6次集会以降は日教組と日高教が教研集会を共同で開催するようになった。しかし1970年代以降両組合間および日教組内部の対立関係が次第に顕在化し,1989年に日教組の分裂,日教組と日高教の関係決裂に至った。そのため教研集会も,日教組主催の集会と,全教・日高教など主催の集会とに分裂した。1989年度以降,『日本の教育』は日教組独自の研究集会の報告書となったが,他方,1989年以降発足した,全教・日高教など主催の教研集会は『日本の民主教育』と題する報告書を出している(ただし,大原社研では未所蔵)。第1回より現在まで所蔵。

 6)全国保育団体連絡会・保育研究所編『保育白書』  これは保育施設,保育政策と運動の動向等の記録で,児童憲章制定25周年を記念して1976年版が創刊された。以後現在まで所蔵している。保育関係では,全国社会福祉協議会刊『保育年報』も第1回1967年版より所蔵。

 7)日本の子どもを守る会編『子ども白書』  1964年に創刊された。現在子どもに起こっている諸問題,教育政策,児童福祉政策などをとりあげている。創刊号より現在まで所蔵。

 8)日本婦人団体連合会編『婦人白書』  1975年国際婦人年に創刊され,日本の婦人の現状,特に婦人労働,社会保障,地位や意識などがとりあげられている。創刊号より現在まで所蔵。

 9)パド・ウィメンズ・オフィス編集・発行『女性情報年鑑』  1986年以降,女性問題に関する新聞切り抜き情報誌『月刊女性情報』を発行する中で,1年分をまとめた年鑑を発行する必要が生じたため,1991年に年鑑を創刊した。政治,行政,企業,労働,身体,性,ライフスタイル,育児・保育等さまざまな角度から女性に関する記事を掲載している。創刊号より現在まで所蔵。

 10)環境保全協会編『公害年鑑』  1971年創刊。公害の実態,行政・法令,環境基準,自治体の環境行政,政党・企業・財界の公害対策,世論・市民運動,公害訴訟,労働組合の公害対策を網羅。1980/81年版をもって終巻。2年間のブランクの後,1984年に『環境・エネルギー年鑑』と改名して再出発し,エネルギー問題を柱に据えたが,1986年をもって終巻となる。1972年より終巻まで所蔵。

 11)武蔵野書房発行『環境アセスメント年鑑』  1980年創刊。各省庁の環境アセスメント行政,衆議院環境委員会の審議,地方自治体の環境アセスメント実施状況,公害反対運動,公害調査報告書などを網羅している。1983年以降現在まで所蔵。

 12)全国農業協同組合中央会編『農業協同組合年鑑』  日本の経済の概観,農業の現状,農協の運動と事業,各種協同組合の概観,統計資料を掲載。1954年まで全指連(全国指導農業協同組合連合会)が発行していた年鑑を引き継ぎ,1959年に『農業協同組合年鑑』1955-60年版を発行した。1993年に農協がJAに改名したのに伴い終巻。1955-60年版から終巻まで所蔵。

 13)部落解放研究所刊『融和事業年鑑(中央融和事業協会編 復刻版)』1926~1941年版(16冊)  部落の現状ならびに運動,行政,教育の実態に関する資料で,『同和事業年鑑』と改題された1941年版を最後に廃刊となったが,l970年にまとめて復刻されたものである。同研究所刊『部落解放年鑑』は,その後の第1回目として1970年版が創刊され,以後引続き刊行中である。部落解放研究所は,1998年6月の第48回総会で名称を「部落解放・人権研究所」に変更し,併せて年鑑の名称も1998年版以降『部落解放・人権年鑑』と改めた。全所蔵。

(北村芙美子・小関隆志)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)年鑑・年報(和書)

 毎年1回刊行される図書の中から,統計書は別の項目で紹介しているので除外し,さらに官庁刊行の白書類その他,国会図書館が図書扱いにしているものを除くと,当研究所で所蔵している年鑑・年報は約100タイトル弱となり,それほど多いとはいえない。しかし社会運動・労働運動を中心に収集されてきたという点では,特徴のあるコレクションである。これらの中から主なもの数種類を紹介してみよう。

 a 労働運動関係

 1)労働省監修・日本労働協会刊『労働運動白書』:これは労働省労働組合課編『労働運動の回顧』を1979年より引き継ぐ形で刊行しているもので,初号より現在まで所蔵。

 2)『社会政策学会年報』  1953年に第1集が刊行されて以来,各年毎に個別の書名が付された論文集で,その論題には労働問題が多く取り上げられている。1971年の第16集より学会員それぞれの研究業績一覧が,また1978年の第22集より書評欄が設けられるようになり,より便利なものとなった。1999年の第43集は,これまで別々に発行されてきた『社会政策学会年報』と『社会政策叢書』を統合して,『社会政策学会誌』第1号として再出発した。第1集より現在まで継続所蔵している。

 3)総評編『総評調査年報』  1956年,第7回総評大会を迎えるにあたって,新年度の運動方針を討議する素材として情勢分析を行い,発刊されたのが『年報日本の政治・経済・労働分析』であり,1972年版から現書名に改題された。1956年の創刊号から最終版まで所蔵。

 4)労務行政研究所刊『全国主要労働組合一覧』  『労政時報』の別冊。全国的組織を持つ主要な労働組合の組織,住所,役員名簿等の一覧表で,1956年度より全所蔵。

 5)日本労務研究会編『労務年鑑』  労務管理の角度から,関係資料を集大成したものである。1963年の創刊以来所蔵。

 6)日本石炭鉱業経営者協議会刊『石炭労働年鑑』  1947年に日本石炭鉱業連盟と日本石炭鉱業会共編で刊行されたこの年鑑は,炭鉱労働問題,労働運動,石炭政策等がとりあげられている。1965年版が終巻で1962年版以外は所蔵。

 7)協調会編『労働年鑑』  1926年に『各国労働界の情勢』,そして1928年からは『海外労働情勢』と題して刊行されてきたこの年鑑は,世界各国の労働運動の動向を内容としたが,1933年版から日本における労働運動の動向をも採録し『労働年鑑』と改題した。1938年以降最終版の1963年までは大原の書架で,それ以前は協調会文庫で所蔵している。

 8)大原社会問題研究所編『日本労働年鑑』  1920年5月,日本の社会問題・労働問題・労働運動の記録として1920年版が創刊された。以後1940年版(第21集)まで刊行されたが太平洋戦争で中断,1949年以来刊行を再開し1999年現在第69集におよんでいる。戦争中の中断部分については1964年に『太平洋戦争下の労働者状態』が,ついで1965年に『太平洋戦争下の労働運動』が別巻の形で刊行された。なお復刻版は,1920年より1940年版までの全21巻が法政大学出版局から,戦時年鑑と戦後特集の第22集計3冊および1951年より1963年版までが労働旬報社から出版されている。

 9)なお戦後労働運動史の年次別資料集として,労働省編『資料労働運動史』があるが,これは1945・46年版から最近まで揃っている。このほか,地方官庁刊行物の中には,各都道府県労働部または商工労働部編『労働組合名簿』があり,地域の労働組合の住所を調べるには重宝である。これについては47全都道府県分を収集。また地方労働委員会編『地労委年報』は,未刊行の和歌山県を除いて46都道府県分を収集している。

(北村芙美子・小関隆志)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(6)社会・労働関係一般新聞・雑誌

 当研究所には,占領期のものを中心に,社会労働関係の一般新聞・雑誌を約60タイトルほど所蔵している。まず新聞について紹介すると,松本重治を社長に長島又男・栗林農夫・中村英一ら同盟通信社の左派の人たちが1945年11月30日に創刊したオピニオン・ペーパーの『民報』がある。『民報』は,戦後日本で最初に創刊された夕刊の日刊紙で,のち『東京民報』と改題され,1948年11月まで続いたが,天皇の戦争責任問題を日本の新聞で初めて取り上げ,また新憲法の日本政府による意図的な誤訳を指摘して主権在民を明確にさせるなど,その論説は大きな反響を呼び,GHQが日本の世論動向を知るうえでもっとも注目した新聞の一つであった。研究所では,1991年6月,これを全8巻にまとめ,法政大学出版局から復刻した。原本は,中村・栗林両氏から寄贈されたものである。

 『民報』と並んで特筆されるのは,民衆新聞社から発行された『民衆新聞』であろう。『民衆新聞』も同じ1945年11月15日,人民戦線の結成を標榜して創刊されたオピニオン・ペーパーで,社長の小野俊一は当時,日本社会党の中央執行委員であり,主筆は砂間一良であった。1946年1月10日,山川均が「人民戦線の即時結成」を提唱したのは同紙の第11号においてであり,『民衆新聞』は事実上,民主人民戦線運動の中央機関紙の役割を担っていた。なお,『民衆新聞』はのち『人民新聞』『人民しんぶん』『新東京』と改題され,1949年までつづいた。欠号が多いため,現在その補充に努めている。

 時事通信社の『時事通信(政治労働版)』(日刊)も注目される。『時事通信』はほかに産業経済版も発行していたが,のち新聞単一(日本新聞通信放送労働組合)の委員長を務めた川添隆行が編集責任をになう政治労働版は,占領期の政治動向や労働運動の推移を克明に記録・報道している。社会労働関係の日刊紙・週刊誌としては週刊労働情報社の『労働情報』,日本労政協会の『週刊労働』,産業厚生時報社の『産業厚生時報』などもある。いずれも現在では,労働省編の『資料労働運動史』などと並び,占領期の社会運動を研究する際の基本文献となっている。

 占領期に簇出をみた左翼評論誌も注目される。占領期の雑誌メディアにおける特徴の一つは,戦後改革へ向けた提言・提案をなす評論誌や,婦人参政権の獲得など“女性解放の時代”の到来を背景とした女性雑誌の創刊にあった。

 前者は,佐和慶太郎の『人民』(人民社),伊藤長夫の『人民評論』(伊藤書店),有賀新・戸田慎太郎らの『民主評論』(民主評論社),大竹博吉の『社会評論』(ナウカ社),小森田一記の『世界評論』(世界評論社)などに代表される。これらの評論誌は,当時の革新的な世論をリードしただけでなく,その論評は「民主革命」を担う立場からなされ,日本共産党の機関誌『前衛』と並び,革新陣営に大きな影響を与えた。これらの雑誌は,社会情勢の激変期にあって存外散逸が著しいが,研究所では完全にバックナンバーを揃えている。なお,後者の女性雑誌については,向坂文庫に改造社の『女性改造』や新女性社の『新女性』などがある。

 さらに,この占領期の個性的な雑誌として,毎日新聞社・日本労働協会の『労働評論』や,中西伊之助が中心となって発行した『人民戦線』(人民戦線社),群馬県伊勢崎市で印刷業を営む吉田庄蔵が個人経営で発行した革新総合雑誌『潮流』(吉田書房,のち潮流社)などもあり,現在も閲覧者が多い。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(5)社会運動団体関係機関紙誌

 当研究所の社会運動団体の機関紙誌は,労働組合や政党・政治的団体のそれがメインとなっているが,他の社会運動団体の逐次刊行物についても実に豊富である。研究所が戦前以来,重点的に扱い収集量も多いのが,農民団体,婦人団体,消費組合・消費団体,救援団体,プロレタリア文化・芸術団体などである。戦後に入ってこれに反戦平和,公害反対,アナーキズム,人権救済,国際友好,学生・青年運動,海外同胞引揚促進,沖縄・小笠原返還運動,学術研究などの運動が新しく加わった。これら社会運動団体の機関紙誌について,その全部を紹介することは困難である。ここでは主な運動にかぎらざるを得ない。

 まず,反戦・平和団体の逐次文献について紹介しよう。戦後日本の平和運動は,民主主義擁護同盟(民擁同),平和擁護日本委員会,日本平和委員会,全面講和愛国運動協議会(全愛協)など,日本共産党系の団体の運動が先駆けとなっている。これに日本社会党・総評系の日本平和推進国民会議が加わって朝鮮戦争下の平和運動が展開され,のち原水爆禁止日本協議会,基地対策全国連絡会,憲法擁護国民連合,核禁会議,さらには,日本戦没学生記念会,世界連邦建設同盟などの運動の広がりをみた。これらの団体の機関紙誌は,原水協の『原水協通信』『原水爆禁止ニュース』をはじめ,かなりのタイトルを所蔵している。また最近のものでは,戦争体験を語り継ぐ会の機関紙『兵役』や,不戦兵士の会『不戦』,反原発運動全国連絡会『反原発新聞』なども集めている。

 このうち特筆されるのは,平和擁護日本委員会『世界平和』『世界へいわ』,言論弾圧反対同盟の『自由の声』(のち自由の声社発行),全愛協の『講和新聞』,平和委員会『平和日本』である。これらは,占領下日本の平和運動や講和・独立運動を研究するさいの基本文献であり,現在のところ当研究所にしか所蔵されていない。とくに『自由の声』は,ガリ版刷りで発行部数が少なく,民擁同の機関紙『民主戦線』と並んで“幻の新聞”と呼ばれていたものであった。ただし,『自由の声』については創刊号だけが現在なお収集されていない。最近,外国人研究者を含めて,占領期の社会運動文献について閲覧請求が多いのは,これらの機関紙誌であり,『自由の声』と『講和新聞』については,傷みが目立つので,現物ではなく原寸大のゼロックスコピーのもので閲覧を願っている。

 農民運動関係では,日本農民組合(日農)の『日本農民新聞』をはじめ,全日農,農民組合総同盟,全国農民総連盟などの機関紙,さらに全国農業会,全国農業会議所などの逐次刊行物が入っている。日農が解散したのち,いっさいの本部資料は当研究所に寄贈された。こうした経緯もあって,農業・農民運動関係の機関紙誌は,どちらかといえば日農および日農が参加する団体のものが多い。

 農業・農民運動関係のやや珍しい新聞として,全日本開拓者連盟の機関紙『開拓農民新聞』『開拓情報』,中国帰国者団体入植事務局『入植者新聞』などがある。また1947年6月19日,日農・全農・全国農業会などにより農業復興会議が結成された。この農業復興会議は,片山内閣期の政策をになう当時の主要な社会運動団体の一つで,農業生産の増大・食糧供給の確保・民主的農村の建設などをスローガンとしていた。研究所にはその機関紙『農業復興』も所蔵されている。ただし,バックナンバーは現在のところ完全に揃っていない。

 占領期は女性解放の時代であった。この時期,市川房枝ら戦前の婦選獲得同盟のメンバーが結成した新日本婦人同盟(機関紙『婦人有権者』)や,羽仁説子・宮本百合子らの婦人民主クラブ(機関紙『婦人民主新聞』),さらに婦人民主クラブや産別会議婦人部などが主体となっていた日本民主婦人協議会(略称・民婦協。機関紙『婦人せんせん』)などが結成された。これらの機関紙は,ほぼ完全にそろっている。婦人民主クラブ再建連絡会の『婦民新聞』も収めてある。なお,新日本婦人同盟は1950年11月に日本婦人有権者同盟と改称している。このほか,日本母親大会連絡会『母親しんぶん』,日本民主主義婦人同盟『婦人の旗』,日本婦人会館『婦人しんぶん』,婦人のこえ社『婦人のこえ』,婦人労働問題研究所の『婦人労働』などがある。

 ところで,占領期において言論・出版の自由や女性参政権が認められたことを背景に,全国各地で女性雑誌の創刊・復刊が相次いだ。戦後に新しく創刊された女性雑誌は,戦前からつづく既存の雑誌と区別して“新興女性誌”と呼ばれるが,日本民主主義文化連盟の『働く婦人』にしろ,婦人問題政治研究所の『婦人政治週報』にしろ,あるいは産別会議と民婦協が編集に協力した新女性社の『新女性』にしろ,事実上,婦人運動団体の機関誌的な役割を果たしていた。欠号もあるが,研究所にはこれらの雑誌もある。社会運動に関係する占領期の女性雑誌については,今後もできるだけ収集に努めたいと思っている。

 部落解放運動に関しては,部落解放同盟の機関紙『解放新聞』,部落解放研究所の『部落』,大阪部落解放研究所『部落解放』など一通りそろっている。また,荊冠友の会『荊冠の友』,狭山裁判取消し・無実の石川一雄即時釈放要求中央闘争委員会の『狭山差別裁判』などもある。部落解放運動に関する逐次刊行物文献は,研究所においてはやや手薄となっている。それは,他に専門の研究所や機関があり,公共の図書館でも文献を収集し,閲覧サービスが可能となっているからである。

 消費組合や協同組合運動の機関紙誌については,研究所は戦前以来,重点的に収集に努めてきた。戦後についても,日本協同組合同盟機関紙『日本協同組合新聞』が現物・復刻版いずれもあり,日本生活協同組合連合会『生協運動』,全国消費者団体連合会『消費者運動』,全国商工団体連合会『全商連資料』,日本消費者連盟『消費者レポート』などがある。さらに,必ずしも運動体の機関紙ではないが,日本消費者新聞社の『ニッポン消費者』などもある。

 研究所所蔵の消費組合運動刊行物で注目されるのは,灘神戸生協に関するものであろう。この灘生協に関しては1936年の灘購買組合時代のものから,神戸生協に関してはl923年の神戸購買組合時代のものから所蔵し,戦後も引き続き収集に努めている。また灘生活協同組合月報『協同』(1950年2月創刊),神戸生活協同組合月報『新家庭』(1947年1月創刊)や,合併後の灘神戸生活協同組合月報『協同』(1962年4月創刊)も揃っている。

 アナーキズム運動・研究団体の文献では,日本アナーキズム連盟機関紙『平民新聞』『クロハタ』『自由連合』や,リベルテール会『リベルテール』,日本アナーキズム研究センター『リベーロ』『アナキズム』などを収めている。黒色戦線社の『平民新聞(戦後版)』は,これまで一部の関係者やコレクターが所蔵しているだけで,稀覯紙の扱いを受けていた。近年,『平民新聞』をはじめ,アナキスト連盟『自由共産新聞』,アナキストクラブ『日本アナキストクラブ』など,アナーキズム運動関係文献の復刻も盛んになされている。研究所にはこれらの復刻版もある。

 青年・学生運動団体の機関紙誌も多い。まず,全日本学生自治会総連合(全学連)の機関紙『青年の旗』,さらに『学生新聞』『祖国と学問のために』のほか,日本共産青年同盟(青共)『青年の旗』,民主主義青年会議『民主主義青年』,日本民主青年同盟『民主青年新聞』,日本社会主義青年同盟『社青同』『青年の夢』,日本青年団協議会『日青ニュース』『日本青年団新聞』,日本青年会議『青年戦線』,全日本学生新聞連盟『連盟通信』,日本戦没学生記念会『わだつみのこえ』など,60余のタイトルが所蔵されている。

 特筆されるのは『民主主義青年』であり,戦後日本における青年・学生運動の原点に位置している。同紙は,のち『青年新聞』と改題され,1947年までつづいたが,残念ながら欠号が多い。なお,青共は,民主主義学生同盟と合流し,1949年3月に『民主青年』を創刊,のち51年5月5日に日本民主青年団となったが,この『民主青年』についても欠号が多い。

 文化・学術団体関係の機関紙誌についても紹介しておこう。1946年1月12日,戦時中の抑圧から解放された各分野の進歩的な学者・研究者が結集し,民主主義科学の精神を確立し,科学者の共同研究を通じて国民の福祉と世界平和に寄与することを目的に民主主義科学者協会(民科)が結成された。会員は1万人近くに及んだといわれる。民科は,戦後初期における日本の学術研究をリードし,『民科学術通信』『科学文化ニュース』『科学者』『国民の科学』『民主主義科学』『社会科学』など機関紙誌を発行したが,これらはすべて所蔵してある。欠号もない。

 民科と並び,1946年2月結成の日本民主主義文化連盟(文連)の刊行物もほとんど揃っている。まず,機関紙として『週刊文化タイムス』があり,他に所蔵しているところがなく貴重である。さらに,理論誌『文化革命』や,大衆的啓蒙誌『民衆の旗』『民衆の友』,婦人部協議会の『働く婦人』などがある。このほか,文化学術団体の機関紙誌として,前進座の『月刊前進座』,勤労者音楽協議会『新音楽』『ひびき』,国民文化会議の『国民文化』などおよそ50タイトルほど収集している。学術・文化団体そのものではないが,労働組合の文化雑誌,例えば国鉄労組『国鉄文化』や全逓信労組の『全逓』もある。

 救援運動団体関係では,労農運動救援会(日本労農救援会)の『救援新聞』や,日本国民救援会(東京都本部)の『救援新聞』は,その前身の『全法協タイムス』『人権民報』『助けあい新聞』とともに揃っている。ただし自由人権協会の『人権新聞』と,自由法曹団『自由法曹団ニュース』『団報』『人権のために』は,所蔵しているものの,欠号が多いため現在その補充につとめている。治安維持法犠牲者・国家賠償要求同盟の『会報』『不屈』,青年アジア研究会『金芝河を殺すな1万人署名ニュース』,兵士を救援する会『反軍通信』,韓国民主化支援国際連帯『ともに』などもある。

 なお,裁判闘争関係では,松川事件対策協議会『松川通信』,白鳥事件中央対策協議会『白鳥事件』『白鳥事件公判ニュース』,メーデー事件対策委員会『メーデー事件公判ニュース』(のち『人民の広場』),破防法裁判闘争を支える会事務局『破防法裁判ニュース』など,1950年代の裁判闘争関係の機関紙誌については現在では貴重な逐次資料となっている。また,最近のものでは横浜事件再審裁判を支援する会の『解放』などがある。

 救援運動や裁判闘争とは直接に関係しないが,かつての社会運動家を顕彰し記録する旧友団体の機関紙誌を収集しているのも,当研究所の逐次資料の一つの特徴となっている。渡政会(会長丹野セツ)『渡政会会報』,徳田球一を偲ぶ会『徳田球一を偲ぶ会ニュース』,大杉栄らの墓前祭実行委員会『沓谷だより』,さらに東京解放運動旧友会『風雪』や石川県社会運動旧友会『会報』などがあり,今後も収集を続けていきたいと思う。

 医療・健康運動では,民医連の『民医連医療』や『民医連資料』,それに日生協医療部会『医療生協運動』,日本患者同盟『日患情報』(のち『療養新聞』)なども集めている。

 国際友好・連帯運動についても,当研究所はかなりのタイトルの機関紙誌を収集している。日中国交回復国民会議『日中国交回復ニュース』,日中友好協会『日中友好通信』,日中・日ソ国交回復国民会議『日中・日ソ国交回復ニュース』,日本と朝鮮の労働者交流連帯会議『日朝レポート』のほか,アジア連帯委員会『アジア連帯』,アジア・アフリカ連帯委員会『アジア・アフリカ』などをあげておきたい。

 社会保障・生活擁護運動では,生活相談全国事務局『生活通信』,全国労働組合生活対策協議会『生活対策ニュース』,全生連『生活と健康を守る新聞』,日本患者同盟『療養新聞』など25タイトルを所蔵している。在華同胞帰国協力会『帰国者の友』などは珍しい部類に入るだろう。

 公害反対運動の刊行物も近年しだいに増える傾向にある。ここでは水俣病を告発する会『告発』,スモン被害者の恒久対策と薬害根絶をめざす全国実行委員会『スモン全国実行委員会ニュース』などをあげておこう。

 領土返還運動では,沖縄返還要求国民運動連絡会『沖縄ニュース』,沖縄・小笠原返還同盟『沖縄・小笠原新聞』,沖縄問題解決国民運動連絡会『沖縄連』,北方領土問題対策協議会『季刊北方領土』などがある。

 このほか,特筆される社会運動団体の機関紙として経済復興会議の機関紙をあげておきたい。経済復興会議(議長鈴木茂三郎)は,1947年2月6日,経済同友会・日産協など経済団体や総同盟・産別会議など全国の主要な労資団体を集めて結成され,事実上,片山・芦田内閣における経済復興政策の実践母体となっていた。経済復興会議は,機関紙『経済復興』『経済復興会議会報』や,機関誌の『資料旬報』『調査資料』を発行した。これらの機関紙誌は,戦後初期における経済復興運動の実態や特質を分析するうえで基本資料となっており,他の学術機関には所蔵されていない。当研究所では,向坂文庫所蔵のものと合わせると,バックナンバーは完全にそろっている。なお,これらの機関紙誌は,劣化が激しく,現物での閲覧に耐え得ないので,近々のうちに復刻出版に協力して広く資料を公開したいと思っている。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(4)政党関係機関紙誌(外国)

 諸外国の政党関係機関紙誌類のうち研究所が所蔵する特色あるコレクションは,19世紀の社会・労働運動,社会思想関係,およびアナーキスト関係の機関紙誌である。このほかに,戦前のイギリス労働党やドイツ社会民主党関係の資料も少なくない。

 19世紀のもののうち,イギリスでは,ウィリアム・コベット,ロバート・オーエンからチャーティスト運動に至る流れのものが中心で,Cobbett’s Weekly (Politica1) Register,The Crisis,The New Mora1 World, The Pioneer(R),Poor Man’s Guardian,The Chartist Circular(R),The English Chartist Circularなどがある。ドイツでは,1848年の3月前期から革命期にかけて,ヘーゲル左派が出した Einundzwanzig Bogen aus der Schweiz,Die Epigonen,Gesellschaftsspiegel,Hallische Jahrbücher,Die Opposition,Rheinische Jahrbücher,ヴァイトリングの Der Hülferuf der deutschen Jugend と Die junge Generation(R),Der Urwähler (R),ボルンの Mitteilungen des Centralvereins für Wohl der Arbeitenden Klassen (R),マルクスの Deutsch-franz&oumlsrische Jahrbücher, Neue Rheinische Zeitung などかなり充実している。フランスではやはり1848年革命期を中心として,フーリエの La Phalange, ルイ・ブランの Le Noveau monde や,Le Peuple,La Révolution démocratique et sociale,Revue sociale,Le Travail affranch, La Voix du peuple などがある。

 アナーキスト・サンディカリスト関係では,ドイツ語でだされた Der Anarchist(E),Der Anti- Autoritär(E),Die Autonomie,Der Sozialist,Der Freie Arbeiter,Neues Leben,Der Syndikalist,フランス語の L’Egalitaire(E), L’Action ouvri&egravere(E), Le Cri de jeunes syndicalistes, Le Libertaire,Le Réveil,La Révolte, La Vie anarchiste(E),反権威インターナショナル・ジュラ連合の Bulletin,イタリアのL’Agitazione(E),スペインの Acracia(E), La Anarquia などが注目される。

 社会主義政党関連では,イギリスは独立労働党の The Clarion,Labour Leader,The New Leader,ギルド社会主義者の The Guildsman,The Guild Socialist の他,The Social Democrat とその前身の Justice,The Socialist(Officia1 Organ of the Socialist Labour Party),共産党の The Communist Review,The Communist があり,労働党の年次報告は,1926年から現在まで揃っている(1960年までは写真版)。ドイツでは,社会民主党とその前身・後身諸組織の機関紙誌の主なものが揃えてあり,全ドイツ労働者協会(ADAV)の Der Social-Demokrat,Neuer Social-Demokrat,ドイツ社会民主労働者党(SDAP)系の Demokratisches Wochenblatt(R),Der Volksstaat,Der Vorbote(R),ドイツ社会主義労働者党(SAPD)の Vorwärts,Die Zukunft(R),Freiheit,Der Sozialdemokrat, Berliner Volksblatt, ドイツ社会民主党(SPD)の Vorwärts,Die Neue Zeit, Sozialistische Monatshefte, ドイツ独立社会民主党(USPD)の Die Freiheit, Die Freie Welt,ドイツ共産党(KPD)の Der Rote Fahne,Die Internationale, Arbeiter-Illustrierte Zeitung,Die junge Garde,Sowjet など,その他オーストリア社会民主党の Der Kampf, Arbeiter-Zeitung,戦後東ドイツのドイツ社会主義統一党(SED)の Einheitがあり,SPD系の各党の大会議事録も主に復刻版で所蔵している。フランスについては,共産党の L’Humanité Cahiers du Bolchevismeが,イタリアでは共産党の L’Unita(R)などがある。

 インターナショナル関連では,コミンテルンの Die Kommunistische Internationale,Communist International,Internationale Presse-Korrespondenzなどがある。以上に挙げなかったアメリカ関係の政党機関紙誌類は,復刻版をシリーズで購入しており,詳細は J.R.Colin(eds.),The American Radical Press 1880~1960,2vols.(Westport/London,1974)を参照されたい。〔Cf.(E)=エルツバッハー文庫(R)=Reprint(復刻版)〕

(相馬保夫) 

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3)政党および政治諸団体機関紙誌(日本)

 大原社研は,占領期の革新政党や社会運動団体に関する資料についても宝庫となっている。政党機関紙では,とくに日本社会党の機関紙が豊富である。日本社会党は1946年1月1日,中央機関紙として『日本社会新聞』を創刊した。この『日本社会新聞』は,46年9月28日付の第22号より『社会新聞』と改題され,さらに51年10月における党の分裂をへて同年11月30日付の第318号より『週刊社会新聞』と再改題され,52年1月28日の第325号まで発行されている。

 この占領期の日本社会党の機関紙については,事実上これを継承した現在の社会民主党にも所蔵されていない。国立国会図書館の場合,過半の欠号があり,研究者より早急な収集が期待されていた。当研究所の場合も,当初は36号の欠号があったが,向坂文庫や鈴木茂三郎文庫を受け入れ,またプロジェクトを組んで収集に努めた結果,現在ではバックナンバーのほとんどを所蔵している。なお,占領期の社会党機関紙については,当研究所の事業活動の一つである“復刻シリーズ・戦後社会運動資料”に含め,近年のうち完全復刻をめざして準備を行っている。

 日本社会党が1951年10月に左右両党に分裂したのち,左派社会党は同年11月1日に機関紙として『党活動資料』を創刊した。この『党活動資料』は,52年3月10日付の第13号から『党活動』と改題され,55年10月,同党の統一回復にともなって55年10月13日の第129号より『社会新報』となったが,『社会新報』を含め,研究所ではこれらの機関紙も完全に揃えている。他方,右派社会党は1951年10月,それまで党出版部が出していた『社会週報』を機関紙とすることを決め,翌11月の第352号より『日本社会新聞』と改題し,60年10月17日の第796・797合併号まで発行した。このうち『社会週報』は,1948年1月1日に創刊された『日本社会党党報』を継承し,同年12月22日付の第48号から改題したものである。研究所では,これら右派社会党の新聞についても所蔵している。

 このほか研究所には,1952年3月1日,左派社会党と総評が中心となって発行した『社会タイムス』(のち『週刊社会タイムス』)も所蔵されている。左派社会党は,同紙を準機関紙と位置づけ,憲法擁護・基地反対など平和と民主主義の世論をもり上げた。『社会タイムス』は,1950年代前半期における左派社会党と総評時代の社会運動を研究する際の基本文献となっている。

 また,中央機関誌についても,最初の『社会思潮』(1947年2月創刊)や1957年5月創刊の『月刊社会党』(1957年5月創刊)も完全に揃っている。前者の『社会思潮』は,1991年10月に研究所編で,法政大学出版局より復刻出版された。このほかの機関誌として『情報通信』『社会通信』などの党報類,さらに『地方政治』『政策資料』『労働政策』『労働情報』『若い仲間』など,政策・運動誌が発行されているが,当研究所には派閥関係の機関紙誌を含め,社会党関係の文献は多い。ただし,これらの機関紙誌は,向坂文庫や,現在整理中の鈴木茂三郎文庫などに分かれて入っているので,閲覧サービスは迅速にいかないかもしれない。

 日本社会党に関係する団体の機関紙誌としてとくに重要なのは,1946年1月25日に設立された社会主義政治経済研究所のそれであろう。所長は鈴木茂三郎であった。同研究所は,日本社会党のシンクタンクとしての位置にあり,機関紙として『政治経済通信』,理論誌として『社会主義』を発行している。このうち『政治経済通信』は,のち『社会主義政経週報』『週刊社会主義』『政経週報』『政経通信』と改題を重ねたが,片山・芦田内閣期における社会党サイドの経済政策を分析する場合,これらは不可欠の基本文献となっている。これらの社会主義政治経済研究所の機関紙については,機関誌『社会主義』を含め,すでに復刻済みである。

 このほか,当研究所には,山川均・向坂逸郎が指導する戦前以来の伝統を継承した『前進』や,社会主義協会の機関紙『社会主義ニュース』と理論誌『社会主義』,さらに社会主義協会再建準備会の『社会主義』,向坂派社会主義協会の『旬刊進路』などもある。

 日本共産党に関する機関紙誌も豊富である。おそらく日本では,日本共産党の党史資料室を除き,当研究所が,所蔵タイトル・量では最大であろう。合法再建をとげた日本共産党は,1945年10月20日に『赤旗』(セッキ)を復刊し,翌46年1月より『アカハタ』に改題し,1950年の分裂時における休刊があったものの,その発行は久しく現在に続いている。当研究所では,この間に発行された『赤旗』『アカハタ』や理論誌『前衛』(1946年2月15日創刊)をはじめ,占領期の『労働者』『働く農民』『新しい世界』『調査時報』『アカハタウィークリー』『大衆クラブ』『科学と技術』や,近年の『世界政治資料』『平和と社会主義の諸問題』『議会と自治体』などを含め,そのほとんどを所蔵している。なお,当研究所が所蔵する『赤旗』の再刊第1号は,梨木作次郎氏より寄贈を受けたものである。また,研究所には東京,埼玉,神奈川,長野など地方委員会の機関紙も所蔵してある。

 ところで,研究所所蔵の日本共産党の逐次刊行物でとくに注目されるのは,1950年6月以降,55年7月の六全協で極左冒険主義を自己批判するまでの,半非合法・分裂抗争期の新聞・雑誌を所蔵していることである。1950年6月26日,GHQは『アカハタ』の発行停止を命令した。日本共産党は,その後継紙として『自由』『平和の友』『新文化』『民主日本』『人民新聞』『平和にっぽん』などをタイトルを変えて相次いで発行している。これらの新聞は,一般に“地下紙”“半非合法紙”などと呼ばれているが,他の学術機関にはほとんど所蔵されていない。雑誌でも,『党活動指針』『党建設者』『球根栽培法』『平和と独立のために』『内外評論』『国民評論』などがあり,現在整理中である。

 1948年12月2日,黒田寿男・岡田春夫ら日本社会党の最左派のグループは芦田均内閣の予算案に反対し,脱党のうえ労働者農民党を結成した。研究所には,この労働者農民党の機関紙『労農新聞』『党報』『労農週報』をはじめ,政策調査部の『政策速報』『政策資料』などがある。労働者農民党は1957年1月,解党のうえ日本社会党に合流している。これらの機関紙誌は,国会図書館はじめ他の学術機関にも所蔵されておらず,現在のところ当研究所にあるだけである。

 また,日本社会党の左派のうち,黒田寿男らと行動を共にせず,党内に残った和田敏明・足立梅市らは社会党再建全国連絡会を結成し,社会党の純化・統一回復に努めた。同連絡会は機関紙『社会主義新聞』を発行し,55年9月まで左派社会党に近い立場で活動したが,研究所では,何号か欠号があるものの,この『社会主義新聞』も所蔵している。

 1960年1月24日,日米安保条約の締結を肯定する日本社会党の右派は,西尾末広を中心に脱党し,民社党を結成した。この民社党の機関紙・誌もよくそろっている。民社党の機関紙の場合,その系譜は『旬間社会新聞』『週刊社会新聞』『民社新聞』『週刊民社』とつづくが,欠号はない。機関誌も,『民社社会主義研究』『改革者』『民社党』『革新』『かくしん』『kakushin』とつづき,これらも揃っている。

 このほか,民社党関係のものとしては,『民主社会党通信』『情宣ニュース』『民社党情報』『政策と討論』など,解党するまでの全タイトルを所蔵している。なお,民社党の思想・理論・政策を準備したのは,1951年12月12日に発足した八木秀次・蝋山政道らの民主社会主義連盟であった。連盟は1953年1月,機関誌として『民主社会主義』を創刊したが,研究所にはこの『民主社会主義』その他も所蔵している。

 以上に紹介した政党の機関紙・誌以外にも,研究所には,社会民主党・協同党の『独立』や社会民主連合の『社民連』『社民連リポート』,最近のものでは新社会党『週刊新社会』なども収集している。

 研究所では,その他の政治団体・新左翼の機関紙誌についても意識的に収集している。例えば,日本青年共産同盟『青年の旗』(のち『青年ノ旗』),日本社会主義青年同盟『社青同』(のち『青年の声』),社青同解放派『解放』,日本共産党(日本のこえ)『日本のこえ』『平和と社会主義』,日本共産党(左派)中央委員会『革命戦士』,日本革命的共産主義者同盟『世界革命』(のち『かけはし』),共産主義者同盟(戦旗派)『戦旗』,日本共産主義青年同盟(行動派)『青年戦士』,統一社会主義同盟『先駆』(のち『平和と社会主義』),日本共産党レーニン主義者団『建設者』など,50タイトルに及んでいる。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2)労働組合関係機関紙誌(外国)

 諸外国の労働組合関係機関紙誌類は戦後に集中しており,戦前からのものは,アメリカAFLの “American Federationist”,イギリス労働組合会議の“TUC-Report”(但し,1869~1957年は写真版),ドイツ自由労組の“Correspondenzblatt”(R)や大会議事録,イタリアCGILの大会議事録などである。戦後ではまず国際組織から,国際自由労連(ICFTU)の Bulletin,Circular,Newsletter や,“Asian Labour”,“Free Labour World”,“Internationa1 Trade Union News”,世界労連の“Asian Worker”,“Trade Union Press”,“World Trade Union Movement”,“The World Federation of Trade Unions & Indochina” などが,国際産業労働組織では国際金属労連(IMF)の News,News Letter, Quarterly Bulletin,国際運輸労連(ITF)の“ITF NEWS”,IUFの“Asian food worker”の他に,ILOで出している各種の通信を所蔵している。

 国別の組合機関紙誌類は枚挙に暇がないが,例えば,アメリカのAFL-CIO関係では“AFL-CIO News”,“(International)Free Trade Union News” や傘下組織の “In Transit”,“IUE News”, “Labor Unity” “Seafarers Log”, “The Machinist” “Steel Labor”,フランス CGTおよびその傘下の “Le Travailleur du Sous-Sol”,“La Tribune des Cheminots”,“La Tribune des Mineurs”,FOの “F.O.Magazine”,“Force ouvrier”,イタリアCGILの “News Bulletin”,“Rassegna Sindicale”,西ドイツDGBの News Letter,Report,“Gewerkschaftliche Monatshefte” や傘下のIGMの“Metall”,“Direct”,東ドイツFDGBの Review,“Tribune”,“Die Arbeit” や傘下の “Gluck Auf”(IG Bergbau-Energie)などがある。

 さらに,戦後期の所蔵機関紙誌類の特色は運動の先進国のみならず,アジア,アフリカ,南アフリカを含む多様な国々で刊行したものも収集している点である。例えば,“African Labour News”,“The Indian Worker”,“The Chinese Trade Unions”,“Partisan News Magazine”(フィリピン),“SuaraBuroh”(マレーシア),“Boletin Sindicalista do Brasi1”(ブラジル),“Bulgarian Trade Unions ”(ブルガリア),“Czechoslovak Trade Unions”(チェコスロヴァキア),“Hungarian Review”,“Hungarian Trade Union News”(ハンガリー),“Yugoslav Trade Union News”(ユーゴスラヴィア)などである。残念ながら,これらの機関紙誌類は継続的に揃えられているとはいえない。利用の際は目録を参照するのはもちろん,昨今はAFL-CIO,TUCなどの多くの機関がホームページを設立しており(CIなどは東京事務所のホームページもある)本研究所のホームページにリンク集としてまとめてあるので,詳細や最新情報についてはそちらも参考にしていただきたい。〔Cf.(R)=Reprint(復刻)〕

(相馬保夫・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)労働組合関係機関紙誌(日本)

 労働組合機関紙誌の収集は,大原研究所の中心事業の一つで,毎年研究所が編集・刊行する『日本労働年鑑』におけるデータ収集という観点からも,大変重要な意味を持つ。利用にあたっては,「戦後・新聞」「戦後・労組機関誌」「戦後組合文芸誌」の各検索カードを用いる。これらの分類は,鉱業,金属,化学,繊維,公務など,産業別となっている。

 タイトル数は,700余り,『全労連ニュース』『労働』(総同盟)や,『総評新聞』『同盟新聞』『中立労連』『新産別』をはじめナショナル・センターの機関紙や,『鉄鋼労連』『電機労連』『私鉄総連』など主要な全国単産の中央機関紙を中心に収集されている。また,『WEEKLYれんごう』(連合)や『統一労組懇』月刊『連合』『れんごう政策資料』『友愛情報』(友愛会)など,労働戦線統一問題の歴史を知るうえでの必読といえる資料も豊富である。

 また,その数は多くはないが,地区労・県評といった地方組織の機関紙も十数タイトル含まれている。さらに,八幡製鉄所労働組合の『熱風』,全国金属プリンス自工支部(現全金日産自動車支部)の『全金プリンス』,東武交通労組の『東武組合新聞』など,いわゆる単組の段階の機関紙も若干所蔵されている。

 また,機関誌のほうもタイトル数は約400あり,『月刊総評』『総評調査時報』や『同盟』『連合』『IMF-JC』,また『自治労通信』,『教育評論』(日教組),『ゼンセンコンパス』(ゼンセン同盟),『金属機械労働資料』(全国金属),『あけぼの』(全電通),『国労文化』,『オルグ手帖』(全たばこ),『損保調査時報』(全損保),『国公労調査時報』(国公労連),『建設一般・学習』(建設一般全日自労),『月刊むーぶ』(運輸一般)など主要組合のものは収集されている。
 組合自身の機関紙誌とは別に,太平洋炭礦労組の『響土』,三菱美唄炭礦労組文学会の『炭炎』,雄別炭鉱労組の『火山脈』など1950年代後半の鉱業の単組,あるいは1946~49年の金属産業の単組を中心とした単組レベルの労働組合誌も収集されている。いずれの産業のものも,ほぼ1946~49年ないし1950年代のもので,創刊号など数号を収集している場合が多いとはいえ,タイトル数は約450を数える。

 さらに,ICFTU日本加盟組合連絡協議会の『自由労連通信』,ITF(国際運輸労連)の『ITFニュース』やCI(国際コミュニケーション労連)の『CIニュース』など,国際労働組合組織関係の刊行物もある。主要労働組合の機関紙誌は,ナショナル・センターと全国単産の場合はほとんど継続的に収集している(縮刷版を含む)が,地区労・県評や単組レベルのものについては,必ずしもそうではない。

(浅見和彦・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(5)諸社会運動団体およびその他の諸団体機関紙誌

 無政府主義運動関係は,すでに黒色戦線社によって代表的なものはほとんど復刻刊行されている。しかし,当研究所には地方で出されたり,いわゆる「三号雑誌」の類いの無政府主義関係紙誌が大変多い。例えば,神戸・極東平民社『極東』(1922年),黒旗連盟『労働者と失業問題』(1923年),大阪で出された『背人』『黒』(1923年)のようなものがそれである。

 右翼関係の雑誌も同様である。帝国尚武会『武士道の日本』(1911年)から始まって『大日本生産党報』(1935年)まである。遠藤友四郎の個人誌『日本思想』(1925~35年)はかなりある。それに対し,高畠素之の『大衆運動』は所蔵されていない。売文社『国家社会主義』もほとんどない。しかし,大日本国家社会主義協会『日本社会主義』(1931年以後),『国家社会主義』はかなりある。そのほかの地方的な右翼・国家社会主義機関紙誌をあげると膨大なものとなる。これは直接目録にあたっていただきたい。

 諸社会運動団体の機関紙誌類は運動によって復刻がよく進んだものと,そうでないものとがあるが,概ね重要なものは現在も出され続けているといえる。復刻が活発な分野は,婦人運動関係・部落問題関係などであろう。『青鞜』『女人芸術』はいうまでもなく,新婦人協会『女性同盟』(1920年10月~21年6月)なども出されている。ほかには『婦人参政同盟会報』などが復刻されていない。これは所蔵されているが欠号がある。奥むめお等職業婦人社の『婦人運動』は1924年以後について所蔵されているが,欠号も多い。

 救援会関係のものは『救援新聞』ほかいろいろなものがある。反宗教運動については,『反宗教闘争』『戦闘的無神論者』『われらの世界』があり,学生運動については,大宅壮一らの『学生運動』(1926年)などがある。さらに借家人運動については『借家人』(1927年~)などさまざまなものがあるものの,断片的なものが多い。諸社会運動のなかにはあまり知られていないものもあるであろうから,その発掘は今後の課題であるといわねばならない。

(梅田俊英)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(4)社会主義運動および文化運動関係機関紙誌

 社会主義運動関係の機関紙誌類は多数復刻されている。古くは労働運動史研究会の編集で刊行された明治社会主義関係のものがある。そのほかにもいくつかの出版社から復刻されているが,当研究所はできる限り揃える方針である。そのなかには全国的な規模で発行されたもの以外に,例えば三重県で水平社関係者や社会主義者などによって大正期に出された『愛国新聞』などのようなものもある。

 ここでは,現在復刻されていない機関紙誌のうち,注目すべきものを紹介しよう。1923年4月に『赤旗』が,『前衛』『社会主義研究』『無産階級』の三誌を合併して創刊されるが,そのうち後二者が未復刻である。これらは向坂文庫の寄贈によってかなり欠号が埋まり,近いうちに復刻できる条件が生まれている。これができると大正社会主義の主な雑誌はほぼカバーされることになろう。1919年6月刊行の『解放』はマイクロフィルムになっている。

 あとは第一次共産党関係の雑誌(『労働組合』など)や地方的なものが未復刻である(所蔵)。大正後期になると,政治研究会の『政治運動』『政治研究』やフェビアン協会『社会主義研究』,労働者教育のための『民衆政治』『大衆教育』などがある。 昭和期になると,とくにプロレタリア文化運動関係で非常に多くの機関紙誌類が発行されているが,これらは戦旗復刻版刊行会によって,すでに多くのものが出されている。プロレタリア科学研究所『プロレタリア科学』等や産業労働調査所『産業労働時報』等はすでに当研究所によって復刻済みである。『世界文化』『新興科学の旗の下に』も復刻されていて,昭和初期の学術文化雑誌はほぼ復刻が終わっている。そのほかには,コップ『大衆の友』,プロレタリア科学研究所『われらの科学』『科学新聞』などの復刻が残されているが,当研究所所蔵のものにはかなりの欠号がある。

 昭和の未復刻の最大のものは『第二無産者新聞』であろう。現在も少しずつ集まりつつあるが,なお欠号も多い。共産青年同盟の『無産青年』もあるが,やはり欠号もかなりある。

 なお,1923年2月創刊の『進め』は,一時はプロレタリア文芸運動の準機関誌のようになったこともあり,史料的にも重要なものである。欠号はあるもののかなりの量が揃っている。これに似たものに商業的に出された『社会運動往来』『社会往来』も注目すべきである。そのほか,運動が公然と展開されていた時期(とくに1926年以後)に商業的ベースにのった社会主義関係の雑誌が多く出されるようになるが,これらのなかには注目すべきものもあり,その多くは当研究所でも所蔵している。

 1930年代半ばすぎの人民戦線関係などの機関紙誌類はかなり復刻されている。あとは『時局新聞』,文芸雑誌『人民文庫』,プロ科系執筆者が多く書いている『進歩』,『社会往来』を継承した『国民評論』などがある。『人民文庫』以外のものはかなりある。

(梅田俊英)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3)農民組合関係機関紙誌

 農民組合の機関紙誌といえば,まず1922年1月創刊の日本農民組合『土地と自由』をあげるべきであろう。現在,当研究所においてその復刻が行われている。廃刊の年は1935年と思われるが,そのころの発行状況が不明で,欠号の有無さえ確定できないため復刻の完成が遅れている。共産党系左派活動家によって発行された『農民運動』(1927年4月~28年12月)は来年度中には復刻の予定である。

 1922年に第一次共産党によって『労働新聞』『労働組合』とともに刊行された『農民運動』がほぼ揃っている。また,全日本農民組合同盟の『農民組合』(1926年),全日本農民組合の『全日本農民』(1927年)といった全国組織の機関紙は完全に揃っている。農民運動関係では,地方の組合などの機関紙もかなりある。千葉県野田で1922年以後刊行された『日本農民新聞』,日農関東同盟会の『日本農民新聞』,同岡山県連の『農民岡山』,中部日本農民組合の『中部日本農民新聞』(1926年10月~),ほかには山口,千葉,三重などの地方農民新聞がある。また,全農ほかの『県連ニュース』なども多い。このように地方の機関紙誌類が多いというのは,日農・全日農・全農本部資料を所蔵する当研究所のひとつの特色であるといってよいであろう。

 1930年代にはいると,全農のなかで思想対立がおこり全農全国会議が左派によって結成されるが,その機関紙『農民新聞』が若干の欠号がありながらも所蔵されている。また,その全農全会派を支持した雑誌『農民闘争』も揃っている。右派のものでは平野力三の『日本農民新聞』(1927年3月~29年6月及び1933年4月~36年4月)がかなりある。

(梅田俊英)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2)無産政党関係機関紙誌

 無産政党関係の機関紙誌の復刻は,明治期のものを除けば現在労働農民党関係のみなされているにすぎない。研究所の所蔵するものは第一次大戦後(とくに1926年以後)のものが中心である。1926年以前のものでは,橋本徹馬・加藤勘十らの立憲青年党機関誌『労働世界』(1919年~,写真版)のような例外はあるが,復刻されているものを除いて所蔵していない。

 無産政党運動華やかなりし1920年以降のもののうち,まず,社会民衆党系のものを見てみよう。1926年6月労働農民党の左右対立が始まった時点で右派によって発行された『民衆新聞』がある。1926年12月に社会民衆党が結成されると『社会民衆新聞』として継承されている。同紙は27年11月まで出されて中断し,翌年7月復活した。これが中断しているときに準機関紙として刊行されたのが『日本民衆新聞』(1928年7月~32年7月)である。32年社会民衆党を母体に社会大衆党が結成されると,『社会民衆新聞』にかわって『社会大衆新聞』が40年2月まで発行された。
 つづいて,1926年12月に結成された日本労農党系中間派機関紙を見よう。この系統のものは,『日本労農新聞』から始まって『日本大衆新聞』『全国大衆新聞』『全国労農大衆新聞』とつづき,32年7月『社会大衆新聞』に合流する。ほかに,浅沼稲次郎が社長で社会大衆党を支持した『社会新聞』(1932年5月~36年7月)がある。 また,無産大衆党の『無産大衆新聞』,労農派の『労農新聞』なども一部の欠号を除いてほぼそろっている。しかし,1937年に出された日本無産党の『日本無産新聞』は,当研究所にはない。

 そのほか,部分的ではあるが地方政党の機関紙誌もある。たとえば,東京無産党の『無産大衆』はほとんどそろっており,九州民憲党の『民憲』『民憲新聞』は25年以後のものが若干存在する。ほか

(梅田俊英)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)労働組合関係機関紙誌

 当研究所は,『日本労働年鑑』編纂のために多くの組合関係機関紙誌類を集め,さらに《日本社会運動史料》編集の過程で欠号補充に努めてきた。そのため,この分野は比較的充実している。『友愛新報』『労働及産業』『新神戸』など,総同盟の機関紙誌類は復刻済みのものが多いが,そのほかの組合中央組織や個別的な労働組合機関紙誌の復刻は,レフト・統一同盟機関誌『労働者』をのぞいてあまりなされていない。現在のところ,それらにあたるには当研究所所蔵の現物を見るほかないであろう。まず,左翼系では評議会や全協の『労働新聞』がある。これらにはほとんど欠号はない。『工場と鉱山』『労働大衆』『全国労働新聞』ほか組合同盟系中間組合組織のものもほとんど揃っている。

 そのほかの主要組合連合体のものを見てみよう。『大阪鉄工組合機関紙』『純労働新聞』『社会運動』を継承し,反総同盟系の組織として1926年結成された日本労働組合総連合によって刊行された『組合連合』『組合総連合』がある。これらは1919年より始まって,36年まで息長く出され続けた。『向上会会報』『向上新聞』『官業労働新聞』と出された官業労働総同盟のものも長く続いている(1920~35年)。武相連盟・造船労働連盟の『武相連盟』『労働時代』,日本交通労働組合・日本交通労働総連盟の『交通労働』『労働自治』,海員組合の『海員』などのような産別組合のものもある。『信友』『正信』『印刷工連合』などの印刷出版労働組合関係のものも少なくない。

 昭和のものでは全評の『日本労働新聞』をまずあげるべきであろう。日本労働倶楽部を継承して結成された日本労働組合会議の機関誌『組合会議時報』や日本労働国策協会の『組合会議』『労働国策』もある。特に後二者は完全に揃っている。上にふれたものは一部に欠号があるものの,ほとんど所蔵されている。

 全協加盟組合関係の機関紙誌類は多くの種類のものが集められている。これらのものには戦後,運動関係者などから寄贈された資料の中から少しずつ収集されたものも含まれる。そのなかには,全協日本金属労働組合『金属労働者』,同日本交通運輸労働組合『交通労働者』などの主要なものがあるが,大半は各地で非公然に単発的に出されたものである。これらは各地方の左翼組合運動の一端を知るための貴重な史料であり,当研究所でなければ見ることができない珍しいものも含まれている。

 そのほか地方労働組合,あるいは労働組合地方支部の刊行した『組合ニュース』『組合報』といった定期刊行物もかなりの数があるが,ここではその全てを紹介するのは不可能である。関東合同労働組合『旬報』(1926年6月~27年7月)のように完全に揃っているものもあるが,ほかのものは必ずしも系統的に所蔵されているわけではない。

(梅田俊英)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(4)赤松、大山、志賀、下坂、林文庫他

 a 赤松文庫  新人会の創立者の1人で,総同盟・社会民衆党の指導者であった赤松克麿の旧蔵書は,図書の部が社会運動・労働運動関係書を中心に約200冊で,この中には堺利彦著『社会主義論集』,桑田二郎著『電車ストライキ』,山川均著『単一無産政党論』,赤松克麿等編『日本無産政党史』,松岡駒吉著『野田大労働争議』などがある。また雑誌・新聞等は『社会政策時報』『先駆』『労働婦人』『日本農民新聞』など40タイトルほどである。御遺族から寄贈をうけたこれらの図書・資料は1959年度に登録された。

 b 大山文庫  大山郁夫旧蔵図書は,法政大学社会学部高橋彦博氏の斡旋により御遺族から当研究所に寄贈され,1974年度に登録されている。その90%ほどが洋書で政治学関係が大部分をしめる。この文庫については,「グムプロヴィッツ,オッペンハイマーが入っているのはもちろんであるが,トックヴィル,デュギー,ウォーラス,ラスキなどがそれ以上に目立つ存在になっている点が注目される。ラスキの場合,主権三部作を含めすべて初期のものである。ミヘルス,ロウエル,オストロゴルスキーなども入っており,故人の関心が学説史の把握よりも構造分析に向けられていた点がうかがえる。マルクス・レーニン主義の文献も多いが,コール,マクドナルド,ホブスン,さらにはベルンシュタイン,ラデック,ディーツゲン,カウツキーなどの文献が結構多い点にも注目される」と高橋彦博氏によって紹介されている。雑誌『法政』1975年No.257/258合併号にこの紹介文が掲載されているので,詳しくはそちらを参照して頂きたい。

 c 志賀文庫  志賀義雄氏からは,何回かにわけて寄贈を受けている。和書は『赤色労働組合インターナショナル大会』の記録など230冊で,社会主義関係が主流を占め,マルクス,エンゲルス,レーニンの著作及び中国に関するものが目立っている。洋書は250冊,和書と同様の傾向ではあるが,さらに第1~第3インタナショナル大会の記録やブハーリン,カウツキー,ラッサール,トロツキーなども含まれていて,特に1920年代の刊行物がほとんどを占めている。この他十数種類の洋雑誌,Communist International,Die rote Gewerkschafts-Internationale などがある。

 d 下坂文庫  戦前・戦後を通じ,農民運動,無産運動で活躍した下阪正英の図書・資料は,戦前の社会運動・農民運動関係の雑誌,機関誌紙およびパンフレットが多数を占めている。特に雑誌・新聞類には大原社研の欠号を埋めるものが少なくない。戦前の部は,『無産者新聞』『土地と自由』など約90タイトル。戦後は『農民運動』など機関紙誌・雑誌あわせて約30タイトルである。図書のほうは約600冊ほどで,和・洋ともにマルクス,エンゲルス,レーニンの著作及びその関係図書が大部分で,そのほかには共産主義運動,農民運動,部落問題といったものがみられる。

 e 林文庫 経済学者で戦前の大原社研所員であった林要氏旧蔵の雑誌・新聞等は,1974年ごろ氏から寄贈されたものである。雑誌は『インターナショナル』『我等』など40タイトル,新聞は『帝国大学新聞』『労働新聞』など約25タイトルである。この他『水曜会パンフレット』など40種類の小冊子が含まれている。

 f その他 このほか多くの方々から御寄贈頂いた。個人では,青木宗也,阿部勇,伊藤好道,宇野弘蔵,及川朝雄,大内兵衞,大原慧,岡田宗司,岡本唐貴,春日庄次郎,加藤勘十・シヅエ,上条貞夫,北原和夫,櫛田民蔵,久留間鮫造,桑島南海士,杉山元治郎,鈴木茂三郎・徹三,高瀬清,田中稔男,田沼肇,千葉成夫,東城守一,中林賢二郎,西田勝,延島治夫,藤林伸冶,前川正一,松沢俊昭,村田陽一,森戸辰男,守屋典郎,山川均・菊栄,山本巌,吉田秀夫,渡辺悦次,渡辺潜の諸氏。

 団体では,総評,同盟,全国金属,全日農,総評民間単産会議,炭労,産別会議,東芝労連,三菱労連,国労,建設一般全日自労,松川弁護団,国民救援会,自由法曹団,6・15事件国家賠償請求訴訟原告団,スモン対策会議,部落解放同盟,日本労働協会,雇用職業総合研究所,連合総研,そして労働省,都立労働研究所はじめ諸官庁など。

(北村芙美子・若杉隆志)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3)鈴木文庫

 鈴木茂三郎は,戦後いち早く日本社会党の結党準備に参加し,のち左派の指導者として書記長・委員長を歴任した。戦前も「労農派」の同人,労農無産協議会や日本無産党の書記長,あるいは日本経済研究所の所長として幅広く活動した鈴木は,1937年12月15日の人民戦線事件の検挙によりその一部は押収されたものの,戦前の日本社会運動に関する文献を多数所蔵していた。このうち無産政党資料の一部は,生前のうち日本近代文学館に寄贈されたが,なお多くが残され,1970年5月7日に死去したのち,子息の鈴木徹三氏(大原社研名誉研究員・法政大学名誉教授)により順次,当研究所に寄贈された。現在,目録を作成中である。

 なお鈴木文庫には,鈴木徹三氏が所蔵していた経済学関係などの文献も含まれており,厳密には「鈴木茂三郎・徹三文庫」というべきかもしれない。だが,混在してしまったとはいえ,旧蔵資料が二人のうちのいずれのものであるかは,発行年,タイトル,資料の性格,奥付に付された献辞などにより容易に判断できよう。

 鈴木文庫は,大きく図書(和書),逐次刊行物,原資料の三つに分けられる。洋書も何十点かあるが,多くはない。

 まず,戦前期の図書では,麻生健『無産政党はどう闘ったか』(1930年),田所輝明『無産政党十字街』(同),近藤栄蔵『プロレタリア雄弁学』(同),神近市子『現代婦人読本』(同)など,1930年代の無産政党・社会運動関係の文献や,昭和研究会の『農業改革大綱』(1940年),『日本経済編成試案』(同),小宮山利政『統制会と財閥』(1942年)などがある。戦前期の図書のかなりは日本近代文学館に寄贈され,当研究所で受け入れたものはそう多くはない。

 戦後期のものでは日本社会党の出版物,とくに出版部,教宣部(局),組織部,政務調査会,社会主義理論委員会,外交委員会など,党内の各機関が発行した図書・パンフレット類はほぼ完全にそろっている。とくに左派社会党が発行したパンフレット類は,他の学術機関に余りなく,現在では貴重な文献であろう。なお,図書は現在1351点を数え,未整理の段ボールも3箱ほど残っているので,最終的には千数百タイトルに達すると思われる。

 鈴木文庫で特筆されるのは,何といっても戦前・戦後初期における無産政党や社会運動に関する原資料であろう。

 まず,無産政党関係では日本大衆党,全国大衆党,全国労農大衆党,労農無産協議会,日本無産党など鈴木茂三郎が関係した各党の大会報告書,議案書,通達,備忘録などを中心に集められており,ほかに社会民衆党,新労農党,日本労農党のものも少なからずある。これらの原資料は,受け入れた状態(綴りや袋詰め)のまま配架されていて,1点ごとにデータ入力されているわけではない。また分類といっても,受け入れ順にデータ入力を行っているため,時期やテーマなどではまとまっていない。例えば,全国労農大衆党の場合,資料番号のNO.95は「全国労農大衆党プリント類」として登録され,同じくNO.124は「全国労農大衆党大会報告及議案」,NO.254は「全国労農大衆党」,NO.408は「全国労農大衆党特別委員会関係 1930・31年」(鈴木が主に起草した「対支出兵反対方針書」ほか)と不統一に登録されている。

 このほか,戦前の社会運動に関するものとして,東京俸給生活者同盟,労農無産協議会や日本無産党の選挙資料,鈴木自身の東京市会関係資料(選挙資料を含む),堺利彦関係資料,加藤勘十関係資料,日本経済研究所資料などがある。さらに,早大の先輩で,第1次共産党に入って以来昵懇の間柄にあった橋浦時雄の「日記」(一部は原文,1905~68年),大庭柯公や荒畑寒村夫妻からの書簡などもある。

 戦後の原資料では,とくに日本社会党の本部資料,左派社会党本部資料,アジア社会党大会資料,左右社会党の合同関係資料などは,現代史研究者にとって注目されよう。日本社会党政務調査部(会)資料,社会主義政治経済研究所,経済復興会議資料など,調査・研究機関の資料も目だって多い。鈴木茂三郎が,日本社会党きっての経済政策通だったためだと思われる。

 鈴木は,党政調会の顧問・会長を歴任し,社会党左派のシンクタンクであった社会主義政治経済研究所の所長や,経済復興会議の議長を務め,片山哲内閣期の衆議院予算委員長でもあった。片山・芦田内閣期においては,彼のもとに大内兵衞ら労農派系の経済学者が多数集まった。鈴木自身,「危機突破緊急対策要綱私案」(NO.718),「日本インフレーションの基本対策」(NO.729)など多くの日本経済の復興案について起草し,提言を試みている。鈴木文庫の戦後原資料は,片山・芦田内閣期における経済復興運動資料の宝庫といってよいだろう。

 逐次刊行物の場合,戦前期については『政治経済情勢』(日本経済研究所),『国際経済研究』(国際経済調査所),『社会大衆党調査部資料』,『世界経済恐慌月報』(木星社書院)などがあるが,点数としてそう多くはない。また,バックナンバーも揃っていない。

 原資料と同様に逐次刊行物で注目されるのは,占領期における日本社会党や左派社会党の機関紙である。前者については機関紙『社会新聞』(号外や臨時号を含む),党出版部の『社会週報』,それに左派社会党情宣部の『運動資料』,同教宣局の『情報通信』,農民部の『農民運動基礎資料』などがある。『社会週報』の場合,当研究所においては欠号が多かったが,鈴木文庫によりかなり補充することができた。ほかに,1955年に統一した後の日本社会党の各部(局)の機関紙についても,鈴木が統一後の最初の委員長であったこともあり,よくそろっている。

 鈴木文庫は,現在も整理中である。なお未整理の段ボール3箱があり,鈴木徹三氏宅より所蔵資料の搬出も完全に終わっていない。したがって,作成中の『鈴木文庫(和書)』や『鈴木文庫(資料類)』は仮目録である。また,鈴木文庫は公開を原則としているものの,資料の一部や書簡などに当分,非公開の扱いのものもある。閲覧に際しては,資料係か吉田に事前に連絡していただきたい。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2)高野文庫

 1968年3月,大島清著『高野岩三郎伝』の完成を機に,伝記編集費の残額を基金にして高野文庫を設置しよう,との意見が研究所関係者の間に高まり,その実現について各方面に協力を呼びかけた。その後,御遺族や関係者の方々から,高野の著書,論文,講義ノート,手紙類その他が集まった。このほか,日本統計研究所で所蔵していた旧高野蔵書約800冊(含雑誌)を受け入れ,また法政大学図書館の旧高野蔵書の一時貸与をうけ,当研究所の高野文庫(1,100冊)が発足した。

 図書内訳を紹介すると,洋書は約60%で,マルクス,エンゲルス,レーニンの著作及び関係図書が1位を占め,次に統計学,社会問題,人口問題となっている。この中には,1888年にロンドンで発行されたマルサスの“An essay on the principle of population”,古い年代では1854年にライプツィッヒで刊行のホルン著“Bevölkerungswissenschaftliche Studien aus Belgien”,また1925年にベルリンで刊行されたローザ・ルクセンブルク著“Einführung in die Nationalökonomie” などが含まれている。また,ボリュームの点でひときわ目立つ存在となっているのは,ライプツィッヒで刊行された“Handwörterbuch der Staatswissenschaften”全9巻(1923~29)である。

 和書構成は,人口問題と統計学で約70%を占めているが,統計書そのものよりも学術論文の方に比重が置かれている。そのなかには高野が一時嘱託となっていた内閣統計局の統計局長であった花房直三郎の統計書も数冊含まれている。国勢調査関係の古書としては,例えば横山雅男著『国勢調査の実行を望む』(1901年),高橋二郎著『各国参照国勢調査法』(1903年),柳沢保恵著『国勢調査と帝国議会』(1905年)などもある。日本の国勢調査第1回が1920年であるのと思いあわせると興味深い。なお,日本労働運動の創始者である兄・高野房太郎のサイン入り旧蔵書も,経済学を中心に10数冊ほど含まれている。

(北村芙美子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)エルツバッハー文庫

 パウル・エルツバッハー(Eltzbacher,Paul)から譲り受けた世界屈指の無政府主義文献のコレクション。エルツバッハーの蔵書の他,その依頼で各国の無政府主義者が収集した文献も含んでいる。エルツバッハーは1868年2月18日医者の子としてケルンに生れ,ライプチッヒなどで勉強の後,ハレ大学をへて1906年ベルリン商科大学教授となり,1928年10月26日ベルリンで死去した。

 著作としては『無政府主義論』(Der Anarchismus)が1900年に刊行されている(エルツバッハー文庫中E13-14。またフランス語訳が1902年に発行されているE13-15。邦訳は1921年,聚英閣の発行)。これは代表的な無政府主義者として彼が考える7人の学説を紹介したものである。しかし,無政府主義に関する著作としてはこれだけで,あとは『ボルシェヴィズムとドイツの未来』とか国際法に関するものなどである。文庫の目録は戦前の『大原社会問題研究所雑誌』の7巻2号~3号に掲載されている。また,『大原社会問題研究所所蔵目録 戦前の部』には,文庫も一般の図書と一緒に著者名順に配列されている。文庫の分類はエルツバッハー自身の分類によるもので,大原の整理もそれを踏襲している(括弧内はその分類番号)。

 最初に雑誌(E1)をまとめ,次に無政府主義の先駆者ゴドウィン(E2),シュティルナーとその弟子たち(E3),プルードン及びプルードン主義者(E4),英米の個人主義的無政府主義者(バーク,デブス,バーナード・ショウ,タッカーなど)(E5),集産主義的無政府主義者(バクーニン,ギョーム,ピサカーネなど)(E6),共産主義的無政府主義者(代表的な著者はクロポトキン,グレーヴ,ルクリュ,マラテスタ)(E7),トルストイ及びトルストイ主義者(E8),サンジカリスム(E9),無政府主義に近い著作者(たとえばここであがっているのはカーペンター,ゲルツェン,カンプフマイヤーなど)(E10),無政府主義の国際会議(無政府主義者が参加したものを含む)(E11),無政府主義者の犯罪や裁判に関するもの(シカゴのヘイマーケット事件に関するものなど)(E12),反無政府主義の著作(マルクスなど)(E13)となっている。

 ここで見られるように無政府主義というのはかなり広範な概念で,菜食主義の運動から黒手組のようなテロ組織(?),トルストイやドゥハボール(ロシヤの急進的なプロテスタントの一派)などまでが含まれている。

 全体として,パンフレットが多いことが目につく。無政府主義者の運動は小冊子の宣伝という手段をとることが多く,前記のようにエルツバッハー自身が無政府主義者に依頼して収集したこともあって,このような一般のルートでは入手しがたいものが含まれているのは貴重である。出身のドイツの文献が豊富であることも特徴のひとつである。半面,無政府主義の本場であるフランス,イタリア,スペインについてはやや弱いといえる。まとまった定期刊行物としては『レ・タン・ヌーヴォー』『フライハイト』『レヴォルテ』『フライエ・アルバイター』などがあげられる。

(是枝 洋)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(7) 原資料

 一般に原資料とは,チラシ,ビラ,声明書,通達,メモ,生原稿,会議録,報告書,名簿,写真,書簡などをいう。向坂文庫の場合,さらに団体の会報や月報(「講座」出版などに付されている『月報』などを含む),政党・労働組合支部のニュース,さらに一部の新聞や機関紙の号外,臨時号なども含む。現在なお整理・データ入力中であるが,そのメドもほぼ立ったので2000年度中に『向坂文庫目録・(原資料)』を刊行すべく準備中である。詳しくは同書をご覧になって頂きたい。

 向坂文庫の原資料は,Ⅰ「戦前資料」,Ⅱ「戦後資料」,Ⅲ「国労関係資料」の三つに分け,時系列で分類・整理をすすめている。Ⅲの「国労関係資料」は,本部・支部・単組のニュースや声明書などの資料が余りにも多いため,独立した扱いにした。まずⅠ「戦前資料」について紹介すると,堺利彦関係の資料,日本労農党,日本大衆党,社会大衆党,東京無産党など無産政党関係,日本農民組合,全国農民組合(主には総本部派)の資料が多い。この点,後述する鈴木文庫の鈴木茂三郎旧蔵資料と重複するものの,向坂文庫にしかない資料も多々あり,相補う形になっている。また労農芸術家連盟や左翼芸術家連盟の資料などもある。これらは当研究所にも所蔵されていないものであった。

 戦前の原資料で特筆されるのは,『社会党に関する調査』(1908年8月)である。これは1906年2月に日本で最初の社会主義政党として結成された日本社会党および役員の片山潜,堺利彦や幸徳秋水などの動静を探ったもので,堺利彦旧蔵のものである。また1920年12月結成の日本社会主義同盟の名簿もあり,これらはとくに貴重であろう。

 書簡も大量に収録されている。向坂逸郎には内外に多くの友人・同志・同僚・教え子がいた。堺利彦,山川均,荒畑寒村,さらに与謝野晶子の堺利彦宛て書簡,岩波茂雄,三木清らの書簡は,筆者自身,興味をもつ。しかし何といっても注目されるのは,ベルリンの古籍商シュトライザントから戦前に寄贈を受けたといわれるマルクスの娘や社会主義者たちの直筆の書簡であろう。書簡は全部で14通にのぼり,イェニー・マルクス,エリナ・マルクス,ラッサール,ベーベル,ベルンシュタイン,リープクネヒトなどからのものである。研究所では,これらの書簡も公開すべく準備をすすめている。

 戦後の原資料では日本社会党本部・支部資料,総評・炭労・国労などの労働組合資料,さらに向坂自身,その指導者として関係があった社会主義協会,労働大学,社会党を強化する会などの資料が断然,他を圧している。このうち日本社会党資料では,1951年10月における第2次分裂後の左派社会党全国大会関係資料と,55年10月の統一回復後における全国大会,府県本部資料などが主なものである。社会主義理論委員会,国民運動委員会など向坂が委員となった機関資料,さらに1948年11月に社会主義政党結成促進協議会として設立され,翌49年10月に社会主義労働党準備会と改称された,いわゆる「山川新党」に関する資料もある。後者については通説では,小堀甚二らが中心で,山川均や荒畑寒村は「山川新党」にあまり関係はないとされてきた。しかし,これらの資料を読むかぎり,かなりの程度関与していることがわかる。

 画像・現物資料では,無産者新聞社『無産者新聞』(1928年2月)の発刊案内などのポスターをはじめ,研究所では適当な名前がないので「現物」と呼んでいるが,三池炭鉱労組と主婦会から,1984年11月に向坂への病気見舞いとして贈呈された寄せ書きを行った布地(赤旗)などもあり,興味深い。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(6)逐次刊行物・和雑誌

 向坂文庫の和雑誌は年鑑・年報・通信類を除いて563タイトルとなっている。ちなみに協調会の和雑誌は453,洋雑誌は282タイトルである。一個人のコレクションとしては驚異的な数である。

 新聞と同様に,雑誌でも明治・大正期のものが“目玉”となっている。何よりも堺利彦旧蔵「大逆文庫」の雑誌が注目される。なぜか創刊号だけがないが,徳富蘇峰が民友社から発行した『国民之友』(1898年)や,堺が創刊した『家庭雑誌』(同),大橋佐平らの『太陽』(1895年),これも堺が創刊した『社会主義研究』(1906年)などがある。なお『家庭雑誌』には堺の号である「枯川」の丸印と「平民社蔵」という3cm四方の蔵書印が並んで押してあり,興味深い。『社会主義研究』には,各号の主要論文にアンダーラインや書き込みがかなりあり,堺自身のものか,向坂のものかはわからない。

 このほか特筆されるものとして,1888年5月に平民社から発行された時事評論・文芸誌の『社会燈』がある。ここでいう平民社とは堺や幸徳らが結成したそれではなく,自由党の星亨らが1884年に創刊した『自由燈』(のち『燈新聞』と改題)が廃刊したのち,それに批判的な同党左派の有志が大阪で設立したものである。『社会燈』は,時の黒田清隆内閣から激しい弾圧を受け,わずか1年3か月の間に『新社会燈』『第二社会燈』『第三社会燈』『日本社会燈』と改題を重ねた。向坂文庫には同じ平民社の『不夜城』などとともに,それぞれ発行された雑誌のバックナンバーが合本されてある。さらに,幸徳が片山潜らの「議会政策」派を批判する目的で創刊した『東京評論』(1900年),石川三四郎・安部磯雄らキリスト教社会主義運動の機関誌『新紀元』(1905年),板垣退助監修の『社会政策』(1910年)などもあげておこう。

 大正期では,大杉栄・荒畑寒村らが1912年に労働者向け文芸思想誌として創刊した『近代思想』(第1次),堺利彦創刊の社会主義思想の啓蒙誌『新社会』(1915年),大杉が『近代思想』から手を引いたのち伊藤野枝らと創刊した『文芸批評』(1918年)などがある。このうち『新社会』は,堺が1914年に創刊した文芸雑誌『へちまの花』を改題したもので,売文社から発行され,1920年1月の第50号まで続いた。向坂文庫の『新社会』は堺が愛蔵していたもので,『へちまの花』と合本され,巻ごとに「堺」の丸印と太字のペンで「堺用」の署名がなされている。

 なお『新社会』は当初,堺の個人経営で発行され,のち荒畑寒村・高畠素之・山川均らの協力を得て共同経営となった。しかし,編集方針をめぐって対立が生じ,高畠は1919年に身を引いて『国家社会主義』を創刊し,堺らは1920年2月に『新社会』を『新社会評論』と改めた。この『新社会評論』は,同年8月に日本社会主義同盟が結成されたのを機に『社会主義』と改め,同盟の機関誌となった。これらの雑誌は堺利彦旧蔵のものである。

 堺利彦・山川均・山崎今朝弥らが平民大学から発行した『社会主義研究』(1919年)も注目される。この『社会主義研究』は,他の社会主義グループに大きな影響を与え,田所輝明らが『前衛』(1922年)を,市川正一らが『無産階級』(同)を創刊した。これらの3誌は1922年7月に日本共産党が結成されたのを機に合併が図られ,1923年に新しく『赤旗』となった。この『赤旗』は第3号より『階級戦』と改題されたが,関東大震災後の社会主義運動に対する弾圧でわずか2号で廃刊を余儀なくされた。『赤旗』にしろ『階級戦』にしろ,向坂文庫のなかでも稀覯誌に入るものであろう。

 このほか大正期の珍しい雑誌として,新婦人協会『女性同盟』(1919年),山崎今朝弥主筆の『平民法律』(1920年),自由人連盟『自由人』(同),種蒔き社『種蒔く人』(1921年),ブルジョア文芸の撲滅を掲げて創刊した文芸誌『シムーン』(1923年)とその改題誌『熱風』などがある。『平民法律』は,無料の法律相談ハガキを綴じ込んで発行した雑誌として知られる。理由は不明だが,向坂文庫のそれには読者からの質問ハガキの束も一緒に綴じ込まれて保存されている。

 昭和戦前期では,向坂自身がそのメンバーであった「労農派」の雑誌が注目される。1926年に鈴木茂三郎らは「中間派左翼の結集」を標榜して『大衆』を創刊した。山川均らはこの『大衆』を吸収し,労農派の機関誌として1927年に『労農』を創刊した。『労農』は1932年に『前進』と改題されているが,向坂文庫には,日本共産党ないし「講座派」の立場に立つ『マルクス主義』(1924年),『マルクス主義の旗の下に』(1929年),『プロレタリア科学』(同),『経済評論』(1934年)や,福本和夫の個人雑誌『マルキシズムの旗の下に』(1926年)などを含め,日本資本主義論争に関係する雑誌はほとんど揃っている。欠号もない。

 労働組合の機関誌も多く,さしあたり,統一運動同盟の機関誌『労働者』(1926年),総連合の機関誌『組合総連合』(同,のち『労働運動』と改題),大杉栄らアナーキスト運動の系譜を引く第5次の『労働運動』(1927年),全協の機関誌『工場』(1930年)などをあげておこう。このうち『労働者』は当研究所でも欠号が多い雑誌であった。またプロレタリア科学研究所や産業労働調査所の機関誌をすべて集めていることも注目される。後者の機関誌『産業労働時報』(1925年)は合本されていて,その表紙には「産業労働調査所」の角印が押され,さらに「野坂参弐殿」との宛名が付されている。向坂がどのような経緯で入手したか謎であるが,主事が野坂参三であったことを考えると,合本されたものは野坂旧蔵のものか,あるいは産業労働調査所のオリジナルな雑誌であったことも考えられる。

 戦後期のものでは,占領期に創刊・復刊した雑誌を中心に339タイトルの雑誌が収集されている。中心になっているのは,日本社会党の『社会思潮』(1947年)や日本共産党の『前衛』(1946年),社会主義協会の『前進』(1947年)など政党・政派の雑誌であるが,各単産と単位労組の機関誌,さらには交通労働研究所の『交通労働』(1946年)や政治経済研究所の『政経月報』(1949年)など,調査研究機関の刊行物も多い。このほか大阪新聞社『新生日本』(1945年),真日本社『真日本』(1946年),政経春秋社『政経春秋』(同),創元社『青年文化』(同),農民社『農民』(同),協同書房『批判』(同)などがある。いずれも他ではなかなか見られないものである。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(5)逐次刊行物・和新聞

 逐次刊行物(新聞・雑誌・年鑑)に関しては『向坂文庫目録VI(逐次刊行物)』(1995年10月)が刊行されており,個々には同書を参照されたい。ちなみに収録点数は日本語のものが3393タイトル,外国語(ロシア語・中国語を含む)のものが593タイトルに及ぶ。ここでは日本語の逐次刊行物について紹介する。

 まず,機関紙ないし新聞であるが,とくに注目されるのは「大逆文庫」「堺」などの蔵書印が押されている明治・大正期の新聞であろう。1903(明治36)年10月,幸徳秋水・堺利彦らは平民社を結成し,翌11月に週刊『平民新聞』を創刊した。この週刊『平民新聞』は,日本最初の社会主義運動の機関紙で,非戦論の立場から日露戦争に反対し,このため政府の激しい弾圧を受け,1905年1月に第64号で廃刊となった。堺らはこの後,同年2月に加藤時次郎らの協力を得て週刊『直言』を発行し,『平民新聞』の後継紙として反戦・平和の論陣をはったが,これも3号で発禁となった。そして,この後同年11月に西川光二郎らが半月刊の『光』を創刊,同紙は翌1906年2月片山潜・堺らが結成した日本社会党の事実上の機関紙となっている。以上の3紙は,平民社の直系の新聞であった。

 さらに「大逆文庫」には,堺が1906年末に平民社を再興し,翌1907年1月に西川光二郎や石川三四郎らと発行した日刊『平民新聞』と,同年6月に堺と行動を共にした森近運平が大阪平民社から発行した半月刊紙『大阪平民新聞』(第11号より『日本平民新聞』と改題)もある。前者の『平民新聞』は,日本における社会主義実現のあり方について幸徳らの「直接行動論」と田添鉄二らの「議会政策論」が紙上で激しく論争したことで知られるが,『大阪平民新聞』は前者の立場を鮮明にした新聞であった。両紙とも製本されているものの,傷みがひどい。

 このうち日刊『平民新聞』の表紙裏には長方形の「大逆文庫」の朱印のほか,山川均や荒畑寒村の印も並んで押されている。なお『大阪平民新聞』の表紙には,いまにもちぎれそうな付箋が付けられていて,それには「何卒取り扱ひ方御注意願ひます」との堺のことわりと印が押されている。

 これら堺利彦旧蔵の新聞は,初期社会主義者たちが権力と闘いながらいのちがけで編集・発行し,保存してきたオリジナルな新聞で,日本社会主義の運動史上,まことに貴重な新聞である。これらの新聞は複写はできないが,見学はできるので希望者は資料係まで事前に申し出てほしい。このほか明治期の新聞としては,宮崎寅蔵(滔天)が孫文らの中国革命の事業に共鳴しその支持を旗印に創刊した『革命評論』(1906年)や,片山潜が「議会政策」派の機関紙として創刊した『社会評論』(1907年)などもある。

 大正期の新聞で注目されるのは,1914(大正3)年1月堺利彦が創刊した『へちまの花』(のち『新社会』と改題)や,同年10月大杉栄・荒畑寒村らが平民社の伝統を継承して創刊した月刊『平民新聞』である。1919年3月,岩出金次郎が荒畑の協力を得て創刊した月刊『日本労働新聞』などもある。これらも「大逆文庫」の新聞である。とくに月刊『平民新聞』は翌年3月まで6回発行されたが,第4号を除いて毎号発禁とされ,当研究所にも無いものであった。このほか労働組合関係では,印刷工組合信友会の『信友』(1916年),大杉栄・近藤憲二らの『労働運動』(第1次,1919年),全日本鉱夫総連合の『鉱山労働者』(1920年)や,生活社の『平民』(1918年),労働社の『労働者』(1921年),共産社の『労農新聞』(1923年)などがある。

 なお,『労働運動』はアナーキズム系組合の機関紙として発行され,1927年11月の第5次まで続いたが,向坂文庫には1924年1月の第4次までしか所蔵されていない。他方で,日農の『土地と自由』(1922年),難波英夫らの『ワシラノシンブン』(1924年),全国水平社の機関紙を継承した『水平新聞』(1927年)など農民運動・水平運動・消費組合運動の新聞や,『暗濤』(1922年),『太い鮮人』(同),『労働同盟』(1924年)など,在日朝鮮人団体の機関紙も収録されている。

 昭和戦前期の新聞は253タイトルに及ぶ。多くは社会運動団体の機関紙で,1925年3月政府が普選実施を表明して以降結党をみた無産政党の機関紙,例えば社会民衆党の『民衆新聞』(1926年),労働農民党の『労働農民新聞』(1927年),日本労農党の『日本労農新聞』(同)のほか,東京無産党の『無産大衆』(1930年),日本無産党の『日本無産新聞』(1937年)などもある。なお,『日本無産新聞』は当研究所にも無かったもので“幻の新聞”と呼ばれていた。『労働農民新聞』でも,1928年3月の第16号や同年12月の第26号の号外が新しく発見されている。

 昭和戦前期の新聞については,無産市民社『無産市民』(1929年),新築地劇団『月刊新築地劇団』(1936年),新聞文芸社『日本学芸新聞』(1937年)など,実に幅広く集めているものの,一部だけというのも多い。例えば,女性時代社『女性時代』第4号(1929年8月),純真社『農村と全人類』第8号(1932年1月),1935年10月に能勢克男・中井正一らが京都で発行した反ファシズム人民戦線『土曜日』第33号(1937年5月)などをあげておこう。偶然ではあるが,このうち『土曜日』の第33号は,1974年に三一書房が刊行した復刻版にも収録されていないものであった。

 戦後の新聞は,タイトル数だけで760を超す。全体の約70%である。内訳は労働組合機関紙220,社会運動団体機関紙209,政党・政派機関紙35,学生新聞107などが主なものであるが,詳しくは目録を見てほしい。

 なお,労働組合の機関紙では全国単産の中央機関紙のほとんどを収めており,とくに炭鉱協,炭連,炭労とその傘下の組合新聞が他を圧している。社会運動団体関係では,護憲,反戦,平和,救援,公害,婦人,部落会報,農民,消費組合,青年・学生,友好親善,アナーキズム,右翼,在日朝鮮人,領土返還,芸術文化などあらゆる領域のものを収録している。このうち当研究所に無かったものが78タイトルを数え,それらの中には民主人民連盟の機関紙『民主戦線』(山川均主筆)など稀覯紙も少なくない。また経済復興会議の機関紙『経済復興』も,向坂文庫の新聞を受け入れることで,バックナンバーを揃えることができた。詳しくは,拙稿「向坂文庫の戦後の和新聞」(『社会主義』第306号)を参照されたい。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(4)堺利彦旧蔵書と「大逆文庫」

 向坂文庫は,明治・大正・昭和戦前期における日本の社会・労働運動に関する文献の宝庫といってよい。なかでも注目されるのは,平民社の創設者・堺利彦の旧蔵書である。この堺旧蔵書は1933年(昭和8)1月23日に堺が死去したのち,山川均・荒畑寒村らの仲介で向坂の自宅に移され,1965(昭和40)年に川口武彦氏ら社会主義協会幹部の尽力で近藤真柄氏(堺利彦長女)より正式に買い受けたものである。

 堺利彦旧蔵書については,向坂自身,『読書は喜び』(前出)で言及している。川口武彦氏も「『向坂文庫目録』第1冊の出版・堺利彦文庫のことにふれて」と題して,雑誌『社会主義』第348号(1993年2月)で紹介している。

 この堺利彦旧蔵の文庫は,向坂自身,転居を重ね,また貸し出し・閲覧などによって分散・移動してしまい,現在では一括してまとまっていない。しかし堺旧蔵書には「T.Sakai」の署名や,「彦」「枯川」「堺」「堺利彦印」「堺利彦」などの所蔵印が押されており,容易に判定できる。

 堺利彦旧蔵書の中心は,洋書と,幸徳秋水・堺利彦ら平民社のメンバーをはじめ初期社会主義者が編集・発行した『平民新聞』など明治・大正期の新聞である。前者では『資本論』『価値・価格及び利潤』などマルクスの経済学関係著作の英訳本や,エンゲルス,レーニン,トロツキーらの著作,シンクレアの文学作品,評論などがある。和書では暁民会や水曜会のパンフレット類が目立つ程度で,数としてはそう多くない。ただ堺旧蔵書には堺自身の研究ノートや,1925年に片山潜が中国で執筆した未発表の原稿『在露三年』などもある。『在露三年』は,自伝『わが回想』(原本はモスクワのマルクス・レーニン主義研究所に所蔵されている)の事実上の続編で,堺が補正加筆を試みて保管していたものであった。

 さらに,堺利彦旧蔵書には「大逆文庫」も含まれている。1911年(明治44)1月,桂太郎内閣は幸徳秋水・大石誠之助ら社会主義者12人を明治天皇の暗殺を計画したという虚構の容疑で処刑した。いわゆる「大逆事件」である。堺は,幸徳らが処刑された後,彼らが持つ蔵書や新聞を譲り受け,時の権力への怒りと抗議の意を込めて「大逆文庫」と命名し,売文社において大事に保管していた。この「大逆文庫」の図書・新聞類には,縦4.2cm×横1.7cmの朱印で「大逆文庫」と捺印されている。この「大逆文庫」も洋書が中心で,和書は河上肇『社会主義評論』(1906年)などがあるが,多くはない。いずれにしても,堺利彦旧蔵書と「大逆文庫」は,日本における初期社会主義者の思想と運動の研究において第一級の史料といえよう。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3)和書

 向坂文庫の和書を特徴づけるのは,7万冊というその数の多さもさることながら,経済学・政治学・社会学・哲学・社会政策・社会主義・労働運動史はいうに及ばず,農業・工業・歴史学・科学技術・文学・宗教・芸術(美術・音楽)などあらゆる学問領域にわたって収録されていることである。芸術関係だけでも,島村抱月『芸術講話』(1917年),尾敬止『革命芸術体系』(1927年)など78冊に及び,このほかセットものの内外の美術全集や写真集も数十点を超す。

 だが向坂自身,かつて「日本語の本は日本資本主義発達史を中心に集められている」(『読書は喜び』新潮社,1977年)と語ったように,河上肇『近世経済思想史論』(1920年),本庄栄治郎『近世社会経済叢書』(全12巻,1926年)など近世経済史を中心に,明治維新・地場産業・経営(社史)・財閥形成など,日本資本主義発達史に関するものが多い。この点とも関連するが,向坂は,戦前の日本資本主義論争では地代論の分野で健筆をふるったが,その関係の文献も多く集められている。このほか向坂文庫には,同じ「労農派」のメンバーの著書,たとえば櫛田民蔵・猪俣津南雄・土屋喬雄・大内兵衞・稲村順三・大森義太郎・脇村義太郎・岡崎次郎などの全集や著作集,著書も,野呂栄太郎・山田盛太郎・平野義太郎ら「講座派」の論客たちの著書とあわせて,ほとんど集められている。

 もう一つ,向坂文庫の和書で特徴的なのは,社会主義の思想・運動・歴史に関するものが多いことである。向坂自身,編集委員として参加した世界で最初の『マルクス・エンゲルス全集』(改造社版,1928~32年)から大月書店版の『レーニン全集』(1969年)にいたるまで,マルクス,エンゲルス,レーニン,スターリン,ブハーリン,カウツキーなどマルクス主義者の全集,著作集,著書はほとんど揃っている。また『共産党宣言』だけで8社,『剰余価値学説史』は5社,『国家と革命』も5社の版のものがあり,マルクス主義の翻訳文献について意識的に集めたことがうかがわれる。

 これら翻訳文献と並び,明治期の民権論者や日本の社会主義者の著書も多い。明治期では,大井憲太郎『仏国政典』(1873年),中江兆民『三酔人経綸問答』(1887年),幸徳秋水の『廿世紀の怪物 帝国主義』(1901年),『社会主義神髄』(1903年),『平民主義』や,木下尚江の処女作で反戦小説の先駆となった『火の柱』(1904年),山口孤剣『社会主義と婦人』(1905年)などがある。

 大正・昭和戦前期については,事例的に紹介するのも困難なほどの冊数である。さしあたり河上肇『貧乏物語』(1917年),山川均『社会主義の立場から』(1919年),大杉栄『獄中記』(1920年)などの初版本をあげておこう。付言すれば,幸徳秋水,堺利彦,河上肇,山川均,大杉栄,伊藤野枝,荒畑寒村,鈴木茂三郎ら社会主義者の著書,伝記,回想記はほとんど揃っている。

 このほか,社会問題や労働運動に関する図書も豊富で,横山源之助『日本之下層社会』(1899年),農商務省『職工事情』(1903年),同『諸工業職工事情』(1936年),金子喜一『海外より見たる社会問題』(1907年),八浜徳三郎『下層社会研究』(1920年),細井和喜蔵『女工哀史』(1925年),山川亮蔵『下層民』(1936年)などがある。いずれも初版本である。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2)洋書と洋新聞・雑誌

 向坂文庫の最大の特徴は洋書である。洋書は約1万タイトル,洋新聞・洋雑誌は593タイトルに及んでいる。研究所では寄贈を受けた後7年余の歳月をかけて整理・分類を行い,補修なども試みて,1994年3月に『向坂文庫目録Ⅲ(外国語図書)』を刊行した。また1995年10月に『向坂文庫目録Ⅳ(逐次刊行物)』を刊行し,洋新聞と洋雑誌のタイトルを収めた。向坂文庫の個々の洋書および洋新聞・雑誌について,詳しくはこれらの目録をご覧になって頂きたい。

 さて,洋書は,独,英,旧ソ連,米,中,ロシアなど各国にわたっていて,そのジャンルも和書と同様に経済学,政治学,哲学,社会思想,歴史学,社会学,文学とじつに幅広い。とはいえ,その大部分はドイツ語の文献である。

 このドイツ語の文献で何よりも注目されるのは,向坂が1922年~24年のドイツ留学中にベルリンの古書籍商フーゴ・シュトライザントの店から購入したマルクス主義関係の文献であろう。向坂は留学中,二日とおかずシュトライザントの店に通い,第1次世界大戦後の猛烈なインフレの中,「戦勝国」日本の通貨の力もあって,マルクス,エンゲルス,レーニンの著書を中心に,ルーゲ,ラッサール,プルードン,カウツキー,ヒルファーディング,ローザ・ルクセンブルク,プレハーノフ,メーリング,ベーベル,リープクネヒト親子など革命家の文献を購入した。このとき大原社研の森戸辰男研究員もドイツに留学中で,研究所のため社会主義文献を買い求めていたのである。向坂はこれ以来,60数年にわたってマルクス主義文献を系統的に収集してきた。

 なお,二村一夫氏の調査によれば,洋書はドイツ語文献が全体の90%を占め,中でもマルクス主義を中心とした社会科学書が5807冊でもっとも多い。次いで歴史書が1966冊,哲学宗教書が843冊,文学書561冊となっている。著者別で見た場合,マルクスの著書(エンゲルスとの共著も含む)が397冊と一番多く,次いでレーニンの277冊である。なお,エンゲルスの著書は99冊,カウツキー93冊,スターリン72冊となっている。詳しくは二村前掲稿を参照されたい。

 洋書の中で文句なしに稀覯書としてあげられるのは,マルクス自身のあの独特な筆致で欄外に書き込みを行っている『資本論』第1巻の初版本と,ダーウィン著『種の起源』と同じ1859年に発行され,世界に三冊しかない『経済学批判』の初版本であろう。このうち『資本論』初版本は,じつは当研究所にもマルクスが友人のクーゲルマン博士に献呈した世界で唯一のサイン入りのものがある。しかしマルクスの書き込みがある『資本論』は他になく,まことに貴重なものである。

 向坂文庫には,このマルクスと生涯行動を共にした,エンゲルスの著作のほとんどが揃っている。1928(昭和3)年6月,世界で最初に刊行をみた『マルクス・エンゲルス全集』の底本となった諸文献は,向坂が自ら集めたものであった。ついでに紹介すると,向坂文庫にはマルクスの『資本論』とエンゲルスの『共産党宣言』など主要文献に関しては,ドイツ語はもちろん,英,仏,露,中の各国語版も揃っている。

 洋書は19~20世紀の文献が中心である。だが18世紀に出版された文献も,例えばズュースミルヒの『神の秩序』(1741年)など,6冊ほどある。19世紀中に発行されたものは全部で646冊ほどあるが,編集者のデナーがマルクスを高く評価し,マルクス自身多くの項目の執筆を担当した辞典『ニューアメリカン・エンサイクロペディア』は,稀覯書の部類に入るだろう。

 社会主義政党関係文献では,ドイツ社会民主党とドイツ共産党の出版物が多く,大会記録,議事録などがある。国際社会主義運動でも,1864年に結成された第一インターナショナルの規約,同総務局の『議事録』(英語版4冊)をはじめ,第二,第三インターナショナル関係のものも多い。当研究所にも,ドイツ社会民主党関係で150冊,共産党関係で490冊,さらに第一,第二インター関係で90冊,コミンテルン関係で170冊余の文献があるが,これに向坂文庫の関連文献が加わった結果,当研究所は,大内力氏の言葉を借りれば,「社会主義文献の世界的宝庫」となっているのである。

 20世紀に入ってからの文献では,第二インターナショナルを理論的に指導したカウツキーの著書が『プロレタリアートの独裁』(1918年)をはじめ93冊ほどあり,さらにレーニン,クロポトキン,トロッキー,プレハーノフ,バクーニン,スターリンなどロシア革命の舞台に登場する人物や,ロシア革命史に関係する文献も多い。このほか,向坂文庫には,1789年のフランス革命と1871年のパリ・コミューンを中心とするフランス近代史や社会思想に関する文献も少なくない。

 社会主義以外の文献をあげると,経済学関係ではスミス,マルサス,リカード,ミルらイギリス古典学派の文献(和書でもほぼすべての著書がある)や,ドイツ歴史学派のリスト,ワグナー,ゾンバルトらの文献も多い。哲学・思想関係では,イギリス自由主義者のロックに関する文献もあるが,カントやヘーゲルなどのドイツ観念論哲学やディドロ,ヴォルテール,グランベールなどフランス啓蒙主義者のものも目立つ。

 洋新聞についても紹介しておこう。向坂文庫の洋新聞は,和新聞とくらべてタイトルとしては少ないが,稀覯紙ばかりである。洋新聞は洋書と同様に,ドイツ関係が中心である。また時期的に見た場合,1910~20年代の新聞が中心となっている。なお,稀覯紙のうち19世紀の新聞については,1843年にルーゲがマルクスの協力のもとにヘーゲル左派の機関紙として創刊した『独仏年誌』,1848年ドイツ3月革命期にケルンで発刊した『新ライン新聞』,1876年に発刊されたドイツ社会民主党機関紙『フォールヴェルツ』(『前進』),ビスマルクのドイツ社会民主党弾圧後,エンゲルスが亡命中のスイスとロンドンで発行した非合法新聞『ゾツィアルデモクラート』(1881年)などを例示的にあげておこう。
 洋雑誌についても貴重なものが多い。一例として,カウツキーが編集にあたったドイツ社会民主党機関誌『ノイエ・ツァイト』(1883年),ドイツ共産党機関誌『インテルナツィオナーレ』(1915年)はじめ,ルーゲらヘーゲル左派の機関誌『ドイツ学問芸術のためのハレ年報』(のち『ドイツ年報』と改題),さらに『ニューロシア』(1922年),『レーバーヘラルド』(1934年)などをあげておこう。これらの雑誌も,他ではなかなか見られないものである。

(吉田健二)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)向坂逸郎とその蔵書

 戦前は「労農派」の論客として日本資本主義の分析に健筆をふるい,戦後は社会主義協会の代表として日本における社会主義の理論研究と実践に大きな足跡を残した向坂逸郎は,愛書家としても有名で,生涯を通じて膨大な図書・資料を集めた。ちなみにその蔵書は雑誌やパンフレット類を含めて7万冊にたっし,うち日本語図書だけで2万1390冊,洋書は1万冊を超す。また逐次刊行物のうち,新聞と雑誌だけで日本語のものが3393タイトル,外国語のものが593タイトルとなっている。このほか,戦前日本の無産政党資料や戦後の日本社会党資料・労働組合資料などかなりの量の原資料がある。いずれにしても,一個人の蔵書としては他に例のないものだろう。

 これら向坂逸郎の蔵書・資料は,1985(昭和60)年1月22日,氏が87歳で亡くなられたのち,同年5月,ゆき夫人から一般公開を条件に寄贈された。当研究所では,これを「向坂文庫」として受け入れ,1986年4月以来,特別プロジェクトを組んで整理・分類作業に努め,これまで『向坂文庫目録Ⅰ(日本語図書)』(1992年),『向坂文庫目録Ⅱ(日本語図書索引)』(1993年),『向坂文庫目録Ⅲ(外国語図書)』(1994年),『向坂文庫目録Ⅳ(逐次刊行物)』(1995年)の4冊を発行し,閲覧者の便宜をはかってきた。現在は原資料についてのデータ入力を進めており,2000年中に最終刊の『向坂文庫目録Ⅴ(原資料)』を刊行する予定である。

 なお,向坂文庫については,筆者は先に「向坂文庫の所蔵図書・資料」と題する一文を『月刊社会党』第402号(1989年5月)に発表しており,二村一夫氏も「『向坂文庫』について」と題する詳細な紹介を,雑誌『法政』第404号(1990年3月)で発表されている。関心のある方は併せてお読み頂きたい。

(吉田健二)

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(4)洋書

 大原社会問題研究所が協調会文庫の図書を管理するようになったのは,1973年に社会労働問題研究センターが発足してからである。協調会文庫の洋書は単行本とパンフレットとに区分される。単行本は,約8,600冊,パンフレットは約6,600冊が所蔵されている。

 協調会文庫は,社会問題,労働問題,経済学を中心とする特殊な分類方式を採っている。この分類については,不統一や疑問点もあるが,協調会が当時どの分野に重点を置いて図書を収集しようとしたかをうかがい知ることができ,それ自体として興味深いものである。蔵書の範囲は,社会・労働問題が中心であるが,政治学,社会学,歴史などの分野にも及んでいる。蔵書数は,筆者の調査によれば,社会思想1,073冊,労働問題1,963冊,社会問題741冊,経済2,345冊,法学300冊,政治学667冊,哲学142冊,宗教47冊,心理学117冊,教育250冊,社会学239冊,歴史312冊などとなっている。

 洋雑誌については,『法政大学逐次刊行物目録(昭和50年3月末日現在)』,単行書については『協調会図書・資料文庫蔵書目録』を利用して内容を把握することができる。

 『協調会図書・資料文庫蔵書目録』は,手書き(筆記体)によるもので,〈洋書之部〉は4分冊になっている。この目録を利用するためには,まず,協調会文庫洋書の分類表を参照した方がよいであろう。この分類表は,『協調会文庫目録(和書の部)』のはしがきに掲載されているが,この分類表によって協調会文庫洋書の構成全体を見渡すことができる。

 図書とパンフレットにはこの分類の中で一連番号を付したラベルが貼ってあり,その順序で配架されている。図書担当(若杉隆志氏)の話では,1999年現在,この配架記号と図書の書誌データとを統合させる作業を続けており,まもなく終える,その後文献データベースに統合する,とのことである。

 蔵書のなかには,シャルル・アンドレール『ドイツにおける国家社会主義の起源』,エドガー・ミローの『社会主義への歩み』などもある。定期刊行物という点では,労働組合の分類などの中に,TUCやCGTの大会議事録も若干含まれている。また,国際労連(アムステルダム・インター)関係の資料もある。

 また,単行本については,協調会当時作成されたカードが残されている。ただし,このカードに記された番号は本の配架の順序とは無関係であり,カードの番号によって直接,本を請求することはできない。

 パンフレットについては,協調会による分類はなされていない。どのようなものがあるかを知るためには,目録の〈洋パンフレット之部〉(3分冊)を利用する。これも手書きである。この目録については,分野別の分類がなされていないため,全体の構成を見渡すことはできない。ただし,パンフレットの場合には,この目録の順に配架されているので,これによって図書を請求することができる。パンフレットの特徴として,目につくのは,アメリカ労働省,イギリス労働省,ILOなどの公的機関で出版されたものが多いことである。国別には,アメリカ,イギリス,ドイツ,フランス,イタリア,オランダなどで発行されたものが大多数を占める。パンフレットのなかには,『産業国有化』『ファシズムとは何か』『CGT経済社会革新プラン』などCGT関係のものも少なくない。

 出版された時期という点では,単行本・パンフレットともに,19世紀に発行されたものは若干存在するが,全体としてみると1910年代後半以降のものが多く,古本として収集されたものはそれほど多くはないようである。

(佐伯哲朗)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3)和雑誌

 『協調会文庫目録』(和雑誌の部)に「雑誌」篇がある。そこには,和雑誌のみ424タイトルが載っている。『法政大学逐次刊行物目録』には,単行本として扱われている定期(逐次)刊行物も載っている。他に,目録カードが別置されている。雑誌(協調会文庫)の分類は,主題別ではなくアルファベット順になっているため,424タイトルある和雑誌を主題別に何タイトルあるか,分けて述べることはできない。全体は,わりに幅広い分野にわたるが,政治,経済,社会科学一般がやはり主である。宗教,歴史,自然科学,技術,芸術,文学は希薄である。法大図書館,大原社研の所蔵を上回るのは,国際,外交,特に旧植民地関係や,経営,産業,労務管理関係,また業界報等である。これはもちろん,(財)協調会設立の1919年頃から,財団が解散する1946年頃までである。

 以下,参考までに,大原社研,法大図書館に所蔵していないものなどを挙げておく。総合雑誌で,まず目をひくのは,いまは完全復刻されているが,『国民之友』の原本を,創刊直後の1889年から廃刊直前の1896年まで,多少欠号はあるがほとんど所蔵していることであろう。また,総合雑誌ではないが,戦前の『唯物論研究』の原本も1号(1932年)から63号(1938年)まで,完全に所蔵している。

 国際・国外,大陸関係をみると,鈴木文治等の内外社会問題研究所『内外社会問題調査資料』(後『内外労働週報』)は1(1928年)~603(1944年)までを,調査資料協会の『内外調査資料』は1(1929年)~8(1936年)までをほぼ完全に所蔵している。『支那』『支那時報』『台湾時報』『東亜経済月報』『東亜旬刊』『蒙古』,その他,中国,台湾,満州,朝鮮に関わるものがかなり豊富にある。そのなかには,満州鉱工技術員協会の『鉱工満州』,浜江省農事合作社補導委員会の『農事合作社報』という,個別報等も見受けられる。

 経営・産業方面では,大阪工業会の『工業』が1号(1926年)から197号(1942年)までほとんど揃っているのが目をひく。日東社の『工場パンフレット』(前身『経営パンフレット』)が100号(1923年)から1406号(1934年)まで,『マネージメント』が2巻(1925年)から17巻(1940年)まで,他に,月刊『帝国農会報』10巻(1920年)~32巻(1942年),月刊『農村工業』1巻(1934年)~10巻(1943年)等がある。社会・労働運動関係は,大原社研に比べて少ない。以下のものが大原社研の雑誌を補完している。

 堺利彦の売文社発行『新社会』は,2巻1号(1915年9月)から3巻11号(1917年7月)まである。これは,大原社研にもない。大鐙閣発行の『解放』2巻(1920年)~5巻(1923年),虚無思想研究会の『虚無思想研究』(後『虚無思想』),全日本無産者芸術連盟『戦旗』1巻(1928年)~4巻(1931年),白揚社『マルクス主義の旗の下に』2号(1930年)~25号(1933年)。

 社会主義出版所(平民大学)『社会主義』1(1920年)~9(1921年),プロレタリア科学研究所『プロレタリア資料月報』1~7(1931年)は完全にそろっている。また,協調会発行の月刊『協調』1(1937年)~16(1938年),月刊『労働雑誌人と人』1(1921年)~8(1928年)等もある。他に,救済事業研究会事務所『救済研究』1918~19年,中央社会事業協会『社会事業彙報』1935~39年,大阪社会事業連盟『社会事業研究』1931~42年,中欧融和事業協会『融和事業研究』1931~40年,産業労働調査所『産業労働時報』1929~1933年,労働科学研究所『労働科学』1924~1943年,労働経済社『労働経済』1930~1935年,等々がある。最後に,宇野利右衛門の工業教育会(大阪,1909~1934年)が出していた『職工問題資料』をはじめとする幾種かの逐次刊行物について紹介しておかねばならぬだろう。それは大正期から昭和初期にかけての,労働問題に関する第一級の資料である。その膨大な資料は,いまはほとんど散逸している。それをこれほど多量に持っている機関はどこにもないはずである。

 宇野利右衛門(1875~1934年)が設立した工業教育会(宇野の死後解散)が刊行した資料は厖大である。最も多量な『職工問題資料』(パンフレット)はAからGにわかれ,月3回ないし1回発行され,全部で2,255冊に達するといわれる。一部は,間宏氏,杉原薫氏等の手によってリスト化されているが,なお全貌はあきらかでない。協調会文庫は,そのうち1,823冊を所蔵しており,全体の80%をカバーしている。

(立花雄一)

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(2)和書

 協調会文庫の和書は,約2万3,500冊である。それは,日本十進分類表による分類にしたがえば,総記からはじまり,ほとんどの領域にまたがっている。このうち,蔵書として分量が多く内容も充実しているのは,社会科学部門,社会・労働問題および産業に関する部門である。

 a 社会科学部門  まず社会科学部門は,協調会文庫の和書の全体の4割近くを占めている。その中でも分類上,経済,財政,統計に関する図書が最も多い。社会科学一般では,改造社版のマルクス・エンゲルス全集をはじめとして,とくに社会主義・共産主義思想や運動に関する図書が多い。また,旧ソ連に関する調査研究書も目につく。たとえば,南満州鉄道株式会社編『労農露国研究叢書』全6巻(1925~26年)などが,その例である。

 社会科学部門のうち,とくに「経済」は,経済学,経済事情,経済政策,人口,移植民,企業,経営,消費組合,経営(労務)管理,会計,貨幣,物価,恐慌,金融,銀行,保険といった「目」にまで分類されるほど所蔵量が多い。

 まず,「経済学」であるが,翻訳・紹介を含む経済理論,経済(学説)史などが中心である。たとえば,高畠素之の『資本論』全訳や河上肇・宮川實訳『資本論』第1巻上冊(1931年),高橋誠一郎『重商主義経済説研究』(1932年),住谷悦治『日本経済学史の一齣』(1934年)などが挙げられる。

 「経営(労務)管理」について見ると,人事・労務管理一般の図書のほか,職工訓練や職長養成のあり方などにふれた実務書もある。また大内経雄『職長制度』(1949年)など,戦後のものも若干ながら所蔵されている。いずれにせよ,「経済」の図書の収集範囲は多岐にわたっている。その中には,各国とくに先進資本主義諸国の経済事情に関するもの,植民地経済や戦時経済・統制に関するものも多く含まれている。

 さらに財政,統計書も多い。「財政」では,明治財政史編纂会『明治財政史』全15巻(1926~28年),大蔵省編纂,大内兵衞・土屋喬校による『明治前期財政経済史料集成』全21巻(1931~36年)など,きわめて大部なものもある。統計書では,『日本帝国統計年鑑』が第1回の1882(明治15)年から第58回の1939(昭和14)年まで,『国勢調査』も1920(大正9)年から1935(昭和10)年まで,それぞれ揃っている。さらに,東京市や各県統計書など地方統計もよく集められている。

 s 社会・労働問題  社会・労働問題に分類される和書も社会科学についで多く,和書全体の4分の1近くに達する。とりわけ,社会政策,社会保障,生活・消費者問題,労働経済,労働問題が中心であるが,なかでも労働経済,労働問題に関する蔵書が最も多い。分類表の「目」の内容を挙げると,労働政策,労働法,雇用,失業,労働者保護,婦人年少労働,賃金,労働条件,労使関係,労使協調,労働運動,労働組合,労働者教育,各種の労働者,労働科学などにまたがっている。

 労働問題,労働運動に関する図書のうち,たとえば,野田律太『労働運動実戦記』(1936年),協調会『本邦労働運動調査報告』全7冊(1922~24年),富呂波巌太『再建後の左翼労働組合運動』(1931年)などは,今日では入手困難なものである。

 また,社会・労働問題の中には,中央官庁や地方などによる労働者実態や労働諸条件に関する調査報告,都市の貧困者に関する実態調査報告,社会事業に関する調査などが,実によく集められている。すでに復刻も出されているが,農商務省『職工事情』(1903年)の原本も所蔵されている。同じく農商務省『工場監督年報』も,1916(大正5)年の第1回を除いて揃っている。また,『労働統計実地報告書』の各府県版,協調会自身の行った調査パンフレットなども貴重である。

 全体として,大正中期以降,すなわち第一次大戦後の雇用・失業実態,職業紹介や労働者の状態,都市生活者,労働実態などを知る上で,きわめて有益,貴重な蔵書となっている。順不同で例を挙げると,大阪市社会部『工場労働雇傭関係』(1923年),東京市社会局『浮浪者及び残食物に関する調査』(1923年),同『内職に関する調査』(1933年),失業問題研究所『失業問題研究叢書』全4冊(解放社,1930年),失業労働者同盟『失業問題叢書』全4冊(1927~30年)などである。

 また,社会問題に関する図書の一部として,婦人関係の図書も多いことが指摘できる。特に,大正中期の「母性保護論争」に関連して,平塚らいてう『婦人と子供の権利』(1919年),山川菊栄『現代生活と婦人』(1919年)などが所蔵されている。

 d 産業問題  産業に関する図書も多く,和書全体の2割を占める。すなわち工鉱業,建築,農(林水産)業,農業経済,商業,交通運輸,通信など,あらゆる産業分野に及んでいる。特に工鉱業,農業に関するものが多い。また,産業実態に関する調査研究書が,官庁や会社,個人のものなどきわめて丹念かつ系統的に集められている。たとえば,滝本誠一・向井鹿松『日本産業史料大系』全12巻(1926~27年),日本工学会・啓明会共著『明治工業史』全10巻(1928~31年)などは,大部なものである。また,八幡製鉄所のパンフレット『製鉄所資料』全3冊(1927~32年)は,職工に関する資料として有益である。農業,農民,農家経済についての調査なども,きわめて多い。特に,協調会農村課による諸調査が,1926年から1935年頃にかけて行われており,重要な資料である。そうした産業に関する図書は,戦前の産業研究にとって今日でも有益なものが多い。

(早川征一郎)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)構成と特色

 大原研究所創立と同年の1919(大正8)年に,政府と財界の出資により設立された財団法人協調会は,その事業の一環として図書館を設け,内外の図書・雑誌,パンフレットなどを収集した。この「協調会文庫」の全体は,和書,和雑誌,洋書,洋パンフレット,洋雑誌によって構成されている。図書などの収集の範囲は,きわめて広い。時期的には,第一次大戦後から第二次大戦における日本の敗北までが中心である。

 大原研究所は,大阪から東京への移転にあたり,大阪府に約8万冊を売却し,また1945年5月の東京大空襲により,多くの図書・資料を焼失したため,戦前から残された図書(和・洋書)は約6,000冊にすぎない。協調会文庫は,その点で大原研究所の図書の空白部分をよくカバーするものとなっている。それだけに,戦前の貴重書は実に多くあり,とても紹介しきれるものではない。また,大原研究所の場合,労働組合,農民組合,無産政党など民間サイドからの資料を中心に蔵書構成が組み立てられているのに対し,官側に近い立場から収集された文献からなる協調会文庫とは,同じ社会・労働問題を扱っていても相互に補い合う関係にある。

 この協調会文庫の内訳は,ざっと次のとおりである。和書2万3,500冊,和雑誌453タイトル・4,400冊,洋書8,600冊,洋パンフレット6,600冊,洋雑誌282タイトル・4,800冊。以下,この協調会文庫のうち,和書,和雑誌,洋書について,紹介することにしよう。

(早川征一郎)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(6)サイン入り図書

 著者のサイン入りの図書は,1880年以前の刊行物を対象にした目録のなかに詳細に記述があるのでそれをたよりに拾ってみると約10冊ある。他に所有者のサインのあるものなどが20冊ばかりある。このなかでいくつかの図書について紹介してみよう。

 この中でもっとも有名なのは,いうまでもなくマルクスが友人のクーゲルマンにあてたサインのある『資本論』である。この本をめぐる詳細な解説は『資料室報』第204,206号に「大原研究所所蔵の資本論初版本とクーゲルマン文庫,ハースバハ文庫など(上下)」(宇佐美誠次郎)にある。それによれば,世界にある『資本論』の初版は100冊にも達しないが,その中でマルクスの署名のあるのは現存するものでは研究所所蔵のものしかない由であり,まことに貴重なものである。

 また,この他にマルクスの署名のあるのは「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」,エンゲルスの署名のあるのは『フランスにおける階級闘争』と『「フォルクスシュタート」からの国際問題』で,いずれもエドゥアール・ヴァイヤンに贈られている。ヴァイヤンはブランキストで1871年のパリコミューンに参加して議員となったが,その敗北後ロンドンに亡命し,第1インタナショナルの評議員となり,マルクス,エルゲルスと親交があった。

 クロポトキンのウィリアム・モリス宛ての献呈本もある。ケルムスコット印刷所の設立者として知られているモリスは社会民主連盟の執行部の一員でもあり,ハインドマンとともに『社会主義早わかり』を書いたこともあるが,ロシアから亡命してきたアナーキストのクロポトキンとも交際があった。

 ロバート・オーエンが献呈しているジョン・ウォーカーは彼のニューラナークの経営に加わった大金持で,マーガレット・コールによると「ニューラナークの会社を買占める2倍以上の十分な遺産を所有し,しかもそれに気付かないような男」であった。マルクスの娘のエレナもサインを残している。『資本論』の4版である。

 話題によくのぼる図書のなかにメアリ・ウルストンクラフトの『女権擁護論』がある。この本の見返しにアシャーストのジョルジュ・サンドヘの献呈のサインがある。さきにあげた目録ではこの贈呈の日付を1817年10月8日としていたので,かのジョルジュ・サンドにしては若すぎる上,彼女がこの筆名を使い出したのは1835年の作品からであるため疑問視されていた。アシャーストはイギリス人で,ジョルジュ・サンドの小説を1847年に翻訳しており,この時に交際があったことは明らかで,このサインを見直すと日付は1847年とよみとることができ,謎は解決した。アシャーストの詳細な経歴は不明であり,このときにだけ彼女の本を翻訳しているのも面白い。それにしても,ジョルジュ・サンドに贈られた本がどうして大原にたどり着いたのか,ちょっと興味のあることである。

 つぎに,1995年宇野家から寄贈された“Das Kapital. Bd. 1, Buch 1. 1867 ”(Marx, K.) には I. Takano. (高野岩三郎) 23, Ⅲ,1927. Wien のサインと Arbeiter Buchhandlung 購入 Schilling 120とも書かれている。宇野弘蔵の捺印が押されていることから,高野岩三郎氏が購入し,のちに宇野弘蔵氏に贈呈したのではないかと推察される。

(是枝洋・小島英恵・上田洋子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(5)経済学関係洋書

 戦後の大原社研の活動の中心は労働問題に移行し、経済学の古典文献の収集は戦前のものが中心である。しかし、マルクス以前の経済学の古典を中心に良いものが残されている。1981年には特別の予算をとって17世紀から19世紀を中心とする経済学の古典を購入したが、この中には重商主義、重農主義、古典派経済学などの貴重書が含まれていた。

 

 重商主義関連では、ダヴェナント(Charles Davenant, 1656~1714年)の『戦費調達論』の初版(1695年)、チャイルド(Josiah Child, 1630~1699年)の『新交易論』第4版、バーボン(Nicholas Barbon, 1640(37?)~1698年)の『貨幣軽鋳論』初版(1696年)など、自由貿易論の先駆者達の著作がある。

 

 重農主義の著作では、ケネー(François Quesnay, 1694~1774年)の全集、その弟子ヴィクトール・リケッティ・ド・ミラボー(大ミラボー)(Victor Riquetti de Mirabeau, 1715~1789年)の主著『人間の友』(1758~60年)、その次男でフランス革命期の立憲君主制論者オノーレ・ミラボー(Honoré-Gariel Victor Riquetti Comte de Mirabeau, 1749~1791年)の書簡集、ケネーの友人で弟子でもあり、財務総監テュルゴーの補佐役でもあったデュポン・ド・ヌムール(Pierre Samuel du Pont de Nemours, 1739~1817年)の財務問題についての報告書を所蔵している。

 

 古典派については、部数は少ないが貴重な著書が含まれている。スミス(Adam Smith, 1723~1790年)の『国富論』の初版(1776年)及び第2版、『道徳情操論』1790年版、マンデヴィル(Bernard de Mandeville, 1670~1733年)『蜂の寓話』(1733年版)、マルサス(Thomas Robert Malthus, 1766~1834年)『人口論』初版(1798年)、『穀物法及び穀物価格騰落の我国農業及び一般的富に及ぼす諸効果に関する諸考察』第3版(1815年)、リカードウ(David Ricardo, 1772~1823年)『ビュイヨン会議報告に対するボーザンケット氏の所見への回答』(1811年)や『経済学及び課税の原理』第3版(1821年)、ジェームズ・ミル(James Mill, 1773~1836年)の『英領インド史』初版(1817年)、その子のジョン・ステュアート・ミル(John Stuart Mill, 1806~1873年)の『自由論』初版(1859年)、『経済学原理』1871年版等である。

 

 研究所の戦時中の業績である『統計学古典選集』の原本も貴重書が多い。稀覯書中の稀覯書で、世界に3冊とないといわれるジュースミルヒ(Johann Peter Süßmilch, 1707~1767年)『神の秩序』初版(1741年)(他に第2版も所蔵しており、向坂文庫には第3版がある)、グラント(John Graunt, 1620~1674年)『死亡表に関する自然的及び政治的諸考察』第4刷(1665年)(他に1676年の第5版も所蔵している)、ペティ(William Petty, 1623~1687年)『政治算術五論』初版(1687年)などである。

 

 近代経済学については比較的手薄である。英国における19~20世紀の社会福祉、医療、社会政策の歴史から古典派の主要人物の著作を復刻したデヴィッド・グラッドストン編『エドウィン・チャドウィック:19世紀の社会改革』(1997年)がある。

 

 またこれらの著作のうち、ジュースミルヒ『神の秩序』は高野岩三郎と森戸辰男が、グラント『死亡表』は久留間鮫造が、ペティ『政治算術』は大内兵衛が翻訳をしており、大原社会問題研究所が日本におけるこの分野の研究発展に大きく貢献してきたこと示している。

 

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

※なお、4.「特色ある図書」の(5)経済学関係洋書については、伊東林蔵兼任研究員が加筆修正した(2019年11月)。

(4)プロレタリア文学

 戦後,ある時期まで,大原研究所は,プロレタリア文学の隠れた宝庫といわれた。研究所の図書・資料分類では日本文学(720)とは別にプロレタリア文学(710)の項目を立てているほどである。(現在和書330冊余がここにある。)そのようなこともあって,1956年,いちはやくプロレタリア文学関係の目録が作成された。『法政大学大原社会問題研究所プロレタリア文学関係所蔵文献目録』である。単行本のみ,276冊を発行順にならべた目録であるが,それは,『法政大学文学部紀要』(No2「日本文学篇」1956年3月)に,さきに公表され,ついで,大原研究所の『資料室報」(第91,93,94号,1963年9~12月)に掲載された。

 そのとき,このコレクションの貴重さについて,目録作成に協力を惜しまなかった法政大学文学部の小田切秀雄氏が,こういっている。

 「第一に昭和初年のプロレタリア文学運動関係の作品・評論・翻訳がかなり豊富にあること,とくに,これを集めたひとがプロレタリア文学に対して網羅的であろうとしたためか,ナップ(全日本無産者芸術団体協議会)系だけでなく,文戦系(労農芸術家連盟)の作品も多く集めていること」,「昭和初年のプロレタリア文学だけでなく,明治中期からの人民的・革命的な文学の流れに属するものが,戦前としてはよく集められていること,この点でまったく類の少ないコレクションになっている」(『資料室報』第91号,1963年9月)と。

 このように,それは“宝庫”と呼ばれても過褒ではなかったのである。たとえば,そのなかから,平沢紫魂の『創作・労働問題』(1919年,小説・戯曲集)という本が,そのとき発見され,これが契機となって,今日,労働者演劇の創始者・平沢計七の業績が再評価されるにいたっている。

 また,この方面の全集としては,戦後はじめての,『日本プロレタリア文学大系』(三一書房)全9巻が編集されるにあたっては,研究所の蔵書が何冊も底本として使われたのである。

 前記目録を追って,さらに逐次刊行物等をも含めた,より広範な目録が,1980年に,法政大学大学院日本文学専攻西田研究室の手でつくられた。『法政大学所蔵プロレタリア文学関係文献目録』がそれである。これは,法政大学図書館蔵書をも含めた冊子目録であるが,その過半数以上が大原研究所蔵書であることは,一見して明らかであろう。

 この10年の間に整理・公開された向坂文庫には,重複するものも多いが,これまで研究所が所蔵していなかった作品が散見される。一例を挙げれば,平林たい子の『悲しき愛情』(1935年)や黒島伝治の『橇』(1928年)等である。ただし,これらは日本文学(910)に一括して分類されている。

 なお,演劇,運動史,他に数百冊の関連図書があることを付記しておこう。

(立花雄一・松尾純子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3)伝記

 伝記類は,分類289にまとめておいてあるが,哲学者,芸術家,文学者はそれぞれの主題のもとに配架され,3人以上の伝記も主題別にしてある。他に,マルクス,エンゲルス,レーニンは,社会科学のなかに項目をもうけて別置してある。労働運動史や社会運動史に分類されているものも多い。

 また,分類049の随筆のところにも伝記に関連するものがいくつかはいっている。随筆は〈思い出〉が書かれることが多いから,自伝・他伝に関連するものが意外とある。一例をあげれば,『金正米吉遺稿・年譜』は049随筆にはいっている。また,堺利彦の『楽天囚人』(1911年)は,新聞紙条例違反・赤旗事件等で巣鴨・千葉監獄に入獄したおりのことを書いた文集だが,それなどは自伝を補完している。こうしたことがあるから,関連分野についても,充分な目くばりが必要となる。

 289に分類されている伝記は,和書2,800冊余,洋書約1,100冊である。洋書では,例えばP・A・クロポトキンの『ある革命家の思い出』は英・独・露語版がある。ちなみに,ローザ・ルクセンブルグのものは,和・洋とりまぜて30冊ばかりみうけられる。洋書のうち,575冊は向坂文庫にある。これはデータベース化されていないので,利用に際しては目録を参照していただきたい。すると,*印が目立つ(31冊ある)ことに気がつかれるであろう。*印は堺利彦旧蔵図書であることが確認された図書の意である。向坂文庫は和書にも伝記が860冊ほど含まれているが,こちらはデータベースでも検索できる。
 古いもの(戦前発行本)は,量的にはやはり少ない。片山潜,堺利彦,大杉栄など一部の伝記をのぞけば,もともと書かれることが少なかったからである。ただ,なかにはいいものがある。我が国の社会運動の先駆者である村井知至の自伝『蛙の一生』(1927年)などは珍重されていいし,鈴木文治の『労働運動二十年』(1931年)も参考度の高い伝記の一つである(これは復刻本が出ている)。麻生久の文学的自伝作品『濁流に泳ぐ』(1923年)等もある。

 近年,特に注目されるのは,草の根運動家たち(社会・労働・農民・平和運動家等)の,その多くは非売品,私家版である伝記類・回想集・追悼記の収集であろう。これは,現在かなりの量をもっている。しかし,おそらくは全国いたるところで発行されるであろうこれらすべてを収集しきることは不可能である。その意味で,いま一歩の感がないではない。江湖の寄贈をお願いしたい次第である。

(立花雄一・松尾純子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2)統計関係図書

 当研究所では特に労働統計を中心に収集しており,一般統計書は網羅的ではない。その総数は,定期的に刊行されているものばかりでなく,現在刊行停止のもの,単行本及び地方官庁統計を含めて約700タイトルで,その大部分が寄贈をうけたものである。

 a 労働統計(約400タイトル)

 1)労働総合統計(約70タイトル):労働省編『毎月勤労統計調査』は,賃金,労働時間,雇用の動向を迅速かつ的確に示す統計調査として広く利用されているが,『全国調査』と『地方調査』が公表されている。この二つの調査を要約して年1回1冊にまとめたものが『毎月勤労統計調査年報』であり,1961年版より現在まで完全に所蔵している。なお,この調査の沿革および過去70年間にわたる我が国労働者の雇用,賃金及び労働時間の変遷をまとめた単行本『毎月勤労統計調査70年史』も刊行されているので,あわせて参照されたい。『賃金労働時間制度等総合調査報告』は1966年より現在まで,『労働統計年報』は1948年の第1回より現在まで継続して完全に所蔵している。

 2)労働力・雇用失業統計(約100タイトル):総理府統計局編『就業構造基本調査報告』は,全国編・地方編等の分冊となった3年毎の調査報告で,1956年の第1回より現在まで。『労働力調査年報』は1963年より現在まで継続所蔵。

 3)賃金統計(約100タイトル):労働省編『賃金構造基本統計調査報告』は1948年より現在まで完全所蔵。この調査は,労働者の種類,職種,性,年齢・学歴,勤続年数,経験年数等の労働者の属性別にみた我が国の賃金実態を,事業所の属する地域,産業,企業規模別に明らかにすることを目的とし,1948年より毎年実施されている。

 4)産業別労働条件統計(約80タイトル):10年ほど前から,労働組合編・産業別賃金実態統計も数タイトル収集している。たとえば鉄鋼労連編『鉄鋼労働ハンドブック』は,鉄鋼労連傘下各組合の労働条件と,鉄鋼産業を中心とした特に組合運動に関わりの深い統計を収録,編集したもので,1965年に第1号が発行されている。そのほか書名を列記すると,『IMF・JC各加盟組合労働諸条件一覧』(金属労協),『賃金労働条件調査資料』(自動車総連),『鉄鋼労働ハンドブック』(鉄鋼労連)『ゴム総覧』(全日本ゴム労連),『賃金実態調査報告』(電機連合),『賃金実態調査』(情報労連),『労働条件調査表』(化学エネルギー労協)等。また『地方公務員給与の実態』(地方財務協会),『駐留軍従業員給与等実態調査報告書』(防衛施設庁)などもある。 労働省編『屋外労働者職種別賃金調査報告』は,市販本『建設・輸送関係業の賃金実態』と同一のものであるが,『日傭労務者賃金調査結果表』という書名の時代分をふくめると1949年より現在まで完全に継続所蔵している。

 5)退職金・年金,定年制(約15タイトル)

 6)労働時間統計(約24タイトル)

 7)労働争議その他(約30タイトル):労働省編『労働争議統計調査年報告』は1961年版より現在まで継続所蔵。『労働組合基本調査報告』は,1983年版より『労使関係総合調査』と改題され,『組合基礎調査』と組合活動の実態調査とに分割された。 1947年調査分より現在まで完全に継続所蔵。

 b 人口統計

 1)『国勢調査』(総理府統計局編)は,1920年第1回報告より1975年調査分までほぼ揃っていて,戦前の一部欠号分については協調会文庫で補うことができる。1980年調査分からは,総理府からの寄贈が困難となったため,原則として地方編を除いた報告書のみ購入。

 2)『人口動態統計』(厚生省編)は『明治32年日本帝国人口動態統計』より「昭和18年人口動態統計』まで所蔵(欠号あり)。その他数タイトル。

 c 経済統計  『事業所・企業統計調査報告』(総理府統計局編)は個人経営の農林漁業等を除く全国すべての事業所を対象として,事業所の地域的分布や産業構造の実態等を明らかにすることを目的として,3年または5年毎に実施されてきた。1947年第1回より現在まで『都道府県編』を除いてほぼ所蔵している。なお,単行本『事業所統計30年史』は,各回の事業所統計調査結果の中から,産業別,従業者規模別等の主要な統計について,時系列的に比較できるよう組み替え等を行い再編成したものであり,あわせて参照可能である。その他約120タイトル。

 d 商工業統計  『商業統計表』(通産省編)は我が国の商業実態を明らかにするため,1952年を第1回として隔年または3年おきに実施されている調査で,「産業編」「品目編」等からなっている。 1952年版より現在まで所蔵。その他約20タイトル。

 e 農林漁業統計  『農業構造動態調査報告書』(農林水産省)は農家及び農業法人等の農業生産構造及び就業構造の実態をまとめたものである。その他農林漁業統計約30タイトル。

 f 生活保護統計  『生活保護動態調査報告』(厚生省編):この調査は1956年から実施され,従来『社会福祉統計年報』の中で公表されていたが,1960年度より冒頭の書名及び『社会福祉行政業務報告』『社会福祉施設調査』と3分割された。1960年度より現在まで所蔵。その他約20タイトル。

 g 教育統計  『学校基本調査報告書』(文部省編):1951年度創刊,1967年度からはさまざまな機関別の分冊となった。1971年度からは寄贈が困難となったため『高等教育機関編』だけを購入。1956年版が欠号以外は全所蔵。その他は約40タイトル。外国統計を含めて,このほかの諸統計は約70タイトルである。

(北村芙美子・若杉隆志)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)地方史・県史

 まず,県史などの公的刊行物について述べよう。所蔵されている都道府県史や市史などは,当研究所の史料を都道府県史編纂担当者が利用し,その収録書を寄贈されたものが大部分で,系統的に集めているわけではない。したがって近代以前のものや,近代以後についても社会労働問題や社会労働運動史について取り扱っていないものは原則として所蔵されていない。とはいえ『神奈川県史』『新潟県史』『長野県史』『福井県史』『静岡県史』『岡山県史』のように,最近の県史は社会問題・社会運動の記述にスペースを多くさき,当研究所の所蔵史料が利用される例が増えてきているためにまとまって収蔵されることが多い。

 市町村史については『横浜市史』『尼崎市史』のような大部のものもあるが,『北見市史』『川口市史』『宇治市史』『豊島区史』『中野区史』『盛岡市史』など社会運動に目配りした特色のある自治体史は所蔵されている。なお,都道府県の警察史はほぼ全府県にわたって収集されている。

 公的機関が社会運動史・労働運動史を刊行する例はかなりあるが,そのようなものはしっかりとそろっている。戦後間もない頃に刊行された『山梨労働運動史』,内容の豊かさで評価されている『青森県労働運動史』のほか『福井県労働運動史』『広島県労働運動史』『三重県労働運動史』などがそれである。農地史・農地改革史も公的機関によって刊行されているが,これも多い。『北海道農地改革史』『新潟県農地改革史』『愛知県農地史』などがある。以上のものは戦前からの運動史を記述したものであるが,戦後労働運動史を含めると一層多くの文献が出されている。『資料愛媛労働運動史』のほか,北海道,岩手,福島,秋田や鹿児島,大分などの九州地方の各県によって刊行された労働運動史がそれぞれある。

 つづいて,民間で刊行された文献についてみよう。山川出版社の『百年』シリーズはそろいつつある。近著の『宮城県の百年』のように社会運動史に目配りした著作もある。また,清文堂の『宮城の研究』『高知の研究』『和歌山の研究』などの各県ごとの研究シリーズも同様である。都道府県の労働組合・農民組合機関の刊行した労働運動史もある。『室蘭地方労働運動史』や『静岡県労働運動史』『千葉県労働運動史』のほか『北海道農民組合五十年史』『大阪農民運動五十年史』などがそれである。これに属するものもまた,戦後中心の文献をあげると熊本,佐賀など大変多くある。『岩手・社会党の軌跡』のような社会党県本部,共産党の各県委員会などによって刊行されたものや,部落解放同盟・婦人運動団体などのさまざまな社会運動団体のものもかなり所蔵されている。

 一般的地方史の文献はあまりないが,社会労働運動史・社会問題に関する著書はできる限り収集している。その全体をここで紹介するのは不可能であるが,『京都地方労働運動史』『兵庫県労働運動史』のような研究書はいうまでもなく,坂井由衛『岐阜県労農運動思い出話』,尾原輿吉『東三河豊橋地方社会運動前史』のような活動体験者の自伝的運動史もある。また,和歌山県や長野県では民間の個人や団体による社会運動史の研究が従来より進んでいるが,これらの文献もほぼあるといえよう。

(梅田俊英)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(6)社会思想関係洋書

 研究所の創立の動機のひとつは社会問題の解決方法をさぐることであった。社会問題解決への関心は,社会思想のコレクションにもっともよくあらわれている。

 近代社会思想の源流である宗教改革については,ルターが高利貸資本に反対した『牧師諸氏へ高利に反対して』(1540年)がある。ちなみにこれは大原所蔵の本の中ではもっとも古い本のひとつである。

 イギリス政治思想ではイギリス革命を理論づけたロックの『統治論』と『教育論』があり,イギリス革命の左派では『通例レヴェラーズと呼ばれている者たちの政治および宗教に関する諸原理』(1659年)というパンフレットとリルバーンの『イギリス人民の法的基本的自由』(1649年)がある。近代アナーキズムの先駆者ゴドウィンは『政治的正義に関する研究』初版と2版,『人口論』など,保守派ではバークの著作集や書簡集がある。ちなみにバークはエルツバッハー文庫では個人主義的無政府主義のなかに分類されていて『自然社会の擁護』の復刻がおさめられている。

 フランス啓蒙思想ではモンテスキューの『法の精神』やルソーの『社会契約論』,コンドルセの『人間精神進歩の歴史』をそれぞれ初版で所蔵している。

 ドイツ哲学も収集していたが残っているのはフィヒテの『自然法の基礎』『ドイツ国民に告ぐ』『人間の使命』等である。へーゲル左派の著作としてはフォイエルバッハの『キリスト教の本質』や全集があり,ブルーノ・バウアーのドイツの階級闘争に関する著書が残っている。アーノルド・ルーゲは『パリの2年間』などがある。ローベルト・ブルムは戦後に復刻を入手した。

 ユートピア思想も系統的に収集されている。モアの『ユートピア』をはじめ,ハリントンの『オシアナ共和国』,イタリアのカンパネラの『太陽の都』の初版がある。

 空想的社会主義の文献ではオーエンの『自叙伝』『新社会観』『新道徳世界の書』等がある。サン・シモンは『新キリスト教』のほか,彼の流れをくむバザール,ビュシェ,ルルーの著作やコントの『実証哲学講義』等がある。フーリエは全集を含め『四運動および一般的運命の理論』『家族的・農業的協同社会概論』『産業的・協同社会的新世界』が初版でそろっている。『ファランジェ』の編者コンシデランの著作もある。ドイツではワイトリングの『調和と自由の保障』『貧乏な罪人の福音書』がある。

 チャーティスト関係は久留間鮫造の紹介によると,『ノーザンスター』以外は主要なものを集めたとのことであるが,戦災で失われたものが多いと思われる。『プアマンズガーディアン』や『レッドレパブリカン』などの新聞,議会改革に関するパンフレット,個人ではウイリアム・コベットのものが比較的残されている。ベンボウの Grand National Holiday はゼネストによる権力の掌握を初めて主張した著作として貴重である。

 その他社会主義,共産主義の著作としては,フランスではバブーフ,ブオナロッティ,ブランキなどのほか,モアの『ユートピア』にならってカベが書いた小説『イカリア旅行記』があり,ジョン・グレーやフランシス・ブレーなどイギリスのリカード派社会主義者の著作も残されている。

 20世紀の社会主義思想関係の図書も少なくはない。イギリスでは,労働党指導者マクドナルドの『社会主義と社会』,イギリスの代表的知識人であるコールの著作,『民主的イギリスのためのプラン』『人民戦線』がある。ドイツでは,社会民主党の代表的理論家カウツキーの『社会主義者と戦争』『プロレタリア革命とその綱領』『労働者革命』『社会革命』,経済理論家ヒルファーディングの『社会化と階級の権力関係』,女性革命家ローザ・ルクセンブルクの『社会民主主義の危機』などがある。オーストリアでは,オーストロ・マルクス主義の理論家バウアーの『ボルシェヴィズムか社会民主主義か』などがある。

 フランスについては,「新社会主義」関係で,フィリップの『アンリ・ド・マンと社会主義の教義の危機』,デアの『社会主義の展望』,モンタニョンの『社会主義の偉大と隷従』などがある。サンディカリスムに関するものとしては,CGTの改良的サンディカリスムを表明したルロワの『サンディカリスムの新技術』がある。ベルギーでは,マルクス主義の批判者ド・マンの『社会主義の心理学』(ドイツ語版と英語版),『建設的社会主義』なども所蔵されている。

(是枝洋・小島英恵・佐伯哲朗)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(5)社会思想関係和書

 洋書の部で紹介されていない部分を中心に,書名を列挙しておきたい。

 『社会思想史辞典』(1961年),『社会思想辞典』(田村秀夫ほか編,1982年),『資料イギリス初期社会主義』(都築忠七編,1975年),『イギリス労働運動と社会主義』(安川悦子著,1982年),『資料ドイツ初期社会主義』(良知力編,1974年),『ドイツ社会思想史研究』(良知力著,1970年),『イタリア社会思想史』(黒須純一郎著,1997年)『ロシア・ナロードニキ運動資料集』全2冊(田坂昂編訳,1976年),『ロシア社会思想史』(及川朝雄著,1948年),『サン=シモン主義の歴史』(シャルレティ著,1986年)。

 アナーキズム関係の洋書は『エルツバッハー文庫』の項で紹介されているのでこの項目には入っていない。『大杉栄・伊藤野枝選集』,『石川三四郎選集』全7巻,『権藤成卿著作集』,八太舟三の著作数冊などがあり,その大部分が黒色戦線社からの寄贈である。そのほかには,大杉栄著『クロポトキン研究』,『クロポトキン全集』全11巻(欠7巻)(1928~30年),黒色青年連盟『無政府主義論集』(1930年),萩原晋太郎編著『アナキズム運動年表』などアナーキズム関係の和書はかなり多い。更に探索するならば日本アナキズム研究センター(富士宮市)編『所蔵文献目録』もあるので参照されたい。ファシズムではイタリア,ドイツ,日本に関するものを数十冊所蔵している。

 日本の社会思想では絲屋寿雄著『日本社会主義運動思想史』全3巻,『近代日本思想大系』(筑摩書房刊),『資料日本社会運動思想史 明治後期』全9集(青木書店刊)などがあり,また鈴木正節著『大正デモクラシーの群像』や,丸山真男・佐藤昇・梅本克己著『戦後日本の革新思想』もここに入っている。

(北村芙美子・若杉隆志)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(4)社会運動関係洋書

 1800年代の社会運動や平和運動の貴重な文献(エルツバッハ文庫,古典文庫,大山文庫)があり,その多くはヨーロッパ諸国である。次いでアメリカ,若干ではあるが,インド(カースト制度),韓国(小作農),日本(米騒動),東南アジア,ブラジルなどの大衆運動や農民運動,女性運動についての文献なども収集されている。

年代順に拾ってみると,

  Most, Johann, “Die socialen Bewegungen im alten Rom und der Cäsrismus” [1878]
  Grun, Karl, “Die soziale Bewegung in Frankreich und Belgien” 1845
  “Freimaurerei und Sozialdemokratie” [1891]
  Misar, Olga, “Das Gelöbnis, keinen waffendienst zu leisten!” [19-]
  Prisching, Franz, “Vom Barbarismus zur Zivilisation” 1903
  “Der Internationale Kampf des Proletariats gegen Kriegsgefahr und Faschismus” 1923
  Stein, Lorenz von, “Geschichte der sozialen Bewegung in Frankreich von 1789 bis auf unsere Tage” 1921
  “Congress of the People for Peace, Vienna, Dec. 12th-19th 1952.” ,[1953] Congress of the People for Peace(Wien : 1952)
  “Congrés des peuples pour la paix” 1952 Congress of the People for Peace(Wien : 1952)
  Joliot-Curie, Frederic, “Cinq années de lutte pour la paix” [1954]
など,総数で100点ほど所蔵している。

(上田洋子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3)社会運動関係和書

 社会運動関係は,労働運動と共に大原社研の主要収集項目なので,かなりよく集められている。その範囲も広く一般社会運動から婦人運動,救援運動などさまざまな運動がある。

 まず一般社会運動の分類に入っているものに,その理論,エコロジー運動,新人会関係,社会運動史,平和運動,米騒動,文化運動などがある。書誌的なものでは『日本社会運動人名辞典』『朝鮮社会運動史辞典』『安保闘争文献目録』などがあり,その他一般図書では田中惣五郎編『資料大正社会運動史』『日本社会運動史』,熊倉啓安著『戦後平和運動史』など,また地域での社会運動,住民運動の実践記録などを含め600冊ほどである。

 日教組の教育闘争は教育の分類に入っている。しかし組合活動に比重が置かれた図書は「組合史」に分類されている。農民運動は農業の中に分類され,例えば『昭和恐慌下の農村社会運動』や『大正農民騒擾史料・年表』などがあり,大原社研編『農民運動史資料』全13冊は研究所出版物の分類となっている。

 次に「社会問題」の分類の中に婦人運動,学生運動,部落解放運動,人種差別反対運動,公害反対運動などがある。たとえば部落解放同盟より受贈の『部落解放運動基礎資料集』全4冊,『部落解放運動五十年史年表』など部落問題関係の図書は多い。学生運動では三一書房編『資料戦後学生運動』(1968~1970年)全8冊をはじめ東大紛争,早大闘争の記録集や全共闘関係の図書がある。
 そのほか,生協運動などの消費者運動の分類では,『日本消費組合運動史』(1932年),『日本生活協同組合運動史』(1982年)や『労働者共済運動史』全9冊などがある。

(北村芙美子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2)社会主義運動関係洋書

 ここでは協調会文庫,向坂文庫,村田文庫などの図書を除いた研究所の戦前以来の蔵書,戦後に収集した図書を紹介しよう。研究所の分類では,社会主義運動関係の図書は,〈316社会党〉,〈317共産党〉にその多くが分類されている。ちなみに,1999年11月現在,316は312冊,317は654冊である。社会党関係のうち,イギリス労働党関係が150冊,ドイツ社会民主党関係も同じくらい所蔵されている。党大会議事録等の逐次刊行物を除くと,イギリス64冊,ドイツ80冊,フランス22冊,ベルギー4冊などとなっている。また,共産党関係は490冊,第1インター・第2インター関係は90冊,コミンテルン関係は170冊程所蔵されている。この他に〈301社会思想史〉を見る必要がある。一般にヨーロッパでは,「社会主義」という言葉は,思想ばかりではなく,運動をも意味することが多く,例えば『社会主義の歴史』という題名の本であれば,社会主義思想よりも社会主義運動の歴史を叙述しているケースが少なくない。例えば,ドゥロズ(Jacques Droz)の編集による『社会主義の全体史(Histoire générale du socialisme)』(全4巻,1972~78,P.U.F.)は,社会主義運動史を叙述した本であるが,301に分類されている。筆者の見るところ,〈301〉に分類されている社会主義運動関係の図書は,30冊程度ある。このうち,フランス社会党関係の図書は,7冊である。また〈487労働運動〉に分類されている場合もある。コンペール=モレル(Jean-Jacques Compere-Morel)らの編集した『労働者インターナショナルの社会主義・労働組合・協同組合百科事典(Encyclopédie socialste syndicale et coopérative de l’Internationale Ouvrière)』(全12巻,1912,13,21年,Aristide Quillet)はそこに分類されている。これ以外には,歴史関係で,234にレーテ運動の史料,235にパリ・コミューン関係の図書,238にロシア革命関係の図書がある。また,伝記は,ブランキ,ベーベル,ベルンシュタイン,ブルム,トマ,デブス,デレオン,ディミトロフ,ラスキなど多岐にわたっているが,特定の人物について系統的に集まっているわけではない。

 戦前出版された単行本・パンフレットの類については,そのほとんどが『法政大学大原社会問題研究所所蔵文献目録(戦前の部)』に出ており,その有無を確認することができる。もちろん,その後に購入・受贈した古書もある。後に出版された研究書・伝記などについては,イギリス,ドイツ関係を除けば,系統的に収集されてはいない。社会民主主義政党関係の研究書では,イギリス労働党,ドイツ社会民主党に関するものが大半を占める。例えば,ドイツ社会民主党関係では,アンドレールの『ドイツ社会主義の政治的分析』,リドケの『非合法の政党―ドイツの社会民主主義1878~90』,モーガンの『ドイツの社会民主主義者たち―1864~72』,プラーガーの『USPDの歴史』などがある。この二者に比べればフランス社会党に関するものは多くはない。社会主義運動の国際組織では,第2インター関係の図書は少なく,社会主義インター関係もプロトコールがあるが,多くはない。研究書の収集という点については,1950~60年代に出版された基本的な研究書は少なく,近年出版された研究書も少ない。

 年鑑・党大会議事録などの定期刊行物については,イギリス労働党,ドイツ社会民主党に関する党大会議事録など基本的な資料があるが系統的ではない(イギリス労働党,独立労働党,フランス社会党の大会議事録などについては「マイクロ資料」の項を参照)。その他には,社会主義インターの大会議事録がある。

 共産党関係では,フランス共産党大会議事録のほか,戦前からの蔵書の中にドイツ共産党関係のパンフレットなどがある。そのほかには,ドイツ社会主義統一党のプロトコールが若干ある。また,コミンテルンのプロトコールには,志賀義雄氏の旧蔵書が含まれている。

(佐伯哲朗)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)マルクス・エンゲルス関係図書

 戦前,マルクス主義研究のメッカといわれたほど研究所には多くのマルクス経済学者があつまっていた。櫛田民蔵,大内兵衞,森戸辰男,久留間鮫造などの学者は,大原社会問題研究所パンフレットに分担して『剰余価値学説史』などマルクス,エンゲルスの著作を翻訳したし,司書の内藤赳夫は研究所の「アルヒーフ」に『邦訳マルクス=エンゲルス文献[目録]』を編集した。

 久留間鮫造のマルクス研究の成果は,戦後に『マルクス経済学レキシコン』(大月書店)として世界的な注目をあびることになる。しかし,現在,研究所は特にマルクスやレーニンの文献収集に重点をおいているわけではなく,全集や資本論の各国語版をあつめることまではしていない。全集は新旧のメガをはじめ,ドイツ語,フランス語,ロシア語(初版及び2版),英語(刊行中)を所蔵している。資本論は英語,フランス語,ロシア語,日本語への翻訳も含めると60種類ばかりある。

 マルクス,エンゲルスの著作では,特にマルクスがクーゲルマン博士に贈った『資本論』第1巻の初版が貴重である(「サイン入りの図書」の項を参照)。他に『資本論』の初版として向坂逸郎,宇野弘蔵旧蔵とで計3冊所蔵している。ここでは「サイン入りの図書」の項ではふれられなかった署名入りの本を紹介してみよう。

 『共産党宣言』この本は完全に初版を模した復刻であるらしく,長く初版本と思われてきたほどである。櫛田民蔵がドイツの社会民主党文庫を訪れた時に譲り受けたもので,1921年7月15日の日付とヒンリヒセンの署名がある。この本が珍しいのはつけられている青い表紙で,同種の本は世界に2冊しか確認されていないといわれている。櫛田は「共産党宣言の研究」と題する論文を1920年頃執筆しており,「宣言」には深い関心をもっていたと思われる。なお,この論文は戦前には日の目を見る事ができないまま,所在不明になっていたが,研究所の50周年の展示会を準備しているときにたまたま「柏木の土蔵」の中から原稿がみつかり,青木書店から出版された。

 ところで丁度この年の7月27日,櫛田はおなじドイツ社会民主党文庫主任のエルンスト・ドラーンから『哲学の貧困』の初版を譲り受けた。この本にはマルクスの手による書き込みがありきわめて貴重なものであったが,ドラーンはそれに気付かなかったのか,これを贈呈してしまったのである。現在は他の櫛田蔵書とともに東北大学の文庫にはいっており,ファクシミリ版が青木書店から刊行されている(この間のいきさつについては『研究資料月報』298号参照)。

 Marx-Engels Archiv の第一巻にはマルクス・エンゲルス研究所より大原研究所へ,としてリヤザノフの署名がある。これは櫛田が1922年にモスクワへいったときに譲り受けたものであろう。リヤザノフはその前年ベルリンに滞在していて,櫛田民蔵と図書購入ではりあったといわれている。

(是枝 洋)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(4)労働運動史関係洋書

 国際労働運動の資料としては全体で250点程度揃えている。国際自由労連(ICFTU)の世界大会記録が第2回(1951)から第6回(1959)までと第9回(1969)から第24回(1992)まであり,世界労連(WFTU)はドイツ語版が第3回から第6回(1945~1969)まであり,ほかに20年史もある。

 また国際労働組合運動に関しての次のような大会報告書もある。

  “Report on Activities, 1960~1982”(I.C.F.T.U.Asian Regional Organization)
  “Report on Activities 1950~1962”(I.T.F.)
  “Tatigkeitsbericht , 1951~1974”(I.B.F.G.)

 そのほか,国際運輸労連,国際金属労連,国際繊維被服皮革労連,国際化学エネルギー一般労連,世界教員組合連盟などの運動史も収集されている。

また世界のメーデに関する資料も30数点あり,1800年後半から1900年初頭にかけての珍しい歴史資料がエルツバッハ文庫にある。

 いくつかの例をあげてみると次のようなものがある。

  Muller, Hans, Werth und Bedeutung politischer Demonstrationen, 1894
  Gori, Pietro, Primero de mayo, 1897
  Premier mai, [1901]
  Il Primo maggio, 1902
  Mai-Feier, 1906-1908
  Gori, Pietro, Die Legende des ersten Mai, 1910

 一般的な運動史の他に労働組合史,資料集,全国組織の大会記録,注目すべき運動の記録,活動家の伝記などにも注意を払って収集し,総数で約1,560冊所蔵している。ヨ-ロッパについては約1,040冊収集しているが,そのうちイギリス関係は370冊程である。日本が労働組合史の分野では大国であるの比して,外国ではこのような組合史を刊行している国は少ない。そのなかでは歴史好きのイギリスは労働組合史が比較的発行されている。

 Arthur Marsh の Trade Union Handbook(1991)には,Bibliography of officia1 Trade Union Histories という労働組合史に関する目録が掲載されているが,そこにあげられている117冊のうち46冊を所蔵しており,約40%をカバーしている。石炭鉱業では1926年,1984年の炭鉱争議についても比較的集められている。イギリス労働組合会議(TUC)の年次大会記録は1869年の第2回大会から現在まで所蔵しており,もっともよくそろっている。

 ドイツの労働運動史は360冊程ある。旧西ドイツではドイツ労働総同盟(DGB)の大会議事録は第2回(1952年)から11回(1978年)までを所蔵している。幹部会報告も1950年から1981年までそろえている。総同盟傘下では最大の260万人の組合員をもつ金属産業労働組合(IG Metall)の大会議事録は第5回(1958年)から第17回(1992年)まで,活動報告は1958年から1985年まで,労働者代表委員会は第9回(1976年)から第14回(1990年)まで所蔵し,比較的よく揃っている。戦前のドイツ全国労働組合大会は復刻がでており,1892年の第1回から1919年の第10回まで所蔵している。また,西ドイツでは1984年から『労働組合年鑑』が発行されており,年々の労働組合の活動や,統計,名簿,文献目録等が紹介されている。その他運動史に関する文献目録も多い。旧東ドイツの自由ドイツ労働総同盟(FDGB)については3~6回までの大会議事録を所蔵している。

 フランス労働総同盟(CGT)に関する本は,フランスの運動史全体で100冊程のなか,40冊程あるが,大会の記録についてはマイクロフィルムで(1897年から1969年まで)所蔵している。イタリア労働総同盟(CGIL)の大会記録は,1945年の第1回から1977年の第10回までがある。ソ連は90冊ほど集めているが,全連邦労働組合の決定集が1976,79,81年から84年まである。ほかに資料集については第16回大会(1977年)と第17回大会(1982年)の分と8巻本の『ロシアにおける19世紀の労働運動』がある。アメリカについては,中央・南アメリカを含め約290冊所蔵中,アメリカ合衆国では270冊を数えている。アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL=CIO)の大会については1957年の第1回から1987年の第17回までがある。

 そのほか,アジア,アフリカ,オセアニア等の地域についても40冊程度を収集しているが,イギリスをのぞいてはかならずしもよく揃っていないので今後の収集にまつところが多い。

 なお,個人の書いた労働運動史関係の図書について,若干例を挙げると,J.B.Jefferys,The History of the Engineers,1945,E.Bernstein,Die Geschichte der Berliner Arbeiterbewegung,1907,G.Lefranc,Histoire du mouvement syndical français,1937などが目につく。

(是枝洋・小島英恵・上田洋子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3)労働組合運動史・争議史

 研究所所蔵図書のうち,労働組合運動史・争議史に関するものは,その収集にとくに力を入れている。この分野の図書は非売品が多いため,刊行されたという情報を得て原物を入手するのも重要な仕事となる。幸いにも,直接に寄贈して下さる組合や個人の方も多く,今日ではかなりの量のまとまったコレクションとなっている。冊数でいえば現在,約2,500冊である。そうした所蔵図書について,具体的かつ詳細に紹介するのはむずかしい。詳しくは,「労働組合史・労働争議・闘争記録所蔵目録」(所収,大原社研『資料室報』Nos.219~220,225,233,243,255,283,295,318,332)を参照されたい。ここでは,このコレクションの全体的特徴について記し,のち若干の所蔵分について,例示的に紹介することにしよう。

 第一に,そのほとんどが第二次大戦後に刊行されたものである。その中には戦前の運動史・争議史関係の図書もあるが,もともと刊行された出版物が少なく,したがって所蔵分も多くはない。もっとも,すでに復刻も出ているが,たとえば1927(昭和2)年の野田醤油争議に関しては,数点の復刻の元になる原本があるなど,戦前の争議に関して重要なまたは珍しい文献もいくつか所蔵されている。たとえば,1927(昭和2)年の長野県岡谷の山一林組における製糸女工の争議を記録した堀江三五郎編『岡谷製糸労働争議の真相』(1927年)や,浅原健三『鎔鉱炉の火は消えたり』(1930年)などを挙げておこう。

 第二に,労働組合運動史関係の所蔵図書は,ナショナルセンターと単位産業別組合レベルのものだけでなく,単位労働組合レベルにまで及んでいることである。単産・単組レベルといっても,規模の大きいところでは,支部史など事業所レベルまでカバーされているところもある。

 第三に,産業別ではほとんどの産業分野に及んでいる。現在の所蔵分のうち,日本の労働運動一般および地方労働運動史などを除き,産業分野別に分けると,およそつぎのようになる。1)鉱業140冊,2)建設30冊,3)金属530冊,4)化学120冊,5)繊維110冊,6)食品50冊,7)印刷・出版90冊,8)エネルギー40冊,9)運輸400冊,10)金融120冊,11)商業・サービス50冊,12)教育180冊,13)公務280冊,14)その他200冊。以上の冊数には,争議史関係の図書も含まれている。たとえば,1954(昭和29)年の近江絹糸争議に関していえば,約10点近くの図書がある。

 第四に,労働運動史関係図書には,たとえば『資料北海道労働運動史』全7巻,『資料長野県労働運動史』全7巻などをはじめ,地方労働運動史関係の図書も含まれている。また地方史文献の中にも,社会・労働運動史に関する記述があるので,それらを含めて考えると,地方労働運動史についても,かなりの所蔵図書がある。

 第五には,運動史・争議史とも,組合や争議団の手によるものだけでなく,個人の手によるものも含まれている。その中には,たとえば,日本の労働争議研究者として著名な村山重忠『日本労働争議史』(1946年)も含められる。以上が,全体的特徴であるが,つぎに例示的に若干の産業分野について見てみよう。まず金属産業であるが,鉄鋼関係では,『鉄鋼労連労働運動史』をはじめ,旧八幡製鉄および新日鉄,それもいくつかの工場別の組合史などに及んでいる。たとえば,新日鉄関係では,光,室蘭,広畑,名古屋,君津,八幡,堺などの組合史が収集されている。金属産業の組合史・争議史関係図書530冊のうち,単産レベルのものは約60冊であるが,その他は企業レベル,事業所レベルの組合史である。

 つぎに運輸・通信産業を例にとると,ここでは郵政関係や民営化以前の電信電話,国鉄など640冊に達するが,当局側の編纂したもの,たとえば『郵政労働運動史』全24巻なども含め,金属産業とならんで冊数が多い。しかも,地方本部や支部の組合史にまで及んでいる。私鉄では,阪急,近鉄,南海などの大手私鉄のほか,北陸鉄道(石川),越後交通(新潟)などの地方の中小私鉄に及んでいる。
 以上は,国内の和書についてである。なお,外国の労働運動史に関するもののうち,日本語(翻訳を含む)文献を取り上げておくと,約300冊になる。地域別には,アジア30冊,ヨーロッパ100冊,アメリカ大陸ほか50冊,その他国際労働運動などである。

(早川征一郎)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(2)労働問題・労働事情(洋書)

 ここで紹介するのは,協調会文庫,向坂文庫を除く大原研究所の労働問題・労働事情関係の洋書である。1999年12月現在で,大原研究所の洋書は約1万9,000冊であるが,そのうち労働問題・労働事情関係の洋書は,別に紹介する労働運動史関係の洋書を除き約3,400冊であり,その大部分が戦後のものである。

 まず,大原研究所の図書分類にいう労働問題,労働経済の分野について見ると,約270冊ある。この中には,たとえばアメリカ制度学派の中心人物である J.R.Commons,Trade Unionism and Labor Problems,1921などがある。また一部はリプリント版(1972年)であるが,Labor Research Association,Labor Fact Book,1932(全17冊)などもある。

 つぎに,労働史,労働者状態史に関して,約430冊所蔵している。その中には,とくに珍しいというわけではないが,J.Kuczynski,Die Geschichte der Lage der Arbeiter unter dem Kapitalismus(1961~72)が,全38巻にわたり揃っている。フランス語文献では,経済学者 E.Levasseur,Histoire des classes ouvriéres et de l’industrie en France,1903~04(全2冊)を挙げておこう。

 雇用と失業,労働者,労働条件は最も図書数が多く,1,700冊に近い。ここでは,圧倒的に戦後のものが多い。やや古いもので文献を挙げると,O.J.Dunlop,English Apprenticeship and Child Labour,1912 や R.H.Tawney, The Establishment of Minimum Rates in The Tailoring Industry, 1915 などがある。また,アメリカ連邦および州裁判所の調査と意見報告書として,Wages and Hour Cases,1942~77(全22巻)が揃っている。最近では,とくに外国人労働者問題ないし国際労働移動に関する文献の収集に力を入れている。

 労使関係(労務管理を含む)については,約1,100冊を所蔵している。だが,ほとんどが戦後のものであり,とくに珍しいというわけではない。ここでは,例示として,フランスの組合活動家である H.Dubreuil,Standards,1929 および N.W.Chamberlain,Collective Bargaining, 1950を挙げるにとどめておく。

 労働法,労働政策については約640冊ある。ここでは,アメリカの三つの報告書を挙げておこう。 National Labor Relations Board,Annual Reports 1936~65(全10冊),Decisions and Orders of The National Labor Relations Board 1935年以降(278冊),Labor Arbitration Reports(全69巻)。
 以上紹介したもののほか,労働者生活,国民生活,労働者福祉,労働運動に関する図書も所蔵している。たとえばアメリカでは,Samuel Gompers,Labor and Common Welfare,1919および American Labor and The War,1919等である。

(早川征一郎)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(1)労働問題・労働事情(和書)

 大原研究所所蔵の労働問題図書(和書〉の全容は,労働運動史・争議史,年報や労働統計書,旧協調会文庫などと総合して,はじめて明らかとなる。ここでは他項で紹介されている労働運動史・争議史関係図書,年鑑や年報および統計書,協調会文庫に含まれている労働関係図書以外のものについて紹介することにしたい。

 労働問題・労働事情関係の所蔵冊数をみると,現在,約11,500冊である。労働運動史・争議史関係の図書2,500冊(日本語による外国労働運動史文献を含む)を合わせると,約14,000冊となる。それは,もちろん戦前と戦後にまたがっているが,所蔵分量としては圧倒的に戦後刊行書が多い。この点,協調会文庫とは大きく異なっている。とはいえ,戦前の図書で貴重なものも多い。

 a 労働問題一般――1,450冊 ここには,社会政策,社会保障,労働問題に関する図書も含まれ,大部分は戦後のものである。もっとも,堀江帰一『労働問題十論』(1918年),河田嗣郎『社会問題体系』全7巻(1925~33年)のような戦前図書も所蔵されている。また,鈴木文治『日本の労働問題』(1919年)は,「謹呈,赤松(克麿)学兄,1919年11月」という,著者の献辞入りである。

 労働問題一般では,最近ではとくに技術革新にともなう労働問題関係図書が増えている。また日本,アジア,ヨーロッパ,アメリカなど各地域,国々の労働事情に関する文献も,ここに含まれている。日本についていえば,地方自治体の刊行したそれぞれの地方の労働経済,労働事情にまで及んでいる。

 b 労働者状態,労働諸条件――4,000冊 労働者状態,労働諸条件とここでいう場合,雇用・失業問題など労働市場にかかわる分野,労働者生活や労働者教育・訓練に関する図書も含んでいる。そのうち,労働者状態史(含む労働史)に関するものは140冊であるが,なんらかの形で労働者生活や状態にふれた図書となると,きわめて分量が多くなる。たとえば,原哲夫『鐘紡罪悪史』(戦旗社,1930年)や岩下俊作『熔爐と共に四十年』(1943年)などは,労働の現場から労働実態をえぐったものとしてユニークである。もっと古くは,明治期の生活実態にふれた松原岩五郎『最暗黒の東京』(1893年)の原本(のち岩波文庫に入った)なども所蔵されている。

 だが,なんといっても多いのが,労働諸条件に関する文献である。戦時下における図書で例を挙げると,三好豊太郎『生産増強と厚生施設』(1943年),籠山京『勤労者休養問題の研究』(1944年)など,時局を前提としながらも,労働科学的見地から,戦時生産増強主義への批判を行った文献もある。また,労働災害・職業病,労働衛生に関するものだけを見ても300冊ある。そのなかには,風早八十二『日本の労働災害』(1948年)のような戦後初期のものもある。

 なお,大原研究所の図書分類では,生活協同組合など消費者運動関係の図書もここに含まれるが,冊数にして290冊である。たとえば,『全国労働金庫協会30年史』など労働金庫運動史や生活協同組合運動史などである。古いものでは,石川三四郎『消費組合之話』(1904年)があるが,これは高野岩三郎の寄贈によるものである。

 c 労働運動――1,300冊 この中には,労働組合に関する研究書も含まれる。また,冊数の計算上では,運動史関係の図書はひとまず除いてある。したがって,おもに労働運動に関して論じた文献ということになるが,ただ運動史と明確に一線を画するのはむずかしい。たとえば『高野実著作集』全5巻などは,この労働運動の中に含まれるものとして冊数を数えている。すでに翻刻本が出ているが,片山潜・西川光二郎『日本の労働運動』(1901年)の原本も所蔵されている。さらに,戦後初期,産別会議の初代議長であった聴濤克巳『労働組合論』(1948年),産別会議副議長であった亀田東伍『労働組合ノート』(1948年)などは,当時の組合指導者の運動認識を知る上でも貴重である。

 d 労使関係,労務管理――2,100冊 人事管理に関するもの350冊をはじめ,経営参加に関するものなども多い。また経営労務に関する文献では,経営労務担当者むけや労働者・組合むけの実務書も多く収集されている。たとえば,労務管理研究会編『最新労務管理総覧』(1957年)や森五郎責任編集『労務管理実務全書』(学陽書房,1975年)などはその一例である。戦時下のものでは,加野広之『労働配置』(1942年)などがある。なお,労働者教育に関しては,戦前の名著である大林宗嗣『セッツルメントの研究』(1926年)を挙げておこう。

 e 労働法,労働政策――2,580冊 労働法関係の文献も,比較的よく収集されている。とくに目立つのは,労働協約,就業規則に関するもの,労働判例に関する文献,地方労働委員会の刊行物などである。

 さらに,労働政策に関するものとしては,とくに国際労働基準,ILOに関する文献がよく収集されている。たとえば,飼手真吾・戸田菊男『ILO―国際労働機関』(日本労働協会,1960年)をはじめ,ILOに直接関連する図書も多い。これらは,『日本労働年鑑』で,国際労働基準,とくにILOの活動について長年記録してきたことともかかわって,図書収集でも力を入れたことが大きいと考えられる。

(早川征一郎)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より

(3) 参考図書

 ここでは所蔵している参考図書の中から一部を和書・洋書まとめて紹介する。

 a 書誌の書誌  『本邦書誌の書誌』『書誌年鑑』『日本の参考図書』などの参考図書目録によって検索の手がかりをまずつかむことができる。洋書ではウォルフォードとシービーの参考図書案内のほか American Reference Books Annual を年々購入している。

 b 全国書誌・蔵書目録  国内の大学図書館の蔵書を探すには,学術情報センターが提供しているweb-catが便利である。ただし,国会図書館の蔵書はweb-catには含まれていない。冊子体の蔵書目録,もしくはJ‐BISCで検索することになる。インターネット,CD‐ROMの展開により検索環境は近年飛躍的に向上してきた。これらを補うものは出版目録で『日本書籍分類総目録』や『出版年鑑』(1930年版から)があるが,戦前のものは書名索引がなく使いにくい。

 特に労働問題に関係の深い図書館の蔵書目録や,労働組合の資料室の所蔵目録も役に立つ。労働省